レビュー

富士フイルムのエッセンスが凝縮された「X-T30 II」と4本のレンズで両国界隈をスナップ

クラシカルなデザインに最新技術を投入

標準ズームに3本の単焦点レンズを加えて撮影に臨んだ

標準ズームに3本の単焦点レンズを加えて撮影に臨んだ

日本ではブラックボディのカメラが主流である。あのLEICA Mシリーズですら、シルバーよりもブラックのほうが人気がある。ミラーレスの中にはブラックボディのみというモデルもあるが、その真逆を行くのが富士フイルム「X-T30 II」である。シルバーボディしか存在しないのだ。そこには銀塩カメラ時代の一眼レフのデザインを貫く、頑固さが見え隠れする。角張ったボディにミラーレスらしからぬペンタプリズム風のEVF。そして、シャッターダイヤルに露出補正ダイヤル、ドライブモードダイヤルが軍艦部にズラリと並ぶ。インターフェイスも銀塩時代のカメラに近い。

約378g(バッテリー、 SDメモリーカード含む)の軽量なボディに上位モデル「X-T4」と同等の約2610万画素「X-Trans CMOS 4」センサーと画像処理エンジン「X-Processor 4」を搭載。AF性能も最速0.02秒に高速化され、暗所での低輝度限界も-7EVまで向上している。これだけの性能を詰め込んでアンダー10万円のハイコスパを実現。フィルムシミュレーションも18種類あり、富士フイルムのエッセンスを格安で堪能できるカメラに仕上がっている。

正面から見ると曲線が少なく直線が多いデザイン。グリップも控え目で一眼レフを思わせる

正面から見ると曲線が少なく直線が多いデザイン。グリップも控え目で一眼レフを思わせる

軍艦部にはミラーレスでおなじみのモードダイヤルがなく、単機能ダイヤルが並ぶ

軍艦部にはミラーレスでおなじみのモードダイヤルがなく、単機能ダイヤルが並ぶ

絞りリング付きのレンズと組み合わせると電源OFF時もシャッター速度と絞りがひと目でわかる

絞りリング付きのレンズと組み合わせると電源OFF時もシャッター速度と絞りがひと目でわかる

EVFをのぞいたままで操作できるコマンドダイヤルをフロントとリアに装備

EVFをのぞいたままで操作できるコマンドダイヤルをフロントとリアに装備

ペンタプリズム風の突起部に、先幕、後幕シンクロに対応するフラッシュを内蔵

ペンタプリズム風の突起部に、先幕、後幕シンクロに対応するフラッシュを内蔵

X-T30 IIにはシルバーの単焦点レンズがよく似合う

近年、ズームレンズの性能が向上、さらにミラーレスの明るいEVFと高感度撮影対応によって、明るい単焦点レンズの必然性は薄れてきた。ズームレンズでさえ重い、大きい、高価な開放絞り値F2.8通しのレンズよりも軽い、小さい、ハイコスパな開放絞り値F4のレンズのほうがプロにも好まれている。これに対して単焦点レンズはボケを重視して明るく、ズームを超える高性能を追求した高額レンズから、初心者をレンズ沼に誘うためのハイコスパで高性能な“撒き餌レンズ”と呼ばれるものまで幅広く存在する。

富士フイルムはズームレンズだけでなく、趣味性の高い単焦点レンズにも力を入れている。これを見逃す手はない。私がスナップで愛用しているのは24mm相当の「フジノンレンズ XF16mmF2.8 R WR」と27mm相当でレトロな金属製レンズフードが映える「フジノンレンズ XF18mmF2 R」である。今回の作例撮影には、さらにMFの中華製対角魚眼レンズ「PERGEAR 7.5mm F2.8」も用意。これらの単焦点レンズに、コンパクトな標準ズーム「フジノンレンズ XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」を加え、撮影に挑んだ。

