レビュー

超薄型“クッキー”レンズ「LAOWA 10mm F4 Cookie」で超広角を楽しもう!

今回は、超広角のMFレンズ「LAOWA 10mm F4 Cookie」を紹介しよう。Cookie(クッキー)という名称が付けられた、ユニークな超薄型レンズだ。

「LAOWA 10mm F4 Cookie」は、APS-Cミラーレスカメラ用のMFレンズ。同レンズのニコンZマウント用を使って特徴をレビューする

「LAOWA 10mm F4 Cookie」は、APS-Cミラーレスカメラ用のMFレンズ。同レンズのニコンZマウント用を使って特徴をレビューする

LAOWAとは?

はじめに、LAOWA(ラオワ)というブランドついて簡単に紹介しておこう。

LAOWAは、中国の新興光学メーカーVenus Optics(安徽長庚光学、2013年創業)が手掛けるレンズブランド。小型・軽量な超広角レンズや、高倍率マクロレンズ、シフトレンズなど、ほかにはないようなユニークな表現を楽しめるMFレンズを多数ラインアップするのが特徴だ。

2016年に日本国内で販売を開始して以降、じわじわと知名度を上げ、目の肥えた写真愛好家から支持を集めるようになっている。

ちなみに、同メーカーの創始者・李大勇氏は、20年に亘って日系大手光学メーカーにて光学設計に従事した経歴を持っている。また、LAOWAというブランド名は、中国語で「年老いた蛙」を意味する「老蛙」に由来し、李大勇氏がインターネット上のハンドルネームとして使用していたとのことだ。

LAOWAの詳細は公式ページをご確認いただきたい。

LAOWAについて

全長約25mmながら焦点距離15mm相当の超広角を実現

全長約25mmの薄型筐体にフォーカスリングと絞りリングを搭載。金属の外装を採用し、高級感のあるデザインに仕上がっている

全長約25mmの薄型筐体にフォーカスリングと絞りリングを搭載。金属の外装を採用し、高級感のあるデザインに仕上がっている

今回紹介する「LAOWA 10mm F4 Cookie」は、LAOWAの小型・軽量な超広角レンズの中でも特にコンパクトな製品。APS-Cミラーレスカメラ用の設計で、キヤノンRFマウント用、ソニーEマウント用、ライカLマウント用、富士フイルムXマウント用、ニコンZマウント用が用意されている。

そのサイズは非常に小さく、最大径は約59.8mmで、全長は何と約25mm。重量も約130gしかない。このサイズで、35mm判換算で焦点距離15mm相当の画角を実現しているのだから驚かされる。

薄型レンズはその形状から「パンケーキレンズ」と呼ばれるが、本レンズの製品名にはCookie(クッキー)というワードが入っている。これは、パンケーキよりも薄いことを表現してのものだろう。

Cookieというネーミングのとおり、カメラに装着したときのサイズ感がとてもかわいらしい。今回はニコンのAPS-Cミラーレス「Z fc」に装着して撮影したが、「Z fc」のコンパクトでクラシカルなデザインと相性がよいと感じた。

薄くて軽いので、ボディキャップレンズとして活用してもよいだろう

薄くて軽いので、ボディキャップレンズとして活用してもよいだろう

本レンズは、マウント部を含めて金属の外装を採用するなど、高級感のあるデザインを実現しているのも見逃せない。MFレンズらしく絞りリングやフォーカスリングをしっかりと備えているうえ、絞りリングのクリック感やフォーカスリングのトルク感も上質だ。

外装だけでなくマウントも金属製。電子接点はなく、絞り値などのレンズの情報は伝わらない。カメラ側のレンズ補正機能も利用できない

外装だけでなくマウントも金属製。電子接点はなく、絞り値などのレンズの情報は伝わらない。カメラ側のレンズ補正機能も利用できない

超広角のコツは「被写体の生かし方」を考えること。「被写体のどこに寄るのか」も重要

続いて、実写作例を掲載して、本レンズの使いこなし方と写りの特徴を解説していこう。

本レンズを使いこなすうえで押さえておきたいのが画角の広さだ。35mm判換算で焦点距離15mm相当というのは、思った以上に広い範囲が写る。使い始めはその広さに圧倒され、構図を決めたり、画面を整理したりするのが難しく感じるかもしれない。しかし、画角に慣れてくると、このレンズの魅力にどっぷりはまるだろう。

