カメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+2019」が2019年2月28日に開幕した。ここでは「カメラボディ編」として、会場に展示されていた最新カメラの中から特に注目度の高いものをピックアップして紹介しよう。
2019年3月1日に「レンズ編」を公開しました。こちらもあわせてご覧ください。
キヤノンのブースで最も多くの人を集めていた「EOS RP」
今年のCP+の展示の中で特に注目を集めているのが、キヤノンが3月14日に発売する「EOS RP」だ。「EOS R」に続く、同社第2弾となるフルサイズミラーレスで、ボディ単体で160,500円(税別、キヤノンオンラインショップでの販売価格)という低価格を実現したのが大きな魅力だ。
しかも、重量は約485g(バッテリー、メモリーカードを含む)というフルサイズミラーレス最軽量級の小型・軽量ボディを実現。ハイエンドモデルと比べるとEVFやシャッター性能、連写性能などで見劣りするところはあるが、EOS Rと同等となる世界最速0.05秒AFを実現するなど基本性能は高い。CP+のブースで実機を試したところ、何よりボディが軽いのがよく、AFもスピーディーで軽快に撮影できるフルサイズ機だと感じた。APS-C一眼レフ/ミラーレスからのステップアップに最適というだけでなく、サブ機としても人気を集めるモデルになりそうだ。
EOS RPは、サーボAF対応の「瞳AF」も搭載。なお、EOS Rでも、ファームウェアアップデートによって瞳AFがサーボAF対応になる予定だ
高性能なフルサイズミラーレスとして話題のLUMIX S1
EOS RPと並んで来場者から注目を集めていたのが、3月23日に発売になるパナソニック初のフルサイズミラーレス「LUMIX S1R/S1」だ。ポートレート撮影ができるS1Rの実写ブースと、説明員とコミュニケーションを取りながらS1の実機に触れられるブースが用意されていたが、どちらも長蛇の列となっていた。
今回の取材では、あらためてS1に触れてみたが、EVFが非常に見やすく、各種ダイヤル・ボタン類の操作感も素晴らしい。現時点では、フルサイズミラーレスの中でもっとも操作感にすぐれるモデルのひとつと言っていいだろう。気になるのは、やはり撮影時の重量が1kgを超えること(S1Rは約1016g、S1は約1017g)。説明員によると「LUMIX GH5」などのマイクロフォーサーズ機の上位モデル並みのボディに収めることもできたが、4K/60p動画記録に対応するなど性能を追求すると、放熱の問題からどうしてもこのくらいの大きさ・重さのボディが必要になったとのこと。あわせて、高い信頼性や操作性を確保するためにも、このサイズ感のボディを選んだとのことで、性能にこだわったプロフェッショナル向けモデルとして開発されたことを強く感じた次第だ。
3.2型(約210万ドット)の3軸チルト式液晶モニターを採用する
使い勝手が大きく向上した最新のAF技術を搭載する「α6400」
ソニーは2月22日にAPS-Cミラーレスの新モデル「α6400」を発売した。「α6500」の下位に位置するエントリー向けとなっている。
この新モデルで注目したいのはAF。シャッターボタンの半押しと連動する「リアルタイム瞳AF」と、従来以上に高精度な追尾を実現する「リアルタイムトラッキング」を他モデルに先駆けて搭載している。ソニーのブースでは、動く人物を被写体にこれらの新機能を試すことができたが、特にリアルタイムトラッキングでの人物撮影に新しさを感じた。リアルタイムトラッキングで人物をロックオンすると、状況に合わせて顔認識やリアルタイム瞳AFが働き、ピント位置を顔や瞳にシームレスに切り替えてくれるのだ。これまでのロックオン機能とは異なり、状況に応じて最適なAFで被写体をとらえ続けてくれるのが便利なところ。エントリー向けではあるが、最新のAF技術を搭載しており、ポテンシャルの高いモデルだと感じた。
ソニーのブースでは、顔が動く本物そっくりの猫の置物を被写体に、動物瞳AFを試せるコーナーも用意されていた。この画像のとおり、横を向いた状態でも瞳をしっかりと認識した
縦位置グリップ一体構造を採用するプロ機「OM-D E-M1X」
2月22日に発売になった、オリンパスのプロフェッショナル向けミラーレス「OM-D E-M1X」も、ハイエンドユーザーから注目されているモデルだ。ミラーレスとしては初めて縦位置グリップ一体構造を採用しており、まさにプロ機という風貌の高性能カメラとなっている。
