画質に続いて、6モデルの携帯性と操作性をチェックしていこう。携帯性での注目ポイントは、レンズを含めてのサイズ&重量だ。操作性では、ホールド感、ボタン&ダイヤル、ファインダーの3点をレビューする。
携帯性については、ミラー構造と光学ファインダーが省略されているミラーレス一眼のほうに分がある。デジタル一眼レフも、技術の進化によってコンパクト化が図られてきてはいるものの、その差は大きく、今回取り上げた6モデルを見ても、「OM-D E-M1」「X-T1」「α7」のミラーレス一眼3モデルのほうが、デジタル一眼レフ3モデルよりも、ひと回り小さなボディとなっている。
また、撮影時のサイズと重量(レンズを装着した際のサイズと重量)も見逃せないポイントだ。今回の特集で使用した標準ズームレンズを組み合わせたもので比較すると、レンズを装着した状態でも、ミラーレス一眼のほうが小さくて軽いことがわかる。
「画質レビューPart1 低価格な標準ズームレンズ編」で使用したレンズを装着したイメージ
OM-D E-M1(左上)、X-T1(中上)、α7(右上)、EOS 70D(左下)、D7100(中下)、PENTAX K-3(右下)
「画質レビューPart2 高性能な標準ズームレンズ編」で使用したレンズを装着したイメージ
OM-D E-M1(左上)、X-T1(中上)、α7(右上)、EOS 70D(左下)、D7100(中下)、PENTAX K-3(右下)
操作性については、ホールド感、ボタン&ダイヤル、ファインダーの3点をモデル別にレビューする。
ホールド感
「OM-D E-M1」は、凝縮感の高いコンパクトボディに仕上がっているが、単にコンパクトさを狙っていないのがポイント。撮影時の操作感にもこだわっており、カメラをホールドしたときのフィーリングは非常によい。グリップは、深くて細めの形状で、フィット感が高いのが特徴だ。カメラをしっかりと握って撮影できるようになっている。
ボタン&ダイヤル
コンパクトながら多くのボタンが装備されている。ボタンのカスタマイズ性も高い。また、ダイヤルのクリック感も良好で扱いやすい。細かいところにもハイエンド機であることを感じさせるボディだ。
操作性では、背面のファンクションレバーを使ってフロントダイヤルとリアダイヤルの機能を変更できる「2×2(ツー・バイ・ツー)ダイヤルコントロール」を搭載しているのが、他モデルにはない特徴。レバーのポジションを「1」と「2」で切り替えることで、「露出補正」「絞り値/シャッタースピード」「感度」「ホワイトバランス」の4つの機能を2つのダイヤルで操作することができる。また、上面左側のドライブボタンの位置には、「連写/セルフタイマー/HDRボタン(ブラケット設定)」と「AF/測光モードボタン」の2つのボタンを装備。これらのボタンを押して操作メニューを呼び出すことで、連写(セルフタイマー)、HDR撮影モード、オートフォーカス、測光モードの設定をフロントダイヤルとリアダイヤルを使ってダイレクトに変更することができる。
数多くのボタンやレイアウトが配置されており、凝縮感の高いボディ。どちらかというと右手での操作が中心となっている
撮影モードダイヤルは、ダイヤル中央のトグル式ボタンを押すことで、ダイヤルの回転が固定される仕組みとなっている
ボディ上面左側には、「連写/セルフタイマー/HDRボタン(ブラケット設定)」と「AF/測光モードボタン」の2つのボタンを搭載する。フィルムカメラの巻き戻しノブをイメージさせるデザインもユニークだ
上向きに80度、下向きに50度の範囲で動かせるチルト可動式の3.0型タッチパネル液晶モニター(約104万ドット)を採用
ファインダー
約1.48倍(35mm判換算で約0.74倍)という、ミラーレス一眼として非常に大きな見え方をする電子ビューファインダーを装備。実際に、このEVFをのぞいてみるとわかるが、35mmフルサイズの光学ファインダーとそん色のない大きさに仕上がっている。さらに、EVFとしては自然な見え方を実現しているのもポイント。表示デバイスには約236万ドットの液晶パネルを採用しているが、単に明るくキレイに見せようというのではなく、状況にあわせてバックライトの輝度を自動調整する「キャッツアイコントロール」によって、明るい屋外では明るく、暗い室内では暗く、環境光の変化に応じて輝度を自動調整することで適正な明るさをキープするようになっているのだ。