超広角の使いこなしのコツは、さまざまなものが画面に入るため、画面からどう引き算するのかではなく、画面にフレーミングしてしまう被写体をどう生かすのかを考えること。こうすることで構図決定をスムーズに行えるようになる。

35mm判換算で焦点距離15mm相当の超広角のため、写真にいろいろな情報を入れ込むことができる。この写真では、川沿いの風景だけでなく、川の流れも一緒にフレーミングできているZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、9.1MB)

35mm判換算で焦点距離15mm相当の超広角のため、写真にいろいろな情報を入れ込むことができる。この写真では、川沿いの風景だけでなく、川の流れも一緒にフレーミングできている
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、9.1MB)

船だけを撮影しても迫力が出なかったため、少し屋根が入るようにフレーミングしている。それによって奥行き感のある写真に仕上がったZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、7.3MB)

船だけを撮影しても迫力が出なかったため、少し屋根が入るようにフレーミングしている。それによって奥行き感のある写真に仕上がった
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、7.3MB)

瓦屋根と桜を撮ろうと上を見上げたら、電信柱がフレームインしてしまった。どう頑張っても画面から外れないため、桜の枝と電線が交差するように構図を決定したZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/250秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、9.1MB)

瓦屋根と桜を撮ろうと上を見上げたら、電信柱がフレームインしてしまった。どう頑張っても画面から外れないため、桜の枝と電線が交差するように構図を決定した
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/250秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、9.1MB)

超広角レンズを使いこなすテクニックとしては、近くにある被写体にぐっと寄って遠近感を強調するのも重要だ。

下の2枚の写真は、漁港にあった棒状の被写体を違う視点で撮影している。被写体にどうアプローチするかで写り方が変わるため、いろいろ実験するのが楽しくなる。

広角レンズは少し離れたところから撮影すると、その場の雰囲気を広く表現できる。このシーンは棒が空へ伸びているように表現したかったので、縦位置で撮影しているZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(3712×5568、8.5MB)

広角レンズは少し離れたところから撮影すると、その場の雰囲気を広く表現できる。このシーンは棒が空へ伸びているように表現したかったので、縦位置で撮影している
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(3712×5568、8.5MB)

棒にぐっと近づきながら撮影を行った。そうすることで、手前が太くダイナミックに写り、遠くまで続いていくような奥行き感を表現することができたZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、6.5MB)

棒にぐっと近づきながら撮影を行った。そうすることで、手前が太くダイナミックに写り、遠くまで続いていくような奥行き感を表現することができた
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、6.5MB)

超広角レンズ特有の遠近感を生かすには、「被写体のどこに近づくか」がポイントだ。手前に配置した被写体がいちばん目立つため、どう被写体にアプローチしたら思いどおりに撮れるのか、アングルやポジションなどにこだわって構図を決定したい。

桜が咲く風景を撮影しようと思ったが、ただ撮影するだけでは散漫な写真になりそうだったため、右側に壁をフレーミング。こうすることで奥行き感を演出したZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、7.9MB)

桜が咲く風景を撮影しようと思ったが、ただ撮影するだけでは散漫な写真になりそうだったため、右側に壁をフレーミング。こうすることで奥行き感を演出した
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、7.9MB

建物の2階を撮影。1階部分の瓦屋根に大胆に近づいて撮影することで、迫力のある写真に仕上がったZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、6.8MB)

建物の2階を撮影。1階部分の瓦屋根に大胆に近づいて撮影することで、迫力のある写真に仕上がった
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、6.8MB

広角特有の歪みを良好に抑制。近接撮影にも強い

本レンズの性能では、広角特有の歪み(ディストーション)がしっかりと抑制されている点に注目したい。35mm判換算で焦点距離15mm相当の超広角なうえ、電子接点がなく、カメラ側の電子補正に頼れないにも関わらず、気になるような歪みはほぼ見られない。

本記事で掲載する作例を見ても、地平線や建物など、まっすぐに表現したい線が歪まずに表現できていることがわかるはずだ。画面の隅に線を配置しても歪まないため、自由な構図で撮影を楽しめる。

