特別企画

「PowerShot G7 X」&「サイバーショット DSC-RX100M3」、人気の1インチ高級コンデジを比較チェック!

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

一般的なコンパクトデジカメに採用されている1/2.3型と比べて約4倍の面積を持つ「1インチセンサー(1.0型センサー)」を搭載する2モデル、キヤノンの「PowerShot G7 X」とソニーの「サイバーショット DSC-RX100M3」(以下、RX100 III)が人気だ。何かと比較されることの多い、ライバル関係にある両モデルの共通点と違いをチェックした。

左がPowerShot G7 X、右がサイバーショット DSC-RX100M3

左がPowerShot G7 X、右がサイバーショット DSC-RX100M3

共通点 コンパクトボディに約2000万画素の1インチセンサーを搭載

PowerShot G7 Xは、キヤノンのデジタルカメラとして初めて1インチの大型センサーを搭載したモデル。2014年10月3日の発売以降、高い人気を誇っている高級コンデジで、2015年3月20日現在、価格.com「デジタルカメラ」カテゴリーの売れ筋ランキングの2位に位置している。

いっぽうのRX100 IIIは、ソニーの1インチ高級コンデジ「サイバーショット RX100」シリーズの最新モデル。ソニーは、いち早く1インチコンデジを製品化しており、RX100 III は、シリーズ3世代目のモデルとなる。こちらも人気が高く、2015年3月20日現在、価格.com「デジタルカメラ」カテゴリーの売れ筋ランキングでは、PowerShot G7 X に続く3位となっている。

まずは、両モデルの似ているところをまとめよう。センサーのサイズは1インチ(1.0型)で、PowerShot G7 Xは有効2020万画素の裏面照射型CMOSセンサー、RX100 IIIは有効約2010万画素の裏面照射型Exmor R CMOSセンサーを採用している。両モデルとも、有効2000万画素程度の裏面照射型センサーを採用している点では共通している。アスペクト比は、一般的なコンデジの4:3とは異なり、一眼カメラと同じ3:2だ。対応する常用感度は、両モデルともにISO125〜ISO12800。ただし、RX100 IIIは、拡張設定でISO80とISO100を選べるほか、連写した画像を重ね合わせてノイズを減らす「マルチショットNR」設定時にはISO25600まで拡張する。

ボディのサイズ・重量もよく似ている。PowerShot G7 Xは103.0(幅)×60.4(高さ)×40.4(奥行)mmで重量約304g(バッテリーおよびメモリーカード含む)。RX100 IIIは101.6(幅)×58.1(高さ)×41.0(奥行)mmで重量約290g(バッテリーとメモリースティックPROデュオを含む)。いずれもコンパクトなサイズにまとまっており、携帯性については互角と言っていいだろう。また、ディテールや仕上がりの違いはあるものの、シンプルなボディラインに高性能なレンズを搭載しており、筐体デザインも似ているところが多い。ダイヤルやボタンが右手側に集中しているほか、レンズ部に、クルクルとまわして操作するリングを装備するのも共通点だ。

PowerShot G7 XとRX100 IIIはほぼ同じサイズのボディとなっている。シンプルなデザインを採用しているのも似たところだ

違い レンズスペックや操作性、機能性などのスペックに差や違いがある

続いて、PowerShot G7 XとRX100 IIIの違いを見ていこう。

レンズ

センサーのスペックは似ている両モデルだが、レンズは、それぞれに特徴がある。
PowerShot G7 Xは、35mm判換算で広角24mm〜望遠100mmnの画角に対応する光学4.2倍ズームレンズを採用。3枚の非球面レンズ(両面非球面レンズ1枚、片面非球面UAレンズ1枚、片面非球面レンズ1枚)とUDレンズ1枚を含む、9群11枚構成の高性能レンズで、ズーム全域で明るく、開放F値は広角端でF1.8、望遠端でF2.8となっている。さらに、新しい5群ズームレンズ方式を採用したのもポイント。第4レンズ群を移動させる新型のインナーフォーカス方式によって、レンズの小型化と高速オートフォーカスを実現しているという。マクロにも強く、最短撮影距離は広角端で5cm、望遠端で40cm(いずれもレンズ先端から)。絞り羽根は9枚で、円形に近いボケを楽しめるという。望遠端で約3段分の補正効果を持つレンズシフト式の手ブレ補正機能も搭載している。

