マイナーチェンジされた新型ランクルプラドを試乗!

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」試乗&燃費/パワー不足が実に惜しい

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マイナーチェンジしたトヨタ 新型「ランドクルーザープラド」を、800kmほどテストに引っ張り出してみた。グレードは「TZ-G」。3列シートの7人乗り仕様で、エンジンは1GD-FTV(4気筒2.8リッターディーゼルインタークーラーターボ)を搭載。最高出力は177ps、最大トルクは450Nmを発揮し、2,320kgのボディを引っ張る。

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」イメージ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」イメージ

新型ランドクルーザープラドのグレード・価格およびスペックについては以下の通り。

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」のグレードラインアップと価格
TZ-G(クリーンディーゼル)/5,363,280円(7人乗り)
TX“Lパッケージ” (クリーンディーゼル)/4,822,200円(7人乗り)・4,667,760円(5人乗り)
TX“Lパッケージ” (ガソリン)/4,202,280円(7人乗り)・4,047,840円(5人乗り)
TX(クリーンディーゼル)/4,307,040円(7人乗り)・4,152,600円(5人乗り)
TX(ガソリン)/3,692,520円(7人乗り)・3,538,080円(5人乗り)

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」TX-Gの主要スペック
駆動方式:4輪駆動(フルタイム4WD)
全長×全幅×全高:4,825×1,885×1,835mm
ホイールベース:2,790mm
最低地上高:220mm
車重:2,320kg
最小回転半径:5.8m
JC08モード燃費:11.2km/L
搭載エンジン:2.8L 直列4気筒クリーンディーゼルエンジン(1GD-FTV)
最高出力:130kW(177PS)/3,400rpm
最大トルク:450N・m(45.9kgf・m)/1,600〜2,400rpm
トランスミッション:6速 Super ECT

デザイン変更が中心となった今回のマイナーチェンジ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」フロントイメージ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」フロントイメージ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」リアイメージ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」リアイメージ

走り出す前に、今回のマイナーチェンジのポイントについて復習しておきたい。最も大きいのが、エクステリアの変更だ。力強さと先進性をより一層高めたというデザインは、フード中央部を前方視界に配慮した形状としたほか、大型フロントグリルとヘッドランプをひとくくりにすることで力強さを演出。また、ヘッドランプは全車にLEDを採用した。リヤは、コンビネーションランプの飛び出しを抑えたほか、ガーニッシュの意匠を変更することで、より安定感のあるスタンスを実現したという。

最近のトヨタ車のフロント周りは、かなり押し出し感が強くて威圧的なものが多いが、新型ランドクルーザープラドは先代よりも威圧感が減り、より洗練された印象だ。

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」のインパネ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」のインパネ

インテリアでは、エアコン吹き出し口上部を下げることで視認性を高めたほか、ナビゲーションをタブレット型の薄い形状とすることでモダンさを強調。また、センタークラスターやメーターパネルに金属調加飾を施すことで上質感が向上した。ステアリングホイールは、握りやすさを考慮した設計としたほか、専用加飾を施すことでインストルメントパネルとの統一感を演出している。

そして、衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」やドライブスタートコントロールの全車標準装備に加え、ブラインドスポットモニターを新設定している。

走行性能面では、ランドクルーザーシリーズとして初めてリヤディファレンシャルに採用したトルセンLSDや、シーンに合わせて5つの走行モード(NORMAL、ECO、COMFORT、SPORT S、SPORT S+)を選択できる「ドライブモードセレクト」を「TZ-G」に標準装備した。

古さが隠せないインパネ周り

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」のインパネ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」のインパネ

室内に乗り込むと、ベージュのインテリアカラー(ニュートラルベージュ)と一部に木目を使ったステアリングホイールによって、とても明るいインテリアが演出されていた。

しかし、やはりインパネ周りの印象の古さはぬぐえない。特にそれを感じさせるのは、垂直にそそり立った「センタークラスター」だ。2009年にデビューしたのだから致し方ないが、シルバーの加飾パネルとともに古臭く感じてしまう。また、スイッチ類の多さも同様で、上からナビ関係、空調、ドライブモードと分かれているものの、もう少し整理が必要と感じた。

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」のカーナビとエアコンスイッチ。赤丸がハザードスイッチ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」のカーナビとエアコンスイッチ。赤丸がハザードスイッチ

特に、空調系スイッチが使いづらい。まず、空調系スイッチの右端にハザードスイッチが配置されているのは、どうかと思う。たとえば、ハザードスイッチは最上部に配し、空いたところに風量調整のボタンを置くだけでも、かなり使い勝手は改善するだろう。

