レビュー
見ためのよさだけじゃない、4代目は走りの性能も大きく向上

トヨタ 新型「ハリアー」をサーキットで試乗! ハイブリッド「E-Four」の加速が強烈すぎる!

2020年6月17日に発売された、トヨタの新型クロスオーバーSUV「ハリアー」。初代モデルが発売された1997年から、23年目に至る2020年まで、クロスオーバーSUVとして伝統あるブランドであるハリアーは高い人気を誇っています。

トヨタ 新型「ハリアー」。画像のグレードは「Z ハイブリッド E-Four」です

トヨタ 新型「ハリアー」。画像のグレードは「Z ハイブリッド E-Four」です

そして、4代目にあたる今回の新型ハリアーは、より「ハリアーらしさ」にこだわったモデルチェンジと言えそうです。

「ハリアーらしさとは、何か?」と問われて、すぐに思い浮かぶのが、クーペフォルムの外観でしょう。力強さはSUVデザインの必須項目ですが、歴代ハリアーはそのうえに流麗なフォルムをまとっているのが特徴的です。そのシルエットは、初代モデルから代を追うごとにシャープさが増していき、今回の4代目ではさらに美しい4ドアクーペライクなエクステリアで登場しました。

そして、代を追うごとにシャープになっていくフロントヘッドライトも、特徴のひとつです。ハリアーのヘッドライトは、ヘッドライトシステムの変遷とも言えます。初代の「ハロゲン」から3代目の「HID」、そして4代目は全グレードで「LED」が採用されるなど、ハリアーのフロントデザインには、技術の進歩がクルマのデザインに与える影響を実感することができるのです。

ヘッドライトのLED化については、デザイン以外にも「アダプティブハイビーム」という恩恵があります。ハイビームのまま走行していても、先行者や対向車に眩しい光が当たらないようにライトを自動で制御するシステムです。

トヨタ 新型「ハリアー」のリアデザインは、水平基調の「リアコンビネーションランプ」が特徴的です

トヨタ 新型「ハリアー」のリアデザインは、水平基調の「リアコンビネーションランプ」が特徴的です

さらに、LED化によって大幅にデザインが変わった部分に、リアの「コンビネーションランプ」があります。このリアコンビランプも、内部のリフレクターなどを小型化できるという利点を生かして細くすることができ、ウインカーをバンパー下部に移すことによってコンビネーションランプが赤一色となりました。この赤い真一文字のデザインが、リアデザインに高級感を生み出す、大きなアクセントのひとつとなっています。

トヨタ 新型「ハリアー」のウインカーは、赤丸の部分が光ります。ちなみに、ナンバーが「わ」ではありますが、車両はレンタカーではなく、メディア参加の試乗会で用意された車両になります

新型ハリアーは、ウインカーがバンパー下部に移設されているために「後続車に、違和感を生じさせるのではないか?」と不安になる方もおられるかもしれません。ですが、新型ハリアーのコンビネーションランプの位置は、一般的なコンパクトカーのハイマウントストップランプの位置であること。また、ウインカーの位置はコンパクトカーのウインカー位置と変わらないこと。そして、リアコンビネーションランプの延長線上にドアミラーに設置されたウインカーがあることなどを考慮すると、筆者はそれほど違和感を覚えませんでした。

ハリアーらしい、高級感あふれる内装と先進装備

次に、インテリアを見てみましょう。今回の試乗グレードは、ハイブリッドの「Z」というグレードです。シートは、合成皮革とファブリックのコンビネーションで、運転席はフル電動シートになっています。そして、センターコンソールやドアトリムのアームレスト、ダッシュボードの一部など、肌が触れると思われる部分にも、シートと同素材の合成皮革が使われています。

合成皮革というと、いまだにビニールのようなものを想像される方もおられるかもしれませんが、現在の合成皮革は質感が高く通気性にすぐれており、本革に比べて色落ちせず、滑りにくいといった多くの利点があります。新型ハリアーの合成皮革は、本革よりもすぐれていると思える部分が多く、また合成皮革と言われなければ気づかないほどに完成度の高い素材と言えます。ですが、それでも「本革シートのほうがいい」という方向けには、ZグレードとGグレードには「レザーパッケージ」も用意されていますのでご安心を。