クラシカルなボディにはズームレンズより全長の短い単焦点レンズが似合う

クラシカルなボディにはズームレンズより全長の短い単焦点レンズが似合う

フジノンレンズ XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ

広角端が35mm判換算で23mm相当まである標準ズームレンズ。望遠端は69mm相当とやや短めだが、広角が使いやすい。広角端での最短撮影距離はレンズ先端から5cmと寄りにも強い。さらにX-T30 IIの弱点であるボディ内手ブレ補正がないのを補う、光学手ブレ補正機能を内蔵。小型軽量化に貢献している電動ズームのレスポンスにややタイムラグを感じるが、サイズを考えればそれほどイラつくことはない。

このズームレンズはシルバーよりもブラックのほうが質感がよさそうに見える

このズームレンズはシルバーよりもブラックのほうが質感がよさそうに見える

両国駅沿いの壁に描かれたアートFUJIFILM X-T30 II、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ、29.6mm(35mm判換算44mm相当)、ISO100、F4.5、露出補正-1.0EV、1/50秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:Velvia/ビビッド、JPEG FINE撮影写真(6240×4160、15.0MB)

両国駅沿いの壁に描かれたアート
FUJIFILM X-T30 II、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ、29.6mm(35mm判換算44mm相当)、ISO100、F4.5、露出補正-1.0EV、1/50秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:Velvia/ビビッド、JPEG FINE
撮影写真(6240×4160、15.0MB)

同じく両国の壁画、スローシャッターのため歩いている人物は動体ブレしているFUJIFILM X-T30 II、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ、33.3mm(35mm判換算50mm相当)、ISO100、F4.9、露出補正-1.0EV、1/38秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像撮影写真(6240×4160、3.68MB)

同じく両国の壁画、スローシャッターのため歩いている人物は動体ブレしている
FUJIFILM X-T30 II、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ、33.3mm(35mm判換算50mm相当)、ISO100、F4.9、露出補正-1.0EV、1/38秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像
撮影写真(6240×4160、3.68MB)

渋い洋装店の看板。クラシックネガ、23mm相当にて撮影。歪みが少なく四隅までシャープだFUJIFILM X-T30 II、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ、15mm(35mm判換算23mm相当)、ISO100、F3.5、露出補正-1.0EV、1/140秒、絞り優先AE、JPEG FINE撮影写真(6240×4160、12.1MB)

渋い洋装店の看板。クラシックネガ、23mm相当にて撮影。歪みが少なく四隅までシャープだ
FUJIFILM X-T30 II、XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ、15mm(35mm判換算23mm相当)、ISO100、F3.5、露出補正-1.0EV、1/140秒、絞り優先AE、JPEG FINE
撮影写真(6240×4160、12.1MB)

フジノンレンズ XF18mmF2 R

27mm相当で開放絞り値F2のパンケーキレンズ。四角いレンズフードがポイント。レンズの厚みは33.7mmとまあまあ薄い。重さも116gとまさに小型軽量である。絞りリングがあり、MFも使いやすい。見てよし撮ってよしの単焦点レンズなのだが、AFの駆動音がカチャカチャと賑やかなのが玉にきずだ。

スリムなボディに合ったパンケーキレンズ。角型メタルフードがビンテージ感を盛り上げる

スリムなボディに合ったパンケーキレンズ。角型メタルフードがビンテージ感を盛り上げる

亀戸天神の絵馬。絞り開放で絵馬の文字は読めなくなるが雰囲気は出るFUJIFILM X-T30 II、XF18mmF2 R、18mm(35mm判換算27mm相当)、ISO100、F2.0、露出補正-0.3EV、1/2400秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、JPEG FINE撮影写真(6240×4160、11.5MB)

亀戸天神の絵馬。絞り開放で絵馬の文字は読めなくなるが雰囲気は出る
FUJIFILM X-T30 II、XF18mmF2 R、18mm(35mm判換算27mm相当)、ISO100、F2.0、露出補正-0.3EV、1/2400秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、JPEG FINE
撮影写真(6240×4160、11.5MB)

