選び方・特集

デジタルモノクロで撮るポートレートの魅力に迫る! 最新4機種を撮り比べ

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最近のデジタル一眼カメラは、モノクロの絵作りに力を入れた機種が数多く登場している。メーカーやカメラ独自のモノクロモードを搭載するだけでなく、モノクロでしか撮影できない専用機もあるほどだ。今回は個性的なモノクロモードを搭載した4機種を使い、デジタルモノクロで撮るポートレートの魅力を解説していく。

今回の撮影で使用したカメラ。右からニコン「Z f」、パナソニック「LUMIX G9PROII」、リコーイメージング「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」、富士フイルム「X-T5」。フルサイズからAPS-C、マイクロフォーサーズと、それぞれのセンサーサイズで用意した。いずれもモノクロ表現に造詣の深い機種だ

今回の撮影で使用したカメラ。右からニコン「Z f」、パナソニック「LUMIX G9PROII」、リコーイメージング「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」、富士フイルム「X-T5」。フルサイズからAPS-C、マイクロフォーサーズと、それぞれのセンサーサイズで用意した。いずれもモノクロ表現に造詣の深い機種だ

掲載する写真作例について
すべてJPEG形式の最高画質で撮影しています。一部、撮影後に肌の質感をレタッチしています。

デジタルモノクロ新時代に突入した今、モノクロポートレートが面白い!

モノクロには色の情報を省くことで、被写体そのものの魅力を引き出す効果がある。ポートレートの場合、人物の存在感はモノクロのほうが強調しやすい。表情やしぐさ、視線などをより印象的に表現できる。日ごろ見ているものがカラーなので、新鮮な視点を得やすいのも魅力だろう。そういった意味でも、ポートレートはカラーに加え、モノクロでも撮ってみたい。より表現に幅が生まれる。

窓際のやわらかい光を使って撮影した。こうした繊細な光のトーン、立体感を表現するのにモノクロは向いているPENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/320秒、-1EV、ISO200、カスタムイメージ:スタンダード撮影写真(6192×4128、8.3MB)

窓際のやわらかい光を使って撮影した。こうした繊細な光のトーン、立体感を表現するのにモノクロは向いている
PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/320秒、-1EV、ISO200、カスタムイメージ:スタンダード
撮影写真(6192×4128、8.3MB)

今回モノクロポートレートに注目したのは、デジタルモノクロの表現力の高まりがその大きな一因だ。メーカー独自のこだわりのモノクロモードを搭載した機種が増え、ひと口にモノクロといっても、多彩な撮影が楽しめるようになった。

フィルム時代に撮影内容に合わせてモノクロフィルムを選んだように、デジタルモノクロでポートレートを撮る場合でも、こだわった絵作りが可能だ。今まさしくデジタルカメラは、モノクロ表現の新時代に突入しているわけなのである。

次項目からは、モノクロに定評のある最新のデジタル一眼カメラ4機種をそれぞれレビューしていく。搭載されているモノクロ機能を解説するとともに、機種ごとのモノクロポートレートのおすすめカスタマイズも紹介する。

ニコン「Z f」 硬調から軟調まで3種類のモノクロモードを選べる

「Z f」のサイズは約144(幅)×103(高さ)×49(奥行)mmで、重量は約710g(バッテリー、カードを含む)。開放F1.2の大口径を実現した中望遠・単焦点レンズ「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」を組み合わせて撮影した

「Z f」のサイズは約144(幅)×103(高さ)×49(奥行)mmで、重量は約710g(バッテリー、カードを含む)。開放F1.2の大口径を実現した中望遠・単焦点レンズ「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」を組み合わせて撮影した

「Z f」は、有効2450万画素のフルサイズミラーレス。フルサイズ機としては驚くほどにスタイリッシュでコンパクトなのが魅力で、携帯するよろこびが感じられる1台だ。ちなみに「Z f」は、私が今でも愛用しているフィルム一眼レフ「FM2」をモチーフにしたヘリテージデザインを採用している。

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本機のモノクロ機能の大きな特徴は、通常の「モノクローム」に加え、「フラットモノクローム」と「ディープトーンモノクローム」の計3種類のモノクロモードを選択できることだ。直感的にカラーとモノクロを切り替えられる専用レバーも搭載されている。

