レビュー

人気沸騰中のキヤノン「EOS R7」、 購入検討時に気になるポイントを徹底レビュー

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その他注目機能のレビュー

最大8.0段の補正効果を発揮するボディ内5軸手ブレ補正

「EOS R7」は、5軸補正対応のボディ内手ブレ補正を搭載している。キヤノンはあまりアピールしていないが、「EOSシリーズ」のAPS-Cセンサー機としては初のボディ内手ブレ補正搭載モデルだ。その性能は高く、「EOS R3」などと同様、レンズ内手ブレ補正を持つ「RFレンズ」と組み合わせた場合は、レンズ内補正とボディ内補正の協調制御によって最大8.0段の手ブレ補正効果を発揮する。キットレンズとして用意されている高倍率ズームレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」の場合の補正効果は最大7.0段、別売の標準ズームレンズ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」の場合は最大6.5段となっている。さらに、APS-Cサイズの撮像素子のため、補正時にセンサーを動かす量がフルサイズよりも少ないこともあって、ロール方向の可動範囲が拡大しているのもポイントで、より大きな回転方向のブレを補正できるようになったとのことだ。

以下に掲載する作例は、高倍率ズームレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」の広角端で、夜景を手持ち撮影したものになる。シャッタースピードは0.8秒。シャッタースピードを段階的に遅くしながら、手ブレの影響を抑えられる限界値を試しながら撮ってみたところ、「遠景・広角」の条件では、シャッタースピードが0.6〜0.8秒くらいであれば、半分くらいの確率で、画面全域で手ブレを抑えた写真に仕上がった。シャッタースピードが1秒だと、画面の中央は問題ないが、周辺は回転ブレの影響によってわずかに流れるような描写になることが多かった。

EOS R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm)、ISO400、F6.3、0.8秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、デジタルレンズオプティマイザ:する(標準)、周辺光量補正:する、歪曲収差補正:する、JPEG

EOS R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm)、ISO400、F6.3、0.8秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:スタンダード、オートライティングオプティマイザ:標準、デジタルレンズオプティマイザ:する(標準)、周辺光量補正:する、歪曲収差補正:する、JPEG
撮影写真(6960×4640、9.5MB)

撮影画面を水平に保つ「自動水平機能」

APS-Cセンサーとボディ内5軸手ブレ補正の組み合わせで実現したのが、「自動水平補正」という新機能だ。ボディ側のロール補正を生かし、撮影画面が水平になるよう自動補正するというもの。画素数を落とすことなくフル画素で記録してくれるのが使いやすいところだ。静止画撮影だけでなく動画撮影に対応するのもポイントである。

「自動水平機能」の設定画面。電子先幕時や高速連続撮影時は無効になる

「自動水平機能」の設定画面。電子先幕時や高速連続撮影時は無効になる

活用シーンとしては、三脚撮影時の微妙な傾きに頭を悩ませることなく、効率的に撮影したい場合が考えられる。手持ちでのハイアングル・ローアングル撮影時に水平を保ちやすくなるのも使いやすい点と言えよう。

以下に、「自動水平機能」を使って記録した動画を掲載するので参考にしてほしい。ロール補正が働く範囲であれば、カメラがある程度傾いた状態でも補正してくれるようだ。注意点としては、傾き方によってうまく補正される場合とそうでない場合があること。あくまでも補助的に使う機能という印象で、自力で水平を出せる状況であれば、それをファーストチョイスにしたほうがいいだろう。また、さすがにカメラを動かしながらの撮影では機能しないようなので、カメラの固定した状態(動画撮影で言えばフィックス状態)で使うものとなっている。

「自動水平補正」をオンにして、カメラを左右に傾けながら記録した動画。傾き方によってはうまく動作しない場合があるものの、カメラを静止していると画面がゆっくりと水平に補正されることがわかるはずだ

本格的な4K動画撮影機能

「EOS R7」は動画撮影機能も充実している。4K動画記録は、4K UHD Fine/30p、4K UHD/60p、4K UHDクロップ/60pの3種類の記録に対応し、4K UHD Fineでは、クロップなしでの7Kオーバーサンプリングによって高画質な記録が可能となっている。HDR PQ動画(10bit)とCanon Log 3(10bit)に対応するのと、最大6時間の動画連続撮影が可能なのも見逃せない特徴だ。

動画記録サイズの設定画面。4K UHD Fine/30p、4K UHD/60p、4K UHDクロップ/60pといった記録に対応している。フルHDはハイフレームレート設定時に120p記録が可能だ

動画記録サイズの設定画面。4K UHD Fine/30p、4K UHD/60p、4K UHDクロップ/60pといった記録に対応している。フルHDはハイフレームレート設定時に120p記録が可能だ

