レビュー
新たに搭載されたガソリンターボ、6速MT、GVCプラスに試乗!

伸びのよさが抜群!「CX-5ガソリンターボ」でエンジンを回す楽しみが味わえる

積極的に最新技術を展開し、改良モデルを投入しているマツダ。今回は、マツダのクロスオーバーSUV「CX-5」へ、大きく3つの改良が施された。ひとつは、クリーンディーゼルに「マニュアルトランスミッション」(MT)が追加されたこと。次に「2.5リッターガソリンターボエンジン」が導入されたこと。そして最後は、これまで多くの車種に搭載されてきた安定感のある走りを実現する技術「G-ベクタリングコントロール」(GVC)へ、新たに制動機能を追加した「G-ベクタリングコントロールプラス」(GVCプラス)が搭載されたことだ。

2018年10月11日に改良が施されたマツダ「CX-5」。2.5Lガソリンターボエンジンや6速MT、GVCプラスの追加などが主な特徴となる。

CX-5改良モデルの概要については、以下の速報記事をご覧いただくことにして、当記事ではさっそく改良後のCX-5に乗り込んでみよう。なお、今回はテストコースという限られた環境での試乗となる。

>>4リッターV8並のトルク!「CX-5」に初のターボが登場、6MT車も追加

積極的にシフトしたくなるディーゼルの「6速MT」

画像は改良後のマツダ「CX-5」。グレードはガソリンターボの「25T Exclusive Mode」。

画像は改良後のマツダ「CX-5」。グレードはガソリンターボの「25T Exclusive Mode」。

マツダ「CX-5」のリアエクステリア

マツダ「CX-5」のリアエクステリア

改良が施された新型CX-5へと近寄っていくと、それが新型なのかどうかがまったくわからない。そう、今回は外観の変更はほとんどないのだ。

唯一、17インチアルミホイールの塗装が、ダークシルバーからグレーメタリックへと変更されたくらいなのだが、今回の試乗車は19インチを装着しているので、外観の違いはまったくない。

マツダ「CX-5」のインテリア

マツダ「CX-5」のインテリア

中央にあるコマンダーコントロールスイッチは、側面にパターンが刻まれたデザインに変更されており、上質感と操作時のフィット感が高められている。

まず初めに試乗するCX-5のクリーンディーゼルモデル「XD L Package」の室内へと乗り込んでも、その印象は以前と変わらない。エアコンパネルと各種スイッチダイヤルのデザインが一新されたくらいだ。ちなみに、このスイッチダイヤルは時計のローレット加工風になっており、触り心地はとてもよく、しっかりとしたグリップ感もあって操作性は非常にいい。

さあ、走り出してみようとブレーキを踏んで、スタート・ストップボタンを押したところでふと気づいた。そう、最初の試乗車は今回の改良によってCX-5のクリーンディーゼルモデルへ新たに追加された「6速MT」なのだ。

今回の改良で、マツダ「CX-5」のクリーンディーゼル搭載モデルに追加された「6速MT」。

今回の改良で、マツダ「CX-5」のクリーンディーゼル搭載モデルに追加された「6速MT」。

そこで、改めてクラッチを踏み込みボタンを押すと、いつものマツダ特有のカラカラという軽い音とともにエンジンは目覚めた。

ゆっくりと1速にシフトして、アクセルを踏まずにクラッチワークだけでパドックからコースに移動する。トルクに余裕があるので、この移動もスムーズかつ楽だ。そしてコースへと躍り出ると、まさに水を得た魚のように本当に気持ちよくスムーズな加速が始まる。シフトチェンジも、若干ストロークは長く感じるものの、これもまたマツダ特有の心地よい操作感だ。

マツダ「CX-5」のクリーンディーゼルモデル「XD L Package」6速MT車の走行イメージ

マツダ「CX-5」のクリーンディーゼルモデル「XD L Package」6速MT車の走行イメージ

ディーゼルだから回転の上りが遅いとか、重いという印象はまったくなく、気持ちよく回転を上げていく。特に、低回転から3,000回転と少しまでのあふれんばかりのトルクとパワーは非常に魅力的で、そのあたりをキープすべくMTを積極的にシフトチェンジしながら走りたくなってしまうほどだ。そのいっぽうで、この大トルクを利用してシフトをさぼった走りも可能なので、ゆったりとしたツーリングにも最適だろう。