歪みをチェックするために、地面と建物の境目を構図の下端に配置し、空には電線を配置した。これだけ隅に線を配置しても歪みがないため、建築写真や風景写真にも安心して使えそうだZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、8.1MB)

歪みをチェックするために、地面と建物の境目を構図の下端に配置し、空には電線を配置した。これだけ隅に線を配置しても歪みがないため、建築写真や風景写真にも安心して使えそうだ
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、8.1MB)

さらに、本レンズは近接撮影に強いのも特徴だ。最短撮影距離は10cmで、被写体にぐっと寄って撮影ができる。遠近感を生かした表現が得やすいだけでなく、被写体を大きく写しながら背景を広く取り込む広角マクロ的な使い方も可能だ。開放F値はF4と暗めだが、被写体に近づけば、ボケを生かした表現も十分に楽しめる。

最短撮影距離付近で撮影を行った。菜の花に近づくことで背景が大きくボケて、一輪を際立たせることができた。絞り開放で撮影すると周辺減光が発生するため、日の丸構図とマッチしやすいZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F4、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、6.3MB)

最短撮影距離付近で撮影を行った。菜の花に近づくことで背景が大きくボケて、一輪を際立たせることができた。絞り開放で撮影すると周辺減光が発生するため、日の丸構図とマッチしやすい
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F4、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、6.3MB)

こちらも最短撮影距離付近で撮影。背景を広く入れ込んだ広角マクロ的な撮り方をしてみた。F5.6に絞り込むことで、葉のディテールをややシャープに表現できたZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F5.6、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、7.4MB)

こちらも最短撮影距離付近で撮影。背景を広く入れ込んだ広角マクロ的な撮り方をしてみた。F5.6に絞り込むことで、葉のディテールをややシャープに表現できた
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F5.6、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、7.4MB)

ボケすぎないようにF8まで絞った。絞ることで背景の情報が伝わりやすくなるため、スナップ撮影ではこれくらいの被写界深度が使いやすいかもしれないZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、6.8MB)

ボケすぎないようにF8まで絞った。絞ることで背景の情報が伝わりやすくなるため、スナップ撮影ではこれくらいの被写界深度が使いやすいかもしれない
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、6.8MB)

8群12枚のレンズ構成で色収差を抑制

本レンズは、薄型・軽量ながらEDレンズ4枚を含む8群12枚のレンズ構成を採用している。色収差はよく抑えられており、逆光時に目立つパープルフリンジもほとんど見当たらない。

また、絞り羽根の枚数は5枚で、光源に対して10本の光条を出すことができる。光源が強いとゴーストやフレアが出るが、表現のひとつとして楽しむとよいだろう。

光源の強さや光源を配置する場所によっては虹色のフレアが現れる。左側の建物の2階分を見てみると、虹色に光っているのがわかるZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/2000秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、5.9MB)

光源の強さや光源を配置する場所によっては虹色のフレアが現れる。左側の建物の2階分を見てみると、虹色に光っているのがわかる
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、1/2000秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、5.9MB)

F11に絞って撮影。絞り込むことで10本の光条を出すことができる。線の細いシャープな光条のため、輝きを表現しながらも主張しすぎないのがよいZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F11、1/640秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、5.5MB)

F11に絞って撮影。絞り込むことで10本の光条を出すことができる。線の細いシャープな光条のため、輝きを表現しながらも主張しすぎないのがよい
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F11、1/640秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、5.5MB)

絞り値別の写りをチェック

次に絞り値による写りの違いを紹介したい。

下記の作例は、それぞれF4/F5.6/F8/F11/F16/F22の絞り値で撮影している。

絞り値F4

超広角の絞り開放なので、さすがに全体的にやわらかい描写で、周辺も大きく減光している。ただ、レンズのサイズ感を考慮すると、中央から周辺まで比較的写りは安定している印象で、周辺は極端に大きく流れているわけではない。開放ではニュアンスのある写りを楽しめると言えるだろうZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F4、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、8.3MB)

超広角の絞り開放なので、さすがに全体的にやわらかい描写で、周辺も大きく減光している。ただ、レンズのサイズ感を考慮すると、中央から周辺まで比較的写りは安定している印象で、周辺は極端に大きく流れているわけではない。開放ではニュアンスのある写りを楽しめると言えるだろう
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F4、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、8.3MB)

