20コマ/秒の高速連写や693点の像面位相差AFなどの高性能を実現

ソニーの新フラッグシップ「α9」誕生!キヤノンとニコンに真っ向勝負を挑む超高速ミラーレス

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ソニーは2017年4月21日、海外で先行発表されたプロフェッショナル向けの35mmフルサイズミラーレス「α9」を発表した。「α7シリーズ」の上位に位置する、Eマウントミラーレスの新しいフラッグシップモデルで、AF・AE追従で最高約20コマ/秒の連写性能など、静止画撮影においてミラーレスとして圧倒的な高速性を実現したのが最大の特徴だ。発売は5月26日で、市場想定価格は50万円前後(税別)。今年の新モデルの中でも特に話題を集める製品になりそうだ。メディア向けの製品体験会で開発中のα9に触れてわかった情報も交えながら特徴をレポートしよう。

α9のロゴの色はゴールドになっている

α9のロゴの色はゴールドになっている

世界初の35mmフルサイズExmor RSセンサーを採用し、AF・AE追従で20コマ/秒の高速連写を実現

α9は、α7シリーズの最上位機「α7R II」と比べて大幅な性能向上を実現した、非常に見どころの多いミラーレスだ。特に注目したいのが静止画撮影の高速性。電子シャッターにおいてAF・AE追従で最高約20コマ/秒(※シャッタースピードが1/125秒より速い場合に有効)という、キヤノンやニコンのフラッグシップ機を上回る連写性能を実現したのだ。

それを可能にしたのが、有効約2420万画素のメモリー内蔵積層型「Exmor RS」CMOSセンサーの採用。Exmor RSセンサーは、集光効率を高める裏面照射型技術はそのままに、画素領域と高速信号処理回路を別の層に配置する積層構造と、センサーからの出力信号を一時保管するDRAMチップ(メモリー)を搭載することで、従来よりも多くのデータを高速に処理できるのが特徴。これまで「サイバーショット DSC-RX100M5/M4」など1インチデジカメでは採用されていたが、35mmフルサイズとしてはα9が世界初の搭載となる(※ただし、α9はメモリー内蔵、サイバーショット DSC-RX100M5/M4などはメモリー一体で、同じExmor RSセンサーでも厳密には異なる構造になっているとのこと)。センサーのデータ処理速度は、通常のCMOSセンサーを採用する「α7 II」と比べて最大20倍に達するとのことだ。

しかも、Exmor RSセンサーによる高速処理化によって、電子シャッターでのAF・AE追従20コマ/秒の連写中でも60回/秒のハイレスポンスでAF・AE追従の演算が行われる。さらに、20コマ/秒時の連写でも、表示の遅れを抑えながら、ブラックアウトのないブラックアウトフリー連続撮影も実現。途切れることなく被写体を見ながらシャッターを切ることが可能だ。レリーズ時に画面の枠が点滅するように設定したり(表示方法は複数の設定が用意されている)、1コマ目のレリーズのタイミングで黒画面を挿入するようにできたりと、ブラックアウトがなくてもレリーズのタイミングがわかる工夫が施されている。

連写の持続性も高く、20コマ/秒連写時の連続撮影可能枚数はRAWが241コマ、JPEG(エクストラファイン)が362コマとなっている(UHS-IIカード使用時)。なお、ブラックアウトフリー撮影は電子シャッター時に有効で、絞り値がF11より大きいと被写体追従は行われず、フォーカス位置は1枚目に固定される。また、シャッター速度が1/125秒より遅くなると画面表示の更新が緩やかになり、シャッター速度が1/8秒より遅い場合は電子シャッターが使用できなくなる。

電子シャッターでの撮影はローリングシャッター歪みが気になるところだが、α9は、サイバーショット DSC-RX100M5/M4などと同様に「アンチディストーションシャッター」に対応。センサーの高速読み出しにより、すばやく動く被写体を撮影するときに発生する歪みを抑えて撮ることができるという。電子シャッター時は最速1/32000秒のシャッタースピードに対応。高速サイレントシャッターの利用が可能だ。

フラッシュの同調速度は1/250秒。α7シリーズと同様、同調はメカニカルシャッター時で、電子シャッター時はフラッシュを利用できない。外部フラッシュのアップデートなども必要になるため、現状では電子シャッター時のフラッシュ利用は想定していないとのことだ。なお、メカニカルシャッター時の連写速度は、α7R IIと同じく最高約5コマ/秒となっている。

有効約2420万画素の35mmフルサイズExmor RSセンサーを採用

有効約2420万画素の35mmフルサイズExmor RSセンサーを採用

693点の像面位相差AFを配置する新開発AFシステムやボディ内5軸手ブレ補正を搭載

オートフォーカス(AF)システムは、693点の像面位相差AFが画面の93%をカバーする新開発の「ファストハイブリッドAF」を搭載。ソニー独自の「4D FOCUS」に対応し、画面のほぼ全域を使って高速・高精度に動体を追従撮影できるとしている。AF速度はα7R IIより25%速くなったという。「瞳AF」も強化され、α7R IIと比べて検出精度が30%向上。低輝度限界はEV-3に性能が向上した(α7R IIはEV-2)。AF被写体追従感度の設定が追加されており、感度を5段階から選べる。マウントアダプター「LA-EA3」を使用してAマウントレンズを使う場合は、SSMもしくはSAMレンズにおいて693点の像面位相差AFの利用が可能で、AF追従で最高10コマ/秒の連写が行える。

