・ズーム全域で解像力が高い。絞り開放からシャープで、どの焦点距離でも安定した写り
・色づきが少なく、ボケ味がキレイ。玉ボケが得やすいのも特徴
・オートフォーカスが高速かつ静寂に動作
・剛性が高く、ホールド時の安定感は高い
FE 24-70mm F2.8 GMの描写力は、広角端24mmから望遠端70mmまでズーム全域で非常に高い解像力を実現しているのが大きな特徴だ。絞り開放からピント位置では切れ味するどいシャープな描写が得られる。開放だと周辺でわずかに倍率色収差が見られることがあるものの、色収差は全体的によく抑えられている。どの焦点距離でも絞り開放から安定した写りで、α7R IIの有効約4240万画素の高画素センサーのポテンシャルを引き出せるレンズだと思う。中央部の解像力についてはα7R IIでもまだ余裕があって、さらに高画素なセンサーにも耐えられるようにも感じる。発色はどちらかというと抑え目で、階調性にすぐれた素性のいい画質が得られる。強い光源を画面に入れるとゴーストが発生することがあったが、ズームレンズとしては逆光にも強い。
加えて、輪郭部の色づきが少なく、ボケ味がキレイなのも見逃せない。ピント位置から素直にボケていき、うるさい感じにならないのがとても扱いやすい。玉ボケが得やすいのも特徴で、ボケを存分に楽しめるレンズである。解像力とボケ味を高次元で両立した、というのも納得の仕上がりだ。歪曲収差は広角端ではそれなりに出るが、ボディ側のレンズ補正機能を利用すれば抑えることは可能。描写力についてはこれといった穴がなく、大口径の標準ズームレンズとしてはほぼ完ぺきな出来ではないだろうか。
操作感は、オートフォーカスが高速かつ静寂に動作するのがポイント。フォーカシング時のレンズの挙動がとてもなめらかで、ほぼ無音でスーッと動作するのが心地よい。動画撮影でもレンズの駆動音はほとんど気にならないと思う。また、鏡筒の剛性が思っていた以上に高いのも使ってみてわかった点で、決して軽いレンズではないが、ホールド時の安定感は高い。価格を考慮すると距離窓は用意してほしかったところだが、使い勝手についてもこれといった不満を感じない仕上がりだ。
・解像力とボケ味のバランスにすぐれた描写を実現した高性能レンズ
・278,000円(税別)に見合う価値がある
・ボディ内手ブレ補正搭載のα7シリーズ第2世代モデルで使うのがベター
・α7R IIと組み合わせることで解像力の高さを存分に味わえる
・ただし、高性能ゆえにレンズは大きくて重い
FE 24-70mm F2.8 GMは、大口径の標準ズームレンズとして、非常にバランスの取れた描写力を実現している。解像力が高いうえに、ボケ味もキレイ。オートフォーカスもハイレベルで、撮影しているとクオリティの高いレンズであることを強く感じさせてくれる。現時点でもっとも高性能な標準ズームレンズに数えられる1本だ。価格は278,000円(税別)と高額だが、十分にその価値はある。「Eマウント用の大口径・標準ズームレンズを待っていた!」という方の期待を裏切らない製品だと思う。
α7シリーズの第1世代モデルと組み合わせるのもいいが、レンズ側に手ブレ補正が用意されていないので、ボディ内手ブレ補正を搭載する第2世代モデルで使うのがベターな選択だろう。特にフラッグシップモデルとなるα7R IIと組み合わせることで、このレンズの解像力の高さを存分に味わえるはずだ。
気になる点があるとすれば、高性能ゆえにレンズが大きくて重いことだろう。重量約886gと、決してコンパクトなレンズではなく、スナップで持ち歩いて撮影するには少々重いと感じた。写りのよさを考慮するとこのサイズも納得はできるが、コンパクトさを求めてα7シリーズを選択している方にとっては大きな標準ズームレンズに感じるかもしれない。
なお、同じEマウント用の高性能な標準ズームレンズとしては、カールツァイスブランドの「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」も用意されている。こちらは開放F4通しに明るさが抑えられているが、FE 24-70mm F2.8 GMよりもひと回り以上小さくて軽い。価格も半値以下となっている。スペックが異なるレンズではあるが、Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSを所有している場合、レンズが大きくなるFE 24-70mm F2.8 GMに買い替えるかは判断に迷うところだろう。今後、この2本のレンズの描写力を比較するレビューをお届けする予定だ。