マツダ「CX-5」のクリーンディーゼルモデル「XD L Package」6速MT車の走行イメージ

マツダ「CX-5」のクリーンディーゼルモデル「XD L Package」6速MT車の走行イメージ

ここで、いくつか気付いたことがある。それは足回りがしなやかになり、乗り心地がかなりよくなっていることだ。以前レポートした、改良前の試乗(大幅改良のマツダ「CX-5」はディーゼルとガソリンどっちがいい!? 800km試乗して比較 )では、足が突っ張るような印象が常に付いて回ったのだが、今回はしっかりとした足の動きが感じられ、しなやかさが向上していた。

その点について開発者に確認したところ、微小のストローク域をスムーズに動かすように改良したという。もう少し具体的に記すと、スタビライザーのブッシュをやわらかいものにして、そこで動き出しをスムーズにしている。そして、バネのバランスを前後で見直し、ダンパーも微低速域から減衰がしっかり出るようにすることで、レスポンスを向上。その結果、しなやかだがグッと踏ん張る足回りができたのだ。さらに、リアダンパーのマウントを、径を大きくしたウレタンマウントにしたことで、取り付け剛性にも多少効いているとのことだった。あくまでもテストコースでの良路であり、ちょっとした段差やうねりなどで意識して観察した結果なので、改めて一般路で評価してみたい。

パワーでクルマを引っ張り上げる快感が味わえる「2.5Lガソリンターボ」

ここで今回、新たに追加された2.5リッターターボエンジンに乗り換えよう。テスト車は「25Tエクスクルーシブモード」という特別仕様車で、4WDだった。

マツダ「CX-5」の2.5Lガソリンターボモデル「25T Exclusive Mode」の走行イメージ

マツダ「CX-5」の2.5Lガソリンターボモデル「25T Exclusive Mode」の走行イメージ

先ほど乗ったディーゼルが重厚な走りだとすれば、ターボは軽快な走りで、コース上をぐいぐいとパワーでクルマを引っ張り上げていく感じは、ちょっとした快感だ。特に高速域の伸びは抜群によく、ガソリンエンジンを回す楽しみがしっかりと味わえる。また、停止時から一気に加速をするとエンジンは気持ちよく吹け上がり、わくわくさせるような気分になってくる。

マツダ「CX-5」シフトノブ右下に備えられているスイッチがスポーツモード。

マツダ「CX-5」シフトノブ右下に備えられているスイッチがスポーツモード。

さらに、スポーツモードを選択するとアクセルレスポンスが向上するのと同時に、シフトアップポイントが高回転側に上がるので、その印象はより顕著になる。回転域が高いので加給応答が上がり、レスポンスがより向上するというメリットを生んでいるのだ。

マツダ「CX-5」2.5Lガソリンターボモデルのエンジンルーム。エンジンスペックは、最高出力が169kW(230PS)/4,250rpm、最大トルクが420N・m(42.8kgf・m)/2,000rpmを誇る。

エンジン特性としては、2,000回転以上になるとほとんどディーゼルと変わらない420Nmという大トルクに加えて、4,250回転で230psというピークパワーをも得ている。一部のターボ車にありがちな、いきなりパワーが立ち上がったりすることもなく、まるでNAエンジンのようなラグのない、スムーズな加速が味わえた。

しかし、いや、だからこそというべきか。ディーゼルとの“差別化”が難しいとも思えるのだ。ガソリンターボのイメージを考えれば、より積極的な走りが味わえると期待してしまうが、その観点からすれば、少々物足りないというのが正直なところだ。スムーズであるがゆえに、ディーゼルと明確な差が表れにくいのだ。それこそ、ディーゼルに搭載された6速MTをガソリンターボに搭載すれば、ディーゼルとの差別化ははるかに明確になったことだろう。

そのあたりを、マツダ国内営業本部ブランド推進部の田中文昭氏に尋ねてみると、「CX-5の投入時は、新しい市場を開拓したいということで、自信のあるディーゼルをメインに導入した。その後、多くのお客様に購入いただいたが、お客様の使い方も人それぞれ。ディーゼルの走りに魅力を感じていながらも、ガソリンをずっと乗り継いできたユーザーにとってはガソリンのエンジンフィーリングがいいという方もたくさんいる。そこで今回、ガソリンターボを導入した」と説明する。