新型ハリアーの内装は、シート表皮以外にもラグジュアリー感にあふれています。インパネはモノトーンに統一され、アクセントはメッキパーツのみと、ソリッドな雰囲気を醸し出しています。そのモノトーンの色調も、微妙なグラデーションによって変化がつけられているなど、室内のいたる個所でさまざまな表情を見せているところにラグジュアリー感を覚えるのです。

上はガソリン車のメーター、下はハイブリッド車のメーターです

上はガソリン車のメーター、下はハイブリッド車のメーターです

メーター類は、速度計やガソリン車のエンジン回転計、ハイブリッドではパワーメーターが違和感なく視認できるアナログ式が採用されており、中央の「マルチモニター」にはカーナビのルート案内を表示させることもできます。

新型「ハリアー」には、「カラーヘッドアップディスプレイ」がZグレードに標準装備されています(他グレードは、オプションでも装備できません)

また、最上級グレードのZにはフロントウィンドウに速度やルートなどを表示できる「カラーヘッドアップディスプレイ」が標準装備されているので、視線を大きく移動することなく、情報を確認することができます。

新型「ハリアー」には、「デジタルインナーミラー」が標準装備されています(Sグレードのみオプション装備)

また、(廉価グレードのSを除いて)全車に「デジタルインナーミラー」を装備しているので、ラゲッジの積載物やリアシートの乗員の有無に左右されることなく、後方視界を確保できます。

新型「ハリアー」のZグレードに標準搭載されている「T-Connect SDナビゲーションシステム」(Gグレードにはオプションで装備可能)

新型ハリアーのZグレードには、12.3インチの大画面ディスプレイを採用した「T-Connect SDナビゲーションシステム」が標準搭載されています。ナビやTV、オーディオからエアコンやシートヒーター、ハイブリッド車ではエネルギーフローなど、さまざまな表示や設定が可能となっています。

広大なリアシートとラゲッジスペース

新型「ハリアー」はAピラーが傾斜しているので、少し頭をかがめて乗り込む形になります。ちなみに、画像の女性は今回撮影に協力いただいたレースクイーンの宮瀬七海さんです

乗降性については、SUVでありながらドア開口部が上下に広く、特に床面のドア開口部の張り出しが低いので、地上高の高さがさほど気にならないのがポイントです。ですが、クーペフォルムのデザインのためにAピラーがかなり傾斜していて、前席へ乗り込む際には少し頭をかがめるようなポジションになることは否めません。

リアシートは、画像では助手席を身長163cmの宮瀬七海さんのポジションに合わせたうえで、リアシートの居住性を表したものです。新型ハリアーでは、先代よりも30mm長い2,690mmというホイールベースをぜいたくに5人乗りとして設定しているため、足元空間はかなりの広さになります。

また、見ために反して頭上空間が広いところもポイントのひとつです。サイドビューを確認してみると、リアウィンドウとサイドウィンドウのキャラクターラインによって、Cピラーがかなり傾斜して見えますが、実はルーフラインはリアタイヤの車軸よりもうしろから傾斜が始まっています。こういったデザインの巧みさによって、クーペライクな外観とリアシートの居住性の高さを両立させているのでしょう。

ラゲッジスペースはかなり広大で、72リットルクラスのスーツケースなら4つは重ねて入れられるサイズとなっています。また、リアシート同様に天地のサイズにゆとりがあるため、背の高い荷物も積めそうです。リアシートのシートバックは、4:6の可倒式です。

ラゲッジフロアは割と高く、身長173cmの筆者や163cmの宮瀬七海さんが腰かけても地面に足は届きません。そのため、全開になったリアハッチには手が届きづらいのですが、開閉は電動でスマートキーを持っていればリアバンパー下につま先を入れることでセンサーが感知して開閉できるので、リアハッチに手が届かなくても問題はありません(パワーバックドアのハンズフリー機能は、Zグレードのみ標準装備)。

ハイブリッドの4WDの加速は強烈!