鷽替(うそかえ)の鷽が並べられていた。絞り開放からシャープな描写で色の再現性もよかったFUJIFILM X-T30 II、XF18mmF2 R、18mm(35mm判換算27mm相当)、ISO100、F2.0、露出補正-0.3EV、1/170秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像撮影写真(6069×4046、3.64MB)

鷽替(うそかえ)の鷽が並べられていた。絞り開放からシャープな描写で色の再現性もよかった
FUJIFILM X-T30 II、XF18mmF2 R、18mm(35mm判換算27mm相当)、ISO100、F2.0、露出補正-0.3EV、1/170秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像
撮影写真(6069×4046、3.64MB)

左にスカイツリータワー、右に亀戸天神、広角過ぎずに収まりのいい構図になったFUJIFILM X-T30 II、XF18mmF2 R、18mm(35mm判換算27mm相当)、ISO100、F2.0、1/2200秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像撮影写真(6240×4160、4.22MB)

左にスカイツリータワー、右に亀戸天神、広角過ぎずに収まりのいい構図になった
FUJIFILM X-T30 II、XF18mmF2 R、18mm(35mm判換算27mm相当)、ISO100、F2.0、1/2200秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像
撮影写真(6240×4160、4.22MB)

絞り開放でもそんなに明るくないレンズだが、ISO感度を上げれば夜景スナップにも強いFUJIFILM X-T30 II、XF18mmF2 R、18mm(35mm判換算27mm相当)、ISO2000、F2.0、露出補正-0.67EV、1/100秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像撮影写真(5397×3598、2.25MB)

絞り開放でもそんなに明るくないレンズだが、ISO感度を上げれば夜景スナップにも強い
FUJIFILM X-T30 II、XF18mmF2 R、18mm(35mm判換算27mm相当)、ISO2000、F2.0、露出補正-0.67EV、1/100秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像
撮影写真(5397×3598、2.25MB)

フジノンレンズ XF16mmF2.8 R WR

私の好きな画角24mm相当の広角レンズ。AFはステッピングモーターを使ったインナーフォーカス方式で、無音で高速AFが使えて気分よく撮影できる。非球面レンズ2枚を使い、歪みが少なく四隅まで高い解像度を実現。金属パーツを多用した高級感のあるレンズで、絞りリングもありながら、重量は155gに抑えられている。魅力的なレンズだが、付属レンズフードがシルバーモデルも黒、しかも樹脂製で質感が若干チープなのが残念。金属製フードを探しているが、24mm相当だと画面がケラれることが多く、いまだにこれというモノが見つからない。

X-T30 IIにピッタリのデザイン。フードがないほうがおしゃれだが、撮影時にはあったほうがいい

X-T30 IIにピッタリのデザイン。フードがないほうがおしゃれだが、撮影時にはあったほうがいい

基本絞り開放で撮影、絞り込まなくても十分シャープで安心して使えるFUJIFILM X-T30 II、XF16mmF2.8 R WR、16mm(35mm判換算24mm相当)、ISO100、F2.8、1/75秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像撮影写真(6240×4160、2.86MB)

基本絞り開放で撮影、絞り込まなくても十分シャープで安心して使える
FUJIFILM X-T30 II、XF16mmF2.8 R WR、16mm(35mm判換算24mm相当)、ISO100、F2.8、1/75秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像
撮影写真(6240×4160、2.86MB)

吉良邸前の神社。フィルムシミュレーションを使い、冬の寒々しい空気感を描写FUJIFILM X-T30 II、XF16mmF2.8 R WR、16mm(35mm判換算24mm相当)、ISO100、F2.8、1/140秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:ETERNA/ブリーチバイパス、JPEG FINE撮影写真(6240×4160、14.8MB)

吉良邸前の神社。フィルムシミュレーションを使い、冬の寒々しい空気感を描写
FUJIFILM X-T30 II、XF16mmF2.8 R WR、16mm(35mm判換算24mm相当)、ISO100、F2.8、1/140秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:ETERNA/ブリーチバイパス、JPEG FINE
撮影写真(6240×4160、14.8MB)

