レビュー

ソニー「FE 24-50mm F2.8 G」は“標準好き”注目のニュータイプズーム!

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

ソニーの「FE 24-50mm F2.8 G」は、2024年4月19日に発売された、Eマウント用の新しい標準ズームレンズ。望遠端の焦点距離を50mmに抑えることで、開放F2.8通しのフルサイズ対応・標準ズームとして大幅な小型・軽量化を実現したのが特徴です。本記事では、そんな「FE 24-50mm F2.8 G」の魅力を詳しくレビューします。

ソニー純正・標準ズームの新モデル「FE 24-50mm F2.8 G」。「α7R V」と組み合わせて試用しました

ソニー純正・標準ズームの新モデル「FE 24-50mm F2.8 G」。「α7R V」と組み合わせて試用しました

「Gレンズ」のフルサイズ対応・標準ズームとしては3本目

標準ズームレンズというと、どういったスペックを思い浮かべるでしょうか? 一般的には、広角側は24mmもしくは28mm、望遠側は70〜80mmから100mm程度の焦点距離をカバーするズームレンズのことを標準ズームと言います。

ただ最近は、コンパクトさを追求するために、カバーする焦点距離を意図的に狭めた、新しいタイプの標準ズームがいくつか登場しています。今回レビューする「FE 24-50mm F2.8 G」も、まさにそうしたニュータイプの1本です。

冒頭でも述べましたが、本レンズは、望遠端の焦点距離を50mmに設定することによって、フルサイズ対応、かつ開放絞り値がズーム全域でF2.8の大口径ながら大幅な小型・軽量化を実現しています。しかも、高性能な「Gレンズ」での登場ですので、画質にも期待したくなるというものです。

「FE 24-50mm F2.8 G」は、「Gレンズ」のフルサイズ対応・標準ズームとしては3本目のラインアップです

「FE 24-50mm F2.8 G」は、「Gレンズ」のフルサイズ対応・標準ズームとしては3本目のラインアップです

本レンズがどのくらいコンパクトなのか、「Gレンズ」のほかのフルサイズ対応・標準ズームと比べてみましょう。

「Gレンズ」標準ズームのサイズ/重量
FE 24-50mm F2.8 G
約74.8(最大径)×92.3(全長)mm/約440g
FE 20-70mm F4 G
約78.7(最大径)×99(全長)mm/約488g
FE 24-105mm F4 G OSS
約83.4(最大径)×113.3(全長)mm/約663g

左から「FE 24-50mm F2.8 G」「FE 20-70mm F4 G」「FE 24-105mm F4 G OSS」。こうして並べるとサイズの違いがよくわかります

左から「FE 24-50mm F2.8 G」「FE 20-70mm F4 G」「FE 24-105mm F4 G OSS」。こうして並べるとサイズの違いがよくわかります

ズームを最も伸長させた状態。いちばん左の「FE 24-50mm F2.8 G」のコンパクトさが際立ちます

ズームを最も伸長させた状態。いちばん左の「FE 24-50mm F2.8 G」のコンパクトさが際立ちます

見比べてすぐわかるように、この3本の中で最も小型・軽量なのが「FE 24-50mm F2.8 G」です。開放F2.8通しの大口径ながら重量は約440gに抑えられています。ほかの2本が開放F4通しであることを考慮すると、そのコンパクトさがよくわかるのではないでしょうか。

ほかの2本も決して大きくて重いわけではありません。「FE 20-70mm F4 G」は、超広角域の焦点距離20mmスタートながら、「FE 24-50mm F2.8 G」よりひと回り大きい程度のサイズに収まっています。「FE 24-105mm F4 G OSS」は、2017年発売とやや古めの設計なうえ、望遠側の焦点距離が105mmと長いため、3本の中で最も大きく重いのは仕方がないでしょう。

最新の「Gレンズ」らしく「FE 24-50mm F2.8 G」には絞りリングが備わっています

最新の「Gレンズ」らしく「FE 24-50mm F2.8 G」には絞りリングが備わっています

小型・軽量と大口径を両立するのは、設計上かなり大変だったようで、「FE 24-50mm F2.8 G」は、ズームの伸縮において、一般的なズームレンズとは異なる一風変わった仕様を採用しています。

具体的には、望遠端時にズームが最も縮むように、広角端時にズームが最も伸びるように設計されています。一般的なズームレンズ(広角側が縮み、望遠側が伸びる)とは逆の仕様ですが、使っていて困ることはまったくありませんでした。カメラやレンズで小型・軽量化を実現するには、相当な努力のうえに成り立っているのだなあ、と感心するばかりです。

