旅とカメラは人生を彩るスパイスのようなもの。そして、旅とカメラは相性も抜群。旅を楽しむ、カメラを楽しむことをコンセプトに、フォトグラファーの河野鉄平(通称テッピー)さんが、カメラ片手に旅に出る連載企画。今回は早咲きの桜を探しに、神奈川県小田原駅周辺と隣町の根府川に足を運びました。
旅のお供は2025年3月に発売されたばかりの「OM SYSTEM OM-3」。レンズはキットレンズの「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」のほか、「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II」と「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」を加えた計3本を使用しました。単焦点レンズ2本も新発売の製品です
掲載する写真作例について
写真はすべてJPEG形式(最高画質)で撮影しています。
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II、17mm(35mm判換算34mm相当)、F2、1/500秒、ISO200、+2.0EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、シェーディング効果:-2、コントラスト:-1)
撮影写真(5184×3888、10.0MB)
こんにちは、テッピーです。
今回の旅先は神奈川県小田原市です。まずは、小田原城を中心に小田原駅周辺を散策。その後、早咲きの桜で有名な根府川を訪れました。撮影は3月後半。先に言ってしまうと、根府川の桜はすでに盛りを過ぎて葉桜になっているところも多かったのですが……(タイミングって難しいですね)、一部の桜はまだ残っていてくれていて、とてもすてきな桜と素朴な海町の風景を撮影できました!
小田原城址公園には小田原駅からゆっくり歩いても15分程度で到着します。駅からチラリと眺めることもできます。訪れた日は、快晴の撮影日和。お城と青空はよく合います
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、15mm(35mm判換算30mm相当)、F4、1/4000秒、ISO200、-1.0EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:+1)
城址公園内の桜はまだ多くがつぼみでしたが、一部で早咲きの桜と出会うことができました
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、25mm(35mm判換算50mm相当)、F2、1/4000秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:カスタム(5200K)、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+4、ミッドトーン:+3、シャドウ:+4、コントラスト:+1)
今回の旅で使用した「OM SYSTEM OM-3」(以下、「OM-3」)は、OMデジタルソリューションズがこの3月に発売したばかりの、マイクロフォーサーズ規格のミラーレスカメラです。
まず目を引くのは、そのメタリックでスタイリッシュな遊び心くすぐるデザインです。フィルム一眼レフの「OLYMPUS OM-1」をモチーフに、クラシックなデザインで人気を博した2016年発売のオリンパス「PEN-F」を彷彿とさせるヘリテージデザインが秀逸。兎にも角にも、首から下げて自慢したくなるかっこよさです。
「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II」を取り付けたところ。さすがマイクロフォーサーズ。コンパクトなたたずまいも大きな特徴です。サイズは約139.3(幅)×88.9(高さ)×45.8(奥行)mmで、重量は496g(バッテリー、メモリーカード、アイキャップを含む)と小型・軽量です
デザインは使い勝手のよさと対で評価されるべきもの。「OM-3」はコンパクトボディながら、ボタンやダイヤルが直感的に操作しやすい考え抜かれた配置になっていて、とても好感が持てます。
小型ボディですが、使用頻度の高いリアダイヤルやフロントダイヤル、モードダイヤルは大きくて操作しやすいです。モードダイヤル下の「CPボタン」からは「コンピュテーショナル フォトグラフィ」機能のモード切り替えたり、設定を変更したりできます
電源のオン/オフ操作はレバーで行います。このあたりの仕様にも遊び心を感じます
カメラ正面、向かって左下に「クリエイティブダイヤル」を搭載しています。このダイヤルが「OM-3」の目玉のひとつ。「クリエイティブダイヤル」を操作することで、色味や仕上がりをより直感的に変更できます
「OM-3」はフラグシップ譲りの高性能スペックを備えていることも、忘れてはいけない重要な要素です。“単にかっこいいカメラ”なのではなく、“信頼できる中身あるかっこよさ”が魅力です。
有効約2037万画素の裏面照射積層型Live MOSセンサーを搭載し、IP53対応で、防塵・防滴設計です。当然、「ハイレゾショット(三脚/手持ち)」や「ライブGND」「ライブND」など、多彩な「コンピュテーショナル フォトグラフィ」機能にも対応しています。
「AI被写体認識AF」によってAFも高速・高精度。6種類から検出する被写体を選択できます