約1.48倍(35mm判換算で約0.74倍)の電子ビューファインダーを装備。「キャッツアイコントロール」によって、自然な見え方を実現している
ガイドナンバー7(ISO100・m)/10(ISO200・m)のフラッシュが付属する
ホールド感
「OM-D E-M1」と同じように、凝縮感のあるボディで、クラシックな雰囲気のあるカメラらしいフォルムに仕上がっている。ボディが比較的薄く、それほど大きなグリップを採用しているわけではないが、グリップは指の引っかかり具合がよく、十分なフィット感が得られるようになっている。
ボタン&ダイヤル
富士フイルム「Xシリーズ」のミラーレス一眼らしく、マニュアル操作を重視した操作性を採用。ボディ上面に、感度、ドライブモード、シャッタースピード、測光モード、露出補正を設定できる計5つのダイヤルを搭載するのが特徴だ。感度とドライブモード、シャッタースピードと測光モードは2段ダイヤル仕様という凝りようだ。これまで、ミラーレス一眼では、ボディ上面にここまで多くのダイヤルを備えるものはなかった。また、ダイヤルはアルミ削り出しになっているほか、しっかりとしたクリック感も実現しており、操作感は良好。なお、「X-Pro1」や「X-E2」とは異なり、モニター左側の再生ボタン、ドライブボタン、AE選択ボタンなどは省略されている。
液晶モニターは、チルト可動式の3.0型
ボディ上面に、感度、ドライブモード、シャッタースピード、測光モード、露出補正を設定できる計5つのダイヤルを搭載するのが特徴
感度とドライブモード、シャッタースピードと測光モードは2段ダイヤル仕様。アルミ削り出しになっているほか、しっかりとしたクリック感を実現
ボディ前面にフォーカスモード切り替えレバーを装備する
ファインダー
約236万ドットの有機ELデバイスを採用するなどして、35mm判換算でファインダー倍率0.77倍、水平視野角31度という大きな見え方を実現。ミラーレス一眼カメラとして最高峰と言っていいスペックの電子ビューファインダーに仕上がっている。富士フイルムは、35mmフルサイズセンサー搭載のデジタル一眼レフを超えるスペックで、デジタルカメラとして世界最大のファインダー倍率と発表しているほどだ。
さらに、大きなファインダーを生かした新しいファインダー表示モードを備えているのも特徴。倍率を最大限に生かして広く表示する「フル」と、画面全体を確認しやすい「ノーマル」のモードを選べるほか、カメラを縦位置にした際にファインダー内の情報表示も縦表示に切り替わる「バーティカル」モードも備わっている。ファインダー内に、ピント合わせ用のデジタルスプリットイメージやフォーカスピーキングを小画面で表示する「デュアル(2画面)」モードを選べるのもユニークだ。
35mm判換算でファインダー倍率0.77倍、水平視野角31度という大きな見方を実現した高性能な電子ビューファインダーを搭載
ガイドナンバー約8(ISO100・m)/約11(ISO200・m)の小型フラッシュ「EF-X8」が同梱する
ホールド感
35mmフルサイズセンサーを搭載するカメラとしては非常にコンパクトなボディだが、操作性は犠牲になっていない。ミラーレス一眼としては大きめのグリップを採用し、ホールド感にも配慮したデザインになっている。また、シャッターボタンがグリップ部ではなくボディ上面に配置されているのも特徴だ。しっかりと握ると、人差し指と中指に力が入ってしまうので、あまり深く握らないでホールドしたほうが安定した撮影ができるのではないだろうか。
ボタン&ダイヤル
コンパクトなボディに、必要十分な数のボタンやダイヤルが装備されている。ボディ上面には、撮影モードダイヤルと露出補正ダイヤルを搭載し、前ダイヤルと後ダイヤルも装備。ファンクションボタンのほか、計3つのカスタムボタン(1つは削除ボタンへの割り当て)も備わっている。レバーでフォーカス切り替えとAEロックの機能を選択できるボタンが用意されているのもユニークなところだ。
なかでも特徴的なのが露出補正ダイヤルだ。上面のラインから一段落ちた位置にレイアウトされているうえ、クリック感が適切で、カメラをホールドしながら(ファインダーを覗きながら)の右手親指での操作がしやすくなっている。露出補正ダイヤルは「X-T1」も採用しているが、右手親指での操作は「α7」のほうがやりやすいと感じた。