ズームを最も縮めた状態が望遠端というちょっと変わった仕様

ズームを最も縮めた状態が望遠端というちょっと変わった仕様

ズームを伸長させると広角端に。一般的なズームレンズとは逆ですが、使っていて困ることはありませんでした

ズームを伸長させると広角端に。一般的なズームレンズとは逆ですが、使っていて困ることはありませんでした

スイッチやボタンについては、鏡筒左側に「フォーカスモードスイッチ」と「フォーカスホールドボタン」を備えています。このあたりの操作性にも、近ごろの「Gレンズ」らしさを感じます。

鏡筒左側に「フォーカスモードスイッチ」と「フォーカスホールドボタン」を装備

鏡筒左側に「フォーカスモードスイッチ」と「フォーカスホールドボタン」を装備

さらに、鏡筒右下に「絞りリングクリック切り換えスイッチ」を装備。「静止画撮影のときは絞りリングのクリックをきかせる」「動画撮影のときは絞りリングを無段階でスムーズに回す」といった使い分けができます。

鏡筒右下に備えられた「絞りリングクリック切り換えスイッチ」。絞りリングのクリックの有無を設定できます

鏡筒右下に備えられた「絞りリングクリック切り換えスイッチ」。絞りリングのクリックの有無を設定できます

「ALC-SH178」というレンズフードが付属します

「ALC-SH178」というレンズフードが付属します

解像性能をチェック

続いて、広角端と望遠端の絞り開放で撮影した作例を用いて、「FE 24-50mm F2.8 G」の解像性能をレビューしていきましょう。

焦点距離24mm/絞り値F2.8で撮影

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、24mm、F2.8、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST撮影写真(9504×6336、49.5MB)

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、24mm、F2.8、1/1600秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST
撮影写真(9504×6336、49.5MB)

24mmという焦点距離は、今では標準ズームとしては一般的なスペックですが、以前は「超広角の入り口」ともいわれたワイドな画角です。それだけに絞り開放で性能を出すのは難しいと思いますが、結果は大変良好なものでした。

画像周辺はさすがにやや解像感が低いようですが、それでも十分に納得できるクオリティーを保っています。もちろん中心部分を含めた広い範囲において、「Gレンズ」にふさわしい高画質であることは言うまでもありません。色収差などもほとんど見られず、絞り開放から安心して使うことができます。

焦点距離50mm/絞り値F2.8で撮影

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、50mm、F2.8、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST撮影写真(9504×6336、54.0MB)

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、50mm、F2.8、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST
撮影写真(9504×6336、54.0MB)

標準ズームにして望遠端の焦点距離が50mmというのが本レンズのポイントですので、その写りは気になるところではないでしょうか。

50mmの絞り開放で撮影した作例をチェックすると、画像周辺で解像感がやや低くなるのは広角端と同じです。ただ、中心部分との差はそれほどなく、絞り開放にしては高いレベルにあります。広角端と同様、望遠端でも絞り開放から安心して使えると思います。

小柄な大口径ズームでここまでの高画質を実現しているのは、さすがの「Gレンズ」で、ちょっと驚きでもあります。ちなみに、絞り開放でやや緩くなる周辺部分の画質は、1段絞ったF4でほとんど解消され、F5.6以上に絞れば隅まで揃った画質を味わえるようになります。

近接撮影性能の高さとボケ味のよさ

小型・軽量なズームレンズの場合、近接撮影性能はそれほど高くないことがままあります。

「FE 24-50mm F2.8 G」はどうかな? と心配になるところですが、本レンズの最短撮影距離はAF時で広角端が0.19m、望遠端が0.30m、MF時で広角端が0.18m、望遠端が0.29m。わずかな違いではありますが、MFのほうがより被写体に近づけます。最大撮影倍率はAF時で0.30倍、MF時で0.33倍です。

ミラーレス用の標準ズームとしては十分な近接撮影性能を確保しており、目についたものを大きく撮りたいという欲求にしっかり応えてくれます。

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、50mm、F4、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST撮影写真(9504×6336、31.6MB)

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、50mm、F4、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST
撮影写真(9504×6336、31.6MB)

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、50mm、F2.8、1/400秒、ISO400、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST撮影写真(9504×6336、32.2MB)

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、50mm、F2.8、1/400秒、ISO400、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST
撮影写真(9504×6336、32.2MB)

そして、被写体に近づくほど大きくなる、また開放F2.8だからこそ大きくなる背景ボケが、「Gレンズ」らしくきれいなのもうれしいところです。「解像性能とボケ味の両立」は、ソニー純正レンズの最上位ライン「G Master」の特徴ですが、そこで培われた設計技術が「Gレンズ」にも生かされているのだなあ、と感じられます。