PowerShot G7 Xは、35mm判換算で24mm〜100mmの画角に対応する光学4.2倍ズームレンズを採用

PowerShot G7 Xは、35mm判換算で24mm〜100mmの画角に対応する光学4.2倍ズームレンズを採用

RX100 IIIは、35mm判換算で広角24mm〜望遠70mmの画角に対応する光学2.9倍ズームレンズを採用。カールツァイスブランドの「バリオ・ゾナーT*」レンズで、薄型非球面レンズ「AAレンズ」3枚を含む9枚の非球面レンズを採用し、各種収差を補正。さらに、「AAレンズ」2枚を高精度に接合することで、明るさとレンズユニットの小型化を両立したという。RX100シリーズの初代モデル「RX100」、2代目モデル「RX100 II」と比べてテレマクロが強化されており、望遠端の最短撮影距離は30cm。広角端では5cmのマクロ撮影が可能だ(いずれもレンズ先端から)。絞り羽根は7枚。また、レンズ表面に、ゴーストやフレアを低減するZEISS T*コーティングを採用しているのも特徴だ。レンズシフト式の手ブレ補正機能も搭載している。

RX100 IIIは、カールツァイスブランドの「バリオ・ゾナーT*」レンズを採用。望遠端は35mm判換算で70mm

RX100 IIIは、カールツァイスブランドの「バリオ・ゾナーT*」レンズを採用。望遠端は35mm判換算で70mm

PowerShot G7 Xは、35mm判換算で望遠100mmまで伸びるうえ、望遠端でも開放F2.8を実現したのがポイント。RX100 IIIは、望遠端は70mmとなっているが、こちらも望遠端で開放F2.8の明るさを実現している。望遠端での最短撮影距離を比較すると、PowerShot G7 Xは100mmで40cm、RX100 IIIは70mmで30cm。いずれもテレマクロに強いコンデジとなっている。

ダイヤル&リング

操作性でもっとも大きな違いとなるのは、ボディ上面右側にあるダイヤルだ。PowerShot G7 Xは、「PowerShot G」シリーズらしい特徴になるのだが、撮影モードダイヤルと露出補正ダイヤルの2段ダイヤルを採用している。露出補正ダイヤルが独立しているので、右手親指のダイヤル操作で、ダイレクトに露出補正が行える。いっぽうのRX100 IIIは、ダイヤルは撮影モードダイヤルのみ。露出補正を行うには、十字キーの下を押して機能を呼び出してから操作する必要がある。

PowerShot G7 X(左)は、撮影モードダイヤルと露出補正ダイヤルの2段ダイヤルを採用。RX100 III(右)は撮影モードダイヤルのみとなる

また、両モデルとも、レンズ部にリングを装備しているが、操作感がまったく異なっている。PowerShot G7 Xは、「PowerShot S」シリーズの従来モデルと同じように、カチカチとクリック感のあるリングになっている。RX100 IIIは、クリック感がなく、なめらかな動きのリングだ。クリックあり・なしは好みの部分があるが、絞り値やシャッタースピードなど段階的に値を変更したい場合は、クリック感のあるPowerShot G7 Xのほうが操作しやすいと感じるだろう。また、PowerShot G7 Xでは、背面のリング機能切り替えボタンを押して、リングで操作する機能をダイレクトに変更できるが、RX100 IIIでは、メニューのカスタムキー設定での変更となる。