気になる動力性能ですが、ハイブリッド車は2.5リッターエンジンに電動モーターが組み合わせられ、ハイブリッド4WDはさらにリアモーターが搭載されています。ガソリン車は2リッターのガソリンエンジンのみで、ガソリン車の4WDはドライブシャフトを介してリアタイヤを駆動します。

新型「ハリアー(Z ハイブリッド E-Four)」の試乗イメージ

新型「ハリアー(Z ハイブリッド E-Four)」の試乗イメージ

ハイブリッド車とガソリン車の車重を比較すると、駆動方式にかかわらずハイブリッド車がおよそ80〜90kg重い設定となり、Zグレードの4WDでは車重が2tを超えてしまいます。しかし、ガソリン車の最高出力は171psですが、ハイブリッド車の4WDはシステム出力で222psと50ps以上の差があり、実際に運転してみるとハイブリッド車の4WDの加速力は見ためのイメージとは裏腹にかなり強烈!ドライブシャフトのあるFFベースの4WDのような、後輪が加速をちょっと手伝いますよという感覚とは異なり、前で引っ張りうしろで積極的に押すというリニアな感触が伝わってくるのです。

ガソリン車ではFFも4WDも同じエンジンで出力も同様なので、約60kgの重量増がしっかりとのしかかってきます。しかし、ハイブリッド車の4WDではリアタイヤを駆動するために54psの電気モーターを追加しているので、単なる重量増とはならないうえに、このモーターが積極的にクルマを押しまくるのです。

新型「ハリアー(Z ハイブリッド E-Four)」の試乗イメージ

新型「ハリアー(Z ハイブリッド E-Four)」の試乗イメージ

ハイブリッド車もガソリン車も、電子制御で積極的にトルク配分を変えて加速やコーナーリングに役立てているという部分では同じですが、その効果がリアルタイムに実感できるのはハイブリッドのほうでしょう。コーナーリングからの加速で瞬時にリアにトルク配分が移り、またコーナーリング中もオーバーステアやアンダーステアになりそうな状態を感知すると、トルク配分だけではなくブレーキまでも使って旋回を制御していきます。

ガソリン車でも同じ機能はありますが、全体的にゆるく効いている感じです。スポーツカーのドライビングを好む方々には、電子制御の介入が多いとのことで不向きな機能かもしれませんが、効き方はかなり自然で、クルマに詳しくない方がこれらの挙動に電子制御の介入が入っていると気がつくことはほぼないのではないかと思います。

新型「ハリアー(Z ハイブリッド E-Four)」の試乗イメージ

新型「ハリアー(Z ハイブリッド E-Four)」の試乗イメージ

このハイブリッドのパワー感や電子制御によるドライバビリティーの向上も、基礎骨格となるプラットフォームが優秀でなければ成り立ちません。新型ハリアーは、同社の「RAV4」にも採用されているTNGAの「GA-Kプラットフォーム」が使われており、ボディ剛性を大幅に向上させています。19インチタイヤ装着車が、サーキットで縁石を踏むようなコーナーリングをしてもミシリとも言わないほどの強さを持っています。

プラットフォームが同じで、エンジン構成や駆動方式などもRAV4と共通する部分が多いにもかかわらず、新型ハリアーはRAV4とはまったく別の乗り味であることは言うまでもありません。特に違うところは、どっしりとした重厚感。加速が鋭く、狙ったラインに入りやすいコーナーリングも好印象な新型ハリアーですが、ごく普通に走った時の上下動の揺さぶりの少なさは特筆すべき点で、重量増とそれにともなうサスペンションのセッティングの巧みさによるものが大きいのでしょう。そのほかに、上下左右の揺れに合わせてトルクを制御することで全体的な揺さぶりを減らすという機能も備わっていることにより、すばらしい乗り心地を提供してくれます。

よくある試乗記事などでは、おすすめグレードとして中間グレードを書いたりするものですが、筆者のおすすめはハイブリッド4WDの最高グレード「Z ハイブリッド E-Four」です。動力性能は最強、自動ブレーキなどの安全装備がフル搭載で、なおかつほかのグレードでは約37万円のメーカーオプションとなるJBLオーディオが標準搭載されているうえに、19インチホイールが装着されていることなどを考慮して、Z ハイブリッド E-Fourをおすすめします。

もし、購入検討されている方や試乗機会がある方はぜひ一度、新型ハリアーのハイブリッド「E-Four」を試乗してみていただければ幸いです。

取材協力
トヨタモビリティ東京
トヨタモビリティ東京「試乗ガイド」
https://www.toyota-mobi-tokyo.co.jp/carlineup/testdrive

松永和浩

松永和浩

自動車系フォトジャーナリスト。主にモータースポーツ分野で活動中。自動車全般を取材対象とし、カメラ、写真用品にも精通。スマートフォン、通信関連、アプリゲームやIoT家電なども取材を行う。月刊AKIBA Spec発行人編集長も兼任。

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