バイク野郎 増谷茂樹の二輪魂

17年ぶりに復活! レプリカ世代にはたまらないホンダ「CBR250RR」が、今、アツい!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

1980年代〜90年代、レーシングマシンから受け継いだようなスタイリングと最新機構を搭載し、若者を中心にブームを巻き起こした「レーサーレプリカ」。その当時を知る世代にはたまらない、ホンダ「CBR250RR」が17年ぶりについに復活した。かくいう筆者も、レーサーレプリカ全盛時代に青春を過ごしており、復活のニュースには懐かしさで心がおどったほどだ。そんなライダーは多いようで、2017年5月に発売となった新型「CBR250RR」は生産が追いつかず、現在予約しても年内に入手することができない。これほどまでにライダーを熱くさせる理由とは何なのか? 1990年代にリリースされた前モデルを知る筆者が、その魅力を確かめてみた。

初代のコンセプトと共通する高回転型エンジンを搭載

1990年に誕生した初代「CBR250RR」は250ccの4ストロークエンジンながら、レッドゾーンが始まるのが19,000回転という超高回転型とすることで、当時のハイパワー2ストロークマシンに対抗していたマシン。その後、マイナーチェンジしながら生産されていたが、2000年に惜しくも姿を消すこととなる。

当時としても先進的なエンジンを搭載し、中古市場では今でも高い人気を誇る初代「CBR250RR」

当時としても先進的なエンジンを搭載し、中古市場では今でも高い人気を誇る初代「CBR250RR」

今回紹介する新型「CBR250RR」の排気量は初代と同じだが、エンジンは2気筒となり、レッドゾーンが始まる回転数は14,000回転となった。最高出力も28kW(38PS)と初期型の45PSにはおよばず、スペックだけ比較すると初代モデルよりも見劣りするが、エンジン気筒数が異なるほか、排出ガス規制などが初代のリリースされた時代よりも厳しくなっていることも忘れてはならない。そんな条件の中、最高出力をマイナーチェンジ後のモデルの40PSに迫る数値、38PSにまでもっていったことを評価すべきだろう。車体前方から空気をエンジン内まで導き、吸気効率を高める「ダウンドラフト構造」をはじめとする工夫を施し、並々ならぬ努力で出力向上を目指したことが想像できる。現行の2気筒エンジンとしてはかなり高回転型のCBR250RRは、250ccスポーツタイプのバイクの中では最強のマシンであるといえるだろう。

また、同社250ccバイクとしては初となる、機械式ではなく電子式でスロットル開度をコントロールする「スロットル・バイ・ワイヤシステム」や、エンジン特性を「Comfort」「Sport」「Sport+」の3種類に切り替えられる機構など、小排気量クラスとは思えない充実した装備となっているのもポイントだ。

新型のデザインは250ccとは思えないほど、かなり戦闘的だ。サイズは725(幅)×1,095(高さ)×2,065(長さ)mmで、車両重量は165kg

車体の前方から燃焼室まで効率よくフレッシュエアを送り込むダウンドラフト式のレイアウトを採用

車体の前方から燃焼室まで効率よくフレッシュエアを送り込むダウンドラフト式のレイアウトを採用

フロントサスペンションは剛性の高い倒立式のフォークを採用。ブレーキはシングルディスクだが、ストッピングパワーは十分だ

フレームは鋼管を組み合わせたトラス構造となっており、前モデルのアルミフレームとは趣が異なる

フレームは鋼管を組み合わせたトラス構造となっており、前モデルのアルミフレームとは趣が異なる

スタイリング上のポイントともなっているマフラーは、3室構造で出口2つのデュアルテールパイプ仕様

スタイリング上のポイントともなっているマフラーは、3室構造で出口2つのデュアルテールパイプ仕様

フロント110/70R17、リア140/70R17サイズのラジアルタイヤを装着。剛性が高く、ハンドリングの向上などに貢献する

コックピットにはデジタルメーターを採用し、21世紀生まれのマシンらしい仕上がり

コックピットにはデジタルメーターを採用し、21世紀生まれのマシンらしい仕上がり

メーターの中央には速度、その横に走行モードが表示される。そして、周囲にはタコメーターを配置

メーターの中央には速度、その横に走行モードが表示される。そして、周囲にはタコメーターを配置

電子制御式の「スロットル・バイ・ワイヤ」を採用。アクセルの操作感は従来モデルと変わらない

電子制御式の「スロットル・バイ・ワイヤ」を採用。アクセルの操作感は従来モデルと変わらない

カラーバリエーションはヴィクトリーレッド(上)、マットガンパウダーブラックメタリック(中)、ソードシルバーメタリック(下)の3種類。大人の男性が乗っても気恥ずかしくない配色に好感が持てる

“クラス最強”の走行性能はいかほど?