しかし、差別化という観点ではディーゼルもガソリンターボもスペック上ではそれほど大きな差異は見られず、ポジショニング上は近い位置にあるようにも思える。その点については、「どちらも自信があり、魅力あるエンジンだ。差別化よりは、お客様の好みやライフスタイルに合わせて選んでもらいたい。それほど燃費を気にしない方には、ガソリンターボという選択肢もある。どちらがいいかというよりも、どちらも自信を持ってお届けできる」とコメント。

マツダ「CX-5」の2.5Lガソリンターボモデル「25T Exclusive Mode」の走行イメージ

マツダ「CX-5」の2.5Lガソリンターボモデル「25T Exclusive Mode」の走行イメージ

想定ユーザーは、「ディーゼルは、ゆったりとクルージングするイメージ。ガソリンターボは、積極的にアクセルワークを楽しみながら運転したいという方」と言う。ならば、なぜガソリンターボにMTはないのか。それは、マツダの社内事情に起因していた。実は、ガソリンターボとMTの組み合わせが、グローバルを含めて設定そのものがないのだ。いっぽう、ディーゼルとMTの組み合わせはあったことから、その導入を整えるよりユーザーの選択肢を早急に増やすべく、投入に至ったのである。そのうえで、「そういった(ガソリンターボにMTの組み合わせ)声は、真摯に受け止めたい」とのことだった。

ドライブフィールに話を戻すと、ディーゼルから乗り換えると足が旧来のCX-5に近く、少し突っ張って硬いように感じた。改良のコンセプトは同じだということなので、ガソリンターボの性格からよりハイペースに走ることが想定されることや、重量増からそれに合わせたセッティングに変えられているようだ。これもまた、一般路で改めて評価できればと思う。

ワインディングや雪上路での安定感がさらに増した「GVCプラス」

今回のCX-5改良モデルにおける、大きなポイントのひとつが「GVCプラス」が搭載されたことだ。これまでのGVCと同様、全グレードに標準装備される。

マツダ「CX-5」に搭載された「GVCプラス」の作動イメージ。

マツダ「CX-5」に搭載された「GVCプラス」の作動イメージ。

これまでのGVCは、コーナーへの進入時にエンジントルクをわずかに抑えることでフロント加重にして、旋回性能を高める役割を果たしている。GVCプラスでは、それに加えてコーナーからの脱出時にステアリングを戻し始めた時点から外側前輪にわずかにブレーキをかけることで、姿勢を整えてくれる。これら一連の所作により、ボディ全体の姿勢をコントロールし、安定感のある走りを実現しているという。

具体的に述べると、横方向の力(正確にはヨーモーメント)とともに上下方向(同ピッチング)も同時に制御するので、バネ上の姿勢が安定し、人間にとって制御しやすく安心感の高い運転になる。その結果、緊急回避性能が上がるのだ。また、ワインディングにおける一体感が上がったり、滑りやすい路面、たとえば雪上でオーバーステアを抑制してくれるので、運転していて非常に安心感のあるドライビングが可能になるとのことだ。

GVCプラスをオンにすれば、コーナーリングスピードが2割アップ

試乗車のマツダ「CX-5」には、「GVCプラス」の作動をオン/オフできるボタンが特別に設置されていた。市販車にはない、テスト車向けの仕様だ。

試乗車には、GVCプラスのオン/オフスイッチが特別に取り付けられていたので、その差がすぐわかるようになっている。試乗コースは、きついコーナーが続くハンドリング路と、直線から左右へと急に車線変更を行うダブルレーンチェンジにてテストを実施した。なお、CX-5の市販車は常にオンの状態で、オフにはできないことをあらかじめお断りしておく。

GVCプラスの試乗車で、オン/オフを繰り返しながらハンドリング路をコーナーリングしていく。スピードレンジが高まっても、オンの状態であれば車体は安定している。

GVCプラスの試乗車で、オン/オフを繰り返しながらハンドリング路をコーナーリングしていく。スピードレンジが高まっても、オンの状態であれば車体は安定している。

実際に走らせると、もともと重心高をあまり感じさせないCX-5なのだが、GVCプラスを体験したあとにGVCのみの試乗車へ乗ると、ボディが安定せずにふらつき、重心が妙に高いような印象を受けた。また、ハンドリング路の切り返しでは、GVCのみのほうが外へ逃げようとする力が強く(つまりアンダーステア)感じられたのだ。

