レビュー

さらなる進化を遂げたOM-Dのエントリーモデル、オリンパス「OM-D E-M10 Mark II」

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オリンパスのミラーレス一眼カメラ「OM-D」シリーズのエントリーモデルとなる「OM-D E-M10」(以下、E-M10)。コンパクトボディに本格的な性能・機能を搭載し、発売から1年半が経過した今でも高い人気を誇っているが、その後継機「OM-D E-M10 Mark II」(以下、E-M10 Mark II)が本日2015年8月25日に発表になった。上位モデルゆずりのボディ内5軸手ぶれ補正機能を採用するなど、従来以上に、高性能・高機能なカメラに仕上がっている。ベータ機の外観写真を交えながら、その特徴を見ていこう。

E-M10 Mark IIのブラックカラーモデル。装着しているレンズは、14-42mmEZキット付属の標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」

上位モデルゆずりの5軸手ぶれ補正機能を搭載

オリンパスのミラーレス一眼カメラは、イメージセンサーシフト式のボディ内手ぶれ補正機能を搭載するのが大きな特徴だ。従来モデルのE-M10は、VCM駆動式(磁力でセンサーを動かす方式)で3軸対応の手ぶれ補正機能を搭載していたが、新モデルのE-M10 Mark IIでは、これが、上位モデルの「OM-D E-M1」(以下、E-M1)や「OM-D E-M5 Mark II」(以下、E-M5 Mark II)と同じ5軸補正に進化。その補正効果はシャッター速度換算で4段分で、従来モデルの約3.5段分から性能が向上している。補正ユニットが異なることもあって、E-M1やE-M5 Mark IIと同じ5段分という効果は得られないものの、縦・横2方向の角度ぶれに加えて、回転ぶれ、水平・垂直2方向のシフトぶれの計5方向の補正に対応するのは、エントリー向けをうたうデジタル一眼レフ/ミラーレス一眼としては初となる。望遠撮影、マクロ撮影、手持ちでの夜景撮影など、幅広い撮影で手ぶれを抑えることが可能だ。さらに、静止画だけでなく動画の撮影においても5軸手ぶれ補正は有効。片手での動画撮影でも、なめらかな動きの映像を記録できるとしている。

E-M1やE-M5 Mark IIと同じく、5軸補正に対応するセンサーシフト式の手ぶれ補正機能を内蔵

E-M1やE-M5 Mark IIと同じく、5軸補正に対応するセンサーシフト式の手ぶれ補正機能を内蔵

シャープで凝縮感のあるコンパクトボディ

オリンパスのミラーレス一眼カメラ「OM-D」シリーズは、フィルムカメラを思わせるようなクラシックなスタイルのデザインを採用している。E-M10 Mark IIも、その特徴を継承しているが、デザインは従来から多くの点が変更になり、より高級感のあるボディに進化している。

全体的には、ボディ前面が水平を強調するラインになったほか、ダイヤルのレイアウトや形状が変更になったことで、よりシャープで凝縮感のあるデザインになっている。ボディ外装はアルミニウムで、アルマイト処理後のブラスト加工によって輝きを演出。ファインダー部は、従来以上にシャープな形状になっている。さらに、ダイヤル類のレイアウトも変更になり、ボディ上面右肩に前後ダイヤルと撮影モードダイヤルを、左肩に電源スイッチを配置。上面はE-M1に近いイメージのレイアウトだ。右肩にダイヤルを集中し、ダイヤルの高さを従来よりも高くすることで、ファインダーを覗きながら操作がしやすいように配慮されている。前後ダイヤル、レリーズボタンの周り、撮影モードダイヤル、レンズ取り外しボタンなどの素材もアルミニウムで、ダイヤル類はローレット加工によって金属感が強調されている。

ボディサイズは119.5(幅)×83.1(高さ)×46.7(奥行)mmで、重量は約390g(付属バッテリーおよびメモリーカード含む、アイカップなし)。従来モデルE-M10の119.1(幅)×82.3(高さ)×45.9(奥行)/約396g(付属バッテリーおよびメモリーカード含む、アイカップなし)とほぼ変わらないサイズ・重量となっている。

前面は水平を強調するラインになった。ファインダー部も、従来以上にシャープな形状になっている

前面は水平を強調するラインになった。ファインダー部も、従来以上にシャープな形状になっている

金属製ボディにシボ加工が入ったグリップを採用

金属製ボディにシボ加工が入ったグリップを採用

背面。親指を引っ掛けておけるリアグリップを採用

背面。親指を引っ掛けておけるリアグリップを採用

上面はヘアライン処理が施されている

上面はヘアライン処理が施されている

上面右肩にダイヤルが集中。ローレット加工が施されており、金属感が高い

上面右肩にダイヤルが集中。ローレット加工が施されており、金属感が高い

底面

底面

液晶モニターは3.0型(約104万ドット)の可動式(上約85度、下約45度)。タッチパネルに対応し、タッチAFやタッチAFシャッターなどの操作が可能

電子ビューファインダーも倍率1.23倍に進化

電子ビューファインダー(EVF)も進化しており、約236万ドットの有機ELデバイスを使った倍率1.23倍(35mm判換算0.62倍)のEVFを採用。E-M1やE-M5 Mark IIの倍率約1.48倍(35mm判換算0.74倍)と比べると差はあるものの、従来の約144万ドット(液晶デバイス)・倍率1.15倍(35mm判換算0.57倍)と比べると、大きくて見やすいファインダーになっている。