また、一発で空調をOFFにできるのはありがたいものの、たとえば風量調整ボタンを最小まで押して、その次をもう一度押すとOFFでもいいのでは、と思う。さらに、左右のエアコン設定温度の間に時間を表示するのも少々強引だ。なぜなら、瞬時に時間を把握したいときに、どれが時間を示しているのかわからないことが多々あったからだ。このあたりは、改善を望みたい。

腰高ながら不安のない、しっかりとした乗り心地

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」試乗イメージ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」試乗イメージ

さっそく、エンジンをかけて走り始めてみよう。軽く「カラカラ」というディーゼル特有の音とともに、わずかに振動が伝わってくるものの、それほど気にならない。それよりも気になったのは、クルマがすごく“重い”ということ。

新型ランドクルーザープラドの前に「ハイラックス」に試乗していたのだが、ハイラックスがまるでライトウエイトなのではと感じられるほど、プラドではドライブフィールに車重を感じる。それを助長するのが、アクセルレスポンスの鈍さだ。この印象は最後まで付きまとい、どちらかというと、非力な印象がぬぐえなかった。そのあたりは後述する。

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」試乗イメージ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」試乗イメージ

いっぽう、乗り心地は意外としっかりとした印象だ。こういったSUVでは、どちらかというとふんわりとして挙動が落ち着かないクルマが多いのに対し、新型ランドクルーザープラドは実にしっかりとしており、背が高いことによる不安感を一度も抱かせないのは見事だ。

その理由は、サスペンションにある。ひとつはKDSS(Kinetic Dynamic Suspension System)だ。これは、路面状況に応じてスタビライザーの効力をコントロールさせることができるシステム。

たとえば舗装路を走る際には、コーナーリング時などにおける車両の傾きを抑制して、安定した走りを実現し、オフロードのような荒れた路面ではホイールストロークを確保してタイヤを路面から浮きにくくすることですぐれた走破性を確保する。

加えて、今回のテスト車にはオプションのNAVI・AI-AVS(Adaptive Variable Suspension System)が装備されていた。ショックアブソーバーの減衰力を走行状況に応じて電子制御で最適化する。さらに、ナビゲーションのデータを生かし、進行方向のコーナーの状況を解析して、サスペンションの減衰力を自動制御する。

プラドは重心が高いにも関わらず、しっかりとした足回りとこれらの統合制御により、ロールが少なく安定した走行を実現しているのだ。

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」試乗イメージ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」試乗イメージ

街中では、目線の高さを生かして前方の状況が読めるので、意外と乗りやすく感じる。確かに1,885mmという車幅は広く感じるが、思ったほどではないというのが本音だ。のんびりと街を流していると、前述の発進時のかったるさ以外で気になることはなく、気楽に走ることができる。

だが、積極的に走らせようとすると、2,500回転以上まで引っ張らないと流れをリードできない。アクセルを踏み込むと、プラドは少々やかましいエンジン音とともに、一所懸命に加速体制へと入る。いったん速度を上げてしまえば、あとはトルクを上手に使いながらその速度をキープできるのだが、どうしても“かったるいクルマ”という印象がぬぐえなかった。

高速道路では少々「力不足」

高速道路では、走行安定性の高さが際立っている。若干硬めの足は、制御が巧みに効いているので、安心感は絶大だ。ステアリングも適度な重さなので、非常に乗りやすい。ロードノイズも適度に遮断されているので、疲れることはなかった。

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」エンジンルーム

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」エンジンルーム

しかし、やはり高速道路でもパワー不足はいかんともしがたい。たとえば、アクアラインを川崎から千葉方面に向かい、トンネルを出たあとの上りでは、4速と5速を行ったりきたりしながら、その速度をキープしようとする。その際、アクセルは半分以上踏み込んだ状態なので、明らかに力不足だ。フルタイム4WDであるため、常にそれぞれのタイヤに駆動を配分しているとはいえ、これでは少々物足りない。

せっかく足回りが十分な働きをしているのだから、余裕を持ったエンジン性能を備えて快適なクルーザー感覚を演出してもらいたい。

高速道路では、ACC(アダプティブクルーズコントロール)を試してみた。ステアリングコラムから生えたレバーで操作するACCは、ボタン等のクリック感もよく、的確に操作できる。ただし、メーター上にACCがセットされた等の表示が小さいので、そのあたりは改善が必要と感じた。

