交換レンズ図鑑
軽量な超広角ズームレンズと“大三元”標準ズームレンズが登場

ニコンの新レンズ「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」をいち早く試した!

凸レンズ先行型になり、小型・軽量化を実現
開放F2.8通しの標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」

Fマウント用とはレンズ構成が大幅に変更になったNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S。Zマウントレンズとしては初の“大三元レンズ”だ

NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sは、焦点距離24〜70mmの全域で開放F2.8の明るさを持つ高性能な標準ズームレンズ。サイズは約89mm(最大径)×126(全長)mmで重量は約805g。Fマウントの「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」と比べると、手ブレ補正の有無の違いがあるとはいえ、全長は30mm程度短くなり、重量は250g以上軽くなった。

小型・軽量化を図りながら光学性能は向上しており、MTFを見ると広角側、望遠側ともにFマウントを超える光学性能であることが読み取れる。S(放射方向)とM(同心円方向)も比較的そろっており、良質なボケ味にも期待できそうだ。これは、Zマウントシステムによって、他メーカーの開放F2.8標準ズームレンズと同じように、凸レンズが先行するレンズ構成に変更になったのが大きいのだろう。FマウントのAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRは凹レンズ先行型で、光学性能は申し分ないが、その分大きくて重いのがネックだった。NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sはその点を解消しつつ、光学性能にも妥協のないレンズに仕上がっている。

サイズは約89mm(最大径)×126(全長)mmで、重量は約805g。FマウントのAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRと比べて小型・軽量化を実現した。鏡筒の根元部とコントロールリングに金属切削加工を採用するなど、質感にもこだわっている。防塵・防滴に配慮した設計、フッ素コート、電磁絞り機構採用。フィルター径は82mm

レンズ構成はEDレンズ2枚、非球面レンズ4枚を含む15群17枚。AF駆動に、2つのフォーカス群の位置をミクロン単位で制御するマルチフォーカス方式を採用することで、特に近距離撮影時の軸上色収差の大幅な改善を実現した。色収差補正効果が高い2枚のEDレンズも効果も相まって、近距離から無限遠まで撮影距離を問わずに、色付きが少なく、高い結像性能を発揮するという。さらに、反射防止コーティングに、従来の「ナノクリスタルコート」に加えて、垂直に入射する光に対して高い効果を発揮する新開発の「アルネオコート」を採用したのもポイントだ。最短撮影距離はズーム全域で0.38mを実現している。

操作性にも新しい要素がある。コントロールリングがフォーカス操作も兼ねる開放F4通しの標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」とは異なり、コントロールリングに加えてフォーカスリングも搭載。コントロールリングは絞り値/露出補正のどちらかを割り当てられるようになっている。さらに、絞り値や撮影距離などを確認できる表示パネルをNIKKORレンズで初めて採用するのも特徴。「Z 7」「Z 6」ボディのFn1/Fn2ボタンと同等の機能を割り当てられるL-Fnボタンも装備し、従来以上にレンズ側で多彩な操作が可能になっている。

カメラボディ側からコントロールリング、表示パネル、ズームリング、フォーカスリングを配置。側面にはL-Fnボタンが備わっている

表示パネルは絞り値(左上)、撮影距離・被写体深度(右上)、焦点距離(左下)の表示が可能。表示の切り替えは専用のDISP.ボタンで行う。カメラ起動時は「NIKKOR」の文字が表示される(右下)。また、フォーカスモードを切り替え時は一瞬、AFもしくはMFと表示される

DISP.ボタンを長押しすることで、撮影距離の表示の切り替え(メートルとフィート)、または表示パネルの明るさ調整を呼び出せる

反射光の低減に効果のあるフロック加工が施された、専用のバヨネットフード「HB-87」が同梱

反射光の低減に効果のあるフロック加工が施された、専用のバヨネットフード「HB-87」が同梱

NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S実写作例

※以下に掲載する作例は、Z 6とNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sを組み合わせてJPEG形式の最高画質で撮影したもの(JPEG撮って出し)になります。

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、24mm、F8、1/500秒、ISO100、WB:オート1(雰囲気を残す)、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(4024×6048、12.2MB)

晴天下で絞りをF8まで絞って撮影。広角端で撮っているが画面全域で非常に高い解像感と、クリアで抜けのよい描写が得られた。

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、24mm、F11、1/1250秒、ISO100、WB:オート1(雰囲気を残す)、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:標準、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(6048×4024、14.5MB)

