レビュー
ようやく!?投入された「ゴルフディーゼル」!

日本でディーゼル車の販売が好調なVW!新投入の「ゴルフTDI」に試乗

2019年10月1日、フォルクスワーゲン グループ ジャパンは基幹車種の「ゴルフ」「ゴルフヴァリアント」、そしてミニバンの「シャラン」にディーゼルエンジンを搭載した「TDI」モデルを投入した。

2018年から、ディーゼルエンジンを搭載したTDIモデルを次々と日本市場へ投入しているVW。今回は、主力車種である「ゴルフ」「ゴルフディーゼル」、ミニバンの「シャラン」にTDIモデルが追加され、VWの日本におけるTDIモデルは計8車種となった

これによって、同社では2018年2月の「パサート」「パサートヴァリアント」を皮切りに、ハッチバック、ステーションワゴン、セダン、SUV、ミニバンなどあらゆるボディタイプにTDIモデルがラインアップされることになった。

これまで投入されたTDIの日本国内における販売比率は、それぞれのボディタイプで5割以上を占めるなど好調で、ティグアンに至ってはTDIモデルが8割近い販売を記録しているという。

今回は、販売好調なVWのTDIモデルのうち、新たに追加された「ゴルフTDI」「シャランTDI」の2台に短時間ながら試乗する機会を得たので、その第一印象をレポートしよう。

ハッチバック市場におけるディーゼルは重要な位置づけに

ゴルフは1974年の発売以来、世界中の誰もが使いやすく、乗りやすい“ピープルズカー”の基本コンセプトを維持しながら、その時代に合わせて進化を続けている。2017年5月に日本で販売された現行ゴルフ(7代目)は、フォルクスワーゲンの最先端テクノロジーが採用され、コンパクトカーのベンチマークをさらに引き上げている。

そして今回、ゴルフTDIの導入によって、ガソリンエンジンの「TSI」、プラグインハイブリッドの「PHEV」、電気自動車の「EV」、そしてディーゼルエンジンのTDIと、ゴルフは実に多彩なパワートレインを備えるモデルとなったのだ。

販売好調な輸入車のディーゼル市場に、満を持して投入されたゴルフTDI

販売好調な輸入車のディーゼル市場に、満を持して投入されたゴルフTDI

ゴルフTDIは、ゴルフファミリーのさらなる商品力強化を目的にしているという。ゴルフが属する日本国内の輸入車ハッチバック市場の販売推移をみると、ディーゼルモデルは2016年以降安定的に25%前後の比率を維持しているという。さらに、今後も各メーカーから積極的にディーゼルモデルが追加されると予想されることから、ハッチバック市場におけるディーゼルモデルの立ち位置は、今後さらに重要性を増してくることは間違いない。

フォルクスワーゲン グループ ジャパン広報部の山神浩平氏は、ゴルフTDIの特徴について「高トルクと低燃費を高次元で両立しているバランスのいいパワートレインにより、高い実用性が得られます」とコメントする。

ゴルフのTDIモデルが搭載するエンジンは、2リッターターボディーゼル。ディーゼルエンジンならではの高トルクと省燃費性能を両立したエンジンだ

ゴルフTDIのパワートレインは、2リッターターボディーゼルエンジンを搭載。最高出力110kw/150ps、最大トルクは340Nmを発揮する。「余裕のある加速でドライブを楽しみながら、高い経済性も両立したディーゼルエンジンのベネフィットをしっかり体感できるでしょう」と山神氏は述べる。ちなみに、同社の他のディーゼルモデルと同様、重量税の免税などエコカー減税の恩恵も受けているという。

ステーションワゴンとディーゼルの組み合わせのよさ

ゴルフと同時に、ワゴンの「ゴルフヴァリアント」にもTDIが追加された。パワートレインはハッチバックのゴルフと共通ながら、より広大な荷室を備え「大きな荷物を積んで、キャンプなどを楽しむアクティブなライフスタイルを好むユーザーに最適なクルマです。そこへ経済性にもすぐれるディーゼルモデルを追加しましたので、より多くのお客様に興味や関心を持ってもらえるものと考えています」と山神氏。2018年2月に導入したパサートヴァリアントの購入ユーザーのうち約6割がディーゼルモデルを選んでいることから、「ステーションワゴンとディーゼルとの組み合わせは相性がよく、ユーザーニーズを満たしています。今回、ゴルフヴァリアントTDIの導入により、よりコンパクトで使いやすいステーションワゴンのディーゼルがほしいというニーズを、確実に受け止めることができるでしょう」と期待を語った。

