レビュー
8年ぶりのフルモデルチェンジ!新たに追加された「スポーツバック」にも試乗

コンパクトSUVとは思えない風格! アウディ 新型「Q3」に試乗

アウディのコンパクトSUV「Q3」が、8年ぶりにフルモデルチェンジされた。今回の新型Q3では、標準ボディに加えてリヤゲートを寝かせたクーペフォルムの「Q3スポーツバック」も用意されている。今回、その両方に試乗したのでレビューしよう。

アウディ 新型「Q3」のフロントエクステリアとリアエクステリア

アウディ 新型「Q3」のフロントエクステリアとリアエクステリア

まずは、標準ボディのQ3から試乗した。搭載エンジンは、1.5L直4ガソリンターボと、2Lクリーンディーゼルターボの2種類だ。試乗グレードは、2LクリーンディーゼルターボのQ3・35TDIクワトロSライン(543万円)であった。ディーゼルターボエンジン搭載車は、全車が4WDのquattro(クワトロ)を搭載している。

新型Q3のボディサイズは、全長が4,495mm、全幅は1,840mm、全高は1,610mm。アウディのSUVラインアップの中ではコンパクトなサイズだが、初めて実車を見たときには一瞬、「Q5ではないか?」と疑ったほどに大きく見えた。先代Q3も全幅は1,800mmを上回っていたが、新型はフロントマスクの形状変更なども相まって、実際のサイズよりも大きく見える。

アウディ 新型「Q3」のサイドイメージ

アウディ 新型「Q3」のサイドイメージ

全長は、新型になって約100mm伸びた。ホイールベースは75mm拡大されている。車両の居住空間は、ホイールベースを拡大させることで居住性を広げやすい。

先代よりも足元が広くなった、アウディ 新型「Q3」の後席

先代よりも足元が広くなった、アウディ 新型「Q3」の後席

新旧モデルの居住空間を比べて、もっとも広くなったのは後席の足元スペースだ。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ2つ分になる。先代Q3はひとつ半と、Q3よりもボディが小さい「Q2」と同等であった。Q3の立場を考えれば、Q2が存在する以上、ホイールベースと後席の拡大は当然の成り行きだ。実際、先代Q3では、後席に座ると窮屈に感じていたのだが、新型Q3の後席ではその狭さが解消されていた。

居住性の向上は、Q3の用途に大きな影響を与える。先代は後席が狭かったことから、ファミリーで使うなら後席の広い「Q5」が選ばれる傾向にあった。だが、新型Q3の後席なら広々としているというほどではないものの、大人4名の長時間乗車も可能だ。新型Q3の全長は4,500mm前後に収まるから、平日は買い物、休日はファミリードライブという使い分けができる。

アウディ 新型「Q3」のインパネ

アウディ 新型「Q3」のインパネ

インパネなど、内装の質感は相応に高くて満足できるが、エアコンスイッチやATレバー周辺などの細かな個所は、VW(フォルクスワーゲン)に近い印象を受ける。もう少し、質感を高めてほしい。

外観が水平基調のデザインなので、側方視界はいい。斜めうしろは少し見にくいが、SUVとしては満足できる。最小回転半径は5.4mと、少し大回りだ。全幅も1,800mmを超えるため、運転のしやすさはコンパクトというよりミドルサイズSUVのような感覚だ。

アウディ 新型「Q3」のディーゼルモデルが搭載している、2L直4クリーンディーゼルターボエンジン

アウディ 新型「Q3」のディーゼルモデルが搭載している、2L直4クリーンディーゼルターボエンジン

次は、走行性能をチェックしよう。35TDIクワトロSラインが搭載している2L直4クリーンディーゼルターボエンジンは、今のVWが複数の車種に搭載しているエンジンと同タイプだ。35TDIクワトロSラインの最高出力は150PS(3,500〜4,000rpm)、最大トルクは34.7kg-m(1,750〜3,000rpm)と、VWの「ティグアンTDI」と同じ値だ。

エンジン特性として、1,500〜2,500rpmの実用域で、3.5Lのガソリンエンジンに匹敵する動力性能を発揮する。駆動力には余裕があって、運転しやすい。ディーゼルながら、3,000rpmを超えた領域の吹け上がりも活発だ。ディーゼル特有のノイズは聞こえるが、耳障りではない。

アウディ 新型「Q3」の走行イメージ

アウディ 新型「Q3」の走行イメージ

走行安定性は、全幅がワイドなこともあり、全高が1,610mmに達するボディながら良好だ。特に、直進安定性はすぐれた部類に入る。曲がりくねった峠道の下りカーブでも安心感がともなう。4WDが搭載されているので、カーブを曲がるときにステアリングを少し積極的に切り込みながらアクセルペダルを踏み増すと、旋回軌跡の拡大を抑えられる。

操舵に対する車両の反応は、アウディらしくおだやかだ。たとえば、BMW「X1」のように、小さな舵角から正確に向きを変えるタイプではない。Q3は、スポーティーというよりもリラックスして運転できることを大切に開発されている。

