バイク野郎 増谷茂樹の二輪魂
出だしはジェントル、加速はパワフルなヨーロッパ製スクーター

通勤や通学に使いたい! プジョーのおしゃれなスクーター「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」


春からの新生活を控え、通勤や通学の足としてスクーターの導入を考えている方! ただ単に乗れるだけじゃなく、スタイルにもこだわりたいなら、プジョー「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」はいかがだろうか。試乗で実感した想像以上に気持ちのいい乗り味をお伝えしよう。

120年の歴史を誇るプジョー製スクーター

プジョーというと自動車のイメージが強く、バイクの製造・販売をしていることを知らない人も多いかもしれないが、実は、同社は初のバイクを1898年に開催された第1回パリ・モーターショーで発表しており、現存するバイクメーカーの中でもっとも長い歴史を誇る。

1898年に披露されたプジョー初のバイクは、モペットのようなルックス。ただし、市販されることはなかった

1898年に披露されたプジョー初のバイクは、モペットのようなルックス。ただし、市販されることはなかった

プジョーが本格的にバイクを展開し始めた1900年代は、4輪でも2輪でもその性能をモータースポーツで証明することが販売に結びついた時代だ。プジョーもスポーツタイプのバイクに力を入れ、1914年には当時の世界最高速度である122.49km/hを記録。マン島ツーリスト トロフィレースで勝利を収めるなど、多くのレースで輝かしい成績を残している。そんなプジョーが、初のスクーター「S55」を手がけたのは1953年のこと。パネル化されたボディのS55は、当時としては先進的と話題となっていた同社のモノコックボディの自動車「203」を思わせるようなデザインであった。

フロントにトランクを装備した「S55」(1953年発売)。2人乗りも可能だ

フロントにトランクを装備した「S55」(1953年発売)。2人乗りも可能だ

「S55」を現代に復刻させた「ジャンゴ」シリーズ

今回紹介する「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」も属する「ジャンゴ」シリーズは、プジョー初のスクーター「S55」をモチーフに、現代に復刻させたネオクラシックモデル。街中で交通の流れをリードできるほどの走行性能を持ちながら、維持費が安い原付二種スクーターは、通勤や通学の足として人気は高いが、国産モデルは実用性を重視したモデルが多いため、デザインにちょっと物足りなさを感じる人もいるだろう。その点、ボディを明るいツートンカラーに塗り分けた「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」は、爽やかで目を奪われる仕上がり。さらに、ヨーロッパ製のスクーターらしく細部にまでデザインにこだわっており、各部にシルバー系のパーツを用いたり、プジョーのシンボルマークであるライオンをいろいろなところに差し込むなど、デザイン的な完成度が高い。

クリームとビビッドな色を配色したクラシカルな仕上がり。サイズは1,925(全長)×710mm(全幅) × 1,190(全高)mmで、重量は129kg。排気量は124.6ccだが、同クラスの国産スクーターに比べると少し大柄だ

フロントにトランクを装備した「S55」のイメージを継承したかのようなキャリアが「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」にも付いてるが、これはオプション(29,800円/税別)

小ぶりな風防もオプション(29,800円/税別)。もっと頭のほうまでカバーできる「ロングスクリーン」(34,900円/税別)もアクセサリーとして用意されている

今回メーカーから借りた車両にはいくつかのオプションパーツが装備されていたが、購入時は写真のような状態。ディープオーシャンブルーとキャロットオレンジの2色がラインアップされている

タックロールと呼ばれる折り目が入れられ、ホワイトのパイピングが施されたダブルシートも「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」の特徴

コックピットも国産スクーターとは一線を画するデザイン

コックピットも国産スクーターとは一線を画するデザイン

アナログとデジタル表示を組み合わせたメーターもいい雰囲気だ

アナログとデジタル表示を組み合わせたメーターもいい雰囲気だ

グリップもクラシカルなイメージの樽型デザイン。握りやすく操作性もいい

グリップもクラシカルなイメージの樽型デザイン。握りやすく操作性もいい

タンデムステップは折りたたみ式なので、普段は収納しておけばデザインを損なわない

タンデムステップは折りたたみ式なので、普段は収納しておけばデザインを損なわない

よく消音されているマフラーにもメッキの遮熱板を装備

よく消音されているマフラーにもメッキの遮熱板を装備

リアタイヤに駆動力を伝えるスクーターのキモとなる部分にも、ライオンマークが刻印されている

リアタイヤに駆動力を伝えるスクーターのキモとなる部分にも、ライオンマークが刻印されている

ホイールのキャップにもライオンマークを発見!

ホイールのキャップにもライオンマークを発見!