シャランTDIはアウトドアを好むユーザーに

今回、ミニバンの「シャラン」にもTDIモデルが導入された

今回、ミニバンの「シャラン」にもTDIモデルが導入された

シャランは、電動スライドドアを有する7人乗りミニバンで、2011年に国内販売を開始して以来、デザイン、安全性、快適性とフォルクスワーゲンならではの総合性能が高い評価を得て、これまでに約1万5,000台を販売している。

多人数での移動が可能なことや、多くの荷物が積める「シャラン」は、高トルクなディーゼルエンジンがマッチするだろう

大人数で移動するイメージがあるシャランだが、実は「ステーションワゴンというボディタイプと全高を生かした圧倒的な積載量によって、大きな荷物を必要とする趣味と非常に相性がいいのです。家族みんなでキャンプに行ったり、海に行ったり。また、冬では仲間や自分ひとりでスキーやスノーボードに行ったりと、さまざまな趣味にぴったりなクルマです」と山神氏は説明する。

山神氏によると、シャランの特徴は次の3点だ。「380Nmを発揮するディーゼルエンジン。多彩なシートアレンジ。そして圧倒的な積載量です」

パワートレインは最高出力130kw/177psを発揮する2リッターターボディーゼルエンジンを搭載。「荷物をたくさん積んだり、7人フルに乗車する機会の多いミニバンにおいて、力強い快適な走りを実現しています」という。また安全快適装備においても、「ナビゲーションを標準設定にするなど、充実した安全・快適装備を採用しています」とのことだ。

3列シートを備える「シャラン」。日本のミニバンと同様に、3列目シートを倒すことで広大な荷室になり、多くの荷物を積載することができる

シャランは多彩なシートアレンジが可能となっており、7人フル乗車の場合の荷室容量は約300リットル。5人乗車の場合は3列目を倒すことによって711リットルを確保。さらに二人乗車の場合は2列目も倒すことによって最大2297リットルもの荷室容量を誇っている。また、助手席を前に倒すことで約3mの長い荷物も積載可能だ。さらに開口部の大きな電動テールゲートや、電動両側スライドドアによって大きな荷物の積み下ろしも容易である。山神氏は、「ディーゼルの高い経済性や走行性能と相まって、高速道路など長距離走行をともなうキャンプや本格的なアウトドアアクティビティを趣味とするお客様にマッチしているモデルです」とまとめた。

高速道路では“水を得た魚”のよう

短時間ながら試すことができた「ゴルフTDI」は、「ハイライン マイスター」と呼ばれる上級グレードだった。

「ゴルフTDI」(ハイラインマイスター)の試乗イメージ

「ゴルフTDI」(ハイラインマイスター)の試乗イメージ

富士山周辺の道路へ走り出した瞬間、軽やかに走り始めたのが印象的だった。このあたりは舗装路ながら荒れた路面が多いのが特徴だが、そういったシチュエーションでもサスペンションがしっかりと動いてショックを吸収し、しなやかさを感じるのだ。このあたりはガソリンモデルのTSIよりも110Kgほどの重量増も影響していると思われる。また、ボディ剛性も高く、ミシリともいわないのは優秀である。

この印象は、高速道路に乗り入れても変わらない。しっとりとしたしなやかな乗り心地と直進安定性の高さ、そこにディーゼルの燃費のよさが加わるので、高速道路ではまさに鬼に金棒といえよう。

もうひとつ付け加えるならば、取り回しのしやすいボディサイズだ。たしかに初代以降、ゴルフは着実にサイズアップが図られている。とはいっても4,265(全長)×1,800(全幅)×1,480(全高)mmというサイズは、ロングドライブを含めれば適度な大きさだ。遠出して知らない街を走るとき、特に全幅は気になるところだが、たとえそれが京都あたりの裏道に迷い込んだとしても、1,800mmであればそれほど気を遣うことはないだろう。

「ゴルフTDI」(ハイラインマイスター)の試乗イメージ

「ゴルフTDI」(ハイラインマイスター)の試乗イメージ

エンジンに関しては、決してパワフルではないが必要にして十分。ただし、搭載される7速DSGはそれぞれのギアを比較的引っ張り気味に走らせるので、一生懸命クルマを走らせている印象を同乗者に与え、少し非力さを感じさせるかもしれない。また、ロードノイズがリア周りから比較的大きく侵入してきていたのも気になるところだ。

