2017年6月19日、トヨタは小型ハイブリッドカー「アクア」をマイナーチェンジして発売開始した。
2度目のマイナーチェンジを果たしたトヨタ「アクア」
2011年に初代が発売されてから2度目となるマイナーチェンジを果たした新型アクアの主な特徴は、迫力を増した「外観」、質感を高めた「内装」、装いを新たに登場したSUVスタイルの「アクア クロスオーバー」の追加、ライバル車を上回った「燃費」、そして進化した「走り」の5つだ。
トヨタが、アクアの先代モデルオーナーの声を集めたところ、
「人と違うアクアに乗りたい」
「内装の質感がいまいち」
「X-URBAN(アクアのSUVモデル)は、標準モデルとの差別化が少ない」
「クラスNo.1の燃費が魅力」
上記のような意見や要望が寄せられたことから、今回のマイナーチェンジではオーナーの声が反映された改善が施されているという。
新型アクアの外観の特徴としてはインパクトのあるフロントフェイスが最も印象的だ
新型アクアの外観で、最も大きく変更を受けているのがフロントフェイスだ。ヘッドライトはよりシャープになり、フロントグリルは近年のトレンドに合わせるかのようにワイドに広がって迫力を増している。さらに、バンパーやフォグランプ周りの形状にも変更が施された。
(左上)新型アクア/(右下)先代アクア。フロントグリルの開口部がより広がり、インパクトの強いフロントフェイスとなった
先代アクアとの比較画像を見ていただくと、その違いがおわかりいただけると思う。左上のパープルカラーが新型アクア、右下のオレンジカラーが先代アクアだ。
新型アクアのリアイメージは、一見すると大きな変更はないような印象を受ける
(左上)新型アクア/(右下)先代アクア。比較するとルーフスポイラーが大きくなり、コンビランプの造形が少し変わっている。また、バンパー左右にリフレクターが追加されている
リアに関しては、ルーフスポイラーが大型化されたほか、コンビネーションランプの意匠に変更が施されている。また、バンパーには新たにリフレクターが追加された。
新型アクアの実車を見た印象としては、フロントフェイスは遠く離れていても、ひと目で「変わった」とわかる造形で、特にフロントグリルのインパクトが大きく、「ヴィッツ」の現行モデルに近い迫力を感じた。
先代のX-URBANから名称も新たに生まれ変わった「アクア クロスオーバー」
今回のマイナーチェンジで注目を集めているのが「アクア クロスオーバー」だ。アクアは2014年のマイナーチェンジで「X-URBAN」(エックスアーバン)と呼ばれるクロスオーバーモデルを新たに追加したが、今回のマイナーチェンジではX-URBANのグレード名をアクア クロスオーバーへ変更するとともに、X-URBANよりもSUVテイストあふれるスタイリングへと変更が施された。
(左上)アクア クロスオーバー/(右下)アクア X-URBAN。X-URBANはアクアの標準モデルを踏襲したフロントフェイスだが、クロスオーバーは専用開発されたオリジナルのフロントフェイスを採用している
(左上)アクア クロスオーバー/(右下)アクア X-URBAN。フェンダーアーチモールやバンパーガード風のアンダーバンパー採用で、クロスオーバーのほうがよりSUVらしい印象だ
アクア クロスオーバーの特徴であるフロントフェイスは、専用デザインのフロントグリルとバンパーを採用。また、フェンダーアーチモールが追加されているほか、フロント・リアのアンダーバンパーもバンパーガード風の造形にされるなど、SUVらしさがいっそう増している。
(上)新型アクアのインパネ/(下)先代アクアのインパネ。中央のセンタークラスター周りのピアノブラック塗装とメッキ加飾などにより、高級感が増している
新型アクアの内装は、インパネのカーナビ付近(センタークラスター)や左右のエアコン吹き出し口がツヤありのピアノブラック塗装されているほか、センタークラスター周りがメッキ加飾されることなどにより、質感が高められている。
新型アクアで標準採用されているTFT液晶ディスプレイ
また、新型アクアではセンターメーターの中央付近へ、これまでオプションであったTFT液晶ディスプレイを標準装備するようになった。TFT液晶ディスプレイにはガソリン残量計からODOメーター、一年前までの燃費記録や、エコ走行を100点満点で表示してゲーム感覚でエコ運転が楽しめるエコジャッジ機能など、様々な情報が表示される。
アクアの魅力といえば、トップレベルの燃費のよさがあげられる。冒頭で述べたとおり、アクアオーナーの中にはコンパクトカークラスNo.1の燃費が魅力で購入した方も多い。
2016年11月に発売された日産 ノートe-POWERは、発売時にアクアの燃費を上回ったことでも話題となった
先代アクアの「37.0km/L」の燃費は、2016年12月に発売された日産 ノート e-POWERの「37.2km/L」に抜かれていた。だが、今回のマイナーチェンジにより、燃費トップの座を奪還した形となる。
新型アクアでは、燃費改善のためにエンジンを低フリクション化して燃費効率を向上させ、さらに駆動用バッテリーの抵抗損失の低減や補機電力の制御改善によって燃費を向上させている。なお、グレードごとの燃費については以下の通りで、いわゆる“燃費スペシャル”なLグレードが「38.0km/L」、その他のS・G・Crossoverは「34.4km/L」となる。
新型アクアの燃費(JC08モード)
(左)新型アクアの燃費/(右)先代アクアの燃費
L:38.0km/L/37.0km/L
S:34.4km/L/33.8km/L
G:34.4km/L/33.8km/L
Crossover:34.4km/L/33.8km/L
新型アクアは、東京・お台場にあるトヨタが運営するクルマのテーマパーク「メガウェブ」に展示されている
新型アクアでは、走りについても改善が施されている。ショックアブソーバーはバネ特性を最適化したタイプが装着され、リアバックパネルのボディ剛性も強化されていることで、心地よい走りを実現しているという。
初代の発売から5年半で120万台という販売台数を記録し、2012〜2015年度は(軽自動車を除く)新車販売台数において4年連続No.1という人気を誇るアクアがマイナーチェンジを実施した。さらに、6月29日にはホンダが新型「フィット」を登場させるなど、コンパクトカー市場が活気を帯びてきそうだ。
なお今回、新型アクアの撮影に協力いただいたのは、東京・お台場にあるトヨタが運営するクルマのテーマパーク「メガウェブ」。撮影当日は平日であり比較的空いていたものの、撮影時間のわずか1時間あまりで何十人もの来場者が新型アクアの展示車を外観から内装までじっくりと眺めていた姿が印象に残った。興味のある方は、ぜひメガウェブへ足を運んでみてほしい。
自動車関連を担当。クルマ好きのため、週末はフラフラと1000km超を運転する長距離ドライバーと化します。