高画質で定評のある高画素ミラーレスの第3世代

画質に加えて高速性も大幅進化! ソニー「α7R III」登場

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2017年10月25日、ソニーから35mmフルサイズ対応のEマウントミラーレス「α7シリーズ」の新モデル「α7R III」が発表された。従来モデルの「α7R II」は、約4240万画素の高画素ながら、広ダイナミックレンジで低ノイズな撮影が可能な高画質モデルとして非常に高い評価を受けている。その後継モデルとなるα7R IIIは、定評のある画質に磨きをかけただけでなく、連写やオートフォーカス(AF)の性能も大きく向上。非常に見どころの多い高性能ミラーレスに進化を遂げている。その特徴を見ていこう。

α7R III(レンズはFE 24-70mm F2.8 GM)は、トップカバー、フロントカバー、内部フレーム、リヤカバーにマグネシウム合金を採用。マウント部は「α9」と同様に6本の固定用のねじを使用した、より高剛性なマウントになっている。防塵・防滴に配慮した設定も採用

画像処理システムが進化し、さらなる高画質を実現。ピクセルシフトマルチ撮影に新対応

α7R IIIは、撮像素子にα7R IIと同じ画素数となる約4240万画素の35mmフルサイズ裏面照射型Exmor R CMOSセンサーを採用。画像処理エンジンは「BIONZ X」で、高速なフロントエンドLSIも搭載する。撮像素子のスペックは従来と変わらないが、画像処理システムが進化することで、低感度時に約15段分の広いダイナミックレンジを実現。さらに、ディテールリプロダクション技術やエリア分割ノイズリダクションも進化し、中感度域において約1段分ノイズを低減しているという。感度は常用でISO100〜32000、拡張で下限ISO50、上限ISO102400に対応。従来モデルと比べると常用感度の上限がISO25600からISO32000に向上した。

RAW記録は14bitの圧縮/非圧縮RAWに対応。フロントエンドLSIとBIONZ Xのシステム内で一度16bit処理してからRAWに14bit出力する。新たに、サイレント撮影時にも14bit RAW出力が可能になったほか、非圧縮RAWであれば連続撮影時にも14bit出力が行える。

撮影機能では、有効約4240万のすべての画素で画素補間なくRGBの全色情報が得られるピクセルシフトマルチ撮影という新機能を搭載。この機能は撮像素子を1画素分ずつずらして計4枚の画像を撮影し、それらの画像を新しいPC用ソフト「Imaging Edge」で合成・現像を行うというもの。通常の1枚撮影のように周辺画素の情報から2色を補間処理することがないため、色モアレを抑え、より高精細で忠実な質感描写の画像を得ることが可能だ。なお、ピクセルシフトマルチ撮影はサイレント撮影で行われ、4枚の画像は非圧縮RAWで記録される。

このほか、従来はファインで固定されていたRAW+JPEG記録時のJPEG画質が、エクストラファイン、ファイン、スタンダードから選択できるようになった。

ピクセルシフトマルチ撮影の撮影時のイメージ図

ピクセルシフトマルチ撮影の撮影時のイメージ図

ピクセルシフトマルチ撮影の設定画面。撮影間隔を設定できる

ピクセルシフトマルチ撮影の設定画面。撮影間隔を設定できる

RAW+JPEG記録時にエクストラファインを選択できるようになった

RAW+JPEG記録時にエクストラファインを選択できるようになった

メカ・電子シャッターの両方で最高約10コマ/秒の連写が可能。AFも進化

連写性能も向上しており、AF・AE追従で最高約10コマ/秒に対応。従来モデルでは最高約5コマ/秒だったので大幅な向上だ。大きなポイントとなるのは、メカシャッターだけでなく電子シャッターでもこのコマ速を達成していること。サイレント撮影時にも最高約10コマ/秒連写が可能となっている。なお、アンチディストーションシャッターには非対応で、撮像素子の読み出し速度も従来と変わらないとのこと。連続撮影可能枚数はJPEG(画質モードによらず)、RAW(圧縮)、RAW(圧縮)+JPEG時で約76枚。非圧縮RAW時は28枚。