Canon Log 3(10bit)に対応しており、グレーディングを前提とした撮影も可能

Canon Log 3(10bit)に対応しており、グレーディングを前提とした撮影も可能

画角は狭くなるものの周辺のブレ補正に有効な「動画電子IS」も備わっている。より強力な補正の「強」も選べる

画角は狭くなるものの周辺のブレ補正に有効な「動画電子IS」も備わっている。より強力な補正の「強」も選べる

4K UHD Fine/30pで手持ち撮影した動画。毛並みの細かいところまで高画質に記録できている

HDMI端子はタイプD(マイクロ)。USB端子はType-CでUSB充電・給電に対応する

HDMI端子はタイプD(マイクロ)。USB端子はType-CでUSB充電・給電に対応する

対応バッテリーは「EOS R5」や「EOS R6」などの同じ「LP-E6NH/LP-E6N/LP-E6」

対応バッテリーは「EOS R5」や「EOS R6」などの同じ「LP-E6NH/LP-E6N/LP-E6」

APS-Cミラーレス用の「RF-S レンズ」としては、高倍率ズームレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」のほかに、小型・軽量な標準ズームレンズ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」も用意されている

APS-Cミラーレス用の「RF-S レンズ」としては、高倍率ズームレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」のほかに、小型・軽量な標準ズームレンズ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」も用意されている

超望遠ズームレンズ「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」を装着したイメージ。「EOS R7」との組み合わせでは、35mm判換算で焦点距離160〜800mm相当の画角をカバーするようになる

超望遠ズームレンズ「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」を装着したイメージ。「EOS R7」との組み合わせでは、35mm判換算で焦点距離160〜800mm相当の画角をカバーするようになる

小型・軽量な「RF16mm F2.8 STM」を装着したイメージ。「EOS R7」に装着すると焦点距離26mm相当の広角・単焦点レンズとなる

小型・軽量な「RF16mm F2.8 STM」を装着したイメージ。「EOS R7」に装着すると焦点距離26mm相当の広角・単焦点レンズとなる

純正のマウントアダプターを介して、一眼レフ用の「EFレンズ」を装着できる。この画像では、EF-Sマウントの超広角ズームレンズ「EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM」を装着している

純正のマウントアダプターを介して、一眼レフ用の「EFレンズ」を装着できる。この画像では、EF-Sマウントの超広角ズームレンズ「EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM」を装着している

EF-Sマウントの単焦点レンズ「EF-S24mm F2.8 STM」を装着したイメージ

EF-Sマウントの単焦点レンズ「EF-S24mm F2.8 STM」を装着したイメージ

まとめ AFや連写だけでなく画質もハイレベル。撮影時のフィーリングは要確認

以上、「購入検討時に気になるポイント」をテーマに、「EOS R7」のAF、連写、操作性、画質、撮影機能などをレビューした。このカメラはAFと連写の高速性能に目が行きがちだが、画質も高いレベルにあり、ハイアマチュア向けとして十分な性能を持っている。RAW+JPEG/RAW記録時の連写の持続性がやや短いのは注意点だが、本格的な動体撮影用として過不足なく使える製品に仕上がっている。よりコンパクトで動体撮影に適したミラーレスを探しているのなら、非常に満足度の高い買い物になることだろう。

購入に際して気になる点があるとすれば、それは撮影時のフィーリングだ。マグネシウム合金製シャーシで防塵・防滴構造を採用しているのでボディの信頼性は十分で、カメラをホールドした感じも悪くないのだが、最新のハイアマチュア向けのミラーレスとしてはシャッター音がやや大きいのが気になるところ。電子ビューファインダーについても、もうワンランク上のスペックにしてほしかったという印象もある。決して撮影時のフィーリングが悪いわけではないのだが、ハイエンド向けのAPS-C一眼レフ「EOS 7Dシリーズ」、特にAPS-C一眼レフのフラッグシップに位置付けられていた「EOS 7D Mark II」のようなフィーリングかと言われると少し違うように思う。

「EOS R7」は、高速AFや高速連写など「EOS 7Dシリーズ」のDNAを引き継いでいるミラーレスなのは間違いないものの、2022年6月10日時点での価格.com最安価格(税込)がボディ単体で178,002円という「EOS 7D Mark II」よりも2万円ほど安い価格設定や、先に述べた撮影時のフィーリング、縦位置バッテリーグリップを用意していない点などからは、「EOS 7Dシリーズ」(特に「EOS 7D Mark II」)と同じ立ち位置というわけではなく、「EOS 90Dのひとつ上のカメラ」という印象を受ける。もし、「EOS 7Dシリーズ」(特に「EOS 7D Mark II」)からの買い替えを検討していて操作感が気になるようであれば、一度実機に触れて確認してみてほしい。

真柄利行(編集部)
Writer / Editor
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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