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今さら聞けないSDメモリーカードの選び方

スマートフォンやデジタルカメラで、データを記録するために使われるSDメモリーカード。デジタルライフの必須アイテムですが、ほとんどの人は価格と容量だけを見て製品を選んでいるのではないでしょうか? それでも困るコトはないと思いますが、価格と容量以外にも、SDメモリーカードを購入する際にチェックすべきポイントがいくつかあります。今回はSDメモリーカードを買う時に役立つスペックの見方をご紹介します。

【種類】デジカメやPC用のSDカード、スマホ用のmicroSDカード

まずは基本の「種類」についてです。SDメモリーカードには2つのサイズ(フォームファクタとも言われます)があることを覚えておきましょう。

デジタルカメラやパソコンなどでよく使われる「SDメモリーカード」(以下、SDカード)と、スマートフォンなど小型の機器で使われる「microSDメモリーカード」(以下、microSDカード)の2つがあります。

SDカードの大きさは24.0(幅)×32.0(高さ)×2.1(厚さ)mm、重量は約2g。microSDカードの大きさは15.0(幅)×11.0(高さ)×1.0(厚さ)mm、重量は0.5g。SDアソシエーションというメモリーカード規格を策定する規格団体によってサイズや仕様は決められています

利用する機器(ホストとも呼ばれます)が、SDカードかmicroSDカードのどちらに対応しているのかを確認しましょう。ご覧の通り、大きさが違うので、小さなmicroSDカード対応の機器に大きなSDカードを挿入して使うことはできません。逆に、microSDカードは、変換アダプターを使うことで、SDカードとしても使えます。

最近はデジタルカメラやパソコンでもSDカードではなくmicroSDカードに対応しているものが増えているので、購入前に改めて確認してみるといいでしょう。

■主な対応機器(ホスト)
○SDカード…デジタルカメラ、デジタル一眼カメラ、ビデオカメラ、パソコンなど
○microSDカード…スマートフォン、タブレット、アクションカメラ、ドライブレコーダー、防犯カメラ、ポータブルゲーム機、カーナビ、デジタルオーディオプレーヤー(DAP)など

【容量】よく見る「SD/SDHC/SDXC」は容量の違い

続いては「容量」です。選び方のポイントは、ズバリ、できるだけ大容量のものを選んでおくこと。カメラなら4K動画、デジタルオーディオプレーヤーならハイレゾ音源という風に、取り扱うファイル容量がどんどん増えているからです。

最新の機器で利用するなら、価格と容量のバランスがいい32GBか64GBを選んでおけば、すぐに容量不足で困ることはないでしょう。価格.comで探せば、SDカード/microSDカードともに1,000円以下で見つかります。

なお、128GBのSDカード/microSDカードも2,000円程度なので、予算に余裕がある人は容量の多い128GBを選んでもいいかもしれません。

キヤノンのデジタルカメラ「PowerShot SX740 HS」のスペックをもとに算出した記録枚数と動画の記録可能時間。静止画は4:3の「ファイン」を選択した場合の枚数。おおよその目安であり、撮影状況により変わります

容量についてもうひとつ覚えておきたいのが「容量ロゴ表示」。SDカード/microSDカードのパッケージやカード本体を見ると、「SDHC」や「SDXC」などと記載されています。これが「容量ロゴ表示」です。何をあわらしているかというと、その名の通り容量のこと。「容量ロゴ表示」には、「SD」「SDHC」「SDXC」「SDUC」の4つがあります。

容量が最大2GBの「SD」は最近見かけなくなってきており、現在主流なのは「SDHC」と「SDXC」の2種類。「SDUC」は昨年発表された新しい規格なので、2019年5月9日時点ではまだ対応製品は発売されていません

「容量ロゴ表示」で気をつける点は、ホスト機器によって使えるカードが異なることです。「SDXC」対応のホスト機器の場合、「SD」「SDHC」「SDXC」が使えます。「SDHC」対応のホスト機器の場合は「SD」と「SDHC」が使えます。ドライブレコーダーなどは「SDHC」対応モデルがいくつかあるので、その場合、「SDXC」のカードは使えません。カメラは最新のものなら「SDXC」に対応しているので、心配する必要はないでしょう。

昨年発表された「SDUC」は、2TB〜128TBという大容量タイプ。現時点で対応カードは発売されておらず、市場に出回るのはもう少し先のことになるでしょう。128TBもあれば、一生分の写真や動画が1枚のSDカード/microSDカードに保存できるようになるかもしれません。