シャッターユニットには、新開発のシャッターチャージユニットを搭載した、低振動かつ高耐久(約50万回のレリーズ耐久)なものを採用。シャッタースピードは最速1/8000秒に対応する。フリッカーを検知して影響が少ないタイミングで静止画を撮影するフリッカーレス撮影にも対応している。

連写時の使い勝手としては、メモリーカードへのデータ書き込み中の操作性が向上。カードへの書き込み中でも、Fnメニューの操作や再生画面へのアクセスが可能なうえ、メニュー画面へのアクセスと設定変更が可能になった。

AFシステムは、位相差AFとコントラストAFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」に対応。従来モデルと同様に399点の像面位相差AFセンサーが高密度に配置されているほか、コントラストAFのエリア数が従来の25点から425点に増加。従来モデル比で低照度時のAF速度が最大2倍に向上しているという。AF-S時のAF検出輝度も下限値がEV-2からEV-3にスペックがアップした。さらに、「α9」に搭載されている動体予測アルゴリズムを搭載することで、動体追従性能も従来比で最大2倍向上したとのこと。瞳AFの検出精度・速度も進化しており、従来モデル比で追従性能が約2倍向上。Aマウントレンズ装着時の像面位相差AFや瞳AFの利用にも対応した。

AF関連の機能・操作性も大きく改善されている。α9と同様、フォーカス枠をダイレクトに移動できるマルチセレクターを装備。加えて、タッチパネル対応の3.0型チルト液晶モニター(144万ドット)を採用しており、タッチフォーカスやタッチパッド(ファインダーを覗きながら親指のタッチ操作でフォーカス枠を移動できる)といった機能も利用できる。背面にAF-ONボタンも備わっている。

背面にマルチセレクターやAF-ONボタンが新設された

背面にマルチセレクターやAF-ONボタンが新設された

このほか、ピント拡大中のAFが可能になったほか、AF追従感度の設定(5段階)にも対応。α9に搭載された、フォーカス枠をあらかじめ登録した位置に一時的に移動できるフォーカスエリア登録や、登録した撮影設定値を一時的に呼び出せる押す間カスタム設定といった機能も利用できる。ピーキング機能は検出精度が向上した。

4K/30pの動画撮影に対応。プロフェッショナル向けの機能も充実

動画撮影は、XAVC Sフォーマットでの4K(3840×2160)/30p記録に対応。ビットレートは最高100Mbps。フルサイズ画角での4K記録に対応するほか、スーパー35mmフォーマット(APS-C 16:9相当)選択時は、画素加算のない全画素読み出しでの高画質な4K記録が可能だ。スーパー35mmフォーマット時は、4K映像に必要な画素数の約1.8倍(5168×2912)の情報を使って4Kに出力する。従来モデルと比べると、画像処理システムの進化により、フルサイズ画角での4K記録時の中高感度画質が向上しているとのことだ。

撮影フレームレートを1fpsから120fpsまでの8段階から選択して、最大5倍までのスローモーション動画と最大60倍までのクイックモーション動画をフルHDで記録できるスロー&クイックモーションにも対応している。

プロフェッショナル向けの動画撮影機能も充実の内容で、ピクチャープロファイルでは、HDR対応のHLG(Hybrid Log-Gamma)を搭載。S-Log2に加えて、14ストップの広ダイナミックレンジを実現するS-Log3も搭載している。色域には、S-Gamutから色再現性を改善したS-Gamut3、フィルム撮影のネガフィルムをスキャンしたものに近づけて設計したS-Gamut3.Cineに新たに対応した。

このほか、4K動画と低解像度のProxy動画の同時記録に対応。ゼブラ機能はゼブラ表示の細かい調整が可能になり、従来よりも露出合わせがやりやすくなった。動画から静止画の切り出しにも対応する。

ダブルカードスロットを採用。細かい操作性も改善

メモリーカードスロットは、UHS-II対応のSDカードスロットと、SD/メモリースティックカードスロットのダブルスロットを採用。記録メディアの自動切り替えに対応するほか、静止画の振り分け記録がJPEG/RAWだけでなくRAW/JPEGも選べるようになった(※左が優先記録メディアに記録される)。

UHS-II対応のSDカードスロットを含むダブルスロットを採用

UHS-II対応のSDカードスロットを含むダブルスロットを採用

電子ビューファインダーは、α9と同じく、約369万ドットの「Quad-VGA OLED Tru-Finder」を採用。従来モデルと比べて最大輝度が2倍となったほか、約30%の高速化も達成。120fpsの高速表示にも対応している。