アウディ 新型「Q3」の走行イメージ

アウディ 新型「Q3」の走行イメージ

乗り心地は、全長が4.5m前後のSUVとしては重厚感がある。先代と比較しても乗り心地は明らかに向上しており、先代Q3とQ5の中間に位置するような印象だ。

次に、新たにバリエーションへ加わったQ3スポーツバックを試乗した。試乗車のグレードは、1.5L直4ガソリンターボを搭載する35TFSI・Sライン(494万円)だ。ガソリンターボ搭載車の駆動方式は、すべて前輪駆動の2WDになる。

アウディ 新型「Q3」で新たに追加された、クーペフォルムの「Q3スポーツバック」

アウディ 新型「Q3」で新たに追加された、クーペフォルムの「Q3スポーツバック」

Q3スポーツバックの全長は、標準ボディのQ3に比べて若干長い4,520mmだが、取り回し性はほとんど同じだ。全幅も、1,840mmと変わらない。異なるのは全高で、Q3スポーツバックは1,565mmに抑えられている。Q3の1,610mmに比べて45mm低く、外観をスポーティーに見せている。

実用性で、Q3と違いが生じるのは後席だ。後席の頭上空間は、Q3では握りコブシがひとつ収まるが、Q3スポーツバックになると天井が低く、手のひらが入る程度の余裕しかない。それでも大人4名乗車は可能で、SUVとしての実用性は損なわれていない。

天井が低めなので、乗降性も異なる。Q3に比べると、頭を少し下げて乗り降りする形になる。4名で乗車する機会の多いユーザーは、後席の居住性を確認しよう。荷室面積はQ3と同等だが、Q3スポーツバックはリヤゲートを寝かせている。また、背の高い荷物を積む機会があるときは、荷室容量もチェックしたい。

35TFSI・Sラインに搭載されている1.5Lガソリンターボは、VWの新世代エンジンと基本的に共通だ。最高出力は150PS(5,000〜6,000rpm)、最大トルクは25.5kg-m(1,500〜3,500rpm)で、VW「ポロTSI・Rライン」と等しい。

アウディ 新型「Q3スポーツバック」の走行イメージ

アウディ 新型「Q3スポーツバック」の走行イメージ

プレミアムブランドであるアウディQ3スポーツバックのエンジンが、VWポロと同じなのは正直複雑な気持ちになるが、吹け上がりは活発でエンジン特性も扱いやすい。動力性能は2.5L前後のノーマルエンジンと同等で、パワフルではないが不満のない性能を得られる。ガソリン車の車重は、4WDと組み合わせられているディーゼルに比べて180kgほど軽いため、操舵に対する反応も機敏だ。市街地から峠道まで軽快に走れる。

乗り心地は、前述のディーゼルよりも硬い。車重の違いもあるが、試乗車のタイヤも影響している。ガソリンの35TFSI・Sラインが装着していたタイヤは19インチ(235/50R19)で、ディーゼルの18インチ(235/55R18)に比べると、乗り心地で不利だ。

安全装備は、Q3、Q3スポーツバックともに歩行者を検知できる衝突被害軽減ブレーキなどが装備されている。車間距離を自動制御してドライバーのペダル操作を軽減させたり、操舵を支援してくれる「アダプティブクルーズアシスト」は、ほかの安全装備とあわせて「アシスタンスパッケージ」としてオプション設定されている。オプション価格は12万円と割安なので、装着しておきたいところだ。

アウディ 新型「Q3」のインパネ中央に備えられている10.1インチの「MMIナビゲーション」

アウディ 新型「Q3」のインパネ中央に備えられている10.1インチの「MMIナビゲーション」

運転席のメーターパネルに備わっているカラー液晶ディスプレイの「Audiバーチャルコックピット」

運転席のメーターパネルに備わっているカラー液晶ディスプレイの「Audiバーチャルコックピット」

快適装備では、インパネの中央に「MMIナビゲーション」と呼ばれる液晶パネルが備わる。さらに、メーターパネルも液晶のバーチャルコックピットになり、カーナビの地図情報などを表示できる。

価格が最も安い、ガソリンターボエンジンを搭載する2WDの35TFSIの価格は438万円。国産SUVでは、トヨタ「ハリアー」に2Lノーマルエンジンを搭載するZレザーパッケージ(423万円)、レクサス「UX」に2Lノーマルエンジンを搭載する中級のバージョンC(4,216,666円)、輸入プレミアムブランドではBMW「X1」のsドライブ18i(440万円)と同等の設定だ。つまり、上級車種の売れ筋価格帯に収められていると言える。

新型Q3にはVWとの共通部分も多く、率直に言えばアウディという高級車ブランドならではの価値は少し薄く、物足りないように感じる。だが、代わりに居住空間から運転感覚まで、BMWやメルセデスなどのプレミアムブランドとは異なる親しみやすさが備わっている。このあたりをどうとらえるかによって、新型Q3、Q3スポーツバックにどのような魅力を感じるかが変わってくるだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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