交換レンズ図鑑
開放F2スタートのソニーEマウント用ズームレンズ

上質な写りが楽しめる大口径ズーム、タムロン「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」レビュー

タムロンは、2021年10月に新開発のレンズを3本リリースしている。今回紹介する、ソニーEマウント用のズームレンズ「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)」はそのうちの1本。ソニーEマウント用のフルサイズ対応ズームレンズとして初めて、広角端で開放F2という明るさを実現した注目製品だ。期待値の高いレンズだが、その期待を上回るすばらしい描写を実現している。

2021年10月28日に発売になった、高性能なズームレンズ「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」(カメラボディは「α7 III」)

2021年10月28日に発売になった、高性能なズームレンズ「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」(カメラボディは「α7 III」)

広角端35mm/開放F2、望遠端150mm/開放F2.8の大口径を実現

「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」の主な特徴
・35〜150mmの焦点距離をカバーする、ソニーEマウント用のフルサイズ対応ズームレンズ
・広角端:開放F2、望遠端:開放F2.8の大口径を実現
・レンズ構成:15群21枚(LDレンズ4枚、GMレンズ3枚)
・最短撮影距離(最大撮影倍率):広角端0.33m(1:5.7)、望遠端0.85m(1:5.9)
・高速・高精度AFを可能にするリニアモーターフォーカス機構VXD
・質感、操作性が向上した新デザイン
・従来モデル以上にフレア・ゴーストの発生を抑えるBBAR-G2コーティング
・9枚円形絞り
・簡易防滴構造、防汚コート
・「瞳AF」などソニー製カメラの主な機能に対応
・専用ソフト「TAMRON Lens Utility」でレンズのカスタマイズが可能
・フィルター径:82mm
・サイズ:89.2(最大径)×158(長さ)mm、重量:1165g
・価格.com最安価格:179,820円(2021年11月11日時点)

「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」は、数あるタムロンのレンズの中でも、特にスペックに対しての“本気度”の高い製品だ。タムロンの現行製品としては2021年11月時点で最も高額となる、価格.com最安価格で179,820円(2021年11月11日時点)という価格を見ても、その本気度がうかがえるというもの。手に入れやすい価格のレンズを多く手がけるタムロンとしては、かなり攻めた価格設定だ。その分、ほかにはない魅力を持つレンズに仕上がっている。

フォーカスリングとズームリングの間に、各種操作系を搭載。2個のフォーカスセットボタンのほか、カスタムスイッチ(1〜3の3ポジションを選択可能)と、AF・MF切り替えスイッチが備わっている

フォーカスリングとズームリングの間に、各種操作系を搭載。2個のフォーカスセットボタンのほか、カスタムスイッチ(1〜3の3ポジションを選択可能)と、AF・MF切り替えスイッチが備わっている

スペックで注目なのは、準広角35mmから望遠150mmというユニークなズーム域をカバーしつつ、広角端で開放F2、望遠端で開放F2.8という大口径を実現したこと。タムロンによると、ソニー Eマウント用のフルサイズ対応ズームレンズとして、広角端で開放F2を実現したのは世界初。同じズーム域をカバーする一眼レフ用のズームレンズ「35-150mm F/2.8-4 Di VC OSD」と比べると、広角端・望遠端ともに1段明るくなっている。

光学性能にも徹底的にこだわっており、15群21枚のレンズ構成に、4枚のLD(Low Dispersion:異常低分散)レンズや、3枚のGM(ガラスモールド非球面)レンズといった特殊硝材をバランスよく配置することで、ズーム全域ですぐれた描写を実現。被写体を際立たせるクリアな描写と、大口径ならではのやわらかなボケ味を両立しているとのことだ。

このほか、AF駆動にリニアモーターフォーカス機構VXDを採用したのも見逃せない特徴。クラス最高レベルの速度・精度を兼ね備えており、大口径レンズながら高速・高精度かつ静粛なピント合わせを可能としている。

