新旧レヴォーグの乗り比べではっきりと違いが“分かった”!

“スバリスト”が新型「レヴォーグ」(D型)に試乗! クローズドコースでその進化ぶりを垣間見た!

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スバルのスポーツワゴン「レヴォーグ」が2014年のデビュー以来、もっとも大幅な改良を受けた。

(右)新型「レヴォーグ」2.0GT-S EyeSight/(左)新型「WRX S4」2.0 GT-S EyeSight

(右)新型「レヴォーグ」2.0GT-S EyeSight/(左)新型「WRX S4」2.0 GT-S EyeSight

レヴォーグは、「レガシィツーリングワゴン」の後継モデルとして2014年に登場。「レガシィ」で培ってきたグランドツーリング性能(長距離を快適に高速移動する性能)を継承しつつ、「WRX」のスポーツ性能を融合した実用性の高いスポーツワゴンとして高く評価されている。

(右)新型「レヴォーグ」2.0GT-S EyeSight/(左)新型「WRX S4」2.0 GT-S EyeSight

(右)新型「レヴォーグ」2.0GT-S EyeSight/(左)新型「WRX S4」2.0 GT-S EyeSight

2014年春の発売以後、販売台数は9万5千台を超えるなど、人気ジャンルとはいえない国産ステーションワゴンながら、レヴォーグの販売は堅調に推移している。

なお、スバルの車種は(ほぼ)1年ごとに改良を加えることから「アプライド○型」と区別して呼ばれている。たとえば、デビュー直後は「A型」、2年目は「B型」、3年目は「C型」という具合にアルファベットが進むので、発売から4年目のマイナーチェンジとなる新型レヴォーグのアプライドは「D型」となる。助手席側のドアを開けると車台番号などと一緒に記載されているからわかりやすい。

実は、昔からスバル車のアプライド「D型」は改良の幅が大きいことで知られているのだが、新型レヴォーグのD型もその例に漏れず、非常に“中身の濃い”改良が施されている。さっそく、その要点を紹介していこう。

新型レヴォーグとモータージャーナリストのマリオ高野氏。マリオ氏は極度のスバリスト(熱狂的なスバルファン)でもある

“目力”がアップした新型レヴォーグのフロントフェイス

レヴォーグの外観デザインはデビュー当初から好評だったので、新型となっても大きな変更は加えられていない。

新型レヴォーグ 1.6 STI Sport EyeSight

新型レヴォーグ 1.6 STI Sport EyeSight

真正面から見た時に「U」の字のように見えるレヴォーグ特有の躍動感のあるバンパーラインと、水平対向エンジンのピストンをイメージしたヘッドライトの「コ」の字(LED16灯)、そしてプロジェクターランプの目力をより強調させる方向にお色直しされている。

新型レヴォーグ 1.6 STI Sport EyeSight

新型レヴォーグ 1.6 STI Sport EyeSight

また、ステアリングの舵角に合わせてライトの照射方向を変える「SRH」(ステアリング・レスポンシブ・ヘッドランプ)の新採用に伴い、上級グレード用のLEDヘッドランプが新設計されている。ひとつのLED光源で、ハイビームとロービームを切り替えるタイプだ。SRHはハイビーム時も作動し、より遠くまでライトの照射が可能となっている。

なお、ウインカー用のターンランプは、新型レヴォーグではヘッドライトユニット内部に統合された。さらに、インナーレンズにクリスタルカットを採用したことにより「目力」がアップしている。

新型レヴォーグのヘッドライト。ターンランプ(オレンジ)がヘッドライトに統合されている

新型レヴォーグのヘッドライト。ターンランプ(オレンジ)がヘッドライトに統合されている

そして、2016年のアプライドC型から追加された新グレード「STIスポーツ」で先行採用されたLEDフォグランプを、D型では全グレードに展開。LED化により消費電力を72%低減し、配光エリアも拡大した。

