ホンダの新型コンパクトカー「フィット」が、「東京モーターショー2019」で世界初公開された。
2019年10月23日、ホンダのプレスカンファレンスで新型「フィット」が世界初公開された
4代目にフルモデルチェンジされるフィットは、デザインが一新されたほか、ハイブリッドシステムが新世代に進化。「心地よい視界」「座り心地」「乗り心地」「使い心地」の4つの“心地よさ”が追求されており、クロスオーバーテイストの「クロスター」を含む5タイプがラインアップされるのが特徴的だ。発売は、2020年2月が予定されている。
初披露のホンダ 新型「フィット」の外観。直線基調な先代の3代目モデルに対して、新型フィットは曲線的なデザインが採用されている
比較画像として、こちらは3代目の現行フィット
2013年に登場した現行モデル(3代目)が、鋭いキャラクターラインや水平基調のフロントマスクによる直線的なデザインであったのに対し、4代目フィットはキャラクターラインではなく、抑揚ある面構成で見せる曲線的なデザインになった。
特長的なのはAピラーの細さで、フィット伝統のワンモーションフォルムを印象づけるだけでなく、死角を減らすことに寄与する。
新型フィットには、新たに2モーターハイブリッドシステム「e:HEV(イー エイチイーブイ)」が搭載されている。このe:HEVという名称はホンダでは初で、馬力や燃費などの詳細スペックについてはまだ明らかにされていない
現時点で詳しいスペックは公開されていないが、新たに2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」が搭載されることが明らかにされた。欧州モデルはハイブリッドのみのラインアップとなるようだが、日本国内では別途ガソリン車も用意されるという。
画像は、左から「HOME」「CROSSTAR」「LUXE」「NESS」「BASIC」
これまで、装備の違いによって数種類のグレードが用意されてきたフィットだが、新型フィットでは「HOME(ホーム)」「CROSSTAR(クロスター)」「LUXE(リュクス)」「NESS(ネス)」「BASIC(ベーシック)」という、それぞれキャラクターの異なる5つのモデルが設定されている。
・HOME(ホーム)
ナチュラルな風合いの織物シートやプライムスムースのソフトパッドなど、全体のカラーや素材を揃えて、高い質感とリラックスできる空間を備えるモデル。
・CROSSTAR(クロスター)
専用のエクステリアデザインと大径タイヤを採用。コンパクトでありながらタフなイメージを持つ、クロスオーバーテイストのモデル。
・LUXE(リュクス)
プラチナ調クロームメッキや、専用デザインの16インチアルミホイールなどで上質感を演出。インテリアには専用の本革シートを標準装備する、上級志向のモデル。
・NESS(ネス)
気分を盛り上げてくれるカラーコーディネートに、撥水性の高い素材を採用したインテリアを持つ。フィットネススポーツのような、軽快でファッショナブルなモデル。
・BASIC(ベーシック)
デザイン性と快適性を備えた基本モデル。
欧州車のようなテイストのHOME、クロスオーバーテイストのCROSSTAR、上級志向のLUXE、カジュアルでスポーティーなNESSと、それぞれ異なる個性的なモデルをラインアップすることで、従来モデルからの代替えだけでなく、上級車種からのダウンサイジング需要にも対応する。
ホンダ 新型「フィットBASIC(ベーシック)」
ホンダ 新型「フィット HOME(ホーム)」
ホンダ 新型「フィット CROSSTAR(クロスター)」
ホンダ 新型「フィット LUXE(リュクス)」
ホンダ 新型「フィット NESS(ネス)」
先代と異なり、オシャレな外観をまとった新型「フィット」。登壇しているのは、本田技研工業の八郷隆弘 代表取締役社長
実車を見た印象は、シンプルでオシャレだ。特に、ホワイトのインパネやシートを採用するHOMEは、どこか「フィアット500」のような雰囲気を感じさせる。これなら、欧州車を好むユーザーからも支持されそうだ。どのタイプが上級というわけではなく、好みでテイストを選べるのがうれしい。
新型「フィット」HOMEのインパネ。フロントピラーを極細とすることで、右左折時の視界が少なくなっている。また、インパネは水平基調になり、ワイパーも隠されていてすっきりとした印象を受ける
新型「フィット」のフロントシートには、人の骨格を研究して作られた「ボディースタビライジングシート」が採用されている。座り心地のよさから、長時間のドライブもストレスなく運転することができる
インパネやドアにはソフトパッドが多用され、インテリアの質感は2段階ほどアップした印象だ。運転席に座ってみると、囲まれ感の強かった先代モデルに対して、窓が大きく開放感が高い印象を受ける。細くなったAピラーも、開放感の高さにつながっている。インパネ上面がフラットなことも開放感を感じる一因だが、これは車両感覚のつかみやすさにもつながるだろう。また、テレスコピックステアリングとアジャスタブルシートベルトアンカーがきちんと装備されていることも評価したい。
新型フィットでは、新たに車載通信モジュール「Honda CONNECT(ホンダコネクト)」を搭載する。いわゆる、「コネクテッドカー」となったのだ。ホンダでは、このHonda CONNECTを活用した新しいサービスを開始し、これから国内で発売する新型車やフルモデルチェンジ車へ順次採用していくという。
今回はエクステリアとインテリアの発表が主であったが、今後は新型フィットの詳細なスペックや価格、カラーバリエーションなどが公開されることを心待ちにしたい。