シャッタースピードダイヤルと同軸に専用のセレクターが用意されている。「B&W」にセットするとモノクロモードのみが選択が可能になる

シャッタースピードダイヤルと同軸に専用のセレクターが用意されている。「B&W」にセットするとモノクロモードのみが選択が可能になる

3種類のモノクロモードはピクチャーコントロールから選択する

3種類のモノクロモードはピクチャーコントロールから選択する

モノクロモードは個別に詳細を設定できる。コントラストや明るさ、フィルター効果、調色などの変更が可能だ

モノクロモードは個別に詳細を設定できる。コントラストや明るさ、フィルター効果、調色などの変更が可能だ

「モノクローム」で撮影

汎用性のあるモノクロモードだが、シャープで高コントラストな印象。シャドウの締まりがいい。アーティスティックな描写も楽しめる。ポートレートでも使い勝手がよさそうだZ f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、絞り優先オート、F1.2、1/40秒、ISO100、ピクチャーコントロール:モノクローム撮影写真(6048×4032、5.0MB)

汎用性のあるモノクロモードだが、シャープで高コントラストな印象。シャドウの締まりがいい。アーティスティックな描写も楽しめる。ポートレートでも使い勝手がよさそうだ
Z f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、絞り優先オート、F1.2、1/40秒、ISO100、ピクチャーコントロール:モノクローム
撮影写真(6048×4032、5.0MB)

「フラットモノクローム」で撮影

中間調が豊かでやわらかな印象で仕上がる。明暗のグラデーションが滑らかなので、繊細な肌の質感を表現するのに向いている。ポートレートの撮影では最も扱いやすいのではなかろうかZ f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、絞り優先オート、F1.2、1/1250秒、+1EV、ISO100、ピクチャーコントロール:フラットモノクローム撮影写真(6048×4032、4.4MB)

中間調が豊かでやわらかな印象で仕上がる。明暗のグラデーションが滑らかなので、繊細な肌の質感を表現するのに向いている。ポートレートの撮影では最も扱いやすいのではなかろうか
Z f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、絞り優先オート、F1.2、1/1250秒、+1EV、ISO100、ピクチャーコントロール:フラットモノクローム
撮影写真(6048×4032、4.4MB)

「ディープトーンモノクローム」で撮影

赤の感度が高く、青の感度が低いのが特徴。青空は暗く、唇などの赤色は明るめに再現される。印象的なのは、シャドウ側の階調が豊かで、質感が暗部にもしっかり残りやすいことだ。落ち着きある重厚な雰囲気で被写体をとらえられる。ここでは美肌効果を標準で適用。やや明るいシーンに対して-0.7EVの露出補正をしているが、仕上がりは標準露出よりも1段ほど明るい印象だZ f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、絞り優先オート、F1.2、1/8000秒、-0.7EV、ISO100、ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム撮影写真(4032×6048、6.9MB)

赤の感度が高く、青の感度が低いのが特徴。青空は暗く、唇などの赤色は明るめに再現される。印象的なのは、シャドウ側の階調が豊かで、質感が暗部にもしっかり残りやすいことだ。落ち着きある重厚な雰囲気で被写体をとらえられる。ここでは美肌効果を標準で適用。やや明るいシーンに対して-0.7EVの露出補正をしているが、仕上がりは標準露出よりも1段ほど明るい印象だ
Z f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、絞り優先オート、F1.2、1/8000秒、-0.7EV、ISO100、ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム
撮影写真(4032×6048、6.9MB)

「Z f」 使いこなしポイント1
繊細な肌の質感表現は「フラットモノクローム」がぴったり

「Z f」は、ポートレート撮影では「フラットモノクローム」が扱いやすく、利用時のひとつの目安になるかもしれない。肌の明暗の繊細なグラデーションを美しく表現できる。特に陰影を印象的に表現したいシーンなどで持ち味を発揮しそうだ。立体感に物足りなさを感じる場合は、調整項目を自分好みに変更してみよう。

今回使用した「NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」のような明るいレンズとも相性がいい。浅い被写界深度でやわらかいトーンをさらに演出できる。

「フラットモノクローム」で撮影

ガラス越しに、窓から入るやわらかい自然光を利用した。暗部も明部もやわらかく質感が再現されているZ f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、絞り優先オート、F1.3、1/500秒、-0.7EV、ISO100、ピクチャーコントロール:フラットモノクローム撮影写真(6048×4032、5.9MB)

ガラス越しに、窓から入るやわらかい自然光を利用した。暗部も明部もやわらかく質感が再現されている
Z f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、絞り優先オート、F1.3、1/500秒、-0.7EV、ISO100、ピクチャーコントロール:フラットモノクローム
撮影写真(6048×4032、5.9MB)

「Z f」 使いこなしポイント2
「ディープトーンモノクローム」はフィルター効果を活用しよう

「Z f」でのポートレート撮影時にひとつ注意したいのが、全体的に赤色が明るく浮き上がる「ディープトーンモノクローム」だ。「ディープトーンモノクローム」はR(赤)フィルターが元から適用されているのだが、ポートレートで使用すると、やや違和感のある仕上がりになるかもしれない。