モノクロームを使うと、近代的な丸窓がどこか古めいて感じられたFUJIFILM X-T30 II、XF16mmF2.8 R WR、16mm(35mm判換算24mm相当)、ISO100、F2.8、1/140秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像撮影写真(6240×4160、4.1MB)

モノクロームを使うと、近代的な丸窓がどこか古めいて感じられた
FUJIFILM X-T30 II、XF16mmF2.8 R WR、16mm(35mm判換算24mm相当)、ISO100、F2.8、1/140秒、絞り優先AE、Adobe Photoshop 22.5(Macintosh)現像
撮影写真(6240×4160、4.1MB)

PERGEAR 7.5mm F2.8

X-T30 IIに似合うクラシカルなデザインの対角魚眼レンズ。金属製で、フードもレンズキャップも金属製というこだわりの単焦点レンズだ。絞りリングはクリックなしでねっとりとした感じに回る。フードは固定式でフィルターは使えない。コンパクトだが重量は300gある。最短撮影距離0.12m。Amazonにて14,000円で購入。絞り開放で中心部はきわめてシャープだが周辺部の解像度は落ちる。F8まで絞り込めば、周辺部もまあまあシャープになってくる。MFだが被写界深度が深いので絞り込めばピント合わせの必要がなくAF感覚で使える。14,000円という価格からすれば、ズバ抜けて作りがよく、よく写るレンズと言える。魚眼レンズを使う機会は少ないので、私はこれで十分なのだ。

Xマウント用レンズなので純正レンズ感覚で使えるが、絞り値はExifデータに記録されない

Xマウント用レンズなので純正レンズ感覚で使えるが、絞り値はExifデータに記録されない

ユニークな外観の「すみだ北斎美術館」。暗部の階調性がよく、黒がつぶれていないFUJIFILM X-T30 II、PERGEAR 7.5mm F2.8、7.5mm(35mm判換算12mm相当)、ISO100、F8、1/320秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、JPEG FINE撮影写真(6240×4160、10.6MB)

ユニークな外観の「すみだ北斎美術館」。暗部の階調性がよく、黒がつぶれていない
FUJIFILM X-T30 II、PERGEAR 7.5mm F2.8、7.5mm(35mm判換算12mm相当)、ISO100、F8、1/320秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、JPEG FINE
撮影写真(6240×4160、10.6MB)

逆光ではきれいな光輪が現れる。ゴーストとフレアは意外に少ないFUJIFILM X-T30 II、PERGEAR 7.5mm F2.8、7.5mm(35mm判換算12mm相当)、ISO100、F8、1/480秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、JPEG FINE撮影写真(6240×4160、12.3MB)

逆光ではきれいな光輪が現れる。ゴーストとフレアは意外に少ない
FUJIFILM X-T30 II、PERGEAR 7.5mm F2.8、7.5mm(35mm判換算12mm相当)、ISO100、F8、1/480秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、JPEG FINE
撮影写真(6240×4160、12.3MB)

円形のモニュメントを撮影。このような被写体は魚眼レンズに最適と言えるFUJIFILM X-T30 II、PERGEAR 7.5mm F2.8、7.5mm(35mm判換算12mm相当)、ISO100、F8、1/200秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、JPEG FINE撮影写真(6240×4160、16.2MB)

円形のモニュメントを撮影。このような被写体は魚眼レンズに最適と言える
FUJIFILM X-T30 II、PERGEAR 7.5mm F2.8、7.5mm(35mm判換算12mm相当)、ISO100、F8、1/200秒、絞り優先AE、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、JPEG FINE
撮影写真(6240×4160、16.2MB)

ゴン川野

ゴン川野

カメラとオーディオが専門のライター。モノクロフィルムの現像、カラーのプリントを経て、デジカメ時代に突入。現在は仕事もプライベートもミラーレスOLYMPUS OM-D E-M1MK2を愛用。「阿佐ヶ谷レンズ研究所」にて掲載記事をまとめて発信中。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る