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20コマ/秒連写や5.5K/60p RAW動画の内部記録を実現したモンスターマシン

キヤノンから“最強”のフラッグシップ一眼レフ「EOS-1D X Mark III」が登場!

2020年1月7日、キヤノンからフラッグシップ一眼レフの新モデル「EOS-1D X Mark III」が発表になった。開発発表が行われていた製品がついにベールを脱いだわけだが、驚異的なスペックを持つモンスターマシンに仕上がっている。本記事では画質やAF、動画などの基本性能の特徴を紹介しよう。

EOS-1D X Mark IIIのサイズは約158.0(幅)×167.6(高さ)×82.6(奥行)mmで、重量は約1440g(バッテリー、カードを含む)。従来よりも90g軽いボディとなった。前・後、上部・底部カバーに加えて、ミラーボックスや電池室にもマグネシウム合金を採用。もちろん防塵・防滴構造も実現している

新開発の映像エンジン「DIGIC X」を採用し、全方位で性能向上を実現

EOS-1D X Mark IIIは基幹システムが刷新されており、撮像素子に有効約2010万画素のフルサイズCMOSセンサー(約35.9×23.9mm)を、映像エンジンに「DIGIC X」を採用。いずれも新開発となっており、イメージセンサーはすぐれたS/N比とダイナミックレンジ、さらには駆動と読み出し速度の向上を実現。DIGIC Xはシングル構成ながら、従来モデル「EOS-1D X Mark II」の「デュアルDIGIC 6+」を大きく上回る性能を達成した。この新開発のセンサーとDIGIC Xの組み合わせによって、EOS-1D X Mark IIIは画質、連写速度、AF、動画撮影など全方位にわたって大幅な性能向上を実現している。

さらなる高速処理とすぐれた画像処理を実現したDIGIC X

さらなる高速処理とすぐれた画像処理を実現したDIGIC X

画質面では新開発のGD(Gaussian Distribution)ローパスフィルターを搭載したのも注目点だ。光を16点に分離する新方式によって偽色やモアレを効果的に抑制しつつ、従来のローパスフィルターよりも高い解像感が得られるようになっているという。解像感の向上によって、ピクチャースタイル「スタンダード」のシャープネス(強さ、細かさ、しきい値)は初期値が従来の「3、4、4」から「4、2、2」に変更になった。また、静止画撮影時の感度はISO100〜102400に対応。拡張でL(ISO50相当)、H1(ISO204800相当)、H2(ISO409600相当)、H3(ISO819200相当)の設定が可能だ。エッジ部のコントラストを調整する新しい画像調整機能「明瞭度」も搭載している。

本格的なHDR撮影に対応するのも特徴で、HDRの国際標準規格「ITU-R BT.2100」で定義されているPQ(Perceptual Quantization)方式に準拠したHDR画像を4:2:2 10bitのHEIFで記録することが可能になった。RAW+JPEG/HEIFの同時記録にも対応するほか、HEIFからJPEGの変換機能も備わっている。ヒストグラムよりも直感的に露出を確認できる、「中間輝度露出確認用」と「高輝度描画確認用」という2種類のアシスト表示機能も搭載する。

光学ファインダー撮影とライブビュー撮影の両方で驚異的な高速連写を実現

EOS-1D X Mark IIIはミラー駆動システムも大幅に見直されており、メインミラーにモーターダイレクト駆動を採用し、レスポンスが向上。メインミラーとサブミラーの動きを正確に連動させる新設計のサブミラー連動レバーによってサブミラーの遅延も低減している。メインミラー/サブミラーともに高速かつ高精度な制御が可能になり、高速連写やファインダー像消失時間の短縮、AF精度の向上を達成した。

新開発のミラー駆動システムを採用。シャッターユニットを組み込んだ状態で50万回の作動試験をクリアしている

圧巻なのは連写性能で、イメージセンサーや映像エンジン、ミラー駆動システムだけでなく、データ書き込みの内部処理や駆動シーケンスも刷新することによって、光学ファインダー撮影においてAF・AE追従で最高約16コマ/秒の高速連写を実現した。さらにライブビュー撮影では、イメージセンサーの高速読み出しや、DIGIC Xによる「デュアルピクセルCMOS AF」の高速演算によって、メカシャッター/電子シャッターの両方で、最高約20コマ/秒のコマ速をAF・AE追従で達成。フルサイズ機においてメカシャッターでAF・AE追従・約20コマ/秒という連写速度はこれまでにはなく、驚異的な性能を実現したと言っていいだろう。なお、ソフト連続撮影も最高約8.0コマ/秒に速度が向上している。

