今回は、「X-S20」とMFレンズ「NOKTON 35mm F0.9 Aspherical」の組み合わせ
連載「今日も、カメラと一緒に」第5回の相棒は、富士フイルムのAPS-Cミラーレスカメラ「X-S20」。フィルムを交換するように被写体に合わせて写真のテイストを変えられる「フィルムシミュレーション」を搭載する小型・軽量カメラで、ちょっとした旅撮影のお供にもってこいの1台です。
旅行日:2023年9月下旬
こんにちは、写真家の金森玲奈です。
今回の相棒カメラは富士フイルムの「X-S20」です。フィルムカメラ時代は富士フイルムのフィルムや印画紙のお世話になっていたのですが、同社の一眼カメラを使うのは実は初めて。今回、「X-S20」を選んだ理由は「フィルムシミュレーション」という機能を使ってみたかったからです。
デジタルカメラは、カメラメーカーごとに名称は異なりますが、撮影シーンに合わせたカラースタイルがありますよね。富士フイルムはこれをかつてのフィルムのテイストを再現するという、他メーカーと一線を画す方向性を打ち出しています。
選べるフィルム(モード)も「Velvia」や「ACROS」など、銀塩カメラユーザーだった人にはキュンとくるフィルムがチョイスされていて、フィルムを交換するように(でもフィルムより身軽に)写真のテイストを変える楽しさを味わわせてくれます。
そして、「X-S20」のフィルムライクな描写をより引き立ててくれるレンズとしてチョイスしたのが、コシナ「フォクトレンダー」ブランドの超大口径MFレンズ「NOKTON 35mm F0.9 Aspherical」。「X-S20」と「NOKTON 35mm F0.9 Aspherical」の組み合わせで夏の気配が残る熱海に出かけました。
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F0.9、1/4000秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、13.7MB)
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F22、0.5秒、ISO200、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、13.0MB)
街のあちこちで美味しそうな干物に遭遇X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F0.9、1/1100秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、11.4MB)
ここ数年、観光地としての再注目されている熱海。「映える」海鮮丼やおしゃれでかわいいカフェなどが若者に人気らしく、駅から少し離れた熱海銀座は平日にも関わらずたくさんの人で賑わっていました。
大行列を横目に、路地裏にあるお目当ての昭和レトロな喫茶店「ボンネット」に向かうと入り口に満席の札が。
まさかの満席……
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F2、1/750秒、ISO160、-1.0EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、10.9MB)
あきらめて引き返そうとすると、隣がちいさなお土産物屋さんなことに気がつき、せっかくなので覗いてみることに。お店オリジナルロゴのTシャツやグラスのほか、熱海で昔から営業しているお店の看板をキーホルダーにしたものなどそそられるグッズがたくさんで、そのなかに、行きたかった「ボンネット」さんの看板キーホルダーを発見して思わず購入してしまいました。
「ボンネット」さんにフラれてしまったので、同じくレトロさでは負けない純喫茶「パインツリー」さんでひと休み
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F0.9、1/2700秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、9.5MB)
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F2.0、1/125秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、11.0MB)
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F1.4、1/105秒、ISO640、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、11.0MB)
次回はぜひともリベンジを
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F2.8、1/15秒、ISO800、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、11.3MB)
9月とはいえまだまだ暑い日だったので迷わずクリームソーダを注文。買ったばかりの「ボンネット」さんのキーホルダーを眺めながら、せっかく熱海に来たのだからやはり海は見なければと思い立ち、昭和テイストが残る路地裏を巡りながら海を目指すことに。
熱海の路地裏にはひみつがあるX-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F1.4、1/125秒、ISO160、-1.0EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、10.3MB)
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F0.9、1/120秒、ISO160、-1.0EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、9.5MB)
橋の向こうに海発見!X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F2.0、1/1800秒、ISO160、-0.3EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、11.7MB)
誰かの足跡も発見
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F2.0、1/210秒、ISO160、-0.3EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、13.9MB)
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F0.9、1/900秒、ISO160、+1.3EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、9.2MB)
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F0.9、1/640秒、ISO160、+1.3EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、8.3MB)
遠くに熱海城
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F4.0、1/640秒、ISO160、+2.3EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、7.5MB)
初島行きのフェリーが出航
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F4.0、1/480秒、ISO160、+2.3EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、9.0MB)
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F4.0、1/105秒、ISO1000、+2.3EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、8.1MB)
青春ですねX-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F0.9、1/4000秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
熱海を舞台にした小説「金色夜叉」のマンホール。貫一、いつ見てもなんてヒドイやつ……
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F2.8、1/170秒、+0.3EV、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、14.0MB)
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F2.8、1/1100秒、+1.3EV、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、8.7MB)
歩き疲れたころにやっと駅にたどり着いたので、疲労回復のため糖分補給をすべく駅前のアーケード街へ。美味しそうな匂いがあちこちから漂う中、「あたみ」の焼き印がかわいいおまんじゅうをゲットして、大満足な旅の終わりになりました。
おまんじゅうでHP回復
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F0.9、1/105秒、ISO200、+1.6EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、9.0MB)
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F0.9、1/1000秒、ISO160、+2EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、6.7MB)
旅から帰った次の日は、お土産物屋さんでひと目惚れしたグラスでサイダーを飲みながら写真を見返して旅気分をプレイバック。その後、アーケード入口のお店で見つけた猫専用のなまり節を留守番してくれていた次男猫へ献上しました。
ねこ様用!
