「東京オートサロン2020」では、ダイハツから軽クロスオーバー「タフト(TAFT)コンセプト」が発表された。コンセプトと名はついているが、実質的に市販を目前に控えた新型車のお披露目だ。
ダイハツ「タフト(TAFT)コンセプト」
タフトコンセプトは、2020年央の発売に向けて開発が進められている市販前提のコンセプトモデルだ。ひと目見てわかるとおり、ライバルはスズキ「ハスラー」。今までハスラーがほぼ独占してきた軽クロスオーバー市場に、ダイハツが満を持して参入する。
東京モーターショー2019のダイハツブースに展示されていたコンセプトカー「WakuWaku」
「東京モーターショー2019」に足を運んだ人なら、「WakuWaku」という名のコンセプトモデルが展示されていたのを覚えているかもしれない。WakuWakuは、このタフトを示唆したクルマだったのだ。
「タフト(TAFT)」という車名は、開発コンセプト「Tough & Almighty Fun Tool」の頭文字から取られているが、ダイハツが1970〜1980年代に生産していたコンパクトクロスカントリー4WD「タフト」のオマージュであることは間違いない。余談だがハスラーは、スズキのオフロードバイクの車名だった。
ダイハツ「タフト(TAFT)コンセプト」のフェンダーは、タフさを感じさせるデザインに仕上げられている
エクステリアはかなりスクエアで、タイヤをあえて見せる形状のフェンダーが採用されているなど、道具感を感じさせるデザインへと仕上げられている。東京オートサロン2020の出品車は、あくまでもコンセプトモデルで市販モデルとは一部が異なるとのことだったが、外装から内装までしっかりとチェックしたところコンセプトカー然としたところはなく、市販車と異なるとしてもグリルやホイール(WORK製)程度なのではと思われる。
ちなみに、今回の展示車にはグッドイヤーのオールシーズンタイヤ「ベクター フォーシーズンズ」が装着されていたが、市販時には果たして?
ダイハツ「タフト(TAFT)コンセプト」のインテリア
インテリアも、スクエアなデザインが採用されている。大空間ワゴンの「タント」や「ウェイク」と異なり、センターメーターではなくステアリングの前に、2眼式のアナログメーターが備わる。パーキングブレーキは電動式だ。
ユニークなのは、運転席・助手席のシートやドアトリムがダークグレーなのに対し、後席と荷室のカラーがライトグレーとなっていたこと。ダイハツの担当者に、その意図を聞いてみると「運転するゾーンと、荷物などを乗せるゾーンをわけるため」とのこと。もちろん乗車定員は4名だが、「1〜2名乗車+遊びのための荷物」がこのクルマらしい使い方なのだろう。
ダイハツ「タフト(TAFT)コンセプト」にはパノラマガラスルーフが採用されている
軽自動車では珍しいパノラマガラスルーフが採用されるのは、ライバルにはないアドバンテージだ。
ダイハツ「コペンGR SPORT カスタマイズVer.」のエクステリア
タフトとともに注目したいのが、「コペンGR SPORT カスタマイズVer.」である。昨年、GRブランドから発売されたことで話題となった「コペンGR SPORT」に、ダイハツのチューニングブランドである「D-SPORT」のパーツが装着されたモデルだ。リヤには「GR SPORT」と「D-SPORT」のエンブレムが並ぶ。
ダイハツ「コペンGR SPORT カスタマイズVer.」のエクステリア
フロントコーナースポイラーやエアロボンネット、トランクスポイラー、スポーツマフラー、インテリアではシフトノブやカーペットマットなどが装着されているが、これらはすべて市販化が予定されているもので、「誰でもこのクルマと同じ1台が作れる」と言う。GRとD-SPORTのダブルネームが実現した、新しいカスタマイズモデルだ。
そのほか、ダイハツブースではロッキーにエアロパーツなどを装着した「ロッキー Sporty Style」、タントをカスタマイズした「タントカスタム Premium Ver.」「タントCROSS FIELD Ver.」「タントカスタム MARVEL スパイダーマン Ver.」や、ハイゼットトラックの使い方を提案する「ハイゼットトラック PEAKS Ver.」「ハイゼットトラック DJ Ver.」などが展示されていた。
東京モーターショー2019では、未来の軽自動車像を見せてくれたダイハツ。今回の東京オートサロン2020では、より身近な軽自動車の楽しみ方を示してくれたと言えそうだ。2020年央という、タフトの発売を心待ちにしたい。
ロッキーをスポーティーなエクステリアに仕上げた「ロッキー Sporty Style」
精悍なブラックフェイスが特徴的な「タントカスタム Premium Ver.」
「タント」をアクティブに仕上げた「タント CROSS FIELD Ver.」
ド派手なスパイダーマンのラッピングが施された「タントカスタム MARVEL スパイダーマン Ver.」
ボルダリングのホールドが施され、アウトドア志向を高めた「ハイゼットトラック PEAKS Ver.」
巨大なスピーカーが積まれ、サイバー感を演出した「ハイゼットトラック DJ Ver.」
車メディアとSNSの編集者。編集者として企業メディアやSNSのコンテンツ制作を手がける他、自身もライターとして年間約100本の記事を執筆する。自動車の歴史から機能解説、ドライブデートまでその幅は広いが、その主軸はひとりの自動車ユーザーとして「役に立つこと」。1981年、神奈川県生まれ。