記録メディアはCFexpressメモリーカード(Type B対応)で、デュアルスロットに対応。連続撮影可能枚数はRAW+JPEGラージで1000枚以上と、こちらも驚異的なスペックとなっている。C-RAW+HEIF時では約420枚、RAW+HEIF時では約350枚の撮影が可能だ。

測距点の移動とAFスタートボタンを兼用する新たな操作部材「スマートコントローラー」を装備(画像の赤色部分)。画像の黄色部分のバックライトを搭載したボタンとなっている。液晶モニターは3.2型タッチパネル液晶(約210万ドット)を採用

191点の測距点を持つ新開発のAFセンサーを採用。ライブビュー撮影時のAFも進化

ファインダー撮影時のAFシステムは、新開発の「High-res AFセンサー」を採用することでさらなる性能向上を実現している。

High-res AFセンサーは従来のラインセンサーとは異なり、正方画素を高密度に配置することで測距点数を最大191点にまで拡充。クロス測距点は最大155点で、中央測距点はF2.8対応デュアルクロス測距に対応し、使用レンズによって変動するが測距エリア全域でF8光束対応となっている。低輝度限界もEV-4(F1.2、中央測距点)に向上した。

さらに、輝度や色、形などの情報から被写体認識と自動追尾を行う「EOS iTR AF」も「EOS iTR AF X」に進化。新開発の有効約40万画素RGB+IR測光センサーやグローバル電子シャッターを採用し、被写体検出・追尾性能が向上。顔が頻繁に見え隠れするスポーツシーンで威力を発揮する頭部検出アルゴリズムも新たに搭載した。ファインダーAF・AE処理専用の「DIGIC 8」を搭載しているのもポイントで、AF演算能力が大幅にアップしており、被写体追従アルゴリズムは「AIサーボAF IV」に進化している。

ライブビュー撮影のAFシステムは、新しいイメージセンサーとDIGIC Xによって、映像表示範囲が横約90%×縦約100%に拡大したデュアルピクセルCMOS AFを採用。瞳を検出して追従する「瞳AF」にも対応している。低輝度限界はEV-6(F1.2、中央測距点)。

ストロボ関連の機能も拡充しており、ストロボ使用時の仕上がり(テイスト)を選択できる「E-TTLテイスト」を新搭載。環境光を生かした自然なライティングになる「雰囲気重視」と、ストロボ光を強めて環境光の影響を軽減する「発光量強め」を選択できる。さらに、ライブビュー撮影でのストロボ使用時に、プリ発光をAEセンサーではなくCMOSセンサーで受光する撮像面E-TTLを採用。これにより、ライブビュー撮影でもミラー駆動を行うことなくストロボ撮影が行えるようになった(※ただし電子シャッター時のストロボ利用は不可)。

4K/60p 4:2:2 10bit動画や、5.5K/60p 12bit RAW動画の本体内記録を実現

動画撮影機能も驚きの進化を遂げている。フルフレームでの4K DCI(4096×2160)/60p記録と、わずかに画角が狭くなるもののほぼフルフレームでの4K UHD(3840×2160)/60p記録を実現。4K DCI時は5.5Kオーバーサンプリングとなり、RGBそれぞれに5.5Kデータを取得したうえで非加算リサイズして4K映像を生成する。4K/フルHD記録時はCanon Logによる4:2:2 10bitでの本体内部記録を実現したのも見逃せない点だ。

さらに、5.5K(5472×2886)/60p 12bitのRAW動画(CRM形式)を本体内部に記録できるようになったのもトピック。2枚のCFexpressメモリーカードを使って、RAW動画と通常動画/Canon Logを同時に記録することも可能だ。

別売オプションで、IEEE 802.11ac/2×2 MIMOの高速通信に対応する、専用のワイヤレスファイルトランスミッター「WFT-E9」も用意する

まとめ フラッグシップの大幅進化で今後登場する新モデルにも期待が高まる

EOS-1D X Mark IIIは、キヤノンが威信をかけて開発した新しいフラッグシップ一眼レフで、その進化は凄まじいものがある。これまでに登場したキヤノンのデジタル一眼レフの中でもっともインパクトがあると言っても過言ではなく、ミラーレスも含めたデジタル一眼カメラの中で、スポーツやネイチャー向けのカメラとしては現時点で“最強”のスペックを持つ1台となっている。特に、ライブビュー撮影でのメカシャッターで最高約20コマ/秒のAF・AE追従連写を実現した点と、5.5K/60p 12bitのRAW動画記録に代表される動画撮影の充実ぶりがすごい。

発売は2020年2月中旬の予定で、キヤノンオンラインショップでの価格は880,000円(税込)。プロ用のカメラでおいそれと購入できるものではないが、キヤノンは今後、このカメラを頂点として製品を展開していくことを考えると、これから登場する新モデルにも期待が持てるというものだ。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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