レビュー
このスペックと機能なら星をキレイに撮れる!?

進化した360度カメラ「THETA S」で星空を撮影してみた

今回THETA Sで撮った星空の写真。iPadの画面をキャプチャーしたものになる

今回THETA Sで撮った星空の写真。iPadの画面をキャプチャーしたものになる

「RICOH THETA S」(以下、THETA S)のスペックと機能をチェックして、「これなら星空も撮影できるのでは……」と考えた方も多いはず。実際、メーカー公式のサンプル画像では、乗鞍岳で星空を撮影したものが用意されていて、星がとてもキレイに写っている。これは試してみるしかない!というわけで、THETA Sで星空の撮影を行ってみた。今回は星空撮影の1点に絞ってTHETA Sをレビューしたい。

※THETA Sの基本的な特徴は、新製品レポート「遊んで実感! 「THETA S」は“コミュニケーションカメラ”の決定版」をご覧ください。

スペックが大幅に強化されたTHETA S。従来と同様、本体の両面に魚眼レンズを搭載し、それぞれで記録した画像を1枚の全天球写真に合成する(正距円筒図法で1枚の平面画像にマッピングする)。三脚座を搭載し、三脚に取り付けての撮影が可能だ

センサーが大型化し、最長60秒の長時間露光に対応

頭上の星空を1枚の写真にすべて収めてみたい。キレイな星空を見ていて(撮影していて)、そう感じたことのある方も多いはず。円周魚眼レンズを使えば星空の全天写真を撮ることができるが、今回試したのは、上下左右360度の全天球写真をワンショットで撮影できる、リコーイメージングのTHETA Sだ。

THETA Sは、2015年10月に発売になった新製品で、「THETA」3世代目のモデルとなる。星の撮影には、「高感度でもノイズの少ない画質」が得られ、かつ「長時間露光が可能なマニュアル撮影」を行えることが基本となるが、THETA Sは、画質性能と機能の進化によって、これらをクリアし、星空を写せるだけのスペックを持つデバイスに進化を遂げている。

画質性能では、2つの魚眼レンズ(と2つの撮像素子)で360度をキャプチャーするという基本的な仕組みはそのままに、撮像素子が1/2.3型に大型化(有効約1200万画素の1/2.3型・裏面照射型CMOSセンサーを採用。従来モデルのセンサーサイズは非公表)。レンズも、6群7枚構成でF2.0の新開発レンズとなっている。ハードウェア的には、一般的なコンパクトデジカメ並みになったと言っていいだろう。裏面照射型センサーなので高感度でもノイズの少ない画質が期待できる。

記録画素数も約640万画素(3584×1792)から約1400万画素(5376×2688)に増えており、より精細感のある画質が得られるようになった。実際に撮影してみて、パソコンやスマートフォンで画像を確認しても、画質の向上は明らかだ。

さらに、THETA Sは機能性も向上。星空を撮影するには長時間露光が必須となるが、THETA Sは、新たにマニュアル露出に対応し、最長60秒までのシャッタースピードを設定できるようになった(※従来は1/7.5秒まで)。60秒までシャッターを開けるのであれば、肉眼では見えない星の点像も十分に写すことができるはずだ。

スマホのTHETA専用アプリの撮影画面。THETA Sは、従来と同様、スマートフォンからのリモート撮影に対応している。マニュアル露出が可能で、シャッタースピードは最長60秒まで設定できる

星空を撮影した結果は?

続いて、THETA Sで星空を撮影してみての結果をレポートしよう。

以下に、THETAの全天球写真を共有できる専用サイト「theta360.com」にアップロードした作例を3枚掲載する。クリック(タップ)することで画像が読み込まれて表示される。回転したり、拡大・縮小することができるのでぜひ試してほしい。

THETA Sで星空を撮影1 - Spherical Image - RICOH THETA

ISO800、60秒、ホワイトバランス:屋外
この画像をtheta360.comで見る

THETA Sで星空を撮影2 - Spherical Image - RICOH THETA

ISO800、60秒、ホワイトバランス:白熱灯1
この画像をtheta360.comで見る

THETA Sで星空を撮影3 - Spherical Image - RICOH THETA

ISO500、60秒、ホワイトバランス:オート
この画像をtheta360.comで見る

結果は「THETA Sなら星空を撮影できる」と言ってもいいのではないだろうか。全体的にノイズが少なく、条件さえととのえば、天の川の帯も記録することができる。ホワイトバランスをうまく設定して夜空をグレーにできれば、星の色を出すことも可能だ。1枚目の写真ではホワイトバランスを屋外に設定している。2枚目は白熱灯1にしてブルーを強調。3枚目はオートで撮っている。

撮影は、三脚にTHETA S本体を設置して、Wi-Fi接続したスマートフォンの専用アプリからリモートで操作する。ピントは固定なので、マニュアル露出モードにして、感度とシャッタースピード、ホワイトバランスを設定してボタンを押せばいい。THETA Sでは、イメージを確認しながら撮れるライブビュー表示に対応するようになったが、星を撮るうえでは、ライブビューでホワイトバランスの色合いを確認しながら撮れるのが便利だった。

感度はISO400〜ISO1600で試してみたが、ISO1600だと、拡大表示した際に色ノイズが少し気になった。周囲の明るさの状況にもよるが、星がよく見える暗いところで撮るのであれば、感度はISO800で、シャッタースピードは60秒の設定をベースにして調整するとよいのではないだろうか。60秒だと拡大した際に点像がわずかに流れて見えるので、気になるようであれば30秒ほどに設定してもいいだろう。