さらに、α7シリーズの第2世代モデルと同様、5軸対応のボディ内手ブレ補正も搭載。補正効果は最大5.0段分相当に向上している。

画像処理エンジンは「BIONZ X」で、感度は、メカニカルシャッター時でISO100〜51200(拡張でISO50〜204800相当)、電子シャッター時でISO100〜25600(拡張でISO50相当)に対応。動画撮影時はISO100〜51200相当(拡張でISO102400相当)。新開発の画像処理アルゴリズムによって、全感度域で自然なディテールを保ちながらノイズを抑えるようになっているという。14bit RAW記録に対応し、新たに、電子シャッターのシングルシャッター撮影時に14bit RAW記録が可能になった。

動画撮影は、フルサイズ領域での全画素読み出しによる4K/30p(ビットレート100Mbps)記録に対応。4K/24p記録時は、4Kに必要な画素数の約2.4倍の情報量(6K相当)を使ってオーバーサンプリングで出力する(※4K/30p記録時は約1.6倍)。撮影フレームレートを1fpsから120fpsまでの8段階から選択して、最大60倍までのクイックモーション動画と最大5倍までのスローモーション動画をフルHDで記録できる「スロー&クイックモーション」にも対応している。

α7R IIと同等のコンパクトボディにタッチパネル対応モニターを装備。バッテリー容量は約2.2倍向上

デザインはα7シリーズの第2世代モデルに近いイメージで、サイズ・重量もα7R IIとほとんど変わらない

デザインはα7シリーズの第2世代モデルに近いイメージで、サイズ・重量もα7R IIとほとんど変わらない

ボディのデザインはα7シリーズの第2世代モデルを踏襲しているようで、サイズは126.9(幅)×95.6(高さ)×63.0(奥行)mm、重量は673g(バッテリー、メモリーカード含む)となっている。α7R II(幅126.9×高さ95.7×奥60.3mm、重量約625g)とほぼ変わらないサイズ感のコンパクトボディだ。マグネシウム合金ボディで剛性を確保しているほか、各所にシーリングを施すことで防塵・防滴に配慮した設計になっている。

操作性では、タッチパネルに対応する3.0型チルト式液晶モニター(約144万ドット)を採用。上面左側にドライブモードダイヤルとフォーカスモードダイヤルを装備するほか、背面に、AF測距点を選択できるマルチセレクタージョイスティックとAF-ONボタンを搭載する。

電子ビューファインダーは、約368.6万ドット(Quad-VGA)に解像度が向上した、倍率0.78倍の有機ELファインダーを採用。表示フレームレートは高速時(初期設定)で120fps、標準時で60fpsに対応。高速時の連続撮影中はフレームレートが60fpsに落ちるようになっている。

対応するバッテリーは新開発の「NP-FZ100」。α7シリーズなどで採用されている従来のWバッテリー「NP-FW50」と比べて容量が2.2倍増えている。撮影可能枚数は電子ビューファインダー撮影時で約480枚、液晶モニター撮影時で約650枚。

カードスロットはスロット1とスロット2のダブルスロット仕様。スロット1はUHS-II対応のSDメモリーカード、スロット2はUHS-I対応のSDメモリーカード/メモリースティックDuoの利用が可能だ。

このほか、Wi-FiやBluetooth機能に加えて、有線LAN端子を搭載。有線LAN端子はFTPサーバーへの画像データの転送に利用することが可能。FTPSをサポートしており、セキュアにデータを転送することができる。シンクロ端子を搭載するのもα7シリーズにないところだ。

別売のアクセサリーとして、USB給電に対応する縦位置グリップ「VG-C3EM」、マルチバッテリーアダプターキット「NPA-MQZ1K」、エクステンショングリップ「GP-X1EM」などが用意されている。

上面左側にドライブモードダイヤルとフォーカスモードダイヤルが追加された

上面左側にドライブモードダイヤルとフォーカスモードダイヤルが追加された

背面にマルチセレクタージョイスティックとAF-ONボタンを装備。電子ビューファインダーは約368.6万ドットに高解像度化した

右側面にデュアルカードスロットを装備。スロット1はUHS-IIに対応している

右側面にデュアルカードスロットを装備。スロット1はUHS-IIに対応している

左側面。こちらに有線LAN端子とシンクロ端子を装備する

左側面。こちらに有線LAN端子とシンクロ端子を装備する

α9と同時に、「Gマスター」ブランドの望遠ズームレンズ「FE100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」も発表されている

α9と同時に、「Gマスター」ブランドの望遠ズームレンズ「FE100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」も発表されている

まとめ

α9は、Eマウントミラーレスの新しいフラッグシップとして、期待や想像を超えるスペックを実現した。Exmor RSセンサーの搭載によって20コマ/秒の高速連写が可能なのと、像面位相差AFセンサーをほぼ画面全体に配置してAF性能を強化したのを見ると、スポーツフォトグラファーや報道カメラマンが使用するプロフェッショナル用カメラとして開発されていることがわかる。この市場を2分するキヤノンとニコンのフラッグシップ一眼レフと真っ向から勝負する新世代のミラーレスだ。

プロ用のカメラシステムとしてキヤノン、ニコンと比べると、Eマウントミラーレスは超望遠レンズのラインアップがまだまだ足りない状況だが、α9のスペックはキヤノン、ニコンのフラッグシップ機に引けを取らない。4K/60p記録に対応していないのは少々残念なところではあるものの、ミラーレスだからこそ実現できた圧倒的な高速性など、キヤノン、ニコンを上回っているところもある。

ついにミラーレスでもキヤノンとニコンに肩を並べるフラッグシップ機が登場するわけだが、今後は、実際のAF速度・追従性や、電子ビューファインダーの視認性・追従性、ボディの堅牢性など、プロ用としての信頼性がどのくらいのレベルなのかが注目点になる。カメラ製品は2017年に入って注目度の高い新モデルのリリースが少ない状況ということもあり、しばらくはα9の話題でもちきりになりそうだ。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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2017.6.23 更新
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