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F2.8、1/105秒、ISO400、+0.3EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、12.3MB)
完食!!
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F2.8、1/105秒、ISO1000、+0.6EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、12.3MB)
「X-S20」はしっかりとしたグリップを採用する一眼カメラらしいカメラです
今回、熱海旅に連れて行った富士フイルムの「X-S20」は、有効約2160万画素のAPS-Cカメラです。小型・軽量ながらホールド性の高いグリップや大容量バッテリーを採用しているので、旅に連れ出すのに最適。また、ボディ内5軸手ブレ補正を搭載しており、最大7.0段分の手ブレ補正(「XF35mmF1.4 R」装着時)を実現しています。
「ノスタルジックネガ」など19種類の「フィルムシミュレーション」を選べます
記事冒頭で触れた「フィルムシミュレーション」は19種類を搭載。個人的にスタンダードなモードがポジフィルムの「PROVIA」なことに密かに度肝を抜かれました。
色の再現性のよさから選ばれたのでしょうが、ポジフィルムは現在のJPEGのように撮ったときの撮影設定で像が記録されるため、後から色味や明るさを補正することが難しい撮影条件にシビアなフィルムと認識していたので、基本となるモードがポジベースなことに勝手にドキドキしてしまいました。
私は銀塩時代にネガフィルムを使っていたので、今回はやはりネガフィルムベースのものにしようと旅行前にあれこれ試してみました。当時ブローニーカメラで使っていた「NS160」をベースにした「PRO Neg.Std」も心惹かれたのですが、今回の熱海旅では、子どものころ、家のアルバムに貼ってあった写真の雰囲気に似ていた「ノスタルジックネガ」をチョイスしました。
開放F0.9の超大口径が特徴の「NOKTON 35mm F0.9 Aspherical」
そして今回のもうひとり(ひとつ?)の主役は、2023年8月23日に発売された、コシナ「フォクトレンダー」ブランドの「NOKTON 35mm F0.9 Aspherical」です。「フォクトレンダー」の富士フイルムXマウント用としては最も明るいF0.9の開放絞り値を実現しているほか、金属製ボディならではの絞りリングを回したときのカチカチという感触や、フォーカスリングの操作性が心地よいMFレンズです。
絞り開放(F0.9)だと被写界深度が浅いため、マニュアルでピントを合わせるのは難しそうと思われるかもしれませんが、背面モニター横にある丸いボタン(フォーカスレバー)を押すと簡単に拡大表示されるので、ピント合わせも苦になりません。
また、このレンズのよさは浅い絞り値でもピントが合った瞬間に像が浮かび上がるようなキリッとしたピント面の描写と、とろけるようなボケのやわらかさです。背景に玉ボケがあるシーンなどできっとそのよさを実感してもらえると思います。
さて、次の相棒と今度はどこへ行こう。
X-S20、NOKTON 35mm F0.9 Aspherical、F1.4、1/105秒、ISO400、+1.6EV、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:ノスタルジックネガ
撮影写真(6240×4160、9.4MB)
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