「ゴルフTDI」(ハイラインマイスター)の試乗イメージ

「ゴルフTDI」(ハイラインマイスター)の試乗イメージ

高速道路とともに市街地で気になったもうひとつのことは、エンジンブレーキに関してだ。燃費を気にしてのことだと思うが、ちょっと減速したいと思っても予想以上にエンジンブレーキが利かず、ブレーキペダルに足が伸びることが多々あった。そこからふたたび加速する際に1,500回転を下回っていると、ターボの影響からか少々トルクが薄い印象をともなうことがあったので、もう少し低回転を重視したセッティングのほうが、より乗りやすさを感じられるようになるだろう。

2,000回転以上であればターボが利いてきびきびとした走りを感じられるが、低回転、特に信号からのスタートなどは、より意識的にアクセルを踏み込むことが求められた。

長距離でも疲れない魅力

シャランTDIハイラインにも試乗ができたので簡単に触れたい。開口部が大きいミニバンにも関わらず、ボディ剛性の高さは目を見張るものがある。そのあたりはアウトバーンを走ることを想定し、しっかりと作りこまれた印象だ。したがって、高速道路での安定性や乗り心地のよさは日本で使ったとしても、大いに評価に値するものだ。

「シャランTDI」(ハイライン)の試乗イメージ

「シャランTDI」(ハイライン)の試乗イメージ

なぜなら、遊びに行くために長距離を走って到着したときに、疲れてしまっていては楽しさも半減だからだ。そういったときに、シャランは最適な面を発揮する。1,900kgもの車重に対して、ブレーキ性能も十分に確保されていることを付け加えておこう。また、ハンドリングも優秀で、安心してワインディングを走ることが可能だ。

そのいっぽう、シャランでもゴルフで感じたような、アクセルに対して少し反応が鈍い印象を感じた。特に交差点などで、停まりかけた瞬間にアクセルを踏み込んだ際などにその鈍さを大きく感じて、今度はより踏み込んでしまうことで、鋭い加速が始まってしまうなど、細かな速度調整がしづらいような場面が見られた。

大型のテールゲートを備える「シャラン」だが、開口した際のテールゲートの位置が日本人にはやや高すぎることが気になった

使い勝手の面では、大型のテールゲートを備えているため、開口部が非常に大きいことは評価できる。だが、いっぽうで全高が高いことから、テールゲートを全開にするとオートクロージャーのスイッチに手が届きにくくなるのは不便であった。このあたりはぜひ、日本人の体格を考慮して、荷室のどこかに配するなどの工夫を望みたい。

3列目シートは、2列目シートを少し前に出せば十分に座ることができる。しかし、路面からの振動はそこそこ身体に伝わってくるので、疲労が溜まる可能性がある。また、ロードノイズも侵入ぎみであるから、3列目シートに座った長距離移動はあまりおすすめしない。

今回、2モデルのディーゼルエンジンを試乗したのだが、どちらもエンジンの印象は高速道路向けで、どこまでも走っていきたくなるものだった。

ドライバー含め、乗員全員の長距離の移動が快適と感じた「シャランTDI」

ドライバー含め、乗員全員の長距離の移動が快適と感じた「シャランTDI」

シャランTDIは、家族皆で出かけるにはもってこいのミニバンといえる。使い勝手でいえば、確かにシートレイアウトなどのそれぞれの操作は日本のミニバンよりも重いなどの難もある。しかし、それ以上に安全性や快適性が高く、疲れにくい仕様であることはドライバーはもとより、ほかの乗員にとっても魅力だと感じた。

7代目ゴルフにおいて、もっとも熟成されて完成度が高いと感じた「ゴルフTDI」

7代目ゴルフにおいて、もっとも熟成されて完成度が高いと感じた「ゴルフTDI」

そしてゴルフTDIは、そのサイズ感や機動性を生かして、市街地から長距離まで自由自在に走ることのできる魅力あふれるクルマだった。欠点として低速トルクの薄さをあげたが、これは慣れの問題もあるので、より時間をかけて観察したいと感じている。その点を除けば、現在の7代目ゴルフの中で、もっとも完成度が高いという印象だ。そろそろ8代目新型ゴルフの噂も出始めているが、だからこそゴルフTDIは熟成された7代目を手に入れるいいチャンスなのかもしれない。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン タイムセール
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る