夜遅くに仕事から帰ってきたら、赤ちゃんがかわいい姿で寝ている。寝顔を狙ってカメラを向けてシャッターを切る。赤ちゃんが、フラッシュの光やシャッターの音にびっくりして起きて泣いてしまう。家族を愛する“できる”パパ・ママなら、そんな失敗は絶対に避けたいですね。そこで今回、カメラ初心者の方でも赤ちゃんの写真を“キレイかつ便利”に撮ることができるデジタルカメラの理想像を機能軸で考えてみました。赤ちゃんでいる時期は意外に短いもので、あっという間に終わってしまいます。赤ちゃんのかわいい表情は、キレイに残しておきたいものですね。本記事の情報を、赤ちゃんの撮影用のカメラ選びの参考にしていただければと思います。
赤ちゃんの撮影で必要になるカメラの機能を考えてみました
赤ちゃんの撮影では、大人を撮る場合には問題にならないことでも、いくつか気にしておいたほうがいいことがあります。そうした点を踏まえながら、赤ちゃんを撮る際に重要になると考えた6つの機能を紹介します。
機能1 高感度に強い(暗いところでもノンフラッシュでキレイに撮れる)
赤ちゃんを撮影する際、特に気にしておきたいのがフラッシュです。フラッシュの光にびっくりして赤ちゃんが泣いてしまうことになりますし、一度フラッシュを使うと、その後の表情が硬くなってしまうこともあります。フラッシュを使うと不自然な感じになるのも、写真の仕上がりとしては気になるところで、赤ちゃんをキレイにナチュラルな感じで撮りたいのであれば、フラッシュは使用しないほうが(ノンフラッシュのほうが)よいと思います。
ノンフラッシュでの撮影の場合、逆光などは別にして、明るいところでは基本的にキレイに撮れますが、難しいのは、寝室など屋内の暗いところです。暗いところでノンフラッシュだと、光量をかせぐ必要が出るため、どうしても感度が高くなります。感度が高くなると、写真にノイズが多くなり、せっかくのかわいい表情がだいなしになってしまいますね。特に、暗いところでスマートフォンを使って撮影してみて、「暗くて撮ることもできない」「撮れたけどノイズが多くてザラザラしている」といった経験をした方も少なくないのではないでしょうか。
そうした点(フラッシュを使わない+暗いところでの撮影が多くなる点)を考慮すると、高感度でもノイズが少なくてキレイに撮れるカメラのほうが、赤ちゃんの撮影には向いていると言えます。大きくなって、お遊戯会など屋内の暗いところでの撮影機会が増えることを考慮すると、高感度に強くて損をすることはないはずです。
「高感度に強いカメラ」のひとつの基準になるのが、イメージセンサーの大きさです。画素数や画像処理の性能にもよりますが、基本的には、大きなセンサーを搭載したカメラのほうが、高感度の画質が有利になります。具体的には、1インチ(1.0型)、マイクロフォーサーズ、APS-C、フルサイズといった大型センサーを搭載するカメラを選ぶといいでしょう。
機能2 不用意にフラッシュが光らない
赤ちゃんの撮影では、フラッシュを使うことが少なくなりますが、そこで注意したいのが、不用意にフラッシュが光らないようにすること。もちろん、カメラの設定でフラッシュをオフにすることはできますが、使っていて問題になるのは、フラッシュの設定状況を勘違いしたり、わからなくて、不用意にフラッシュが発光してしまうことです。カメラによっては、モードを変えたり、電源をオフにするとフラッシュの設定がリセットされる(だいたいオートフラッシュに戻る)ものもありますので注意が必要です。
フラッシュでの失敗を防ぐには、フラッシュの設定状況がわかりやすいもののほうがいいでしょう。もっともわかりやすいのは、ボタンを押すことでフラッシュ部がポップアップするタイプのものです。ポップアップしない限り発光することはないので、不用意なフラッシュの利用を防げます。高性能なコンパクトデジカメやミラーレス一眼、デジタル一眼レフであれば、ほとんどがポップアップ式のフラッシュを採用しています(一部機種はフラッシュを内蔵しないものもあります)。なお、赤ちゃんを撮る際には、オートフォーカスの補助光もオフにしておきたいところです。暗いところでオートフォーカスを利用すると発光する機能ですが、赤ちゃんが赤い補助光にびっくりしてしまうこともあると思います。