高品質なパーツをあしらうことで、内装の質感を向上

新型レヴォーグの内装については、ブラックとシルバーの質感の表現を見直すことで、インテリア全体を上質な雰囲気へと向上させている。艶を抑えたシックなブラックパネルと、逆に艶やかなハイグロスブラックパネルを使い分けることで、シルバーのシャープさをより引き出している。

たとえば、新型レヴォーグのドアスイッチパネルは単体で注文するとドア4枚分で7万円を超えるそうだ。このように、各所でコストをかけて高品質なパーツを使い、質感を向上させている。

新型レヴォーグの内装、ブラックパネルを使い分けるなどで質感をアップさせている

新型レヴォーグの内装、ブラックパネルを使い分けるなどで質感をアップさせている

室内の機能としては、リヤシートの分割可倒機構が「6:4」から「4:2:4」に変わり、利便性が向上した点に注目だ。

新型レヴォーグではリヤシートの分割可倒機構が「4:2:4」となり、より使いやすくなった

新型レヴォーグではリヤシートの分割可倒機構が「4:2:4」となり、より使いやすくなった

シートアレンジ性が高まっただけでなく、安全性への細やかな配慮もなされている。右バックレスト内部にオイルダンパーを装備しており、中央部分を前に倒した状態で右側を倒すとダンパーが機能して手や指の挟み込みを防止するなど、爪の長い女性でも後席用アームレストが安全に操作できるようになった。

欧州車を強く意識した静粛性へのこだわり

新型レヴォーグでは、とにかく静粛性へのこだわりがすごい。車体の床面にあるサイレンサーの板厚を厚くして面積を拡大したことで、荒い路面を通過する際のロードノイズを低減。さらに、フロントルーフレールの内部に発砲インシュレーターを採用して、前席の耳元近くのノイズを低減するなど、細かい配慮が施されている。

さらに、前後のドアガラスの肉厚を3.5mmから4.0mmへアップしていたり、ドアとボディの隙間を塞ぐウェザーストリップまでも刷新されている。レヴォーグは従来型でも十分に静かなクルマだったが、より値段の高い欧州ブランドの同クラス車を強く意識した改良が施されたといえる。

コントローラブルで誰もが速く走れるようになった

今回、新旧のレヴォーグをクローズドコースで乗り比べることができたのだが、誰もがその違いにすぐに気づくほどの大きな改良が施されている。

新型レヴォーグ 1.6GT-S EyeSight、試乗ドライバーはマリオ高野氏

新型レヴォーグ 1.6GT-S EyeSight、試乗ドライバーはマリオ高野氏

サスペンションは全体的にソフトな方向へ修正され、乗り心地のしなやかさが増し、より濃密にクルマとの一体感を味わいながら思いのままに操れる操縦性を実現している。

クルマの乗り心地を大きく左右するコイルスプリングは、前後ともバネ定数をダウン。バンプストローク量(バネが伸び縮みする量)を8mm延長し、やわらかく、伸び縮みしやすくなっている。なお、1.6GT、1.6GT-Sは車高が10mmアップしている。

クルマの揺れなどの動きを抑えるストラットやダンパーも見直され、前後ともストローク量を5〜8mm延長。さらに、車体の傾きを抑えるリヤサスペンションのスタビライザーは20mmから18mmへ小径化された。そのほか、サスペンションのフロントアームのリヤ側ブッシュをピロボールからゴムブッシュへ全車統合し、路面から伝わる不快な類の振動の低減をはかった。

新型レヴォーグ 1.6GT-S EyeSight、試乗ドライバーはマリオ高野氏

新型レヴォーグ 1.6GT-S EyeSight、試乗ドライバーはマリオ高野氏

こうしてみると、ソフトでやわらかい乗り心地になったという印象を受けるが、実際に乗ってみると、そう単純なものではない。全体としては確かにソフトになりながらも、タイヤの路面追従性が高まっていることから、従来型よりもさらに「扱いやすく」「攻めた走り」ができるようになったのだ。

