ニコンイメージングジャパンからニコンDXフォーマットを採用したハイアマチュア向けデジタル一眼レフカメラの新モデル「D7500」が発表された。2015年発売の「D7200」以来、実に2年ぶりとなる「D7000」シリーズの新モデルは、“7200”から“7500”へと型番が大きくステップアップしていることからもお分かりの通り、従来モデルからさまざまな点で大きな進化を遂げている。ここでは、従来モデルからの進化点を中心にD7500の特徴をまとめてみた。
ニコンD7500
2009年に登場した「D300S」が2011年にディスコンとなってから、昨年4月に「D500」が発売されるまでの間、3桁型番のDXフォーマット機が長らく不在という時代が続いた。その間、型番的に下位にあたる4桁型番を冠したD7000シリーズが、ニコンDXフォーマット採用デジタル一眼レフカメラの最上位モデルを名乗るというラインアップの逆転現象が発生していたわけだが、3桁型番を冠した「D500」が登場したことで、ようやくこのねじれが解消。これを機に、D7000シリーズが担うポジションをより明確にしていこうということとなり、フラッグシップモデルのD500の流れを汲みつつ、D500よりも扱いやすいコンパクトなボディを採用し、より多くのユーザーに使いやすいモデルとして新開発されたのが今回発表されたD7500となる。
D7500(AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR装着時)
D7500(背面)
“D500の流れを汲みつつ”と述べたが、具体的には、画質スペックはD500そのままといえるものに仕上がっている。撮像素子にはD500と同じローパスレス仕様の有効2088万画素のDXフォーマットCMOSセンサーを、画像処理エンジンに「EXPEED 5」を採用。D500では特に高感度画質の向上が大きな特徴となっていたが、D7500でもそのあたりをしっかりと受け継いており、D500同様に最高ISO 51200の常用感度や、拡張でISO1640000相当(Hi 5)までの増感に対応した。ちなみに、D7000シリーズは、初代のD7000が約1620万画素、D7100が約2410万画素、D7200が2416万画素と、世代を追うごとに高画素化されてきたが、今回シリーズで初めて画素数が減少に転じている。
D500と同じローパスレス仕様の有効2088万画素のDXフォーマットCMOSセンサーを採用
画像処理エンジンは最新の「EXPEED 5」だ
また、D500と同じ高速な処理が可能な撮像素子や画像処理エンジンを採用したことで、連写性能もD7200の秒間7コマから8コマに拡大。さらに、バッファメモリーの容量も強化されており、連続撮影時の撮影可能コマ数が大きく増加。14bitのロスレス圧縮RAW記録で最大50コマ(D7200は最大18コマ)、12bitのロスレス圧縮RAW記録で最大74コマ(D7200は最大27コマ)までシャッターを切り続けることができるようになった。この点も大きな進化点といえるだろう。
連続撮影可能コマ数の比較(DXフォーマット時)
測光センサーも、D500と同じ180KピクセルRGBセンサーとなり、従来モデルに比べ、測光やシーン認識の精度が大幅に強化。「アドバンストマルチCAM3500IIオートフォーカスセンサーモジュール」を採用した51点AFシステムについては、測距点のスペックだけみると従来モデルと同じに見えるが、これまでD7000シリーズでは非対応だったグループエリアAFに新たに対応するなど、こちらも着実な進化を遂げている。
アドバンストマルチCAM3500IIオートフォーカスセンサーモジュール
このほかにも、4K UHD動画撮影のサポートや、電子先幕シャッターの対応など、D7500はD500に匹敵する性能を実現している。“7200”から“7500”へと型番が大きくステップアップしたというのも大いにうなずける内容に仕上がっている。
D7500で使われているシャッターユニット。シャッタースピードは1/8000秒から30秒で、ミラーアップ撮影時には、メカニカル先幕を電子先幕シャッターに切り換えることもできる
D7500は、より多くのユーザーに使いやすいモデルとするため、D500 に匹敵する撮影性能をD500よりも扱いやすいコンパクトなボディに収めた点も大きな特徴となっている。