前述のとおり、「OM-3」では「クリエイティブダイヤル」を利用することで、さまざまな画作りが楽しめます。具体的には「カラープロファイルコントロール」「モノクロプロファイルコントロール」に加え、「アートフィルター」「カラークリエーター」の4種類を直感的に操作可能。シーンに合わせて自分だけの表現を追求できます。
「カラープロファイルコントロール」の設定画面。基準となる「標準(Natural)」や渋みと重厚感ある色調が得られる「クロームフィルムリッチカラー」など、4つのプリセットから選択できます。「モノクロプロファイルコントロール」も4つのプリセットから選択可能です
「カラープロファイルコントロール」では12色の彩度を11段階で調整できます。加えて、ハイライト&シャドウやシェーディング効果、シャープネス、コントラストなども細かく調整できます
駅前のハト。わかりづらいですが、奥に小田原城が見えます。ここではホワイトバランスを「日陰」にし、全体的に黄色味の強い仕上がりに。加えて、「カラープロファイルコントロール」で渋く濃厚感のある色調が特徴の「COLOR2」を選び、黄色系の彩度を強めに設定。ハイライト&シャドウでコントラストを強め、シェーディング効果をマイナスに調整することで周囲を暗く落としています。このようなこだわりの表現が直感的に行えます
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II、17mm(35mm判換算34mm相当)、F1.8、1/5000秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:日陰、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、シェーディング効果:-1、コントラスト:+1)
ここではモノクロで小田原城を。ややフラットでやわらかい仕上がりにしようと、ここでは「モノクロプロファイルコントロール」で「MONO4」を選択。「MONO4」はコントラストを抑え、やわらかい印象に仕上げてくれるのが特徴。フィルター効果は、実際にライブビューで効果を反映しながら好みの濃度を探りました。粒状感やシェーディング効果も調整し、雰囲気のある仕上がりを目指しています
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED12-45mm F4.0 PRO、12mm(35mm判換算24mm相当)、F4、1/1600秒、ISO200、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:MONO4(フィルター効果:G3、シェーディング効果:-1、粒状フィルム効果:中、コントラスト:+1)
「ライブND」機能を利用し、人物をぶらして低速撮影しました。こうしたコンピュテーショナル撮影が気軽にできるのも「OM SYSTEM」のカメラの魅力です。ちなみに、上部にあるのは桜の枝。もう一度、満開のころに来ようかな
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、12mm(35mm判換算24mm相当)、F22、1/5秒、ISO100、-0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:+1)、ライブND撮影(ND8)
根府川に向かう前に昼食を。トンカツとトンテキの合わせ技の定食をいただきました
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、25mm(35mm判換算50mm相当)、F2、1/400秒、ISO200、-0.7EV、ホワイトバランス:カスタム(5200K)、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+4、ミッドトーン:+3、シャドウ:+4、コントラスト:+1)
根府川へは東海道本線で向かいます。小田原駅から2駅で根府川駅に到着します。
根府川に向かう東海道本線の車窓からは、真っ青な相模湾を眺められます
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、25mm(35mm判換算50mm相当)、F1.8、1/4000秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:曇天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:-1)
根府川駅は小さく素朴な駅舎ですが、駅の中から海が見えます。何ともドラマチックです
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、25mm(35mm判換算50mm相当)、F1.8、1/8000秒、ISO160、-0.3EV、ホワイトバランス:曇天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:-1)
根府川では地元の方々がおかめ桜という早咲きの桜を植え、地域の活性化に取り組んでいるそうです。おかめ桜はピンク色なのが特徴的。今回は、2月から3月にかけて開催している“おかめ桜まつり”を目当てにやってきましたが……、訪れたのが3月後半の21日で、やはり来るのがちょっと遅かったのか、駅前の桜は葉桜に…。地元の方に聞くと、「ああ、今年はもうおしまいだね〜」とのこと。ちょっと落胆しつつも、天気もいいので、ぷらぷら散策することにしました!
海と電車と葉桜とのぼり旗。葉桜は全体的にピンク色で、遠目にはギリギリ咲いているように見える?