こんなときは調整項目内でフィルター効果の「G」を適用してみるのがいいだろう。Gフィルターは肌色や唇を落ち着いた色調で再現できるポートレート向きのフィルター。強制的にRフィルターは解除されるが、シャドウ側の質感描写などは、特徴がしっかり残り重厚なトーンで描写できる。

以下の2枚の作例でGフィルターの効果を確認してほしい。全体的に黄色みの強い白熱灯下で撮影しているが、Gフィルターを適用した写真は自然な仕上がりで、個人的にはこちらが好みだ。なお、「ディープトーンモノクローム」でコントラストを弱めたいときはフィルター効果のY(黄)、O(オレンジ)、R(赤)を設定してみよう。

「ディープトーンモノクローム」+フィルター効果なし

Z f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、マニュアル露出、F2、1/30秒、ISO100、ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム撮影写真(6048×4032、6.8MB)

Z f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、マニュアル露出、F2、1/30秒、ISO100、ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム
撮影写真(6048×4032、6.8MB)

「ディープトーンモノクローム」+フィルター効果G

Z f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、マニュアル露出、F2、1/30秒、ISO100、ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム撮影写真(6048×4032、5.9MB)

Z f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、マニュアル露出、F2、1/30秒、ISO100、ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム
撮影写真(6048×4032、5.9MB)

富士フイルム「X-T5」 黒の締まりのいい「ACROS」を楽しもう!

「X-T5」のサイズは約129.5(幅)×91(高さ)×63.8(奥行)mmで、重量は約557g(バッテリー、カードを含む)。今回は、35mm判換算で焦点距離85mm相当の中望遠・単焦点レンズ「XF56mmF1.2 R WR、56mm」を使用した。接写も得意とする万能レンズだ

「X-T5」のサイズは約129.5(幅)×91(高さ)×63.8(奥行)mmで、重量は約557g(バッテリー、カードを含む)。今回は、35mm判換算で焦点距離85mm相当の中望遠・単焦点レンズ「XF56mmF1.2 R WR、56mm」を使用した。接写も得意とする万能レンズだ

「X-T5」は有効4020万画素のAPS-Cミラーレス。デザイン性にすぐれていることに加えて、フラグシップ機「X-H2」の高性能な静止画撮影機能を引き継いでいるのも魅力の1台だ。

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本機にはモノクロモードとして「ACROS」と「モノクロ」の2種類が用意されている。いずれも仕上がり設定の「フィルムシミュレーション」から選択するが、ほかのメーカーと異なり、富士フイルムは選択した仕上がり設定ごとに画質の詳細を調整する仕組みを取っていない(フィルター効果の適用は可能)。トーンなどを細かく追い込みたい場合は、メニューの「画質設定」から全体の値を調整する必要がある。「フィルムシミュレーション」ごとに好みの設定値がある場合は、カスタム登録機能をうまく活用すると手間が省けておすすめだ。

モノクロは「ACROS」と「モノクロ」の2種類。「フィルムシミュレーション」から設定する。各モードではフィルター効果を適用でき、STD、Ye、R、Gから選べる。今回の撮影では多くの場面で、ポートレート向きのGフィルターを適用した

モノクロは「ACROS」と「モノクロ」の2種類。「フィルムシミュレーション」から設定する。各モードではフィルター効果を適用でき、STD、Ye、R、Gから選べる。今回の撮影では多くの場面で、ポートレート向きのGフィルターを適用した

トーンやシャープネスなどの細かい設定は、メニューの「画質設定」から変更する仕組みだ

トーンやシャープネスなどの細かい設定は、メニューの「画質設定」から変更する仕組みだ

「ACROS」と「モノクロ」の違いは、「ACROS」のほうがコントラストが強く、かつシャープな仕上がりになる。黒の締まりがよいため、シャドウ側を生かしながら、力強い仕上がりを演出したい場面では「ACROS」を使ってみたいところだ。

いっぽう、「モノクロ」は、黒の見え方が軟調なのが特徴で、肌の質感はやわらかく見える。たとえば、寄りで肌の質感をきれいに再現したい場合は「モノクロ」を使い、引きで周囲の要素を取り込みながらスナップポートレートを撮りたいときには「ACROS」を使うなど、表現意図に応じて使い分けてみるのもいいだろう。

「ACROS」で撮影

周囲の要素を取り込みながら、メリハリのある描写を目指した。黒の締まりがいいX-T5、XF56mmF1.2 R WR、56mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.2、1/1100秒、-0.3EV、ISO125、フィルムシミュレーション:ACROS撮影写真(7728×5152、16.8MB)

周囲の要素を取り込みながら、メリハリのある描写を目指した。黒の締まりがいい
X-T5、XF56mmF1.2 R WR、56mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.2、1/1100秒、-0.3EV、ISO125、フィルムシミュレーション:ACROS
撮影写真(7728×5152、16.8MB)