ボディ内5軸手ブレ補正は、手ブレ補正ユニットとジャイロセンサーを新たに開発し、補正効果が最高4.5段から最高5.5段に向上している。

対応バッテリーはα9と同じ大容量の「NP-FZ100」。撮影可能枚数はファインダー使用時で約530枚となっている。

大容量バッテリーNP-FZ100に対応

大容量バッテリーNP-FZ100に対応

インターフェイスでは新たにUSB 3.1 Gen1対応のUSB Type-C端子を搭載。マルチ/マイクロUSB端子も備わっており、どちらの端子でもモバイルバッテリーなどからの給電が行える。αシリーズとしては初めて、USB Type-C端子で給電もしくはPCリモート撮影中でも、リモコンなどのマルチ/マイクロUSB対応アクセサリーを同時に使用できるようになった。

細かい操作性では、メニュー項目を最大30個まで登録しておけるマイメニュー登録機能を搭載。カスタムボタンへの機能割り当ては、静止画撮影時、動画撮影時、再生時に分けて登録できるようになった。また、ゼブラ設定やピーキング設定など一部の切り替え機能については、カスタムキーを押すだけで直接設定値を変更することが可能。ボタン・ダイヤルの設定では、前ダイヤルと後ダイヤルの回転方向の変更が可能になったほか、シャッターボタンを使って動画撮影の開始・停止を行うように設定を変更することもできる。DISPボタンの操作でモニターの消灯を選択することも可能だ。

カスタムボタンの機能割り当ては静止画撮影時、動画撮影時、再生時に分けて行える

カスタムボタンの機能割り当ては静止画撮影時、動画撮影時、再生時に分けて行える

再生機能では、カメラ本体で撮影した静止画に5段階でレーティングを加えることが可能。カスタムキーを使って再生画面上でプロテクトを行うこともできる。連写グループ表示やファイル名設定(撮影する静止画のファイル名の先頭3文字を変更できる)とった機能も追加されている。

PCリモート撮影では、カメラ本体側にも静止画の保存が可能に。RAW+JPEG時はPC側にJPEGのみを転送する設定も追加された。フラッシュ連携では、スタジオ用の大型フラッシュなどとのシンクロケーブルでの接続が可能なシンクロ端子が追加。フラッシュ撮影時のレリーズタイムラグが短縮されたほか、最高約10コマ/秒時のフラッシュ発光連写にも対応。ワイヤレスフラッシュ時も後幕シンクロやスローシンクロの選択が可能となった。

また、前述のImaging Edgeは、PCリモート撮影からRAW現像、画像表示までのワークフロー全体をサポートするソフトになるとのことだ。

タッチパネル対応の3.0型チルト液晶モニター(144万ドット)を採用

タッチパネル対応の3.0型チルト液晶モニター(144万ドット)を採用

まとめ

従来モデルのα7R IIは素性のいいRAW画像が得られる高画素・高画質なミラーレスとして、画質にこだわるハイアマチュア層から高い支持を得ているカメラだ。新モデルのα7R IIIは、α7R IIの画質性能を向上させただけでなく、メカ/電子シャッターの両方で最高約10コマ/秒の高速連写を実現したのが大きなポイント。AFについても従来から改善が図られているうえ、フラッグシップモデルのα9に採用された機能や操作性も引き継いでおり、よりオールマイティーに使える高画素ミラーレスに進化を遂げている。特に、従来モデルのユーザーにとっては、望んでいた機能を詰め込んだ大注目のニューモデルと言えるだろう。

ボディの市場想定価格は37万円前後(税別)。発売は11月25日が予定されている。有効約4240万画素の高画質撮影が可能なうえ、高速性が大幅に向上したことを考慮すると、フルサイズ機としてけっして高すぎる製品ではない。

なお、ソニーは、α7R IIIにあわせて、開放F4通しの小型・軽量な標準ズームレンズ「FE 24-105mm F4 G OSS」も発表。焦点距離400mm・開放F2.8のGマスターブランドの大口径超望遠レンズを2018年夏に商品化することも発表している。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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2017.11.17 更新
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