そのほかの特徴を作例で紹介

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、50mm、F2.8、1/500秒、ISO4000、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST撮影写真(6336×9504、39.7MB)

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、50mm、F2.8、1/500秒、ISO4000、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST
撮影写真(6336×9504、39.7MB)

「FE 24-50mm F2.8 G」の「取り回しがよくて明るい」という特徴は、ペットやテーブルフォトなど室内の撮影でも大いに活躍してくれます。今回は「α7R V」と組み合わせて試写しましたが、「α7C II」や「α7CR」など、コンパクトなフルサイズミラーレスとの相性もよいでしょう。

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、41mm、F4、1/800秒、ISO400、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST撮影写真(9504×6336、40.2MB)

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、41mm、F4、1/800秒、ISO400、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST
撮影写真(9504×6336、40.2MB)

レンズがコンパクトなのは、外を歩きながらのスナップ撮影でとてもありがたいです。ズーム域を、スナップ撮影で多用する焦点距離24〜50mmに設定したのも、よく考えられていると感じました。質感描写がすばらしいので、散歩しながらの撮影でも撮影枚数がついつい増えてしまいます。

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、50mm、F2.8、1/1000秒、ISO400、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST撮影写真(9504×6336、36.4MB)

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、50mm、F2.8、1/1000秒、ISO400、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST
撮影写真(9504×6336、36.4MB)

リニアモーターを2基搭載していることもあって、AF性能はとても優秀です。被写体検出「鳥」で鳩を狙いましたが、非常に素早く、かつ正確に瞳にピントを合わせてくれました。「α9 III」の、最高約120コマ/秒連写でのトラッキングにも対応しているとのこと。小柄な見た目に反してすさまじい性能ですね。

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、28mm、F5.6、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST撮影写真(9504×6336、49.4MB)

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、28mm、F5.6、1/320秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST
撮影写真(9504×6336、49.4MB)

堀端に群生するハマダイコンのなかに1本だけ伸びたセイヨウカラシナに、ささやかな風情を感じたので撮ってみました。クリアでヌケのよい写りは、風景写真でも具合よく使えそうです。中望遠域は望遠ズームに任せ、小型・軽量な本レンズに、大三元レンズの標準域を担当させるのもよいでしょう。

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、35mm、F5.6、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST撮影写真(9504×6336、40.8MB)

α7R V、FE 24-50mm F2.8 G、35mm、F5.6、1/200秒、ISO100、ホワイトバランス:オート、クリエイティブルック:ST
撮影写真(9504×6336、40.8MB)

焦点距離を35mmにして花壇の花を撮ってみました。中間のズーム域での描写性能が高いのは、本レンズの素性のよさを表しているところでしょう。24mmや50mmももちろんですが、28mm、35mm、40mmといった焦点距離は、さまざまなジャンルの撮影でよく使う画角です。

まとめ 「望遠端50mm」に納得できるかがポイント

カバーする焦点距離を24〜50mmに設定することで、小型・軽量と大口径を両立した「FE 24-50mm F2.8 G」。描写性能についても、最新設計の「Gレンズ」ということで、標準ズームとしてトップクラスなのは間違いありません。

中望遠域の画角にこだわらなければ、かなり魅力的な標準ズームと言えるのではないでしょうか。焦点距離50mmでズームが止まるため、見方を変えれば、焦点距離50mmの標準画角が好きな人にとっては扱いやすいと感じるかもしれません。

ソニーは、Eマウント用のフルサイズ対応・標準ズームを数多くラインアップしており、それぞれが特徴的な仕様を持っています。そのなかで本レンズを選ぶのは、望遠端の焦点距離が50mmなことに納得できるかどうかにかかっているでしょう。その1点さえ納得できれば、抜群の軽快性、開放F2.8通しの明るさ、トップクラスの描写性能に加えて、高い近接撮影性能やすぐれたAF性能など、多くのメリットを手にすることができます。

本レンズの、2024年5月20日時点での価格.com最安価格は15万円台。「Gレンズ」のフルサイズ対応・標準ズームとしては、同13万円台の「FE 24-105mm F4 G OSS」、同15万円台(いずれも税込)の「FE 20-70mm F4 G」とそれほどの価格差はありません。どれを選ぶか悩ましいところですが、明るさ、携帯性、広角側の画角、望遠側の画角など、標準ズームに求めているものをよくよく考えてチョイスするとよいと思います。

曽根原 昇
Writer
曽根原 昇
信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌などで執筆もしている。
記事一覧へ
真柄利行(編集部)
Editor
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×