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限定50台、納車は2022年の年明けから

1億4千万円のGT-R、「Nissan GT-R50 by イタルデザイン」が生まれた理由

現在では「GT-R」という名で知られている名車、日産「スカイラインGT-R」は1969年に誕生した。ご存じの方も多いと思うが、スカイラインGT-Rは数々のレースで輝かしい成績を残し、その名声は今に続く。いっぽう、イタリアの「イタルデザイン」は、初代VW「ゴルフ」やフィアット「パンダ」など自動車のデザインのほか、時計やカメラなどの工業製品を多数生み出したデザイン界の巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロが1968年に創設したデザイン会社であり、カロッツェリア(イタリア語でクルマのデザインや製造する会社)だ。

日産「(スカイライン)GT-R」と、イタルデザインの50周年を記念して共同開発された、「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」。「GT-R NISMO」がベースで、エンジンは推定720PSの3.8L V6 VR38DETTを搭載。50台限定で、価格は145,305,600円(為替によって変動の可能性あり)。画像の車両は、2021年1月21日〜3月31日まで銀座のニッサン クロッシングに展示されているテストカー

日産「(スカイライン)GT-R」と、イタルデザインの50周年を記念して共同開発された、「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」。「GT-R NISMO」がベースで、エンジンは推定720PSの3.8L V6 VR38DETTを搭載。50台限定で、価格は145,305,600円(為替によって変動の可能性あり)。画像の車両は、2021年1月21日〜3月31日まで銀座のニッサン クロッシングに展示されているテストカー

このたび、両社とも1年違いで50周年を迎えたことから、それを記念したコラボレーションモデルが誕生した。それが、今回ご紹介する「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」である。

最初の提案は「フェアレディZ」だった

日産は自動車メーカーだが、イタルデザインはカロッツェリアなのでデザインを主に行っていると認識されている方が多いと思う。それは、大きくは正しい。しかし、今回のコラボレーションでは日産がデザインし、イタルデザインが開発、製造を行うことになった。

画像は、2018年10月に公開された「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」のプロトタイプ車

画像は、2018年10月に公開された「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」のプロトタイプ車

最初のアプローチは、イタルデザインから日産に向けて行われたのだという。「最初は、フェアレディZをベースにしたアルティメット(究極)のZを作ろうというものでした」と教えてくれたのは、Nissan GT-R50 by イタルデザインの輸入、販売を行うエスシーアイ/GTR-50プロジェクトブランディングマネージャーのジャスティン・ガーディナーさんだ。しかし、日産側から「アルティメットというのであれば、世界的に見てもフェアレディZではなくGT-Rだろう」と提案された。そこから、このプロジェクトがスタートしたのだという。ちなみに、なぜフェアレディZだったのかについて、ジャスティンさんは「イタルデザイン内部で、フェアレディZの大ファンがいたからです」とのことだった。

初めに、日産は世界中の拠点に向けて、デザインコンペを開催した。つまり、厚木をはじめロンドンやパリ、イタリアなどのデザインセンターに勤務するデザイナーたちに、“アルティメットGT-R”を提案してほしいというものだった。そして、そこから選ばれたのは、カリフォルニアデザインスタジオに所属する若手デザイナー、マーカス・クァ氏の案だった。彼は、それまでドアハンドルなどの細かいデザインが多かったので、今回の採用は大抜擢と言える。そこからは、彼のプロジェクトとして、イタルデザインとともにプロトタイプを作成し、4か月ほどかけて完成させた。

ところで、なぜ日産は製造を行わなかったのだろうか。ジャスティンさんによると、「20〜30年前であれば、可能だったのでは」と言う。しかし、「Nissan GT-R50 byイタルデザインは1台1台手作りで、オーダーメイドのようなクルマです。しかし、日産はコストカットなどによって、カロッツェリアのようなことができなくなりました。そこで、製造はイタルデザインが担当することになったのです」とのことだ。

まさしく、「ベストオブGT-R」

Nissan GT-R50 byイタルデザインのデザイン面で、最も目を惹くのは低くなったルーフだ。ジャスティンさんは、「R35 GT-Rの開発初期におけるデザインスケッチを見ると、ルーフが低く、Aピラーが短いのが特徴でした。しかし、実際に市販されたルーフは高くなっています。そこに気付いたデザイナーが、本来はこうだろうとルーフを低くし、Aピラーを短くしました。もちろんヘッドルームクリアランスは確保しています。それだけでも、クルマの雰囲気がすごく変わるでしょう」と話す。

また、R35だけでなく4代目スカイライン、通称“ケンメリ”のGT-Rのオマージュも、リアフェンダー周りに表現されているのだそう。さらに、エンブレムも過去のフォントのものを採用している。「まさに、ベストオブGT-Rと言えるでしょう」と、ジャスティンさんはコメントする。

また、GT-Rと大きく異なる点として、リアゲートが備わるようになった。ルーフが低くなったことで、ハッチバックスタイルになったため、大型のテールゲートが採用されたのだ。

さらに、オプションの油圧式可変ウイング(5,800,960円)の設置スペースが必要なため、前後方向は狭いものの、十分な深さのラゲッジスペースが備えられている。

そのほか、ヘッドライトは正面から見ると光っているが、上から見ると光が見えないといったような未来的な印象が与えられているほか、ルーフに取り付けられているハイマウントストップランプは、真横から見ると点灯しているようには見えないが、真後ろから見るとしっかり光っているなど、細かなところまで作り込みがなされている。