また、THETA Sでキレイな星空の写真を撮るにはロケーション選びも重要だと感じた。光害が少なく暗いところのほうが適しているのは、一般的なデジタルカメラで星景写真を撮る場合と変わらないが、THETA Sは360度をすべてキャプチャーするため、空全体が暗いほうが適していると思う。上に掲載した3枚目の写真では、南の空は暗いものの北の空が街明かりで明るくなっており、全天で見ると明るさにムラが出てしまっている。その点を考慮すると、広角レンズで星景写真を撮る場合よりも、ロケーション選びのハードルは高くなるかもしれない。

パソコンやスマホで表示が可能。SNSへのシェアも簡単。アプリ「THETA+」を使って画像編集も行える

THETAで撮影した画像は、正距円筒図法で1枚の平面画像にマッピングされて記録される。その画像をパソコンの専用ソフトやスマートフォンの専用アプリで表示することで、全天球写真として、グルグルと自由に回転したり、部分的に拡大・縮小できるのが面白いところだ。

また、上でも掲載しているが、専用ソフトやアプリで読み込んだ画像は、専用サイトtheta360.comにアップロードして、SNSでシェアすることも可能。さらに、スマートフォン用の編集アプリ「THETA +」も用意されており、このアプリでは、ビューの切り替え、フィルター効果の追加、トリミングといった編集が行える。編集した画像を保存したり、SNSに投稿することもできる。

パソコンの専用ソフトでの表示画面。自由に回転したり、部分的に拡大・縮小できる

パソコンの専用ソフトでの表示画面。自由に回転したり、部分的に拡大・縮小できる

縮小すると球状の表示にできる

縮小すると球状の表示にできる

スマホの専用ソフトの表示画面。パソコンの専用ソフトと同じような操作が可能

スマホの専用ソフトの表示画面。パソコンの専用ソフトと同じような操作が可能

こちらもスマホの専用ソフトの表示画面

こちらもスマホの専用ソフトの表示画面

編集アプリのTHETA +では、ビューの切り替えやフィルター効果の追加などの編集が可能

編集アプリのTHETA +では、ビューの切り替えやフィルター効果の追加などの編集が可能

フィルター効果を加えて……

フィルター効果を加えて……

そのままビューを切り替えることもできる

そのままビューを切り替えることもできる

THETA +でトリミングをして円周魚眼のような画像を作ってみた

THETA +でトリミングをして円周魚眼のような画像を作ってみた

いろいろな楽しみ方ができ、SNSにも手軽にシェアができるようになっているが、theta360.comで全天球星空の画像を扱ううえでは、いくつか気になることがあった。まず、アップロードした画像の解像感が少し落ちてしまうこと。これは、表示時間(ダウンロード時間)を短縮するために、アップロード時に画像を若干圧縮するのが原因だ(※メーカー確認済)。

また、スマートフォンのWebブラウザーでtheta360.comにアクセスして画像を閲覧すると、画像の周囲が流れたように表示されるのも気になった。スマホのブラウザーでは、パソコンの専用ソフトやスマホの専用アプリとは異なり、画像を縮小できる範囲が狭く、球のような表示にならない。そのため、周囲が引き伸ばされてしまうため、どうしても流れたように見えてしまうのだ。ブラウザーに依存するため致し方のないところではあるが、星の点像がぼやけたように見えてしまうのが少し気になった。

スマホのWebブラウザーでtheta360.comを表示すると、周辺が流れたように表示される

スマホのWebブラウザーでtheta360.comを表示すると、周辺が流れたように表示される

まとめ 気楽に星空をキャプチャーするツールとして楽しもう

以上、THETA Sを使っての星空の撮影レポートをお届けした。スペックから期待したとおりの星空を撮ることができた。これからもいろんなところに持ち運んで星空の撮影を続けたいと思う。インターバル撮影機能を活用して比較明合成にチャレンジしてみるのも面白そうだ。

ただ、このツールは、本格的に星空を撮るというよりも、気軽に楽しむほうが合っていると思う。THETA Sのよさは、コンパクトなボディで持ち運びが楽で、シャッターボタンを押すだけで撮れること。スマートフォンよりもコンパクトなサイズなので、小さな三脚で固定しても安定するため、デジタルカメラと比べると長秒撮影の敷居も低い。そうした持ち運びやすさ・使いやすさを重視すると、デジタル一眼レフでの本格的な星の撮影の合間にキャプチャーしてみるとか、キャンプや登山の際に持っていって星が見えるようだったら使ってみるといったように、「星が撮れるようだったら撮る」くらいの軽い気持ちで使うのほうがいいように思う。

なお、これからの時期、冷え込んだ際に屋外で使う場合は、結露には注意したほうがいいだろう。デジタル一眼カメラであれば、レンズヒーターやカイロを使ってレンズが結露しないようにするが、THETA Sの場合も、同じような工夫が必要になるかもしれない。純正オプションで防滴仕様のハードケース「TH-1」が用意されているので、それを活用してみてもいいだろう。

防滴仕様のハードケース「TH-1」の装着例

防滴仕様のハードケース「TH-1」の装着例

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

体力勝負ならそこそこ強い編集部デスク。カメラやAV家電を中心に製品のレビュー記事を担当しています。撮られるのは苦手ですが撮るのは好きです。

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