レビュー
カメラマンの吉村永氏が徹底チェック

富士フイルム「GFX100」レビュー、1億画素のカメラでどんな写真が撮影できるのか?

「有効約1億200万画素」という超高画素の撮像素子を搭載する富士フイルムのミラーレスカメラ「GFX100」。1億画素で一体どんな写真を撮影できるのか、カメラマンの吉村永氏にレビューしてもらった。

2019年6月28日に発売された富士フイルムのGFX100。価格.com最安価格は100万円オーバーの1,190,700円(2019年7月23日時点)

フルサイズより面積が1.7倍大きい中判フォーマットを採用

高画素のデジタルカメラに驚くことも少なくなったが、この「GFX100」は民生用としては画期的と言える“1億画素越え”を初めて実現した民生用デジタルカメラである。

センサーサイズは43.7×32.8mmのいわゆる「中判フォーマット」(富士フイルムでは「ラージフォーマット」と呼称)と呼ばれるものを採用。これは多くのカメラメーカーが最上位のフォーマットとして採用している「35mm判フルサイズ」の面積比にして1.7倍となる大きなものだ。

手にしたGFX100は、ある意味で拍子抜けしてしまうほどに「普通」のカメラ。確かに大きなボディなのだが、キヤノン「EOS-1D X Mark II」やニコン「D5」といった、プロ向けフルサイズの縦位置グリップ一体型一眼レフとボディのボリューム感はさほど変わらない。

左がGFX100、右がEOS-1D X Mark II

左がGFX100、右がEOS-1D X Mark II

握ってみると、グリップ感は上述のフルサイズ一眼レフ達とはちょっと印象が違う。本体部分が薄いためにギュッと絞り込むように深く握れる一眼レフに比べ、GFX100はボディの厚みがあり、グリップがちょっとだけ浅い印象。だが組み合わせるレンズが大きいことも手伝い、両手での撮影時のホールディング性は良好だ。

浅めのグリップ

浅めのグリップ

ミラーレスの最上位システムカメラということもあってEVFは取り外し式。外したままの撮影も可能だが、それよりも別売りのチルトアダプター「EVF-TL1」を装着し、跳ね上げ式とした上でウエストレベルファインダーとして使うような用途を想定したものだろう。そしてこのEVFの美しさが特筆もの。約576万ドットの有機ELパネルは、発色の鮮やかさやジャギーをほとんど感じさせない解像感の高さはもちろんのこと、接眼光学レンズもしっかりした設計で画面周辺部まで歪みやにじみの少ない像を見せてくれる。個人的には現行のすべてのスチルカメラのEVFでナンバーワンと言い切れる見え味のよさだ。

ボディカラーは珍しいツートン調で、上下カバー部分がちょっと青みを帯びたガンメタル風の塗装になっている。同社の「X-T3」などで人気カラーとなっている「グラファイトシルバー」の雰囲気を踏襲したかったのか、大きめのカメラを少しでも軽快に見せるための工夫なのだろうか。

取り外し式のEVF

取り外し式のEVF

3.2型(約236万ドット)液晶モニターは、上90°、下45°、右60°に可動する3方向チルト式

3.2型(約236万ドット)液晶モニターは、上90°、下45°、右60°に可動する3方向チルト式

操作系はクラシックなスタイルから一新

操作系は一新されている。富士フイルムのデジタルカメラといえば、クラシックな佇まいとともに数値を刻印したダイヤル(便宜的に以下「メカニカルダイヤル」と称する)を多用したものだったが、この機種ではボディ前後に設けられた電子ダイヤル中心の操作に改められた。もちろん、GFX用のレンズにはメカニカルの絞りリングが採用されていて、これによって絞り操作は左手で行うことが可能だが、絞りリングを「C」の位置に固定すればカメラ本体電子ダイヤルでの操作にすることが可能となっている。

とても評判の高かったメカニカルダイヤルの操作系をあえて電子ダイヤル系に変えてきた理由だが、これは富士フイルムがGFX100をスピーディーな操作性が求められる現場に対応させようと考えたためだと感じられる。

メカニカルダイヤルはファインダーを覗きながら指一本でスピーディーにパラメーターを変更するには操作しづらく、シャッター速度などは超高速から超低速までを1/3EVといった細かい単位で変更させるには物理的に無理がある。これが電子ダイヤルならばスピーディーに行えるというわけだ。また、主に業務用途でのPCにつないでのテザー撮影時、絞りやシャッター速度などはカメラ本体ではなく、PCからの操作で撮影する場面も多い。そういったとき、実際の値とメカニカルダイヤルの位置不整合を考えても電子ダイヤルには大きなメリットがある。