ファンクションボタンのほか、計3つのカスタムボタン(1つは削除ボタンへの割り当て)も備わっている。レバーでフォーカス切り替えとAEロックの機能を選択できるボタンも用意されている
ボディ上面に、撮影モードダイヤルと露出補正ダイヤルを搭載
前ダイヤルと後ダイヤルも装備する
約92.1万ドットのチルト可動式3.0型液晶モニターを採用
ファインダー
約236万ドットの有機ELデバイスを使った電子ビューファインダーを装備している。倍率は約0.71倍で、ファインダーの大きさは「OM-D E-M1」「X-T1」をやや下回っているが、従来のものよりもコントラストが高くなり、明るい表示になっている。「OM-D E-M1」と「X-T1」と比べると少し見劣りするところもあるが、電子ビューファインダーとしては十分に見やすいファインダーに仕上がっている。
有機ELデバイスを使用した倍率約0.71倍の電子ビューファインダー
ホールド感
デジタル一眼レフらしい大きなグリップを採用し、しっかりとしたホールド感を実現している。レンズを装着した際の重量バランスがよく、光学ファインダーを使用する際に安定した構えで撮影ができる。また、「EOS」シリーズ全体の特徴でもあるのだが、今回ピックアップした他のデジタル一眼レフ2モデルと比べると、シャッターボタンの位置がよりグリップの先端側にあり、斜めに傾斜している。どちらかというと、浅めに握る際にフィット感が高まるグリップではないだろうか。
ボタン&ダイヤル
これはデジタル一眼レフの全体的な特徴になるのだが、ミラーレス一眼と比べてボディが大きい分、ボタンレイアウトには余裕がある。全体的にどのボタンも押しやすい。その点を踏まえたうえで、「EOS 70D」のボタンレイアウトは、どちらかというと右手での操作が中心になっているのが特徴だ。
「D7100」「PENTAX K-3」と異なるのは、ボディ背面右上部のダイヤルの代わりとして、背面に、親指でクルクルと回して操作する円形ダイヤル(サブ電子ダイヤル)が備わっていること。これは、「EOS」シリーズ中上位機の伝統的な操作性だ。設定ボタン、マルチコントローラーと同軸に配置されているが、それぞれが干渉しないようにうまく考えられて設計されており、使ってみると誤操作が少ないことがわかる。
また、ボディ上面右側に、4つのボタンが備わっているのも「EOS」シリーズ中上位機の特徴だ。人差し指でボタンを押して、ボディ上面の前ダイヤル(メイン電子ダイヤル)や背面の円形ダイヤルで設定を変えることができる。
背面に、親指でクルクルと回して操作する円形ダイヤル(サブ電子ダイヤル)を装備
上面には、「EOS」シリーズ中上位機の特徴でもある4つのボタンを装備。「EOS 70D」では、AF動作、ドライブモード、感度、測光モードのボタンが並んでいる
約104万ドットの横開き式バリアングル液晶モニターを採用
ファインダー
ペンタプリズム方式の光学ファインダーで、視野率は約98%で倍率は約0.95倍(35mm判換算で約0.594倍)。「D7100」と「PENTAX K-3」は視野率100%ファインダーを採用しているため、その点ではスペックが劣っている。撮影してみても、視野率100%ファインダーと比べて、撮影範囲に誤差が出るのは事実だ。ただ、APS-Cデジタル一眼レフとしてファインダーの大きさは十分で、撮影しにくいということはない。必要十分な光学ファインダーに仕上がっていると評価したい。
視野率約98%、倍率約0.95倍(35mm判換算で約0.594倍)の光学ファインダー
ガイドナンバー約12(ISO100・m)の内蔵ストロボ
ホールド感
大きなグリップを採用し、上々のホールド感を実現。「EOS 70D」と同じく、レンズを装着した際の重量バランスがよく、安定した構えで撮影ができる。グリップは、比較的細くて深い形状で、奥がやや凹んでいる。凹んだ分部に指先を引っ掛けておけるので、深く握る際にフィット感が高まるようになっている。深く握っても、浅めに握っても対応できるグリップではないだろうか。
ボタン&ダイヤル