新型レヴォーグ 1.6GT-S EyeSight、試乗ドライバーはマリオ高野氏

新型レヴォーグ 1.6GT-S EyeSight、試乗ドライバーはマリオ高野氏

試乗は、峠道を模していて対向車や歩行者などを気にせずに済むクローズドコース内で行われた。そこでアクティブなスポーツドライビングも試すことができたが、ソフトな足回りのクルマに見られがちな腰砕け感は一切感じられない。これなら、誰もが性能を引き出しやすくなっているので、ワインディングが好きなドライバーなどが乗れば従来モデルより速く走ることができるはずだ。

“いつまでも握っていたくなる”、より緻密で滑らかになったステアフィール

また、電動ステアリングの構造と特性も見直され、ステアリングの手応えがさらによくなった。タイヤと路面のグリップ感などの情報量が増え、より正確で緻密、かつ滑らかな操舵フィーリングがとても気持ちよい。舵角を当てた状態から直進状態に戻る際の反力感(セルフアライニングトルク)もよくなっている。

新型レヴォーグでは、電動パワステの変更によって操舵フィーリングがリニアで自然な感覚になるよう改善が図られている

個人的には、サスペンションの最適化も相まって、こうした甘美なステアリングフィールが得られるようになった点がもっとも感動的であった。いつまでも握っていたくなるステアリングである。なお、新しい電動パワステはモーターとECUを一体構造とすることで1.5kg強の軽量化も実現している。

とにかく「GT-S」グレードの走りはしなやか方向へ激変している。最上級グレードのSTIスポーツについては、スプリングやダンパーのレートに変更はないので、「スポーティで硬派なSTIスポーツ」に対する「しなやかなGT-S」という感じで、従来型よりキャラがハッキリし、グレード選びがしやすくなったといえるだろう。

新型レヴォーグの完成度の高さは、もはや“死角ナシ”!

エンジンは、2.0L車については従来型通り。1.6L車は将来の欧州EURO6c排ガス規制に対応するための改良が加えられて燃焼効率が高まっているが、出力や回転フィーリングの面での新旧の違いはない。

新型レヴォーグ 1.6L車のエンジンルーム

新型レヴォーグ 1.6L車のエンジンルーム

ただし、1.6L車のCVTにも2.0L車と同じステップ変速制御が加わったので、従来型よりも活発で小気味よい回転フィールが得られたようには感じられる。「CVTはツマラナイ」と不満をこぼす人にこそ試していただきたいCVTである。

乗り心地に関しても、実のところ従来モデルでは後席の乗り心地に難アリと評されることがあったが、おそらくその不満も新型レヴォーグなら解消されるだろう。

ビッグマイナーチェンジとも呼べるほど、全面的な向上が図られた今回の新型レヴォーグ

ビッグマイナーチェンジとも呼べるほど、全面的な向上が図られた今回の新型レヴォーグ

パワフルなターボエンジンを搭載する四輪駆動車なので仕方ないともいえるが、デビュー以来ほとんど改善が見られない燃費性能さえ除けば、新型レヴォーグはもはや“死角ナシ”と断言していい総合性能を備えているといえるだろう。

新型レヴォーグのグレードラインアップと価格
1.6GT EyeSight:2,829,600円
1.6GT EyeSight S-style:2,926,800円
1.6GT-S EyeSight:3,078,000円
1.6STI Sport EyeSight:3,564,000円
2.0GT-S EyeSight:3,618,000円
2.0STI Sport EyeSight:4,050,000円

新型レヴォーグ(1.6 GT-S)のスペック
全長×全幅×全高:4,690×1,780×1,500 mm
ホイールベース:2,650 mm
最低地上高:145mm
車両重量:1,560kg
最小回転半径:5.4m
燃料消費率(JC08モード):16.0km/L
エンジン:1.6L DOHC 16バルブ デュアルAVCS 直噴ターボDIT
最高出力:125kW(170PS)/4,800-5,600rpm
最大トルク:250 N・m (25.5 kgf・m)/1,800-4,800rpm
トランスミッション:リニアトロニック(マニュアルモード付)

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マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。

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2017.12.10 更新
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