機能3 無音で撮影ができる
フラッシュの光とあわせて、音にも注意しておきたいですね。近くで大きなシャッター音がすると赤ちゃんが敏感に反応してしまうこともあると思いますので、操作音だけでなく、シャッター音も消して無音で撮影ができるととても便利です。無音撮影が可能なカメラは、特に、眠っている姿を近くで撮る場合に使いやすいですよ。シャッターを押した際にまったく音が出ないので、音に赤ちゃんが反応しにくく、気づかれないように撮ることができます。より自然な表情を撮るのに役立つ機能ではないでしょうか。
また、赤ちゃんが産まれて病院で撮影する場合などに無音でシャッターが切れると、まわりに迷惑をかけなくてすむのもいいところです。大きくなってからも、ピアノの演奏会などのイベントで使う場合に、カメラから音がでないのも便利ですね。
無音撮影が行えるカメラは、基本的に、電子シャッターに対応しているものになります。ただし、電子シャッターでの撮影は、蛍光灯のフリッカー現象によって写真に縞状のムラが出たり、すばやく動く被写体を撮影し際に歪みが発生しますので、ご注意ください。
機能4 赤ちゃんといっしょに自分撮りができる
赤ちゃんといっしょに家族写真を撮りたい。お子さんがいる方であれば、誰もがそう思うことでしょうか。自宅などで手軽に撮りたいのであれば、モニターをくるっと回転させて、撮影している様子をモニターを見ながら撮れる自分撮り対応のカメラが便利ですよ。家族全員が写る写真を自分で撮影することができます。
機能5 背景ボケが得やすい
赤ちゃんの写真において、画質面で特にこだわりたいのは「背景ボケ」ではないでしょうか。背景がボケた写真は、被写体が浮かび上がるような印象的な仕上がりになるので、かわいい赤ちゃんを撮るのにピッタリです。撮影の仕方によっても背景をボカすことはできますが、スペック的に大きなボケが得られるのは、高感度に強いものと同様に、イメージセンサーが大きいものになります。具体的には、1インチ(1.0型)以上のサイズのセンサーを搭載するカメラを選んでおきたいところです。
さらに、大きな背景ボケの写真を撮るには、レンズのスペックにも注目してください。開放F値が小さいレンズのほうが、より大きなボケが得やすくなります。赤ちゃんの写真では、35mm判換算で50〜80mmくらいの焦点距離で、開放F1.8以下のものがいいかと思います。とろけるような大きなボケの写真が撮れますよ。この条件を満たすのは、レンズ交換式のミラーレス一眼やデジタル一眼レフ用の単焦点レンズになるかと思います。また、ミラーレス一眼やデジタル一眼レフであれば、さまざまなレンズを使用できますので、少し大きくなってからの運動会やお遊戯会で、35mm判換算で200mmを超えるような望遠レンズを使用して、遠くから子どもを狙うことができますよ。
機能6 コンパクトで持ち運びやすい
赤ちゃんといっしょに外出する際には、ベビーカーやおむつ、着替え、水筒など何かと荷物が多くなります。カメラは、とにかく小さくて軽くて、持ち運びやすいほうがいいですね。ママが使う場合にも、軽いカメラのほうが撮影しやすいと思います。
以上が、カメラ初心者の方が赤ちゃんを“キレイかつ便利”に撮るために必要な機能になります。これらの機能をまとめてみると、
・1インチ以上の大型センサー
・ポップアップ式のフラッシュ
・自分撮り機能
・無音撮影機能
・開放F値の小さなレンズ
・コンパクトボディ
といったスペックを満たすカメラが理想に近いということになります。あくまでも理想像ですので、使う人や使い方によっては、これらのすべてのスペックが必要ではないでしょう。自分に必要だと思う機能を重視して、カメラを選んでいただければと思います。ただ、こうしてまとめてみると、エントリー向けの低価格なデジタルカメラではなく、デジタルカメラであれば高級タイプのものや、レンズ交換式のミラーレス一眼/デジタル一眼のほうが、これらのスペックの多くを搭載しており、赤ちゃんの撮影には向いていると思います。
最後に、今回紹介した6つの機能をすべてカバーするカメラ3機種をピックアップして紹介します。探してみると、ミラーレス一眼カメラの中にいくつかありました。