「モノクロ」で撮影

逆光を使い、やわらかいトーンで肌の質感を再現したX-T5、XF56mmF1.2 R WR、56mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.2、1/1250秒、+1EV、ISO125、フィルムシミュレーション:モノクロ撮影写真(7728×5152、10.2MB)

逆光を使い、やわらかいトーンで肌の質感を再現した
X-T5、XF56mmF1.2 R WR、56mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.2、1/1250秒、+1EV、ISO125、フィルムシミュレーション:モノクロ
撮影写真(7728×5152、10.2MB)

「X-T5」 使いこなしポイント
「グレイン・エフェクト」や「モノクローム カラー」をアクセントに

「X-T5」では、「フィルムシミュレーション」の「ACROS」と「モノクロ」をうまく使い分けながら撮影したい。その際、自分好みのトーンに調整するのに格好のアクセントになるのが、「グレイン・エフェクト」と「モノクローム カラー」だ。かなり細かく調整できるのが他メーカーと異なるところである。

「グレイン・エフェクト」は、画像に粒状感を加えられる機能。フィルムの質感を思わせるような独特の風合いを写真に付加できる。この際、感度を高感度に設定するのもおすすめだ。ざらついた退廃的な雰囲気でモノクロポートレートが撮れる。

「グレイン・エフェクト」は粒状の濃さと粒度の大きさをそれぞれに微調整できる。粒状感を演出できる機能はほかのメーカーにもあるが、ここまで詳細に内容を調整できるのは珍しい

「グレイン・エフェクト」は粒状の濃さと粒度の大きさをそれぞれに微調整できる。粒状感を演出できる機能はほかのメーカーにもあるが、ここまで詳細に内容を調整できるのは珍しい

「ACROS」+「グレイン・エフェクト」で撮影

「グレイン・エフェクト」を強度「強」、粒度「大」に設定し、ISO6400の高感度で撮影した。違和感のない粒状感で自然な仕上がりだ。そもそもモノクロフィルムの「ACROS」は超微粒子の滑らかな階調がウリだが、あえてこうして粒状感を付加できるのはデジタルならではだX-T5、XF56mmF1.2 R WR、56mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.2、1/3200秒、-0.7EV、ISO6400、フィルムシミュレーション:ACROS撮影写真(5152×7728、22.8MB)

「グレイン・エフェクト」を強度「強」、粒度「大」に設定し、ISO6400の高感度で撮影した。違和感のない粒状感で自然な仕上がりだ。そもそもモノクロフィルムの「ACROS」は超微粒子の滑らかな階調がウリだが、あえてこうして粒状感を付加できるのはデジタルならではだ
X-T5、XF56mmF1.2 R WR、56mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.2、1/3200秒、-0.7EV、ISO6400、フィルムシミュレーション:ACROS
撮影写真(5152×7728、22.8MB)

「モノクローム カラー」はモノクロ画像を調色できる機能。これもどのメーカーのカメラにも搭載されているのだが、富士フイルムの場合、かなり細かく調色の度合いを変更できるのがポイントだ。

「モノクローム  カラー」は図表を見ながら設定できるのでわかりやすい。W(Warm)、C(Cool)、G(Green)、M(Magenta)に対し、W/C軸、G/M軸で調整できる。細かく微調整できるのがいい

「モノクローム カラー」は図表を見ながら設定できるのでわかりやすい。W(Warm)、C(Cool)、G(Green)、M(Magenta)に対し、W/C軸、G/M軸で調整できる。細かく微調整できるのがいい

「ACROS」+「モノクローム カラー」で撮影

「モノクローム  カラー」をWC軸+5、MG軸-3に設定して撮影した1枚。各色を混ぜながら、複雑な調色で描写できる。なお、「X-T5」では、セピアも「フィルムシミュレーション」から選択できるX-T5、XF56mmF1.2 R WR、56mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/30秒、ISO125、フィルムシミュレーション:ACROS撮影写真(7728×5152、24.0MB)

「モノクローム カラー」をWC軸+5、MG軸-3に設定して撮影した1枚。各色を混ぜながら、複雑な調色で描写できる。なお、「X-T5」では、セピアも「フィルムシミュレーション」から選択できる
X-T5、XF56mmF1.2 R WR、56mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/30秒、ISO125、フィルムシミュレーション:ACROS
撮影写真(7728×5152、24.0MB)

パナソニック「LUMIX G9PROII」 5つのモードでモノクロ表現を追求できる

「LUMIX G9PROII」のサイズは約134.3(幅)×102.3(高さ)×90.1(奥行)mmで、重量は約658g(バッテリー、カードを含む)。組み合わせたレンズは「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.」。ライカによる厳しい光学基準をクリアした、35mm判換算で焦点距離85mm相当の中望遠・単焦点レンズだ