品のいい仕上がりのデザインに目が行きがちだが、安全性や使い勝手の配慮も抜かりがない。2018年から装備が義務化されたABS(ブレーキをかけた時にタイヤをロックしないシステム)が付いているのはもちろん、テールライトは視認性の高いLEDを採用。スマートフォンを入れやすい形状のグローブボックスのほか、スマートフォンなどに電源供給が行える機構も備えられている。

フロントブレーキはディスクでABSも装備。十分な制動力を持ち、すべりやすい路面でも安心感が高い

フロントブレーキはディスクでABSも装備。十分な制動力を持ち、すべりやすい路面でも安心感が高い

シートを開けたところには、ジェットタイプのヘルメットなら上着なども一緒に収納できるほどのスペースが設けられている

フロントの右側にあるグローブボックスはスマートフォンが入れられる形状になっているほか、シガーソケットが装備されているので、ケーブルをつなげばスマートフォンなどに充電も可能。なお、フロントの左側にはガソリンの給油口がある。燃料タンクの容量は8.5L

足元中央には、コンビニ袋などを引っ掛けられるフックを装備

足元中央には、コンビニ袋などを引っ掛けられるフックを装備

荷物を置いたりできるように、フットスペースがフラットに作られているのもヨーロッパ製スクーターの特徴

荷物を置いたりできるように、フットスペースがフラットに作られているのもヨーロッパ製スクーターの特徴

ちょっとデカいけど、日本の街中乗りにピッタリ!

国産スクーターと比べるとデザイン性の高い「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」だが、車体サイズの大きさが走行性能にどのように影響してくるのかが気になるところ。さっそく、街中を走行し、乗り味を確かめてみた。

車体サイズが大きいため、ライディングポジションは腰高。身長175cmの筆者でも、つま先が着く程度だ。足付きはよくないものの車重が軽めなため、交差点などで停車する際に片足だけで支えることもできるので、身長が小さめな人でも心配はいらないだろう

アクセルを開けると、飛び出すような加速感ではなく、すべるような感覚で走り出す。排気音も小さく、同クラスの国産スクーターと比べるとジェントルなイメージだ。そして、街中を走っていると早速着座位置が高いメリットを実感。視点がやや高いので、交通の流れの先が見えやすいのだ。街乗りにおいては見通しがいいことは大きなメリット。

腰高な設計は、自然と背筋が伸びて姿勢がよく見える効果もある。スクーターだけでなく、乗っている人もスマートな印象になるかも

先ほど、スタート時の加速は国産スクーターに1歩譲ると書いたが、決して「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」が遅いわけではない。ギア比がやや高速寄りにセッティングされているようで、中速以降の加速が伸びていく感じがある。そのため、交通の流れが速い幹線道路を走っていてもパワー不足を感じることはない。エンジンの最高出力は10.2PSとパワフルではないが、伸びのある加速は気持ちよく、交通の流れをリードするには十分だ。そして、高い重心位置から倒しこんで行くようなコーナーリングはかなり気持ちがいい。国産スクーターは着座位置が低く、地面をはうように曲がっていくイメージが強いが、腰高な位置からバンクさせる動きは通常のバイクとフィーリングが近く、個人的にはかなり好印象だ。

車格は大きめだが、結構小回りは効くので狭い曲がり角なども得意。街中の足としては申し分ない走行性能だ

車格は大きめだが、結構小回りは効くので狭い曲がり角なども得意。街中の足としては申し分ない走行性能だ

試乗を終えて

取り回しのいい小ぶりな車体に50ccクラスよりもパワフルなエンジンを搭載し、“街中の移動では最速”とも言われる125ccのスクーター。この評価は日本国内だけでなく、海外でも同様のようで、輸入車メーカーのラインアップでもこのクラスのスクーターが充実している。ただし、フットスペースがフラットだったり、腰高だったりと、国産メーカーとは少し設計思想が異なるのがおもしろい。今回、「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」に試乗した限り、設計の違いをマイナスに感じることはなかった。着座位置が高めな点においては、むしろメリットであるとさえ感じたほどだ。スポーティーなモデルではないものの、街中で乗る分には走行性能に不満はない。細い路地でも扱いやすいので、日本の街並みにもピッタリだろう。「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」にはリアに装着できるキャリアやボックスなど、オプションパーツもたくさん揃えられているので、好みに合わせてカスタマイズできる。

この角度からの見た目が、個人的にけっこう好き。走り去るビジュアルまでかっこいい

この角度からの見た目が、個人的にけっこう好き。走り去るビジュアルまでかっこいい

また、普段遣いをする上で維持費や燃費は気になるところ。維持費については、125ccの二輪車すべてに該当することだが、軽自動車税が排気量の大きなバイクより安いのはもちろん、自賠責保険や任意保険も格安なうえ、自分もしくは一緒に暮らす家族が自動車保険に入ってる場合、「ファミリー特約」を付ければ、任意保険は通常の半分くらいになる。このようなことから足として選ぶのに、125ccクラスはちょうどいいのだ。

そして、「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」の燃費については、走行シーンによっても異なるが、実走で30km/Lは走る。往復20kmの距離を1週間に5日(平日)走行する場合、ガソリンを満タン(8.5L)にしておけば、2週に1回くらいの給油で済む。ガソリンが150円/Lだとしても1か月にかかるガソリン代は1,000円ほどだ。移動コストや維持費を抑えつつ、個性的でおしゃれなスクーターに乗りたいなら「ジャンゴ 125 エバージョン ABS」はベストな選択肢となるだろう。

お詫びと訂正:ヘッドライトにLEDを採用と記しておりましたが、正しくはテールライトだったため、訂正いたしました。お詫び申し上げます。(2019年3月11日)

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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