絞り値F5.6

等倍で画面中央の城を見ると、F4と比べてシャープさが少し増しているのがわかる。ただ、レンズの性能を引き出したいのなら、もう少し絞ったほうがよいZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F5.6、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、8.7MB)

等倍で画面中央の城を見ると、F4と比べてシャープさが少し増しているのがわかる。ただ、レンズの性能を引き出したいのなら、もう少し絞ったほうがよい
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F5.6、1/800秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
影写真(5568×3712、8.7MB)

絞り値F8

F8に絞ると、中央だけでなく、周辺の画質もだいぶ安定するため、風景など画面全体にピントを合わせて、少しでもシャープに表現したいときはF8かF11を選択するとよいだろう。このあたりが本レンズのスイートスポットと言えそうだZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/400秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、9.0MB)

F8に絞ると、中央だけでなく、周辺の画質もだいぶ安定するため、風景など画面全体にピントを合わせて、少しでもシャープに表現したいときはF8かF11を選択するとよいだろう。このあたりが本レンズのスイートスポットと言えそうだ
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/400秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、9.0MB)

絞り値F11

F8と同様に安定した画質を得られている。絞ることで、少しずつ周辺減光が改善されているのがわかるZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F11、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、9.2MB)

F8と同様に安定した画質を得られている。絞ることで、少しずつ周辺減光が改善されているのがわかる
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F11、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、9.2MB)

絞り値F16

F16あたりから、回折現象による画質の劣化が見られるZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F16、1/100秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、8.9MB)

F16あたりから、回折現象による画質の劣化が見られる
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F16、1/100秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、8.9MB)

絞り値F22

F16よりも城や木々のシャープさが失われているのがわかるZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F22、1/50秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、8.2MB)

F16よりも城や木々のシャープさが失われているのがわかる
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F22、1/50秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、8.2MB)

本レンズは、絞り値によって写りのキャラクターが変わるのが面白い。開放F4では全体的にやわらかく、かつ周辺が大きく減光するため、味のある写真に仕上がる。ノスタルジックな仕上がり設定との相性がよさそうだ。

いっぽう、F5.6からF11あたりにまで絞ると画質はより安定する。中央から周辺まで高精細に表現するというよりは少しニュアンスのある写りで、やわらかさを残しながらも被写体を適度にシャープに表現できる。

周辺減光については、絞ることで少しずつ改善していく。周辺減光好きの筆者としてはF4やF5.6くらいの光量の落ち方が好みだ。周辺減光のおかげで画面中央にある被写体が引き立つので、日の丸構図の写真をより印象的に仕上げられる。

開放F4で撮影することで、やわらかくニュアンスのある表現を楽しむことができる。作業中の2人に声をかけて撮影させてもらったが、モノクロの効果と組み合わせることで、味わい深い写真に仕上げることができたZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F4、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない

開放F4で撮影することで、やわらかくニュアンスのある表現を楽しむことができる。作業中の2人に声をかけて撮影させてもらったが、モノクロの効果と組み合わせることで、味わい深い写真に仕上げることができた
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F4、1/1000秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない

何気ない路地の風景だが、美しいグラデーションの周辺減光がドラマチックな雰囲気を演出してくれた。この写真は開放F4で撮っているZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F4、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、4.1MB)

何気ない路地の風景だが、美しいグラデーションの周辺減光がドラマチックな雰囲気を演出してくれた。この写真は開放F4で撮っている
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F4、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、4.1MB)

絞り値によって周辺光量の落ち具合を調整できるため、被写体のイメージに合わせて絞り値を選択するとよいだろう。この写真はF8で撮影しているZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、3.6MB)

絞り値によって周辺光量の落ち具合を調整できるため、被写体のイメージに合わせて絞り値を選択するとよいだろう。この写真はF8で撮影している
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、3.6MB)

F8まで絞ることによって、絞り開放のやわらかさから一変してシャープに表現できる。木の枝の1本1本が鮮明に写り、ビルのディテールもしっかりと表現できているZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/640秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、5.5MB)

F8まで絞ることによって、絞り開放のやわらかさから一変してシャープに表現できる。木の枝の1本1本が鮮明に写り、ビルのディテールもしっかりと表現できている
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/640秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、5.5MB)