GVCプラスの試乗車で、ダブルレーンチェンジをテスト。ステアリングを戻した際のボディの姿勢も安定している。

さらに、GVCプラスで明らかに効果が感じられたのは、タイヤの接地感がより高まったことだ。同じ速度でダブルレーンチェンジをすると、GVCのみのほうが切り返し後にスキール音が高くなったことでもその効果がうかがえる。また、ステアリングを戻したときのボディの姿勢もしゃきっとしていて安心感が増えている。

このように、何度かGVCプラスのオン/オフを繰り返すうちに、オンのほうが2割程度ハイペースで走ることができるくらい、その差は歴然としていた。

GVCプラスの試乗車に乗ってハンドリング路を走行する様子。

GVCプラスの試乗車に乗ってハンドリング路を走行する様子。

もうひとつ特筆すべきは、その介入に違和感がないことだ。ブレーキをかける(彼ら流にいうと“つまむ”)というと、そこに違和感が発生しそうだが、決してそういうことはなく、注意深く観察しても、おかしな挙動などはない。したがって、ドライバーがその効果として感じるのは「あれ、運転がうまくなったかな。走りやすいクルマだ」と感じることのみだ。開発陣も、「上級者でもじゃまにならないデバイスであり、初心者にはステアリングの修正舵が減り、スムーズな走りができるだろう」と言う。いずれにせよ運転が楽に、かつスムーズになることは歓迎したい。

GVCプラスの試乗車で、ダブルレーンチェンジをテスト中の様子。

GVCプラスの試乗車で、ダブルレーンチェンジをテスト中の様子。

テストドライバーでも、ダブルレーンチェンジなどではパイロンを飛ばしてしまうことがあるというが、そのミスがこのGVCプラスではかなり減ったというので、その効果はかなりのものと言えよう。

このデバイスの介入ステップについて、マツダ車両開発本部 操安性能開発部主幹の梅津大輔氏に話を聞いたところ、「コーナーを抜けるシーンを想定すると、ドライバーは次のようなステップを踏む。

(1) ステアリングを切る(GVCプラス未介入)
(2) そのまま保舵(GVCプラス未介入)
(3) ステアリングを戻し始める(GVCプラス介入)
(4) ステアリングが直進状態に戻る(GVCプラス未介入)

となる。(2)から(3)のときには、タイヤに角度が付いているので抵抗が発生している。つまり、その時点でブレーキがかかっている状態だ。その後(3)から(4)にかけてタイヤが直進状態に戻るので抵抗が減ってくるが、そこでGVCプラスが介入してくる。もっとも大きく切っている状態ではGVCプラスも多く介入し、そこからステアリングを戻す速度に応じて介入を弱めていく。そうすることで、違和感のない介入を実現している」と説明してくれた。

GVCプラスの試乗車で、ハンドリング路をコーナーリング中の様子。

GVCプラスの試乗車で、ハンドリング路をコーナーリング中の様子。

さらにGVCと同様、新たな装置を使わずに開発費のみで完成させた点も評価したい。今回のGVCプラスでは、既存のABSユニットなどを使用するので、新たなパーツを追加することがないというのは驚くばかりだ。この仕様は今後、順次ほかの車種にも拡大していくと言う。

ただ、ひとつだけ残念なこともある。実はこのシステムは、“ありもの”のコンポーネントを使っているのだが、ABSユニットインターフェイスを全部変えなければいけないのでユニットごとの交換になるそうだ。さらに、ABSは認証部品なので、現実的にはこれまでのCX-5への搭載は不可能とのこと。そこをなんとか、現行CX-5ユーザーにもこの恩恵を受けられる方法を考えてもらいたいところだが……。

たびたびの改良による進化はうれしいが、従来オーナーへの救済策も

CX-5改良モデルはGVCプラスを得たことで、マツダが目指す走るよろこびがさらに深化したと言える。新たなトランスミッションの組み合わせやエンジン投入により、選ぶ楽しみが増えたことになった。

矢継ぎ早に改良モデルを投入してくるマツダ。確かに改良後のモデルは改良前と比較して明らかに進化していることが多く、それはそれで評価すべきだ。しかし、たった1年かそこらで、自分のクルマが旧退化してしまったユーザーはどう感じるだろうか。そろそろ、そういったユーザーへの救済策も考えていく時期がきているように思う。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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