さらに、EVF関連では、ファインダー撮影時に右手親指でモニターをなぞってAFの測距点を変更できる新機能「AFターゲットパッド」を搭載。ちょうど、ニコンのデジタル一眼レフ「D5500」と同じような機能で、この機能を使えば、ファインダーを覗いたまま、ダイレクトにピント位置を決めて撮影することが可能だ。ダイナミックレンジを拡大することで逆光時の被写体を確認しやすくする「OVFシミュレーション」という新機能も備わっている。

EVFは、約236万ドットの有機ELデバイスを採用するほか、倍率は1.23倍(35mm判換算0.62倍)に向上

EVFは、約236万ドットの有機ELデバイスを採用するほか、倍率は1.23倍(35mm判換算0.62倍)に向上

AFターゲットパッドの利用イメージ。ファインダーを覗きながら右手親指で測距点を変更できる

AFターゲットパッドの利用イメージ。ファインダーを覗きながら右手親指で測距点を変更できる

高速レスポンスを実現。電子シャッターでの静音撮影にも対応

E-M10 Mark IIの見逃せない特徴となるのが、撮影レスポンスにすぐれることだ。オリンパスのミラーレス一眼カメラは、どのモデルもレスポンスにすぐれているが、E-M10 Mark IIもその特徴を継承している。

オートフォーカスの合焦時間とレリーズタイムラグをあわせた撮影タイムラグ(シャッターボタンを押してからAFが合焦し、撮影が行われるまでの時間)を見ると、E-M10 Mark IIは、レリーズボタンによるシャッターで約0.22秒、タッチAFシャッターで約0.26秒となっている。エントリー向けのカメラとしては非常に高速だ。特に、タッチAFシャッターが速い。モニターをタッチしてからシャッターが切れるまでの時間が短く、レスポンスよく撮影することができる。さらに、連写性能も従来の最高約8コマ/秒から約8.5コマ/秒に向上。C-AF(コンティニュアスAF)の合焦率も向上しているとのことだ。

加えて、上位モデルと同様、電子先幕シャッター/電子シャッターに対応しているのもトピックで、電子先幕シャッターシャッターで機構ブレを抑える低振動撮影と、電子シャッターでの無音撮影ができる静音撮影が可能。静音撮影では、E-M5 Mark IIと同じく、最高1/16000秒の高速シャッターが可能だ。

電子シャッターによる静音撮影に対応。露出開始までの時間を設定することもできる

電子シャッターによる静音撮影に対応。露出開始までの時間を設定することもできる

フォーカスブラケットや4Kタイムラプスなど豊富な機能を搭載

このほか、新機能を含めて、E-M10 Mark IIが搭載する機能を見ていこう。

E-M10 Mark IIが搭載するその他機能
・フォーカスブラケット
・カラークリエーター
・アートフィルター(フィルター全14種、アートエフェクト全9種)
・フォトストーリー(全5パターン)
・ライブバルブ/ライブタイム
・ライブコンポジット
・60p対応のフルHD動画撮影
・4K対応のタイムラプス動画
・ハイスピードムービー
・クリップス
・動画撮影時の電動ズーム操作(タッチ操作)
・動画撮影時のカード残量(残り時間のカウントダウン表示)
・Wi-Fi内蔵

静止画撮影では、ピント位置を変えながら複数枚を連写する「フォーカスブラケット」に対応。動画撮影も進化しており、60p記録でのフルHD動画撮影が可能になったほか、タイムラプス動画は3840×2160/5fpsでの4K記録に対応。一瞬の動きをスローモーションで再生できる「ハイスピードムービー」や、スナップ感覚でショートムービーをつなぎ合わせる「クリップス」なども搭載している。

3840×2160/5fpsでの4Kタイムラプス動画の撮影が可能

3840×2160/5fpsでの4Kタイムラプス動画の撮影が可能

まとめ

E-M10 Mark IIは、従来モデルのE-M10からさらなる進化を遂げており、エントリー向けのミラーレス一眼として見ると、非常に高性能かつ多機能なカメラとなっている。5軸手ぶれ補正機能や倍率1.23倍のEVFなどの基本性能の向上に加えて、静音撮影に対応するなど、上位モデルゆずりの機能も数多く搭載している。従来モデルでも高い評価を得たライブバルブ/ライブタイム、ライブコンポジットといった独自の撮影機能も豊富だ。E-M5 Mark IIと同じ有効1605万画素の4/3型Live MOSセンサーや画像処理エンジン「TruePic VII」を採用し、画質性能も高い。さらに、デザインも従来以上に質感が追求されていて、実際にベータ機に触れた限りでは、ボディの金属感や凝縮感が高く、エントリー向けをうたうモデルとしては非常に高品位なボディだと感じた。

ブラックとシルバーのカラーバリエーションが用意され、発売は2015年9月4日。市場想定価格はボディ単体が80,000円前後、14-42mmEZキットが95,000円前後、Wズームキットが110,000円前後(いずれも税別)と、従来モデルより据え置きとなっている。この新モデルも従来モデルと同様、コストパフォーマンスの高いミラーレス一眼として人気を集めそうだ。

金属製の専用グリップ「ECG-3」を装着したイメージ。ECG-3の価格は7,500円(税別)

金属製の専用グリップ「ECG-3」を装着したイメージ。ECG-3の価格は7,500円(税別)

ECG-3は、ワンタッチでグリップ部を着脱することが可能。バッテリーやメモリーカードの交換がしやすくなっている

真柄利行(編集部)
Writer
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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