交換レンズ図鑑
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ニコンが理想とする“三次元的ハイファイレンズ”の第2弾! 中望遠レンズ「AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED」実写レビュー

こちらも開放F1.4で撮っている。大きなボケが得られているが、どこかを境にして極端にボケはじめるような不自然さがないのがいい
ISO100、F1.4、1/8000秒、ホワイトバランス:オート1、ピクチャーコントロール:ポートレート、アクティブD-ライティング:しない、JPEG
撮影写真(7360×4912、20.6MB)

背景の玉ボケを狙って、少し絞ってF4で撮影した作例
ISO100、F4、1/160秒、ホワイトバランス:オート1、ピクチャーコントロール:ポートレート、アクティブD-ライティング:しない、スピードライトSB-5000使用、JPEG
撮影写真(7360×4912、18.7MB)

引いた位置で全身を入れて撮影。二線ボケが気になる被写体だが、前ボケから後ボケまで連続したキレイなボケが得られた
ISO125、F1.4、1/640秒、ホワイトバランス:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない、RAW(ピクチャーコントロールを初期設定にリセット、その他の設定は撮影時のままJPEGに変換)
撮影写真(7360×4912、16.5MB)

スポットライトが当たる状況でグラスを撮影。ピント位置の解像感の高さと、グラスのエッジ部分に色のにじみが見られない点に注目してほしい
ISO500、F2.8、1/200秒、ホワイトバランス:オート2、ピクチャーコントロール:ビビッド、アクティブD-ライティング:しない、JPEG
撮影写真(4912×7360、18.4MB)

線が多く煩雑なボケになりがちな被写体を開放で撮ってみたが、不自然なボケ方はしていない。すっきりと自然な感じに仕上がった
ISO100、F1.4、1/8000秒、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない、RAW(ピクチャーコントロールを初期設定にリセット、その他の設定は撮影時のままJPEGに変換)
撮影写真(7360×4912、18.9MB)

F8まで絞って遠景を撮影してみた。コントラストが高く、細かいところまでシャープに描けている
ISO100、F8、1/160秒、ホワイトバランス:オート1、ピクチャーコントロール:風景、アクティブD-ライティング:しない、JPEG
撮影写真(7360×4912、21.4MB)

雨の夜に撮ったスナップ作例。開放で撮っているが、光源のボケに気になるような色にじみがないのがポイント
ISO100、F1.4、1/6秒、ホワイトバランス:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない、RAW(ピクチャーコントロールを初期設定にリセット、その他の設定は撮影時のままJPEGに変換)
撮影写真(7360×4912、18.6MB)

開放F1.4で撮影した夜景作例。全体的に少しソフトな感じになっているが、周辺部の点光源に注目してほしい。倍率色収差やコマ収差が抑えられており、形が崩れることなく点で表現できている
ISO100、F1.4、1/10秒、ホワイトバランス:オート1、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブD-ライティング:しない、RAW(ピクチャーコントロールを初期設定にリセット、その他の設定は撮影時のままJPEGに変換)
撮影写真(7360×4912、22.9MB)

上の夜景作例の左下周辺を等倍で切り出した画像。ピント位置の問題もあって等倍で見るとわずかに像が流れているように見えるが、色のにじみがなく点光源をキレイに描写できている

描写力と使い勝手をレビュー

・ピント位置からなだらかにボケる上質なボケ味を実現
・絞り開放のボケ味は極上。ピント位置付近でのゆるやかなボケに注目
・開放ではややソフトな描写。周辺光量落ちも目立つ。F2まで絞るとシャープになる
・開放でも点光源の再現性は高い。周辺でも気になるような収差は見られない
・AFはスピーディーでピント精度も十分

「ニコン最新の105mm」であるAF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDの最大の魅力は、三次元的ハイファイによる、非常に上質なボケ味が得られることだ。105mmという中望遠域の焦点距離ということもあってボケが大きいのもポイントなのだが、それよりもピント位置からなだらかにボケが変化する感じが、とても美しい。どこかを境にして大きくボケはじめるのではなくて、自然な感じでボケが続いていく。立体感や奥行き感が得やすいレンズだと思う。

特に、絞り開放でのボケ味は極上だ。薄いピント面を外れるとすぐにボケはじめるのだが、ピント位置付近でもゆるやかにボケていく感じは、ほかのレンズでは味わえないものだと思う。開放だと、球面収差によるものもあるのだろうがややソフトな描写になるものの、軸上色収差はかなり抑えられており、エッジ部の色づきが少ないのもポイントだ。開放時は周辺光量落ちが目立つので、気になるようであればヴィネットコントロールを活用したほうがいいだろう。

同じ三次元的ハイファイを採用するAF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gと似たような傾向があるようで、絞り開放時はソフトな描写ではあるが、F2くらいまで絞ると一気にシャープな特性になる。AF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gと比べると、開放の近接ではAF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDのほうがややかたく、シャープに写るように感じた。開放でのややソフトで独特な描写と、少し絞ったときのシャープな描写を使い分けられるのも、このレンズの面白さと言っていいだろう。

点光源の描写にすぐれるのもこのレンズの特徴だ。絞ったときと比べると全体的なシャープさは失われるものの、絞り開放でも周辺部で気になるような色収差やコマ収差はほとんど発生しない。点光源が同心円状ににじむサジタルコマフレアが抑えられており、夜景などの点光源をキレイに写すことができる。

オートフォーカスはスピーディーで、絞り開放でのピント精度も十分だと感じた。ただし、105mmという焦点距離は、特に近接撮影において非常に精度の高いピント合わせが求められる。開放付近では、ちょっとしたことでピントが大きく外れてしまうため、オートフォーカスの精度うんぬんではなく、ピント合わせには神経を使うレンズだと感じた。

まとめ ほかにはない美しいボケ味を楽しめる中望遠レンズ

・ボケ味は一級品。絞り開放でのボケ味はほかのレンズでは味わえないもの
・ピント面からゆるやかにボケていく特徴を理解して使いたい
・開放からのシャープさよりもボケ味を重視して開発された

AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDは、105mmという焦点距離を考慮すると、ポートレート撮影や静物撮影で実力を発揮するレンズだ。ボケの評価は難しいところがあるが、ボケはじめから大きなボケに変化するまでの間のなめらかなボケ味は、間違いなく一級品だ。ピントのキレを重視する方はソフトな感じを気にするかもしれないが、特にF1.4の絞り開放では、ほかのレンズでは味わえないような美しいボケ味が得られる。

このレンズは、どこかを境にして極端にボケが大きくなるのではなく、ピント面からゆるやかにボケていく。この特徴を最大限に生かすには、ポートレート撮影においては、被写体と背景の距離をあまり離さずに、段階的なボケが得られるようなシチュエーションを選んだほうがいいだろう。105mmという焦点距離は使いこなしが難しいところもあるが、特徴を理解して使い込んでいくことで、レンズのポテンシャルを引き出せると感じた。

最近の高性能レンズは絞り開放から解像力を追及するのがトレンドになっているが、AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDは違う。開放からのシャープさよりも、ボケの美しさを重視して開発されている。価格は価格.com最安価格(2016年10月13日時点)で約20万円。ポートレート用として焦点距離85mmの単焦点レンズを所有している方も多いとは思うが、それとはひと味違ったボケが得られるレンズだ。ボケを生かした作品作りをしているのであれば、手に入れておいて損のない1本だと思う。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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