左が広角端、右が望遠端。インナーズーム方式ではないため望遠端では相応にレンズが伸びる

左が広角端、右が望遠端。インナーズーム方式ではないため望遠端では相応にレンズが伸びる

広角端で固定するズームロックスイッチを鏡筒右手側に搭載

広角端で固定するズームロックスイッチを鏡筒右手側に搭載

さらに、ソニーEマウント用の最新・標準ズームレンズ「28-75mm F/2.8 Di III VXD G2」と同様、鏡筒に通信用のコネクターポート(USB-C端子)が備わっており、PCと接続してレンズの各種機能をカスタマイズすることが可能。新開発の専用ソフトウェア「TAMRON Lens Utility」を使って、カスタムスイッチ(1〜3の3ポジションを選択可能)への機能割り当てや、フォーカスリングの回転方向・レスポンスの設定が可能となっている。ファームウェアのアップデートも「TAMRON Lens Utility」経由で行える。

鏡筒左手側のマウント部近くにコネクターポート(USB-C端子)を搭載

鏡筒左手側のマウント部近くにコネクターポート(USB-C端子)を搭載

「TAMRON Lens Utility」の設定画面。「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」では、3ポジションのカスタムスイッチに、フォーカスプリセット(設定したピント位置にフォーカスを移動させる機能)や、A-Bフォーカス(設定した2点間でフォーカスを一定速度で移動させる機能)などの機能を割り当てられる。フォーカスリングの回転方向とレスポンス(ノンリニアもしくはリニア)の設定も可能だ

「TAMRON Lens Utility」の設定画面。「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」では、3ポジションのカスタムスイッチに、フォーカスプリセット(設定したピント位置にフォーカスを移動させる機能)や、A-Bフォーカス(設定した2点間でフォーカスを一定速度で移動させる機能)などの機能を割り当てられる。フォーカスリングの回転方向とレスポンス(ノンリニアもしくはリニア)の設定も可能だ

同梱の花型フード「HA058」を装着したイメージ。取り外しボタン付きのレンズフードだ

同梱の花型フード「HA058」を装着したイメージ。取り外しボタン付きのレンズフードだ

実写作例&レビュー

※以下に掲載する作例は、「α7 III」に「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」を組み合わせてJPEG形式の最高画質で撮影したもの(JPEG撮って出し)になります。すべての作例で、歪曲収差補正:オート、倍率色収差補正:オート、周辺減光補正:オート、の設定になっています。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺900ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行っていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、35mm、F2、1/50秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、14.0MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、35mm、F2、1/50秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、14.0MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、57mm、F2.5、1/40秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、15.5MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、57mm、F2.5、1/40秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、15.5MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、35mm、F4.5、1/30秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、15.5MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、35mm、F4.5、1/30秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、15.5MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、150mm、F2.8、1/160秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、11.7MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、150mm、F2.8、1/160秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、11.7MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、116mm、F14、1/30秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(6000×4000、16.1MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、116mm、F14、1/30秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(6000×4000、16.1MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、44mm、F2.2、1/200秒、ISO200、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、15.5MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、44mm、F2.2、1/200秒、ISO200、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、15.5MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、86mm、F2.8、1/100秒、ISO200、ホワイトバランス:日陰、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、18.8MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、86mm、F2.8、1/100秒、ISO200、ホワイトバランス:日陰、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、18.8MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、35mm、F2、1/80秒、ISO400、ホワイトバランス:曇天、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(4000×6000、9.0MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、35mm、F2、1/80秒、ISO400、ホワイトバランス:曇天、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(4000×6000、9.0MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、116mm、F2.8、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、14.7MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、116mm、F2.8、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、14.7MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、35mm、F2.8、1/60秒、ISO100、ホワイトバランス:曇天、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、19.8MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、35mm、F2.8、1/60秒、ISO100、ホワイトバランス:曇天、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、19.8MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、150mm、F2.8、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(4000×6000、9.5MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、150mm、F2.8、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(4000×6000、9.5MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、54mm、F2.2、1/50秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、9.3MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、54mm、F2.2、1/50秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、9.3MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、35mm、F2、1/4000秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG撮影写真(6000×4000、9.7MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、35mm、F2、1/4000秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:切、JPEG
撮影写真(6000×4000、9.7MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、APS-Cクロップで撮影、150mm(35mm判換算225mm)、F2.8、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG撮影写真(3936×2624、5.3MB)

