価格.com最安価格で3万円以下の比較的手に入れやすい焦点距離50mm付近の標準レンズをピックアップしてみました! 標準レンズの魅力を解説したうえで、50mmよりも少し広角・望遠になる製品の情報も含めながらレンズマウント別に紹介します。
※本記事内の価格表記はすべて2016年9月16日時点の価格.com最安価格を参考にしています。
※紹介するレンズは、オートフォーカスに対応するものとし、2016年9月16日時点での価格.com最安価格をもとにピックアップしました。価格変動により、最安価格が3万円を超えることもあります。
※レンズの表記については、キヤノンEFレンズ、ニコンFXレンズといったように、正式なマウント名ではなく、わかりやすさを重視した名称を使用しています。
単焦点レンズの特徴は、開放F値の小さい大口径タイプで、描写力にすぐれたモデルが多いことです。大口径を生かしてボケのある写真が撮りやすいですし、絞ることでシャープな写りの写真を撮ることもできます。大口径の場合、一眼レフの光学ファインダーが明るく、見やすくなるのもポイントです。
単焦点レンズは、28mm、35mm、50mm、85mm……と、いろいろな焦点距離のものがありますが、その中でも、50mmは「標準レンズ」と呼ばれ、昔から、あらゆるタイプのレンズの中で基本となるレンズと考えられてきました。標準に位置付けられているのは、50mm付近が人間の視野に近い画角だからなど諸説ありますが、50mm付近は画角が広からず狭からずでちょうどよく、撮影距離から得られる遠近感も自然な感じで、とても扱いやすいです。単焦点レンズを使ったことのない方はズームできないのが不便と感じるかもしれませんが、50mmの画角の感覚はわかりやすいので、慣れてくるとフレーミングに迷いがなくなり、テンポよく撮れるようになります。撮影者が被写体に近づいたり離れたりしながら構図を決めるのがやりやすく、使えば使うほど楽しくなるレンズです。
さらに標準レンズは、お買い得な製品が多く、写りがいいことでも定評があります。コンパクトにまとまっているものも多く、レンズキットに付属する標準ズームレンズや望遠ズームレンズを使っている方に、はじめて手に入れる単焦点レンズとしてもおすすめできます。
購入するうえでの注意点は、使用しているカメラの規格から35mm判換算で50mm相当になる画角をチェックすることです。35mmフルサイズセンサーを搭載するカメラの場合は、フルサイズに対応する焦点距離50mmのレンズを選べばいいのですが、APS-Cセンサー機の場合は35mm判換算で50mm相当の画角となるのは、焦点距離が35mm程度になります(メーカーにより少し異なります)。マイクロフォーサーズの場合は25mmとなります。
レンズ:EF50mm F1.8 STM、カメラ:EOS 6D
レンズ:AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G、カメラ:D610
レンズ:E 30mm F3.5 Macro、カメラ:α6000
キヤノンのフルサイズ対応標準レンズの中では、EF50mm F1.8 STMがもっとも安い製品になります。“撒き餌レンズ”として人気を集めたEF50mm F1.8 IIのリニューアルモデルで、STM(ステッピングモーター)を採用することで、従来よりも静かでスムーズなレンズ駆動を実現。14,000円程度という低価格を実現していることもあり、人気の高いレンズになっています。
なお、50mm付近ではEF40mm F2.8 STMという単焦点レンズもあります。価格は16,000円程度で、開放F値はF2.8になりますが、厚さ22.8mmのスリムボディが魅力のパンケーキレンズです。焦点距離が40mmと少しワイドな画角となります。
「EOS Kiss」シリーズなどキヤノンのAPS-Cデジタル一眼レフで使える標準レンズは、比較的安く手に入るモデルがないのが現状です。APS-C用のEF-Sレンズでは、EF-S24mm F2.8 STMが16,000円程度で用意されていますが、画角が35mm判換算で38mm相当とワイドとなります。EF28mm F1.8 USMやEF35mm F2 IS USMのフルサイズ対応のEFレンズを標準域のレンズとして使用できますが、価格が5〜6万円程度になっています。EF40mm F2.8 STMを使うのもいいかと思いますが、画角が64o相当とやや狭くなります。
サードパーティー製では、35mm判換算で48mm相当の画角となる、シグマの30mm F1.4 DC HSMが用意されています。開放F1.4の明るさを実現し、価格は37,000円程度。なお、30mm F1.4 DC HSMは同価格帯でニコン用、ソニー用(Aマウント)、ペンタックス用も用意されています。
ミラーレスカメラ「EOS M」シリーズ用のEF-Mレンズでは、レンズ先端にLEDライトを内蔵したユニークなEF-M28mm F3.5 マクロ IS STMを標準域のレンズとして使用できます。35mm判換算で45mm相当の画角になります。価格は33,000円程度。開放F値がF3.5で、価格も3万円以下ではないですが、EF-Mレンズの中では人気の高い製品になっています。
ニコンは、フルサイズ対応のFXフォーマット用としてAF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gを用意しています。SWM(超音波モーター)を搭載し、静粛性にすぐれたスムーズなオートフォーカスを実現。NIKKORレンズらしい写りのよさを楽しめる1本として人気を集めています。価格は25,000円程度です。