「LUMIX G9PROII」のサイズは約134.3(幅)×102.3(高さ)×90.1(奥行)mmで、重量は約658g(バッテリー、カードを含む)。組み合わせたレンズは「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.」。ライカによる厳しい光学基準をクリアした、35mm判換算で焦点距離85mm相当の中望遠・単焦点レンズだ

「LUMIX G9PROII」は有効2521万画素のマイクロフォーサーズミラーレス。「LUMIX Gシリーズ」のフラグシップ機にあたる。

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2023/09/13 10:22

本機は“瞬撮”をひとつのウリにしたカメラだ。シリーズ最高のAF性能と連写性能を備えていて、これはポートレートの撮影でも当然ながら多いに役立つ。いっぽうで、本機はモノクロにも力を入れており、5つのモノクロモードが用意されている。

5種類のモノクロモードは仕上がり設定の「フォトスタイル」から選択できる

5種類のモノクロモードは仕上がり設定の「フォトスタイル」から選択できる

「フォトスタイル」では個別に詳細を設定できる。コントラストのほか、ハイライト、シャドウ、フィルター効果、調色などを変更できる。調色は青と黄が加えられる

「フォトスタイル」では個別に詳細を設定できる。コントラストのほか、ハイライト、シャドウ、フィルター効果、調色などを変更できる。調色は青と黄が加えられる

以下は5つのモノクロモードの比較だ。いずれもフィルター効果「緑」を適用して撮影した。

「LEICAモノクローム」で撮影

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:LEICAモノクローム撮影写真(5776×4336、7.9MB)

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:LEICAモノクローム
撮影写真(5776×4336、7.9MB)

「L.モノクロームD」で撮影

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:L.モノクロームD撮影写真(5776×4336、9.6MB)

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:L.モノクロームD
撮影写真(5776×4336、9.6MB)

「モノクローム」で撮影

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:モノクローム撮影写真(5776×4336、10.0MB)

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:モノクローム
撮影写真(5776×4336、10.0MB)

「L.モノクローム」で撮影

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:L.モノクローム撮影写真(5776×4336、9.5MB)

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:L.モノクローム
撮影写真(5776×4336、9.5MB)

「L.モノクロームS」で撮影

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:L.モノクロームS撮影写真(5776×4336、9.8MB)

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:L.モノクロームS
撮影写真(5776×4336、9.8MB)

このなかで、最もコントラストが強く、メリハリのあるダイナミックな描写になるのがLEICA社と協業し、LEICAのモノクロームを踏襲して作られたという「LEICAモノクローム」だ。ポートレートでは、アーティスティックな描写を目指す際に有効だろう。コントラストの強さは「モノクローム」を基準に、「L.モノクロームD」、「LEICAモノクローム」の順に強くなる。

「L.モノクローム」はシャドウ側の明るさは「L.モノクロームD」と同等だが、ハイライト側の明るさが暗めに再現され、やや重厚なトーンで仕上がる。比較作例を見ても、「L.モノクローム」のモデル着用の白いシャツはディテールがしっかり再現されている。

「L.モノクロームS」は「モノクローム」よりもハイライト側がやや暗く、シャドウ側はかなり明るく再現されるのが特徴。人物の肌の質感が表現しやすく、ポートレート向きのモノクロモードだ。

「LUMIX G9PROII」 使いこなしポイント
深みのあるモノクロでスナップポートレートを撮ってみよう!

「LUMIX G9PROII」の5つのモノクロモードの中では、肌をやわらかく再現できる「L.モノクロームS」が最も扱いやすく、ひとつの基準になるだろう。

いっぽう、「LUMIX G9PROII」のような、レンズを含めて小型で持ち運びしやすいカメラの場合、気軽なスナップポートレートも実践しやすい。ここでは、コントラストの強い「LEICAモノクローム」や「L.モノクロームD」がおすすめ。深い黒と白のメリハリが、描写の格好のアクセントになってくれる。

この際は、陰影を利用して、明暗差のあるシーンをうまく活用してみるとモードの持ち味が発揮される。加えて、詳細設定でハイライトやシャドウをさらに細かく調整し、好みのハイライト、シャドウを演出してみるのもいいだろう。ただし、「LEICAモノクローム」や「L.モノクロームD」は元からコントラストが強いため、コントラストをさらに強くする調整を加えると、白飛びや黒つぶれが生じやすくなるので注意しよう。詳細設定は、モードごとの特徴を踏まえながら実践したい。うまく調整できれば、さらに表現の幅が広がる。

「L.モノクロームS」で撮影

シャドウが明るく、全体的にやわらかいトーンで撮れる。やわらかすぎてフラットに見えるときは、詳細設定でシャドウの数値を少しマイナスにして、黒を締めてみようLUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.2、1/1000秒、ISO100、フォトスタイル:L.モノクロームS撮影写真(4336×5776、7.1MB)