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、25mm(35mm判換算50mm相当)、F7.1、1/500秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:曇天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:-1)
桜を撮りには来たのですが、思いのほか、町のたたずまいがすてき。味のある坂道も多く、とてもフォトジェニックです。
アートフィルターの「ドラマチックトーン」を適用。路地裏の風景に趣があります
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、25mm(35mm判換算50mm相当)、F5、1/250秒、ISO200、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:ドラマチックトーンI
坂を上がっていくと、視界が開け、雄大な海が気持ちよく見えてきます
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、25mm(35mm判換算50mm相当)、F4、1/3200秒、ISO200、-0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:-1)
ぷらぷら坂を上がって歩いていると、桜が見えてきました! 上のほうはまだ咲いている桜が残っていたようです
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、20mm(35mm判換算40mm相当)、F5.6、1/250秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:-1)
小田原に着いて撮影を始めた当初は、空の色味をさわやかに表現したくて、「カラープロファイルコントロール」を使って青系と黄色系の彩度を強めに設定していました。しかし、根府川で桜を撮り始めてからは、花びらの色をより魅力的に仕上げるために、赤系の彩度を強めに設定。ビビッドな色合いで桜を撮影できました。
赤系の彩度を特に調整せず撮影。やや桜の花びらがくすんで見えます
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、12mm(35mm判換算24mm相当)、F5.6、1/640秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:-1)
赤系の彩度を強めに設定。より鮮やかな色調になっています
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、12mm(35mm判換算24mm相当)、F4.5、1/800秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:-1)
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、45mm(35mm判換算90mm相当)、F4、1/1000秒、ISO200、+0.7EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:-1)
明るい広角・単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II」で桜の花びらに寄ってみました。遠近感が強調され、ダイナミックな描写に。背景のボケ味も美しいです
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II、17mm(35mm判換算34mm相当)、F2、1/500秒、ISO200、+2.0EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、シェーディング効果:-2、コントラスト:-1)
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II、17mm(35mm判換算34mm相当)、F1.8、1/640秒、ISO200、+2.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:-1)
清涼感のあるやさしい印象に仕上げたくて「カラープロファイルコントロール」を淡くやわらかな色調が持ち味の「COLOR4」に設定。青系と赤系の彩度を強めに設定し、透明感のある描写を目指しました。以下、3枚は同じ設定で撮影しています
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II、17mm(35mm判換算34mm相当)、F2、1/3200秒、ISO200、+1.3EV、ホワイトバランス:カスタム(4600K)、仕上がり設定:COLOR4(ハイライト:-7、シャドウ:+6、コントラスト:+1)
かなりわかりにくいですが、向こうの鉄橋では東海道線の電車が走っています。ぜひ拡大してご覧ください。高画質ならでは!
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、45mm(35mm判換算90mm相当)、F4、1/640秒、ISO200、+1.3EV、ホワイトバランス:カスタム(4600K)、仕上がり設定:COLOR4(ハイライト:-7、シャドウ:+6、コントラスト:+1)
撮影写真(3888×5184、12.2MB)
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、25mm(35mm判換算50mm相当)、F4、1/320秒、ISO200、+1.3EV、ホワイトバランス:カスタム(4600K)、仕上がり設定:COLOR4(ハイライト:-7、シャドウ:+6、コントラスト:+1)
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、25mm(35mm判換算50mm相当)、F1.8、1/2500秒、ISO200、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、シェーディング効果:-1コントラスト:-1)
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II、17mm(35mm判換算34mm相当)、F1.8、1/5000秒、ISO200、+1.3EV、ホワイトバランス:カスタム(4600K)、仕上がり設定:COLOR4(ハイライト:-7、シャドウ:+6、シェーディング効果:+1、コントラスト:+1)
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、45mm(35mm判換算90mm相当)、F4、1/400秒、ISO200、-0.3EV、ホワイトバランス:晴天、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+3、シャドウ:-3、コントラスト:-1)
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、19mm(35mm判換算38mm相当)、F4、1/800秒、ISO200、-0.3EV、ホワイトバランス:日陰、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+5、シャドウ:-6、コントラスト:+1)
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、29mm(35mm判換算58mm相当)、F7.1、1/100秒、ISO200、-0.3EV、ホワイトバランス:日陰、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+5、シャドウ:-6、シェーディング効果:-1、コントラスト:+1)
OM-3、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO、16mm(35mm判換算32mm相当)、F10、1/200秒、ISO200、+0.3EV、ホワイトバランス:カスタム(4600K)、仕上がり設定:COLOR2(ハイライト:+5、シャドウ:-6、シェーディング効果:-1、コントラスト:+1)
今回は桜を求めて旅に出ましたが、盛りを過ぎてはいたものの、素朴な町とそれを彩る桜の情景がとてもすてきでした。生活の中にある桜の景色といった印象でしょうか。根府川はのんびり散策するのにとてもいい場所でした。
「OM-3」は、デザインがやっぱり私的にはツボです。手触りもよく、これからの季節、どんどん外に持ち出してスナップしてみたい、そんな気持ちにさせてくれる1台でした。今回は桜と町のスナップでしたが、機能性は充実しています。備わる機能を軸に、さまざまな被写体に対峙してみたい気分にもなります。
また、今回携行したレンズ3本はどれも使いやすかったです。2型の「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II」と「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」は防塵・防滴性能が加わり、よりさまざまなシーンに気兼ねなく対応できるようになりました。価格的にもリーズナブルで、良心的。オールマイティーに使える単焦点レンズです。
いよいよ暖かな季節になってきました。ぜひ、外に出て写真を撮りましょう! では、また次の旅で!