レンズ部のリングは操作感が異なる。PowerShot G7 Xはクリック感があり、RX100 IIIはクリック感がない

レンズ部のリングは操作感が異なる。PowerShot G7 Xはクリック感があり、RX100 IIIはクリック感がない

液晶モニター&EVF

PowerShot G7 の液晶モニターは、約104万ドットの3.0型タッチパネル(3:2)で、RX100 IIIは約122.9万ドットの3.0型(4:3) だ。両モデルともにチルト可動式モニターになっているが、PowerShot G7 Xは上方向に180度回転するタイプで、RX100 IIIは上方向に180度+下方向にも45度動くようになっている。ハイアングルからの撮影を考慮するなら、下向きにモニターを向けられるRX100 IIIのほうがやりやすいと感じるだろう。
また、PowerShot G7 Xはタッチパネル対応で、RX100 IIIはタッチパネル非対応なのも大きな違いだ。PowerShot G7 Xでは、オートフォーカス機能でタッチ操作が使えるほか、メニュー周りの操作も、モニターをタッチすることで行える。

両モデルともチルト可動式モニターを採用。PowerShot G7 Xは上方向に180度回転可能。RX100 IIIは下方向にも動かせる

また、電子ビューファインダー(EVF)については、PowerShot G7 Xは非搭載(外付けオプションもなし)、RX100 IIIは内蔵となる。RX100 III は、144万ドットの0.39型有機ELファインダー「OLED Tru-Finder」をコンパクトなボディに内蔵しているのだが、その仕組みがユニーク。ポップアップでファインダー部を上げて、その後に接眼部を引き出すことで利用できるようになっている。こうすることで、コンパクトなボディにEVFを内蔵することを実現しているのである。

EVFは、明るい屋外での撮影中にモニターが見にくいときに威力を発揮する。また、動く被写体を追いかけるときにもファインダーは有効だ。しっかりと構えて撮影ができるのでブレ対策の点でも効果がある。

ポップアップ式のEVFを内蔵するRX100 III

ポップアップ式のEVFを内蔵するRX100 III

オートフォーカス&連写性能

PowerShot G7 Xのオートフォーカスは、31点のフレーム枠を持つシステム。フレーム枠のサイズは、「標準」と「小」が用意されている。先述したように、タッチパネル液晶を採用しており、タッチ操作でフレーム枠を変更できるほか、タッチした位置でピントを合わせてシャッターが切れるタッチシャッターに対応しているのも特徴だ。このほか、シャッターボタンを押す前にオートフォーカスが動作する「コンティニュアスAF」や、シャッターボタン半押し中は青色の枠内にピントと露出を合わせ続ける「サーボAF」にも対応している。連写性能は、最高約6.5枚/秒。

PowerShot G7 Xはタッチシャッターが可能

PowerShot G7 Xはタッチシャッターが可能

RX100 IIIは、フォーカスエリアで「ワイド」を選択した際に25点のフレーム枠を持つシステム。フレキシブルスポットでフレーム枠を自由な位置に設定できるほか、フレーム枠の大きさは3段階(S/M/L)で調整可能。「ロックオンAF」にも対応している。連写性能は、速度優先連続撮影時で最高約10コマ/秒。

RX100 IIIはフレーム枠の大きさを3段階(S/M/L)から選べる

RX100 IIIはフレーム枠の大きさを3段階(S/M/L)から選べる

 

 

動画撮影機能

動画撮影機能は、両モデルで一長一短がある。スペックだけを見るとRX100 IIIに軍配が上がるが、PowerShot G7 Xには強力な5軸手ブレ補正があり、ブレを抑えた動画を撮影できる。

PowerShot G7 Xは、1920×1080/60p(ビットレート約35Mbps)のフルハイビジョン記録に対応する。記録形式はMP4(H.264)。動画撮影時には、平行移動時の電子ブレ補正などを加えた5軸手ブレ補正の利用が可能で、手ブレを抑えたムービーを記録できる。このほか、機能面では、静止画といっしょに動画も記録する「プラスムービーオート」や、ミニチュア模型のような効果が楽しめる「ジオラマ風動画」に対応している。