シャドウが明るく、全体的にやわらかいトーンで撮れる。やわらかすぎてフラットに見えるときは、詳細設定でシャドウの数値を少しマイナスにして、黒を締めてみよう
LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.2、1/1000秒、ISO100、フォトスタイル:L.モノクロームS
撮影写真(4336×5776、7.1MB)

「LEICAモノクローム」で撮影

白黒をよりはっきり強調しながらドラマチックに撮れる。このシーンのように、ポートレートではハイライトとシャドウが両方入り込むシーンで特に効果的だLUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.2、1/1000秒、ISO100、フォトスタイル:LEICAモノクローム撮影写真(5776×4336、6.5MB)

白黒をよりはっきり強調しながらドラマチックに撮れる。このシーンのように、ポートレートではハイライトとシャドウが両方入り込むシーンで特に効果的だ
LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.2、1/1000秒、ISO100、フォトスタイル:LEICAモノクローム
撮影写真(5776×4336、6.5MB

「L.モノクローム」で撮影

「L.モノクローム」はハイライトがやや暗め、シャドウも結構暗めに再現されるが、ここでは詳細設定でシャドウを少し起こし、マットな雰囲気に仕上げた。このようにモードごとの特徴を踏まえながら詳細設定することで、そのモードの特性を生かしながら、表現の幅を広げることができる。ここでは低速でとらえることで、わずかにブレ感も加えたLUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、マニュアル露出、F1.2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:L.モノクローム撮影写真(4336×5776、5.9MB)

「L.モノクローム」はハイライトがやや暗め、シャドウも結構暗めに再現されるが、ここでは詳細設定でシャドウを少し起こし、マットな雰囲気に仕上げた。このようにモードごとの特徴を踏まえながら詳細設定することで、そのモードの特性を生かしながら、表現の幅を広げることができる。ここでは低速でとらえることで、わずかにブレ感も加えた
LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、マニュアル露出、F1.2、1/25秒、ISO100、フォトスタイル:L.モノクローム
撮影写真(4336×5776、5.9MB)

リコーイメージング「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」 モノクロに特化した設計が魅力

「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」はモノクロ専用設計のデジタル一眼レフ。サイズは約134.5(幅)×103.5(高さ)×73.5(奥行)mmで、重量は約820g(バッテリー、カードを含む)。今回は、35mm判換算で焦点距離76.5mm相当の「HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW」を組み合わせて撮影した

「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」はモノクロ専用設計のデジタル一眼レフ。サイズは約134.5(幅)×103.5(高さ)×73.5(奥行)mmで、重量は約820g(バッテリー、カードを含む)。今回は、35mm判換算で焦点距離76.5mm相当の「HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW」を組み合わせて撮影した

「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」の最大の魅力は、何と言ってもモノクロ専用の撮像素子(有効約2573万画素)を採用したデジタル一眼レフ(APS-C機)ということだ。通常のカラー用の撮像素子とは異なり、1画素1画素で取得した輝度情報をそのままダイレクトにモノクロ画像として反映できるため、高い解像感と繊細な階調再現でモノクロ写真を記録できる。

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2023/04/30 23:55

本機はモノクロ専用機として、「スタンダード」「ソフト」「ハード」の3種類のモノクロモードを選択できる仕組みになっていて、それぞれに詳細設定が可能だ。

3種類のモノクロモードは仕上がり設定の「カスタムイメージ」から選択できる

3種類のモノクロモードは仕上がり設定の「カスタムイメージ」から選択できる

「カスタムイメージ」はそれぞれ個別に詳細を設定可能。調色やキー(明るさ)、コントラストなどを調整できる

「カスタムイメージ」はそれぞれ個別に詳細を設定可能。調色やキー(明るさ)、コントラストなどを調整できる

カメラのメニュー画面は、初期設定でモノクロ配色が採用されている。モノクロ専用機らしいこだわりだ

カメラのメニュー画面は、初期設定でモノクロ配色が採用されている。モノクロ専用機らしいこだわりだ

「スタンダード」で撮影

汎用性のあるモノクロモード。ここではプラス補正し、明るめに仕上げた。モノクロ専用センサーによる自然で美しいぼけが、開放F1.4の大口径レンズによってよりドラマチックに表現されているPENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/1600秒、+0.7EV、ISO200、カスタムイメージ:スタンダード撮影写真(4128×6192、9.3MB)

汎用性のあるモノクロモード。ここではプラス補正し、明るめに仕上げた。モノクロ専用センサーによる自然で美しいぼけが、開放F1.4の大口径レンズによってよりドラマチックに表現されている
PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/1600秒、+0.7EV、ISO200、カスタムイメージ:スタンダード
撮影写真(4128×6192、9.3MB)