この新しいプロ機は画質や機能などで見どころが非常に多いが、CP+のオリンパスブースであらためて実機に触れてみて感じたのは、操作感が非常によいミラーレスだということ。横位置でも縦位置でも操作していて引っ掛かる感じになることがほとんどなく、とても快適に撮影を続けられる。グリップのホールド感もよく、重さを感じにくいボディに仕上がっているのも秀逸だ。これまでのOM-Dシリーズの基本的な操作性を継承しつつ、細かいところをブラッシュアップしているので既存のオリンパスユーザーも使い始めから違和感なく操作することができるはずだ。
なお、価格.comマガジンでは、OM-D E-M1Xの新機能を試したレビュー記事を公開しているので、あわせてご覧いただきたい。
1.25倍テレコンバーター内蔵の望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」(2020年発売予定)と、2倍のテレコンバーター「M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20」(2019年夏発売予定)のモックも展示されていた
富士フイルムの新モデル「X-T30」。今回初めて実機に触ったが、その印象は非常によかった
「X-T30」は3月20日に発売になる、富士フイルムのAPS-Cミラーレス。発表日がEOS RPやLUMIX S1R/S1と同日だったため陰に隠れてしまった感があるが、「ミニX-T3」と評したくなる、魅力的なスペックを持つニューモデルである。
性能面では、従来モデルと同重量となる約383g(バッテリー、 SDメモリーカード含む)の小型・軽量ボディに、X-T3と同じ有効約2610万画素のX-Trans CMOS 4センサーと画像処理エンジン「X-Processor 4」を搭載しているうえ、電子シャッター時で最高約20コマ/秒、1660万画素(1.25倍クロップ)では最高約30コマ/秒の高速連写が可能。深みのある色・階調の再現が可能な「カラークローム・エフェクト」に対応するなど、画質スペックはX-T3と変わらない。スペック上はAF性能も同等だ。さらに、フォーカスレバーを搭載するなど操作性も向上しており、小型・軽量ボディはそのままに、より本格的かつ高画質な撮影が可能なコンパクトモデルに進化を遂げている。実機に触れてみて気になったのは、従来モデルや「X-E3」と同様に、アイポイントが約17.5mmと短いため眼鏡をかけた状態だと周辺がどうしてもけられることくらいで、本当によくできた小型・軽量ミラーレスに仕上がっていると感じた。
3.0型(約104万ドット)のチルト式液晶モニターを採用。タッチパネルにも対応している
「GR II」から約4年ぶりに登場する新モデル「GR III」
CP+の開催に先駆けて、2019年春の発売が予定されていたリコーイメージングのハイエンドコンデジ「GR III」の発売日・価格が正式に決定した。3月15日発売で、価格は直販価格で121,500円(税込)となっている。GRシリーズとしては久しぶりの新モデルということで注目度は高く、展示ブースには多くの人が実機を手に取って試していた。
究極のスナップシューターを目指して主要デバイスを一新した、といううたい文句通り、性能は非常に高い。像面位相差AFによるハイブリッドAFを採用したことで、AFは従来モデルよりもキビキビと動作してくれる。また、約257g(バッテリー、SDメモリーカード含む)の小型・軽量ボディながら、ボディ内手ブレ補正を搭載しているのも特徴。屋内で遠景を撮ってみたが、1/4秒程度の遅いシャッタースピードでも十分に手ブレを抑えた写真を撮ることができた。画質面でも、アクセラレーターユニットを搭載し、高感度画質に自信を持っている。内蔵フラッシュが非搭載になったこと以外は従来モデルから大きく進化を遂げており、文句のつけようのないスナップシューターに仕上がっている印象を受けた。
ボディ内手ブレ補正を搭載しながら、旧「GR DIGITAL」シリーズに近いフィーリングの小型ボディを実現
富士フイルムは、1億200万画素の中判ミラーレス「GFX 100 MEGAPIXELS」を参考出品。ボディ内手ブレ補正や像面位相差AFを搭載する注目製品だ。2019年の発売を予定している
カールツァイスは、「Adobe Lightroom CC」を内蔵することで話題のフルサイズコンデジ「ZEISS ZX1」を国内で初めて展示。採用するレンズは開放F2/焦点距離35mmのDistagon。背面モニターにはデモ映像が表示されていた
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣を持つ。フォトグラファーとしても活動中。