ACCの動作をテストすると、前車に追従後、前車がいなくなり設定したスピードへ戻ろうとする際の加速がとても鈍いことがわかった。あまり回転を上げずに元の速度に戻ろうとする意図、つまり、エンジン音を感じさせないということはわかるのだが、少々鈍すぎて、ついついアクセルを踏んでしまうことが、たびたびあった。

便利な「3列目シート」と「バックドア」

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」インテリア

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」インテリア

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」の3列目シート

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」の3列目シート

今回借り出した新型ランドクルーザープラドは、3列仕様だ。3列目への乗り降りや、居住性は近距離移動を想定しているため、狭さはぬぐえない。しかし、キャンプやアウトドア、レジャーなどの時に、ちょっと仲間と買い物で移動するのには便利だろう。

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」リアゲート左側に3列目シートの格納スイッチがある

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」リアゲート左側に3列目シートの格納スイッチがある

また、3列目シートは、バックドアを開けたら向かって左側にあるスイッチを押すことで電動で格納することができたのが、とても便利だった。

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」のバックドアガラスハッチを開けた状態

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」のバックドアガラスハッチを開けた状態

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」の右ヒンジのバックドアを開けた状態

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」の右ヒンジのバックドアを開けた状態

バックドアのガラス部分は上に開くことで、バックドアを開かずに荷物を出し入れすることができる。後ろにスペースがない時にはガラスを開けて荷物を入れ、大きな荷物はテールゲートを横に開けて、直接荷室に積むことができるので、特に重い荷物の時にはその便利さが味わえるだろう。また、女性も横開きの方が操作はしやすいはずだ。

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」の2列目シート

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」の2列目シート

だが、2列目シートは手動で、かつ操作がとても重いので、改善が必要だ。女性がひとりで操作するには少々厳しいかもしれない。操作がしにくかったり重かったりすると、どうしても使う頻度が減ってしまい、せっかくの機能が使われなくなってしまう。この2列目シートは3分割になるので、長尺ものの積載などにはすぐれている。

燃費は良好だが市街地の渋滞はさすがに厳しい

最後に、燃費について触れておこう。実燃費テストの走行パターンは、「市街地」「郊外路」「高速道路」の3種類でそれぞれ計測。「市街地」が新宿から八王子までの渋滞の激しい約30km。「郊外路」は、八王子から高尾山を過ぎ、相模湖から道志みちに入って奥相模湖付近から折り返す、信号が少なく快走路からワインディングまで変化に富む約50kmのルート。「高速道路」は、相模湖ICから新宿までの約60kmのルートとした。その結果は、

・市街地:9.7km/L
・郊外路:11.2km/L
・高速道路:12.3km/L
・JC08モード燃費:11.2km/L

と、意外にも優秀な燃費を記録した。この区間以外でも適宜燃費は計測したのだが、ほぼこの数値に近いものだった。ただし、渋滞区間だけを計測すると、やはりアイドルストップがないことが悲しい。一度、都内の渋滞に1時間ほど捕まった時は、3km/L台まで低下した。しかし、その後、流れ始めると数値は驚くほど早く改善されるので、フルタイム4WDとエンジンの効率の高さがうかがえる。

もう少しエンジンがパワフルなら

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」悪路での走破イメージ

トヨタ 新型「ランドクルーザープラド」悪路での走破イメージ

本来であればクルマの性格上、悪路走破性も評価のひとつとして入れなければいけないのだが、広報車両とはいえど単独で借り出しているクルマで、ガンガン悪路を走るわけにもいかず、その点は何卒ご容赦いただきたい。わずかではあるが、ダートも走らせてみたのだが、その印象は舗装路と何ら変わらなかった。そのあたりは、電子制御の足回り等が的確に働いていると思われる。

また、テスト車にはマルチテレインセレクトやクロールコントロール(どちらもオプション)が搭載されていたので、まさに鬼に金棒、大概のところへは自信をもって入っていけるだろう。また、そういう安心感をドライバーに与えてくれるのが、このランドクルーザープラドというクルマなのである。それがたとえ、古臭いインテリアデザインであったとしても、それ以上に重要であり、また、オーナーに魅力を感じさせるのだ。それでも、やはり、もう少しパワフルなエンジンをおごってほしいと思うのはわがままなのだろうか。

text&photo:内田俊一(Shunichi Uchida)
photo:内田千鶴子(Chizuko Uchida)

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラと同じくルノー10。

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2018.1.16 更新
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