さらに、個人的に気に入ったのは、この電子ダイヤルがローラープッシュ式で、押し込み操作にも対応していること。自分の使い方では背面ダイヤルでシャッター速度を、前面ダイヤルで絞り/ワンプッシュするとISO感度が設定でき、ファインダーから目を離すことなく露出関係の設定がすべてスピーディーに行える点が便利だった。ただ、このダイヤルの操作感は節度感が少なくて、あまりにもたやすくカラカラと回ってしまう。カメラの品位に合わせたしっとりとした回し心地を追求してほしかったところだ。

メカニカルダイヤル派からは、「電源オフ時にでも設定が視認できるのが好ましい」という意見をよく聞く。これに関してGFX100は上面ディスプレイが電源オフ時でも常時点灯していて、ここに各種設定が表示され続けるので心配はいらない。さらに、この情報ディスプレイは表示の切り替えで、メカニカルダイヤルを模したグラフィックの表示にも切り替えられる。

天面の1.80型白黒サブ液晶モニター。電源オフ時でも常時黒地に白で点灯しており、暗い場所では「サブ液晶モニター照明ボタン」を押すと、白地に黒表示で光る

クラシックなスタイルが好みのユーザーにはダイヤルを模した「バーチャルダイヤルモード」が用意されている

クラシックなスタイルが好みのユーザーにはダイヤルを模した「バーチャルダイヤルモード」が用意されている

ヒストグラムを表示することも可能

ヒストグラムを表示することも可能

歯切れのよいシャッター音、中判としてはキレのよさが光る!

撮影を始めて、まず気がついたのはストレスを感じさせない動作速度。これまでのGFXはGFX50S/GFX50RともにAFによるピント合わせにちょっと時間がかかり、しかも一度ピントが合ってからピントが揺り戻されるような、コントラスト方式独特の挙動でピントが合っていた。ちょっと前のコンパクトカメラのようなフィーリングのピント合わせなので、連続して何度もシャッターを切る場合などにストレスが溜まりがちだったが、GFX100では画面全体に配された位相差画素によるピント合わせなので迷いが少なく、すっとピントが合う場面が多かった。

そしてレリーズボタンを押した瞬間に、自分は思わず頬が緩み、このカメラを一気に気に入ってしまった。従来の一眼ユーザーには大きな感動はないかもしれないが、実はここに中判デジタルカメラとしてのGFX100の大きなポイントがある。通常の中判デジタルカメラは一眼レフタイプであればシャッターを切ると大きなミラーとシャッターによる「バッサ!」といった感じの大きな音と振動が手から伝わる。また、これまでのGFXシリーズであれば「ポッコーン」といった印象の、ちょっと間延びしたような音と箱鳴りしているかのような振動が手に伝わってくるものだった。それがGFX100は歯切れのよい、短い音のシャッター音で手に伝わる振動もごくわずか。中判ではライバルが見当たらないと感じるほどにキレのいいフィーリングを実現しているのだ。

この秘密は、1億画素の高解像度を確実に写すために根本から新設計されたメカにある。レンズ交換式カメラは通常、前ボディ部分にレンズをマウントするのだが、1億画素のカメラでは、ボディの前板がレンズの重みで数ミクロン、たわんでしまうのでさえも片ボケなどの画質劣化につながってしまう。そこで、ボディを二重構造化。小さくすることで強度的に強くなったマグネシウム合金製インナーフレームユニットにレンズマウントとイメージセンサー、手ブレ補正ユニットを一体化することでたわみなどの問題を解消している。また、シャッターメカは振動が直接、伝わりにくいよう天地左右にサスペンションを介した取り付けをしたフローティング構造となっている。こういった根本から工夫された構造がカメラとしてのフィーリングや精度を飛躍的に進化させていると考えられる。

連写速度としてはCHモードで秒間5コマ、CLモードで秒間2コマ。カタログスペック的にはRAW記録でCH時には連続14枚のバッファとのこと。このあたりの連写テストはしていないのだが、実使用でSDHCのUHS-II対応カードであれば圧縮RAWの16bit記録に設定した場合、単写モードで次々にシャッターを切っていくモデル撮影の現場でバッファ待ちに悩まされることはなかった。1億画素、SDメモリーカードでこのパフォーマンスには驚ろかされた。

UHS-II対応のデュアルSDカードスロットを採用

UHS-II対応のデュアルSDカードスロットを採用

バッテリーはGFX50S/50Rと共通のNP-T125を2個使用する。うれしいのは電源のフレキシブルな対応で、バッテリーを1個しか装着しなくても動作するし、DC IN15V端子につないだ外部バッテリーや、USB-C端子では電源オフ時に内蔵バッテリーの充電ができるほか、モバイルバッテリーなどを使って給電しながらの撮影も可能。内蔵バッテリー2個での撮影枚数は公称800枚だが、電源スイッチをあまりオフにしない半日程度のモデル撮影でも2個を使い切ることはなく、意外と長持ちする印象を受けた。

バッテリーはGFX50S/50Rと共通のNP-T125を2個使用

バッテリーはGFX50S/50Rと共通のNP-T125を2個使用

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