PowerShot G7 Xは、1080/60p(ビットレート約35Mbps)のフルHD記録に対応

PowerShot G7 Xは、1080/60p(ビットレート約35Mbps)のフルHD記録に対応

5軸手ブレ補正で手ブレを抑えた動画を撮影できる

5軸手ブレ補正で手ブレを抑えた動画を撮影できる

RX100 IIIの動画撮影機能のポイントは、全画素読み出し方式を採用していること。センサーのすべての画素情報を読み出してフルHD動画を記録するようになっており、間引き処理をするものと比べて画質面で有利となっている。AVCHD形式での1920×1080/60p(ビットレート約28Mbps)のフルハイビジョン記録に対応するほか、24p記録も可能だ。さらに、Class10以上のSDXC/microSDXCメモリーカードの利用時で、再生はカメラ本体、もしくはPC用ソフト「PlayMemories Home」での再生に限定されるが、高画質なXAVC S形式でのビットレート50Mbpsの1080/60p記録が可能なのも特徴。HD解像度での120p撮影にも対応しており、24p再生時に最大5倍のスローモーション再生が行える。このほか、ゼブラ表示やHDMI同時出力といった高度な機能も搭載している。

RX100 III は、XAVC S形式で50Mbpsの1080/60p記録に対応する

RX100 III は、XAVC S形式で50Mbpsの1080/60p記録に対応する

その他

シャッタースピードは、PowerShot G7 Xが250〜1/2000秒に対応。RX100 IIIは30〜1/2000秒に対応するほか、バルブ撮影も可能となっている。また、両モデルともにNDフィルター機能を搭載。いずれもシャッタースピードは最速1/2000秒と、デジタル一眼カメラと比べて1段分以上遅く、明るい屋外にて開放付近でシャッターを切りたいときに露出オーバーになりやすいが、NDフィルター機能を使って露出オーバーを防げるようになっている。RX100 IIIは、拡張設定でISO80/ISO125を選択できるので、より露出オーバーを回避しやすくなっている。

バッテリーの撮影可能枚数は、スペック上では、PowerShot G7 Xが約210枚(液晶モニター使用時)、RX100 IIIが約320枚(液晶モニター使用時)/約230枚(EVF使用時)。

また、PowerShot G7 X、RX100 IIIともにWi-Fi/NFC機能に対応しており、スマートフォンやタブレットとの連携が可能。スマートフォン/タブレットに撮影画像を転送したり、スマートフォン/タブレットからのリモート撮影が行える。

このほか、RX100 IIIは、カメラにアプリを追加して機能を強化できる「PlayMemories Camera Apps」に対応するのがユニークなところ。アプリは、カメラから直接Wi-Fi経由でダウンロードすることが可能だ。

まとめ 価格差は約2万円。機能面を考慮すると妥当

PowerShot G7 XとRX100 IIIは、1インチセンサーを搭載する高級コンデジの最新モデルとして、人気の高い製品。PowerShot G7 Xは、製品のイメージとしては、同社の高級コンデジ「PowerShot S」シリーズを受け継ぐモデルで、コンパクトさの中に高画質を追求したカメラとなっている。いっぽうのRX100 IIIは、1インチセンサーとカールツァイスレンズによる高画質を実現しつつ、EVFを内蔵したり、XAVC S形式でのフルHD記録に対応するなど、より多機能なモデルとなっている。価格は、2015年3月20日時点の価格.com最安価格で、PowerShot G7 Xが53,000円程度、RX100 IIIが75,000円程度と少し差がある。RX100 IIIにやや割高感を感じなくもないが、EVFなどの機能を考慮すると、2万円程度の価格差は妥当なところではある。

なお、RX100シリーズでは、最新のRX100 IIIだけでなく、初代モデルRX100と2代目モデルRX100 IIも併売されている。特に、RX100は、発売から3年近くが経過し、37,000円程度(2015年3月20日時点の価格.com最安価格)と価格が下がってきていることもあって人気を集めている(※現時点の売れ筋ランキングは1位)。RX100は、通常の(裏面照射型でない)CMOSセンサーを採用し、レンズも35mm判換算で28〜100mmの画角となっており、RX100 IIIとはスペックが異なっている。モニターは固定式で、EVFは非搭載だ。ただ、1インチコンデジをこの価格で手にいられるのは魅力ではある。

真柄利行(編集部)
Writer
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×