APS-CサイズのDXフォーマットでは、AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8Gを安価な標準レンズとしてラインアップしています。35mm判換算で52.5mm相当の画角となるレンズで、SWMも搭載。価格は28,000円程度になります。こちらも人気の高い製品です。
1インチセンサーを採用する「Nikon 1」シリーズでは、35mm判換算で50mm相当の画角となる1 NIKKOR 18.5mm f/1.8が用意されています。1インチセンサー用ながらもボケ味がきれいなことで評判のレンズです。価格は20,000円程度です。
フルサイズミラーレス「α7シリーズ」用の低価格な標準レンズとして用意されているのがFE 50mm F1.8(SEL50F18F)になります。2016年4月に登場した新しいレンズで、価格は29,000円程度。フルサイズ対応のFEレンズは比較的高い価格設定の製品が多いですが、その中ではもっとも安いレンズになります。
EマウントのAPS-C用レンズとしては、E 35mm F1.8 OSS(SEL35F18)が標準レンズとして用意されていますが、価格が33,000円程度となっています。絞り開放がF3.5となりますが、マクロレンズE 30mm F3.5 Macro(SEL30M35)を選ぶのもいいかもしれません。価格は22,000円程度です。
なお、写りのいい単焦点レンズを多数ラインアップするシグマからは、EマウントのAPS-C用レンズとして、絞り開放F2.8、35mm判換算で45mm相当となる30mm F2.8 DNが17,000円という価格で用意されています。描写力にこだわった「Artライン」のレンズとして、コストパフォーマンスの高さで人気のレンズです。開放F1.4の明るさを実現した30mm F1.4 DC DNもあって、こちらは35,000円程度の価格となっています。
Aマウント用のレンズでは長らく単焦点レンズの新モデルが登場していませんが、APS-C用としては、DT35mm F1.8 SAM(SAL35F18)が低価格な標準レンズとして用意されています。35mm判換算で52.5mm相当の画角で、価格は17,000円程度。コストパフォーマンスが高く、ユーザーから評価されているレンズです。
フルサイズ用としては、31,000円とわずかに3万円を超える価格になりますが、50mm F1.4(SAL50F14)が低価格な標準レンズとして用意されています。
フルサイズ一眼レフ「PENTAX K-1」で使用できるフルサイズ対応の標準レンズは、現状では3万円という価格では用意されていません。1991年発売のsmc PENTAX-FA 50mmF1.4を36,000円程度で手に入れることができます。
ペンタックスのAPS-C用の標準レンズとしては、smc PENTAX-DA 35mmF2.4ALが購入しやすい製品として用意されています。35mm判換算で53.5mm相当の画角になり、開放F値はF2.4。重量約124gの軽量レンズです。価格は17,000円程度。価格は少し高くなりますが、ホワイトやグリーン、レッドなど計11色のオーダーカラーも用意されています。
なお、ビスケットレンズと呼ばれるsmc PENTAX-DA 40mmF2.8 XSも面白いレンズです。35mm判換算で61mm相当にはなりますが、9.2mm厚の超薄型を実現しています。価格は23,000円程度です。
コンパクトなレンズ交換式カメラ「PENTAX Q」シリーズでは、単焦点レンズとして01 STANDARD PRIMEが用意されています。1/1.7型センサーを搭載する「PENTAX Q-S1/Q7」に装着すると、35mm判換算で39mm相当の画角になります。1/2.3型センサーを採用する古いモデルの「PENTAX Q10/Q」の場合は、35mm判換算で47mm相当になります。価格は13,000円程度です。
富士フイルムのミラーレス「Xシリーズ」用では、3万円以下の価格で手に入る標準域の単焦点レンズはありません。絞り開放F2でコンパクトなフジノンレンズ XF35mmF2 R WRが37,000円程度の価格となっています。
オリンパスとパナソニックが採用するマイクロフォーサーズ用ミラーレスの標準レンズとしては、パナソニックのLUMIX G 25mm/F1.7 ASPH.が24,000円程度の価格で手に入ります。絞り開放F1.7の明るさを実現した、シンプルなデザインのレンズです。
いっぽうのオリンパスは、35mm判換算で50mm相当の画角の標準レンズとしてM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8をラインアップしています。価格は31,000円程度と3万円をわずかにオーバーしていますが、コンパクトながらシャープなレンズとして人気を集めています。2016年9月16日時点では、オリンパスの単焦点レンズの中でもっとも人気の高い製品となっています。
なお、ソニーEマウントレンズ(APS-C用)でも紹介した、シグマの30mm F2.8 DNは、マイクロフォーサーズ用も用意されています。35mm判換算で60mm相当と少し狭い画角になりますが、17,000円程度の価格となっています。開放F1.4の明るさを実現した30mm F1.4 DC DNも、35,000円程度の価格でマイクロフォーサーズ用がラインアップしています。
フリーランスから価格.comマガジン編集部に舞い戻った、カメラが大好物のライター/編集者。夜、眠りに落ちる瞬間まで、カメラやレンズのことを考えながら生きています。