広角端での逆光耐性をテストした1枚。新開発のアルネオコート採用で期待値は高いが、太陽のような強い光源に対してゴースト・フレアを完全に抑制できるわけではなかった。この作例のように画面中央付近であればゴースト・フレアの発生率は低いが(それでもこの作例ではわずかにゴーストが出ている)、周辺に光源を置くと、嫌な出方ではないがゴーストは出る。標準ズームレンズとしては優秀だが、高性能な広角・単焦点レンズほどの逆光耐性ではないと思う。アルネオコートによって、逆光でもクリアで抜けのよい描写が得られるのは大きなポイントだ。

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、24mm、F2.8、1/40秒、ISO100、WB:オート1(雰囲気を残す)、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(4024×6048、8.99MB)

薄暗い屋内で撮影。光が少ない状況で、広角端の絞り開放で撮っているがピント位置ではシャープな描写が得られた。ただし、さすがに開放で最短撮影距離付近まで被写体に近づくとやや解像感が落ちるようだ。この作例では最短撮影距離から3cm程離れて撮っている。

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、70mm、F2.8、1/30秒、ISO400、WB:オート1(雰囲気を残す)、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(4024×6048、9.68MB)

こちらは望遠端の開放にして最短撮影距離で撮影。ガラス越しにグラスを撮っている。開放での最短撮影距離のためややシャープさに欠けるところがあるが、ピントの前後で色付きはまったく見られない。

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、70mm、F2.8、1/1250秒、ISO500、WB:オート1(雰囲気を残す)、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:しない、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(6048×4024、11.3MB)

絞り開放にしてシャッタースピードを上げて、噴水の水の動きを止めて撮影してみた。夕陽が当たる部分にピントを合わせている。色収差が出やすい被写体だが、ピント位置でもピントが外れたところでも色付きは発生していない。色収差に関しては徹底的に抑えられているレンズだ。

Z 6、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、24mm、F2.8、1/10秒、ISO100、WB:晴天、ピクチャーコントロール:オート、アクティブD-ライティング:標準、ヴィネットコントロール:標準、回折補正:する、自動ゆがみ補正:する、JPEG
撮影写真(6048×4024、11.3MB)

開放での点光源の再現性をチェックした作例。遠景を撮影しているが、ピントは比較的手前の位置(観覧車の左下部分)に合わせている。右下でピント位置のずれによって流れるような描写になっている個所もあるが、全体的に色収差が抑えられており、点光源の再現性は高い。詳細は以下の切り出し画像をご覧いただきたい。

中央部 周辺部(右下) 周辺部(左下)

まとめ

今回レビューした新しいZマウントレンズ2本に共通している特徴は、光学性能の向上と小型・軽量化を両立していること。ズームレンズとしては絞り開放から軸上色収差がほぼ完ぺきに抑えられているうえ、周辺部の倍率色収差もほとんど見られない。ズーム全域で開放から高い描写力を発揮するという触れ込みも大げさではない。解像力の高さもさることながら、開放からコントラストが高いのが特に印象に残った。さすがに最短撮影距離付近での開放では若干ソフトになるが、高性能な単焦点レンズに匹敵する描写性能だと思う。他のZマウントレンズでも同様だが、それほど絞らなくても周辺までクオリティの高い画質が得られるのが新しいところで、内径55mm/フランジバック16mmのZ マウントシステムによってレンズ設計の自由度が向上したことを実感できるレンズである。

NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sは、約485gの軽量な鏡筒で持ち運びやすいのがいい。絞り開放はF4に抑えられているものの、開放から安定した描写力が得られる。また、焦点距離14mmからの超広角ズームレンズでありながら、レンズ先端にフィルターを装着できるのもポイント。PLフィルターやNDフィルターなどを活用できるので、風景撮影にもってこいのレンズとなっている。希望小売価格(税別)は169,500円。決して安い製品ではないが、写りのよさを考慮するとコストパフォーマンスは悪くない。

NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sは、開放F2.8通しの標準ズームレンズで、ユーザーからの期待値が高いレンズ。ボケが若干硬くなるときもあったが、開放から色収差がほとんど見られず、Zマウントシステムの光学性能の高さを感じるレンズとなっている。マウントアダプターを使ってFマウントのAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRを活用するのもいいが、従来を超える光学性能で高画質な撮影ができるのがZシリーズのよさ。ぜひ、この高性能な標準ズームレンズを手に入れて、そのポテンシャルを余すことなく楽しんでほしい。希望小売価格(税別)は305,500円と少々高いが、その価値は十分にある。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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