足回りに関しても、「全幅も広がっていることから、サスペンションのストロークレシオからスプリングレートなど、すべて異なっています」とのことだった。

ニッサン クロッシングに展示されている「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」のテストカーは、ボディやリアウイング、カーボンパーツなどの剛性、耐久テストのため、実際にサーキットで走行した車両だ

ニッサン クロッシングに展示されている「Nissan GT-R50 byイタルデザイン」のテストカーは、ボディやリアウイング、カーボンパーツなどの剛性、耐久テストのため、実際にサーキットで走行した車両だ

ジャスティンさんは、「これまで公開されていたプロトタイプはショーカーだったので、『本当に、作ることができるのか』と思った方も多くおられたことでしょう。しかし、きちんとテストカーを作って、一般道も含めてテストを繰り返しています。いま、ニッサン クロッシングに展示されているNissan GT-R50 byイタルデザインはまさしくそのテストカーで、イタリアのナンバープレートを取得しています」と説明してくれた。

ちなみに、Nissan GT-R50 byイタルデザインには、JNで始まる「VINコード」と呼ばれる車体番号が打たれている。Jは日本、Nは日産という意味だ。そしてもうひとつ、イタルデザインの番号が打たれることになっている。つまり、製造がイタルデザインであり、そこから日本をはじめ全世界に向けて輸出されるからで、改めて車体番号が打たれるのだ。したがって、日本での車検証の記載も、日産ではなくイタルデザインになるという。

では、メンテナンスはどうなのか。エンジンやミッション、足回りなどの整備に関しては、日産ディーラーのパフォーマンスセンターで可能だという。しかし、保障やリコール、そして事故などの損傷の場合は、本国へ送り返すことも含めて、輸入を行うエスシーアイにおいて行われるとのことだ。

残り台数はあとわずか!?

Nissan GT-R50 byイタルデザインの全生産台数は、50台。日本への正確な輸入台数は秘匿ではあるものの、2桁になるという。「ヨーロッパ、アメリカ、日本がほぼイーブンで、後はミドルイースト、UAEなどがメイン市場です」と、ジャスティンさん。日本向けのハンドルの位置は、左右半々くらいだという。

日本での価格は、145,305,600円から(税込、為替レートで変動の可能性あり)。エスシーアイが関わる前に、日産の協力のもと、日本のお客様とイタルデザインで直接オーダーという形で進められていた。しかし、実際に日本への輸入業務、ナンバー取得などに関して難しいと判断されたことから、エスシーアイが行うことになったという。

これからの販売に関しては、「生産枠が取れ次第、抽選販売です」と話すのは、エスシーアイ/GT-R50プロジェクトGT-R50専任営業マネージャーの新開厚之さん。台数は未定ながら、次回は2021年2月26日が申し込み締め切りであると言う。

当初は、ある程度地域ごとでの生産枠があったようだが、特に、中国市場がコロナ禍の影響でプロモーションが進まなかったことなどから、その枠が割り当てられているようだ。「中国市場は、実際に大きく稼働すればすぐに捌けるでしょう。しかし、その前に(半分)誕生の地である、日本のお客様からの要望に対しては、できれば販売させてもらいたいという話になっています」(新開さん)と教えてくれた。

現在の生産状況であるが、実はコロナ禍の影響で遅れており、まだ開始されていない。「2021年8月以降の開始予定で、早いクルマだと年内には到着が始まるかもしれません。それから、日本の公道を走るための日本仕様への改善や、車検取得に向けての手続きを行いますので、2022年の年明けくらいに納車が始まるでしょう」と説明する。

さて、オーダーメイドと前述したが、具体的にはどのくらい可能なのだろうか。ジャスティンさんは、「当初は、イタルデザインからデザイナーがお客様の家まで来て、iPadなどでこの部分は何色にするか、カーボンはどのように見せるかなどを詰める予定でした。しかし、イタリアから来ることができなくなってしまったので、そこも我々が対応しています。カラーは、ショーカーのままでいいというお客様から、日産の大ファンの方は日産の歴史にまつわるレースカーのようなカラーリングを望まれたりもします。まずは、iPadでラフデザインを作り、その後CADで3Dデータが送られてきて確認をしていく、という流れです」。

インテリアにおいても、ドアトリムのカーボンをどのように見せるか、また、加飾に関しても、銅やプラチナなどへの変更が可能という。天井の内張も、アルカンターラなどが選べるとのこと。このように、マテリアルに関しての変更は可能だが、たとえばルーフを切るなどはできないとのことだ。

ナンバーなしで博物館に展示する人も

最後に、これまでに購入している日本のユーザーはどういった人たちなのかを聞いてみた。ジャスティンさんは、「実際にサーキットを走りたいという人から、登録も必要なく、自分のコレクションに加えたいという人までさまざまです」とのこと。新開さんは、「保守的なお客様は、自分でずっと所有して、子供にこのクルマを譲っていきたいという考えを持っていたり、ある法人の場合は、このクルマを会社所有の博物館などに展示して、ほかのクラッシックカーやヒストリックカーと同様に、現地の人たちに見てもらう機会にしたいととらえていたりします」とのことだった。

Nissan GT-R50 by イタルデザインは、2021年3月31日まで銀座のニッサン クロッシングに展示される予定だ。原稿公開時点では、東京都には緊急事態宣言が出されていることもあって不要不急の外出はできないが、もし気兼ねなく外出が可能となった際には、ニッサン クロッシングへと足を運んでみてはいかがだろうか。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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