【速度】動画を撮影する場合や、快適さにこだわるなら「速度」も忘れずにチェック

最後にチェックしておきたいのが「速度」です。チェックすべき項目は以下の4つです。

(1)動画を撮影するなら「スピードクラス」
(2)連写性能を重視するなら「書き込み速度」
(3)パソコンへの転送時間を短くしたいなら「読み取り速度」
(4)スマホで使う場合は「アプリケーションパフォーマンスクラス」

(1)動画を撮影するなら「スピードクラス」
デジタルカメラなどで動画を撮影する場合にチェックすべき項目です。データ容量の多い4Kや今後登場するであろう8Kで動画を一定時間記録する場合、SDカード/microSDカードの書き込み速度が遅いと、カードへの記録が追いつかず、安定した記録ができません。「スピードクラス」は、最低でもこれだけの速度で書き込めるという性能を表す値です。具体的には、「スピードクラス」「UHSスピードクラス」「ビデオスピードクラス」という3つの指標があります(下図)。少しわかりにくいですが、今後は「ビデオスピードクラス」に統合されることになっているので、わかりにくさが解消されるかもしれません。

「スピードクラス」はCLASS2/4/6/10の4つ、「UHSスピードクラス」はUHSスピードクラス1/3の2つ、「ビデオスピードクラス」はV6/10/30/60/90の5つがあります。4K動画を撮影する場合は、「スピードクラス」ならCLASS6以上、「UHSスピードクラス」なら1以上、「ビデオスピードクラス」ならV6以上のSDカード/microSDカードが必要とされています

パッケージやカード本体を見てみると、スピードクラスは簡略化されたマークで表示されています

パッケージやカード本体を見てみると、スピードクラスは簡略化されたマークで表示されています

(2)連写性能を重視するなら「書き込み速度」
スピードクラスが最低速度なのに対して、「書き込み速度」は最高速度のこと。SDカード/microSDカードへどれだけ速くデータを書き込めるのかを表しています。この速度が速いと、たとえばカメラの場合だと途切れることなく連写撮影ができます。決定的瞬間を逃したくないという人は、書き込み速度に注目しましょう。

ちなみに、「UHSスピードクラス」の「UHS」とは、高速なインターフェイス「UHS」(Ultra High Speed)のこと。「UHS」に対応しているとトップスピードが速いのも特徴。UHSインターフェイスには、毎秒104MBの「UHS-I」と、毎秒312MBの「UHS-II」があります。高解像度のRAWデータを連写したり、容量の大きなファイルをパソコンへ短時間で転送したりするような場合は、このマークが付いたカード選ぶといいでしょう。なお、UHSは使用する機材側の対応も必要で、どちらかいっぽうしか対応していないと、最高性能は発揮されません。なお、書き込み速度は、メーカーによって公表されていない場合もあります。

(3)パソコンへの転送時間を短くしたいなら「読み取り速度」
書き込みの反対の読み取りの速度は、たとえば、SDカード/microSDカードからパソコンへデータを転送する時間に関係しています。読み取り速度が速いほうが短時間でパソコンにデータを転送できるので、作業効率アップにつながります。ただし、パソコンやカードリーダーも対応のものでないと、最高性能は出ないので注意しましょう。こちらも、メーカーや製品によって公表されていない場合があります。

(4)スマホで使う場合は「アプリケーションパフォーマンスクラス」
microSDカードを内部ストレージ化できるAndroidスマホを使っている人は、「アプリケーションパフォーマンスクラス」をチェックしましょう。「A1」と「A2」という2つのクラスがあり、「A2」のほうが性能は高いので、アプリを快適に使いたいという人は「A2」のカードを選びましょう。

まとめ

SDメモリーカードを買う時は、まず自分の使う機器がSDカードとmicroSDカードのどちらに対応しているかを確認しましょう。次に必要な容量を選ぶのですが、現在なら「SDHC」の32GBを基準にするとわかりやすいと思います。価格で選びたい場合は「SDHC」、容量を重視したいときは「SDXC」という感じです。

「スピードクラス」についてはCLASS 10に対応していればおよそOKですが、用途によって気をつけたいところもあります。たとえば、高解像度の連写をするようなスピードが求められるシーンでは、高速転送が可能なUHSインターフェイス対応のものを選びたいところです。また、4K/2Kの動画撮影といった一定の書き込みを続けるときは「UHSスピードクラス」のU3や「ビデオスピードクラス」のV30以上のカードが適しています。

各社からさまざまな製品が発売されているSDメモリーカードですが、格安なバルク品などを除けば販売されている製品の品質に大きな違いはありません。「種類」「容量」「速度」の3つをチェックして、自分の用途にピッタリな1枚を選んでみてください。

価格.comマガジン編集部

価格.comマガジン編集部

パソコン・家電からカップ麺に至るまで、何でも自分で試してみないと気が済まないオタク(こだわり)集団。常にユーザー目線で製品を厳しくチェックします!

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