ボタンレイアウトで特徴的なのは、液晶モニター左側にもボタンが配列されており、右手だけでなく左手も使う操作性になっていること。撮影時には、カメラをホールドしながら、モニター左側に縦に並んだボタンと、背面の後ダイヤル(メインコマンドダイヤル)と、グリップ部の前ダイヤル(サブコマンドダイヤル)を使って、ホワイトバランス、画質モード、感度をダイレクトに変更することができる。ニコンのデジタル一眼レフ中上位機の伝統的な操作性だ。また、フォーカスモードを切り替えるレバーと、AFモードを変更するボタンが、ボディ前面左側に装備されているのもニコン中上位機の特徴だ。
このほか、上部左側のダイヤルは、撮影モードダイヤルとレリーズモードダイヤルの同軸2段設定になっている。デザインのアクセントになっているだけでなく、それぞれの設定をスピーディーに変更することが可能だ。
液晶モニター左側にもボタンが配置されているのがポイントで、撮影時には、カメラをホールドしながら、モニター左側に縦に並んだボタンと、背面の後ダイヤル(メインコマンドダイヤル)と、グリップ部の前ダイヤル(サブコマンドダイヤル)を使って、ホワイトバランス、画質モード、感度をダイレクトに変更できる
ニコン製デジタル一眼レフ中級機らしいボタンレイアウトを採用
ボディ前面左側に、フォーカスモード切り替えレバーとAFモード変更ボタンを装備
撮影モードダイヤルとレリーズモードダイヤルの同軸2段設定を採用
ファインダー
視野率約100%で倍率約0.94倍(35mm判換算で約0.627倍)のペンタブリズム光学ファインダーを採用。視野率約100%を実現しているのが特徴だが、明るくて見やすいファインダーに仕上がっているのも見逃せないポイントだ。また、ファインダー内表示に有機EL素子を採用し、明るい屋外でも視認性が高いのも特徴。縦位置撮影時にも対応する水準器表示機能を搭載しているのもポイントだ。
視野率約100%、倍率約0.94倍(35mm判換算で約0.627倍)の光学ファインダー
ガイドナンバー:約12(ISO 100・m)の内蔵フラッシュ
ホールド感
「EOS 70D」「D7100」と同じように、大きなグリップを採用し、しっかりとホールドすることができる。グリップの中指があたる部分の凹みが深いのが特徴で、強く握った際のフィット感がよい。また、「EOS 70D」「D7100」と比べると、ボディの重量が約40g程度重くなっているが、持ち比べてみると、40gの差はあると感じる。ただ、レンズとのマッチングの取れたボディになっており、撮影時のホールド感は「EOS 70D」「D7100」と比べて甲乙付けがたい。デジタル一眼レフらしく、安定した構えで撮影ができるようになっている。
ボタン&ダイヤル
右手での操作を中心とした、デジタル一眼レフとしてはオーソドックスなボタンレイアウトを採用。ダイヤルも、ボディ背面とグリップ部の前後ダイヤルを装備している。全体的にボタンやダイヤルが窮屈にならないようにうまく配置されており、無理のない動きで操作できるレイアウトになっている。また、背面の十字ボタンが上下左右に独立したボタンになっていて、それぞれに機能が割り当てられているのも、細かいところだが「EOS 70D」「D7100」とは異なっている部分だ。
また、ボディ前面左側に、フォーカスモード切り替えボタンとAFモード切り替えボタンに加えて、RAW/Fxボタンが備わっているのも特徴。このボタンでは、ワンタッチでJPEG撮影とRAW撮影を切り替えることが可能だ。露出ブラケットや光学プレビューなどの機能を割り当てることもできる。
右手での操作を中心とした、デジタル一眼レフとしてはオーソドックスなボタンレイアウトを採用
ボタンやダイヤルが窮屈にならないようにうまく配置されている
ボディ前面左側に、フォーカスモード切り替えボタン、AFモード切り替えボタン、RAW/Fxボタンを装備
撮影モードダイヤルはレバーでロックする仕組みになっている
ファインダー
「D7100」と同じく、視野率約100%のペンタブリズム光学ファインダーを採用。倍率は約0.95倍(35mm判換算で約0.633倍)で、スペック的にはわずかに「D7100」を上回るものとなっている。また、反射面に新コートを採用し、「K-5II」と比べて明るさが約15%アップし、明るいファインダーに仕上がっているのも特徴だ。
視野率約100%、倍率約0.95倍(35mm判換算で約0.633倍)の光学ファインダー
ガイドナンバー約13(ISO100・m)の内蔵フラッシュ