パンフォーカスでスナップ撮影を楽しむのもよい

本レンズはMFのため、しっかりとピントを合わせたい場合は、ピント位置の拡大表示機能やピーキング機能を活用しながら撮りたい。特に開放F4での近接撮影時は被写界深度が浅くなるため注意が必要だ。

ただ、スナップ撮影やノーファインダー撮影で活用するのなら、超広角を生かし、F8〜F11くらいまで絞って被写体深度を深くし、パンフォーカスで撮影するとよいだろう。こうすることで、ピント合わせの時間を省略でき、瞬間的にシャッターを切ることができる。

おおまかな被写界深度がわかる目盛りが用意されているので、うまく活用したい。たとえば、F11で無限遠に設定すると、大体40cmから無限遠までピントが合うことがわかる

おおまかな被写界深度がわかる目盛りが用意されているので、うまく活用したい。たとえば、F11で無限遠に設定すると、大体40cmから無限遠までピントが合うことがわかる

F8に絞ることでほぼパンフォーカスになるため、シャッターチャンスに注視できる。この写真では、普通に撮影すると散漫な写真になりそうだったため、左側の壁を大胆にフレーミングした。ぐっと寄ることで路地の奥行きを表現できているZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/50秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:デニム、アクティブD-ライティング:しない

F8に絞ることでほぼパンフォーカスになるため、シャッターチャンスに注視できる。この写真では、普通に撮影すると散漫な写真になりそうだったため、左側の壁を大胆にフレーミングした。ぐっと寄ることで路地の奥行きを表現できている
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/50秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:デニム、アクティブD-ライティング:しない

上の作例と同じ路地で、見上げて撮影している。超広角のため、狭い空間でも広がりを表現できる。F8に絞ることでシャープに表現できるため、ビルの質感も伝わる写真に仕上がったZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/2500秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない撮影写真(5568×3712、5.3MB)

上の作例と同じ路地で、見上げて撮影している。超広角のため、狭い空間でも広がりを表現できる。F8に絞ることでシャープに表現できるため、ビルの質感も伝わる写真に仕上がった
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/2500秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない
撮影写真(5568×3712、5.3MB)

歩道橋の上から真下を撮影。手前に写った柵を見ると、周辺でも線がまっすぐに表現されているのがわかる。歪みが補正されるため、建物も安心して撮影できるZ fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/250秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない

歩道橋の上から真下を撮影。手前に写った柵を見ると、周辺でも線がまっすぐに表現されているのがわかる。歪みが補正されるため、建物も安心して撮影できる
Z fc、LAOWA 10mm F4 Cookie、10mm(35mm判換算15mm相当)、F8、1/250秒、ISO100、ホワイトバランス:晴天、クリエイティブピクチャーコントロール:カーボン、アクティブD-ライティング:しない

まとめ 周辺減光好きにはたまらない超広角レンズ

「LAOWA 10mm F4 Cookie」は「超薄型で超広角」という、ほかにはない特徴を持つユニークなレンズだ。

写りは、開放F4だとやわらかく、F8まで絞るとある程度シャープに。被写体のイメージに合わせて絞り値を変えることで多彩な表現を楽しめる。周辺減光のグラデーションが美しく、周辺減光好きにはたまらない1本と言えそうだ。

本レンズのニコンZマウント用の価格.com最安価格(2023年6月26日時点)は54,450円。金属の外装と良質な操作感を考慮すると、なかなかお買い得なレンズではないだろうか。

35mm判換算で焦点距離15mm相当の超広角は、どの被写体にどう近づくかで写真の印象が大きく変わる。ぜひ、本レンズを手に入れて、いろいろと実験しながら、マニュアル操作での超広角撮影を楽しんでほしい。

コムロミホ

コムロミホ

文化服装学院でファッションを学び、ファッションの道へ。撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラファーを志すことを決意。アシスタントを経て、現在は広告や雑誌で活躍。街スナップをライフワークに旅を続けている。カメラに関する執筆や講師も行う。
また、YouTubeチャンネル「写真家夫婦上田家」「カメラのコムロ」でカメラや写真の情報を配信中。カメラや写真が好きな人が集まるアトリエ「MONO GRAPHY Camera & Art」をオープン。

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