「ソフト」で撮影

明るく、かつシャドウを起こしたコントラストのやわらかい仕上がりになる。このシーンは逆光だが、人物の表情もシャドウで暗くならずに透明感のある仕上がりになったPENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/100秒、ISO1250、カスタムイメージ:ソフト撮影写真(4128×6192、11.7MB)

明るく、かつシャドウを起こしたコントラストのやわらかい仕上がりになる。このシーンは逆光だが、人物の表情もシャドウで暗くならずに透明感のある仕上がりになった
PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/100秒、ISO1250、カスタムイメージ:ソフト
撮影写真(4128×6192、11.7MB)

「ハード」で撮影

暗く、シャドウを締めたコントラストの強い仕上がりになる。ここでは詳細設定で調色を-1にして青みをプラスし、冷黒調に仕上げたPENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.6、1/200秒、-1EV、ISO200、カスタムイメージ:ハード撮影写真(6192×4128、8.1MB)

暗く、シャドウを締めたコントラストの強い仕上がりになる。ここでは詳細設定で調色を-1にして青みをプラスし、冷黒調に仕上げた
PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.6、1/200秒、-1EV、ISO200、カスタムイメージ:ハード
撮影写真(6192×4128、8.1MB)

「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」は、モノクロ専用の撮像素子を搭載しているため、詳細設定でフィルター効果を適用できないのも大きな特徴だ。同様の効果を得たければ、実際にカラーフィルターを用意する必要がある。また、カラーフィルターを省いた影響で、I感度はISO200が常用の最低感度になる。今回のような明るいレンズを屋外で使うシーンなどではNDフィルターが重宝しそうだ。

ただ総じて、カラーで撮影してモノクロ変換しているほかの機種とは一線を画し、質感描写がより自然で、まるでモノクロフィルムで撮っているような感覚がある。デジタルモノクロの先端を行く仕上がりのように感じる。

「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」 使いこなしポイント1
詳細設定でバリエーションを増やそう

「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」のモノクロモードは硬調から軟調にかけて3種類選べるが、具体的には、詳細設定内のキー(明るさ)、コントラスト、シャープネスの3項目の違いでトーンがプリセットされている。詳細設定では、コントラスト(明部)=ハイライト、コントラスト(暗部)=シャドウの調整も可能だ。

それぞれのモードの持ち味を生かしながら微調整していくのであれば、まずコントラスト(明部)とコントラスト(暗部)から調整を始めてみよう。より自分好みのモノクロを模索できるに違いない。

以下の2枚の作例では、硬調の「ハード」に対し、さらに詳細設定でコントストの強い仕上がりを演出してみた。本機のモノクロモードは3種類だが、そこから自分好みのモノクロモードを作り、カスタム登録していくのもいいだろう

「ハード」で撮影

PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、マニュアル露出、F2、1/50秒、ISO200、カスタムイメージ:ハード撮影写真(6192×4128、8.7MB)

PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、マニュアル露出、F2、1/50秒、ISO200、カスタムイメージ:ハード
撮影写真(6192×4128、8.7MB)

「ハード」+詳細設定で撮影 コントラスト(明部)+4、コントラスト(暗部)-4

PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、マニュアル露出、F2、1/50秒、ISO200、カスタムイメージ:ハード撮影写真(6192×4128、8.4MB)

PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、マニュアル露出、F2、1/50秒、ISO200、カスタムイメージ:ハード
撮影写真(6192×4128、8.4MB

「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」 使いこなしポイント2
デジタルフィルターをうまく活用しよう

「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」には「トイカメラ」や「ハイコントラスト」などの絵作り機能が搭載されている。上質なモノクロ表現ではデジタルフィルターは不向きだが、適材適所に利用すると表現に幅ができてアクセントになる。利用頻度には注意したいが、うまく活用したい機能だ。

デジタルフィルターは7種類あってメニュー内から選択できる。Infoボタンからそれぞれに適用量も微調整できる

デジタルフィルターは7種類あってメニュー内から選択できる。Infoボタンからそれぞれに適用量も微調整できる

「シェーディング」を使って撮影

画面周辺の光量を減らす「シェーディング」を設定してみた。ポートレートでは画面中心に被写体を配置した際などに有効だ。より被写体の表情を印象的に描写できるPENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/1000秒、+0.3EV、ISO200、カスタムイメージ:ハード撮影写真(6192×4128、9.3MB)

画面周辺の光量を減らす「シェーディング」を設定してみた。ポートレートでは画面中心に被写体を配置した際などに有効だ。より被写体の表情を印象的に描写できる
PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/1000秒、+0.3EV、ISO200、カスタムイメージ:ハード
撮影写真(6192×4128、9.3MB)

「粒状感モノクローム」を使って撮影

独特の粒状感が加えられるフィルター機能。硬調のモノクロモードと相性がよさそう。よりドラマチックに力強いポートレートが残せるPENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/2000秒、+0.3EV、ISO200、カスタムイメージ:ハード撮影写真(6192×4128、11.9MB)

独特の粒状感が加えられるフィルター機能。硬調のモノクロモードと相性がよさそう。よりドラマチックに力強いポートレートが残せる
PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/2000秒、+0.3EV、ISO200、カスタムイメージ:ハード
撮影写真(6192×4128、11.9MB)

まとめ

ポートレートを題材に、4つの一眼カメラのモノクロ機能を見てきたが、いかがだっただろうか?