近年、250ccクラスのスポーツタイプのバイクは、国内で一大ジャンルと呼べる人気を得ており、各社とも力を入れたモデルをリリースしている。国産メーカー他社が揃って2気筒エンジンを投入している中、ホンダは単気筒の「CBR250R」で対抗していた状況で、正直スペック的に見劣りするのは避けられなかった。そこに満を持して導入されたのがCBR250RR。クラス最強のスペックとされたことから、 CBR250RRへの興味は「速さ」である人が多い。そこで、走行性能をチェックすべく、市街地から高速道路までライディングしてみた。

リアが跳ね上がったようなデザインは、シートを高く見せているが、足付き性はわるくない。ハンドル位置は低めでポジションは前傾気味となる。かなり“走る気”にさせられるレイアウトだが、過去のレーサーレプリカと呼ばれたモデルと比べると、それでも上体は起き気味で、中年になった(筆者のような)かつてのレプリカ世代のライダーが乗っても腰が痛くなったりすることはなさそうだ

エンジンをかけると、最近のバイクにしては元気のよい排気音が耳に届く。アクセルを開けていくと、排気音はさらに威勢のよさを増す。しかし、バイクから離れてみると音はそれほどうるさいわけでもないので、ライダーの耳に入る音がうまくチューニングされているということだろう。

まずは、街中での燃費を重視した「Comfort」モードで走り出してみた。アクセルへのレスポンスや回転が上昇するスピードがかなり抑え気味なようで、5,000回転くらいでもたつく場面も。クラストップの馬力を高回転で生み出すために少々無理をしているのかもしれない。しかし、モードを「Sport」に切り替えると、回り方がスムーズに! アクセル操作へのレスポンスも向上し、かなりアクティブな印象に変わった。そして、もっとも元気がいい味付けとなる「Sport+」モードにしてみると、アクセルへの反応がさらに鋭くなって回転のもたつきも解消され、アクセルを開けていくのが楽しくなってくる。

走行モードの切り替えは、左手側のトリガー式のボタンで行う。走行中でも切り替え操作は可能だ

走行モードの切り替えは、左手側のトリガー式のボタンで行う。走行中でも切り替え操作は可能だ

クラス最強のスペックを誇るだけあって、走りはかなり速い。しかし、大排気量モデルのようにアクセルをちょっとひねるだけで非常識な速度に達してしまうようなことはなく、ライダーが積極的にアクセルを開けて高回転まで回してやることで速く走れるという印象だ。大排気量のスポーツバイクの場合、公道でアクセルを開けても、すぐに閉じないと免許の点数がいくらあっても足りないようなスピードが出てしまうが、CBR250RRの場合、アクセルを開け続けられるので、いわゆるエンジンの“おいしいところ”を積極的に使える。とはいえ、一般公道ではアクセル全開にするのはためらわれるほどのパワーがあるため注意は必要だが、バイクの性能を引き出しながら走る面白さが味わえるのは相当面白い。

続いて、高速道路でも試乗してみた。250ccクラスなので一瞬で他車を置き去りにするような馬力はないが、エンジンを回せばパワーが出るため、交通の流れをリードするくらいは余裕。しかも、回すのが楽しいエンジンなので、1万回転オーバーまでしっかり使い切る楽しさが味わえる。

エンジンの気持ちいい回転数を保って走れるのは、このクラスの特権といえる。その中では一番のパワーを持つだけあって、加速はかなり鋭い

コーナーでのハンドリングは、ひと言でいえばニュートラル。向きが変わるのがべらぼうに速いわけではないが、逆にハンドリングの不安定さを感じることもなく、車体を傾ければ狙った分だけ曲がってくれるという特性だ。寝かせた状態での安定感もすぐれているため、初心者が乗っても不安を感じることはないだろう。CBR「RR」シリーズの思想は「トータルコントロール〜操る楽しみの最大化」とされているが、そのことを思い出させる扱いやすさだ。“クラス最強”のスペックに注目が集まるが、過激な速さだけを追い求めたマシンではない。このトータルでのコントロールしやすさがこのモデルの最大の魅力だろう。

公道を走っているスピード域では車体を寝かせても不安になるような挙動は一切ない

公道を走っているスピード域では車体を寝かせても不安になるような挙動は一切ない

試乗を終えて

高回転で絞り出されるパワーと、そこに至るまで回すのが楽しいエンジン特性が印象的なバイクだが、全体的には過激な部分はなく、非常に乗りやすい。さらに、“操る楽しみ”が堪能できるのも魅力。街中を軽くライディングするだけでもかなり満喫できたが、もっと乗っていたい気持ちがふくらみ、ついつい遠回りをしてしまったほどだ。もちろん、面白いのは街乗りだけではない。高速道路では、より大きくアクセルを開けてエンジンのおいしい部分を味わえるし、ワインディングに持ち込めば素直なハンドリングを生かしてエンジンの回転数を保ちながら走る楽しさも体感できる。

レプリカ世代としては、どうしても過去の4気筒モデルと比較してしまうが、それでも1,4000回転まで回りきるエンジンは十分に魅力的で「RR」の名にふさわしい仕上がりだ。そして、17年の歳月を経ているだけあり、開発思想である「トータルコントロール」の面白みは、新型モデルのほうがより深く味わえるはず。レプリカを知る世代が昔を懐かしみながら乗るのもいいが、それよりも若い世代にこのマシンでバイクを操る楽しみを存分に味わってほしい。

なお、CBR250RRは発売3日で年間販売目標台数を上回る受注を集めたことで話題となったが、販売目標台数は3,500台。かつてのバイクブームを知る世代としては一抹の寂しさを感じる数字だ。もともとCBR250RRはインドネシアにあるホンダとの合弁会社で企画・製造されたもの。現在の日本の市場規模では、独自に新たなスポーツモデルを企画・製品化するだけの需要がないということでもある。ただ、過去のブームを振り返ってばかりいても仕方ない。インドネシアをはじめとするアジア圏ではスポーツモデルが求められているということを前向きにとらえ、CBR250RRのようなモデルがリリースされ、市場がさらに活性化されることを期待している。

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事
連載最新記事
連載記事一覧
2017.6.27 更新
ページトップへ戻る