本体サイズは、135.5(幅)×104(高さ)×72.5(奥行)mmで、重量は約720g(バッテリーおよびSDメモリーカードを含む/ボディーキャップを除く)。本体の厚みは従来比で3.5mmの薄型化、重量は従来比30gの軽量化を実現しており、本体が薄くなった分、グリップ形状も深くなり、ホールド性も高まっている。
体の厚みは従来比で3.5mm薄型化
ここまでの薄型・軽量化を実現できた背景には、高剛性炭素繊維複合材料を用いたモノコック構造を採用したことが挙げられる。最近では、エントリー向けのD3000シリーズやD5000シリーズにも採用が拡大していたが、ついにD7000シリーズにも採用されることとなったわけだ。ちなみに、ボディが薄型・軽量化したとはいえ、ハイアマチュア向けモデルらしく、ボディ全体にはしっかりとシーリング処理が施されており、防塵・防滴性能はしっかりと確保されている。
シーリングをしっかりと施し、防塵・防滴を実現している
また、ボディまわりの部分でいうと、D7500では背面液晶もアップデートされた。具体的には、3.2型の大型液晶モニターは、タッチパネル式となり、2軸チルト機構も新たに用意された。通常、チルト機構が追加されると、可動用のヒンジや液晶の耐久性をするために厚みが増す傾向があるのだが、D7500は厚みを抑えたままこの機構を実現したという。
タッチパネル方式になった背面液晶モニター。タッチAFやタッチシャッターなども操作可能だ
なお、D7500では、本体の薄型・軽量化にともない、従来モデルからいくつかの機能が削減されている。そのなかのひとつが、SDメモリーカードスロット。従来モデルでは2スロットタイプのものが搭載されていたが、今回のD7500から1スロットタイプに変更されている。
本体右側面に設けられているSDメモリーカードスロットは1スロットタイプに変更された
もうひとつが、これまでオプションで用意されていたマルチパワーバッテリーパックの廃止だ。本体が小型化され、本体だけでも秒間8コマを記録できるようになった点などを校了し、慎重に検討した結果廃止となったという。バッテリーの拡張ができなくなった点はやや残念ではあるが、ボディの小型化を考えれば致し方ないところではある。なお、本体のバッテリーについては、従来型の「EN-EL15」と新型の「EN-EL15a」が対応バッテリーとしてアナウンスされており、本体には新型タイプが同梱される。
付属の「Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL15a」。1回の充電で静止画を最大約950コマ(1コマ撮影モード時)、動画を約80分撮影できる
ファインダーはペンタプリズム方式で、視野率は約100%、倍率は約0.94倍。スペック的には従来モデルから変化はないが、ボディデザインの変更に合わせて、パーツがリニューアルされており、D500のファインダーに近い色見にチューニングされているということだ。
ボディの変更に合わせてリニューアルされたファインダーにも注目だ
今回発表されたD7500は、ラインアップとして、ボディ単体のほかに、標準ズームレンズ「AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR」を付属した「D7500 18-140 VR レンズキット」が用意される。いずれも、発売は6月予定。市場想定価格は、ボディ単体が約16万円前後、D7500 18-140 VR レンズキットが20万円前後とアナウンスされている。
D7500 18-140 VR レンズキット
なお、「D7500」の発売を記念して、発売日から8月31日にかけて、「D7500発売記念 プレゼントキャンペーン」と銘打ったキャンぺーンが実施される。こちらのキャンペーンでは、ニコンオリジナルのカメラバッグやクリーニングキットが進呈されるという。
期間限定で「D7500発売記念 プレゼントキャンペーン」も実施される
AV家電とガジェット系をメインに担当。ポータブルオーディオ沼にどっぷりと浸かっており、家のイヤホン・ヘッドホンコレクションは100を超えました。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットも増えてます。家電製品総合アドバイザー資格所有。