デジタルモノクロは白黒のトーンを自在に、そして詳細にコントロールできるのが面白く、機能も充実していて、奥が深い。デジタルならではのモノクロ表現が試せるのだ。モノクロで撮ったことがあまりない人は、ぜひこの記事を参考に、モノクロ撮影にチャレンジしてみてほしい。

撮影はRAWとJPEGの両方で撮っておくのがいいだろう。モノクロで撮ってみて、いやこれはカラーのほうがかっこいいなと思うこともあるからだ。モノクロ専用の「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」もRAWで撮っておけばしっかり情報が残るので、RAW現像時に踏み込んだ絵作りが可能だ。

ただし、撮影時はJPEGで追い込んで撮るのが理想だ。特にモノクロはそう。仕上がりのイメージを具体的に持つことで、より集中して被写体と向き合うことができる。とりあえずカラーで撮っておいて、あとでモノクロにしようと思っても、うまくいかないものだ。

今回使用した4機種の特徴については、それぞれに持ち味があって4者4様の使い方が模索できそうだ。総じて、プリセットされたモノクロモードは個別に微調整できるので、自分流のモノクロプロファイルを作ったら、カスタム登録しておくことをおすすめしたい。

使い勝手で付け加えておきたいのはAFだ。ポートレート撮影において、ミラーレスはすっと目にピントを合わせてくれるのでまったくストレスがなかった。とりわけ「Z f」の正確な瞳認識と、粘り強い追尾は印象的だった。

モノクロポートレートの補足

最後に、モノクロポートレートを撮る際に知っておきたい点を補足しておこう。

モノクロで撮るポートレートは、色の情報がない分、どうしても描写が単調になりやすい。ポイントにしたいのが、光の選び方だ。斜光やサイド光は陰影を付けながら立体的に人物を撮影でき、順光は力強い描写を、逆光はやわらかいトーンを演出できる。日陰などのフラットな光もモノクロ表現によく合う。白黒のディテールを見せながら重厚な雰囲気で撮影に臨める。

モノクロ撮影は、カラーでの撮影時以上に「光を意識する」ことが重要だ。選択する光のバリエーションを増やすことで、単調さを軽減できる。

Z f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、絞り優先オート、F1.2、1/8000秒、-0.7EV、ISO100、ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム撮影写真(6048×4032、7.5MB)

Z f、NIKKOR Z 85mm f/1.2 S、85mm、絞り優先オート、F1.2、1/8000秒、-0.7EV、ISO100、ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム
撮影写真(6048×4032、7.5MB)

X-T5、XF56mmF1.2 R WR、56mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F14、1/15秒、+1EV、ISO125、フィルムシミュレーション:ACROS撮影写真(7728×5152、18.3MB)

X-T5、XF56mmF1.2 R WR、56mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F14、1/15秒、+1EV、ISO125、フィルムシミュレーション:ACROS
撮影写真(7728×5152、18.3MB)

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.6、1/1300秒、ISO100、フォトスタイル:LEICAモノクローム撮影写真(4336×5776、10.8MB)

LUMIX G9PROII、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.、42.5mm(35mm判換算85mm相当)、絞り優先AE、F1.6、1/1300秒、ISO100、フォトスタイル:LEICAモノクローム
撮影写真(4336×5776、10.8MB)

PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/8000秒、-1EV、ISO200、カスタムイメージ:スタンダード撮影写真(4128×6192、9.5MB)

PENTAX K-3 Mark III Monochrome、HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、50mm(35mm判換算76.5mm相当)、絞り優先AE、F1.4、1/8000秒、-1EV、ISO200、カスタムイメージ:スタンダード
撮影写真(4128×6192、9.5MB)

モデル:migiwa

河野鉄平
Writer
河野鉄平
フォトグラファー。写真家テラウチマサト氏に師事後、2003年独立。ポートレートを中心に活動。2022年1月に新著『上手い写真は構図が9割』(玄光社)発売。ポーラミュージアムアネックス(2015年/銀座)など写真展も多数。Profoto公認トレーナー。
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真柄利行(編集部)
Editor
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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