α7 III、35-150mm F/2-2.8 Di III VXD、APS-Cクロップで撮影、150mm(35mm判換算225mm)、F2.8、1/500秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブスタイル:スタンダード、Dレンジオプティマイザー:オート、JPEG
撮影写真(3936×2624、5.3MB)

「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」は、重量1kgを超える本格的なズームレンズだ。その分、画質に対して期待値が高くなるというものだが、今回試用してみて、期待以上のすばらしい描写を実現していると感じた。今回は絞り開放もしくは開放付近で撮影した作例を多く掲載しているが、このレンズの写りのよさを感じていただけるのではないだろうか。

広角端35mmで開放F2、望遠端150mmで開放F2.8の大口径ながら、絞り開放から高コントラストで、ピント位置はとてもシャープ。開放だとさすがに周辺光量落ちがやや発生するのと、遠景に比べると近接ではわずかにソフトな描写になるものの、ズーム全域で高い解像力を発揮する。さらに、タムロンのレンズらしく自然で滑らかなボケが得られるのも魅力だ。

撮影していて画質に感動を覚える、というと大げさかもしれないが、使ってみて「本当によく写るレンズ」だと感じた。単に解像力が高くて高画質というだけでなく、質感描写にすぐれるのと、物体がそこにあるかのような実在感が得られるのがとてもよい。感覚的な面でも満足できる画質で、タムロンの数あるズームレンズの中でも特に上質な写りが楽しめる1本ではないだろうか。光をよく拾ってくれるので、明るいシーンはもとより、薄暗いシーンでも使いたくなるレンズである。

さらに、AFの性能が非常に高いことも押さえておきたい。高速・高精度かつ静粛な動作で、フォーカスを大きく動かす場合でもスムーズにピントが合う。「瞳AF」の動作も良好で、AFに関してはほとんどストレスを感じなかった。

また、本レンズはAPS-Cクロップ時に、一般的な望遠ズームレンズのズーム域に近い、焦点距離52.5mm〜225mm相当(35mm判換算)の画角をカバーするようになる。特に望遠端が225mm相当/開放F2.8(ボケ量はF4相当)となり、より望遠側の画角で撮影できるのがポイント。フルサイズ機でのAPS-Cクロップ、もしくはAPS-C機で使用しても面白いレンズだと思う。

まとめ “もう少しワイドに撮りたい”を叶えてくれる高性能なズームレンズ。ポートレート以外でも活用したい

「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」は、小型・軽量よりも性能を優先した大口径ズームレンズだ。絞り開放からすばらしい描写を実現したうえに、AFも高速・高精度化しており、より本格的かつ高画質な撮影に対応できる高性能なレンズに仕上がっている。価格.com最安価格で179,820円(2021年11月11日時点)というのは、タムロンのレンズとしては高額だが、その価値のある製品と言えよう。

準広角35mmから望遠150mmの焦点距離をカバーするのがユニークなところで、一般的な望遠ズームレンズと比べると、よりワイドな画角を使えるのがポイント。一眼レフ用の「35-150mm F/2.8-4 Di VC OSD」と同様、タムロンはこのレンズをポートレート用としてアピールしているとおり、準広角35mm、標準50mm、中望遠85mm、望遠150mmといった焦点距離を開放F2〜F2.8でカバーするのは、特にポートレートの撮影で威力を発揮する。今回は風景の撮影でも使用してみたが、35mmスタートなのは思っていた以上に使いやすく、写りのよさもあって、ポートレート以外のシーン・被写体でも積極的に活用したいレンズだと感じた。

特に、焦点距離70〜200mm程度をカバーする望遠ズームレンズで撮影していて、「もう少しワイドに撮りたい」と思うことが多い人にとって、「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD」はとても便利な1本になるはずだ。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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