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100台限定、価格は1,100万円

運転中に動画が見られる、ホンダ 新型「レジェンド」発売。自動運転レベル3の技術を搭載

近年は、多くの新型車に「運転支援機能」が搭載されている。たとえば、設定した速度の範囲内で先行車との車間距離を自動調節しながら追従走行したり、車線の中央を走れるようにパワーステアリングの操舵支援を行ってくれるといったものだ。これらの運転支援機能は、ドライバーの疲労を軽減させ、安全にも寄与する。2018年に国土交通省によって策定された、「自動運転車の安全技術ガイドライン」によると、昨今のクルマに搭載されている運転支援機能は自動運転レベル1の「運転支援」と、レベル2の「部分運転自動化」に位置付けられている。自動運転レベル1やレベル2は、あくまでドライバーが主体となって運転および監視を行い、システムは車両の動作の一部を限定的に実行するというものだ。

運転中、特定の条件下において前方から目を離すことができる、自動運転レベル3の技術を搭載した「Honda SENSING Elite(ホンダ センシング エリート)」。そのHonda SENSING Eliteが採用されているホンダ 新型「レジェンド」が、2021年3月5日に発売される。価格は1,100万円(税込)で、販売台数は限定100台。なお、購入に関しては3年間のリース契約のみとなる(最下部に詳細を記載)

運転中、特定の条件下において前方から目を離すことができる、自動運転レベル3の技術を搭載した「Honda SENSING Elite(ホンダ センシング エリート)」。そのHonda SENSING Eliteが採用されているホンダ 新型「レジェンド」が、2021年3月5日に発売される。価格は1,100万円(税込)で、販売台数は限定100台。なお、購入に関しては3年間のリース契約のみとなる(最下部に詳細を記載)

レジェンド ハイブリッドの製品画像
ホンダ
4.45
(レビュー19人・クチコミ539件)
新車価格:724万円 (中古車:168〜620万円

だが、この自動運転技術が新たな段階を迎えることになった。2021年3月4日、ホンダが高級セダン「レジェンド」の新型モデルに、自動運転レベル3の「条件付運転自動化」技術を搭載する「Honda SENSING Elite(ホンダ センシング エリート)」を採用し、翌日の5日から発売すると発表したからだ。Honda SENSING Eliteが従来の運転支援機能と異なるのは、運転および監視する主体がドライバーではなく、システムになることだ。自動運転レベル3では、特定の条件下においてシステムがすべての運転を実行するため、ドライバーは前方を注視しなくてもいいことになる。ホンダは、この自動運転レベル3を「運転自動化レベル」と表現している。自動運転ではなく、自動運転に向かって進化する段階のひとつ、という意味だ。ホンダのこの解釈は理解しやすく、現実に沿ったものだろう。

■ホンダ 新型「レジェンド」のグレードラインアップやスペック、価格
グレード:LEGEND Hybrid EX・Honda SENSING Elite
※1グレードのみ
乗車定員:5名
エンジン:V6 3.5L 直噴 i-VTECエンジン
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:SPORT HYBRID SH-AWD
価格:11,000,000円(税込)

まず、自動運転レベル3に適合する技術というのは、Honda SENSING Eliteの機能のひとつである「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」のことをさしている。トラフィックジャムパイロットが作動する道路は、高速自動車国道や都市高速道路、それらへ接続されている自動車専用道路で、歩行者や自転車も通行している一般道路では作動しない。そして、作動条件となる速度は時速30km以下だ(作動後は、時速50kmを超えると解除)。つまり、高速道路における渋滞時に作動することになる。なお、アクセルやブレーキ、ステアリングなどを操作していないことも、作動条件のひとつだ。さらに、作動については気象条件によっても左右される。強い雨や降雪、濃霧、朝日などの逆光によって周囲の車両や車線を認識できない場合には、作動が解除される。

トラフィックジャムパイロットが作動している時は、システムが作動を監視しているので、ドライバーは前方を注視する必要がない。ここで気になるのは、トラフィックジャムパイロットの作動中に、たとえばパソコンで作業したり、スマホを操作していてもいいかどうかといったことだろう。2020年4月に施行された「改正道路運送車両法」では、

自動運行装置を備えている自動車の運転者が当該自動運行装置を使用して当該自動車を運転する場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該運転者については、第71条第5号の5の規定は、適用しない。

 一 当該自動車が整備不良車両に該当しないこと
 二 当該自動運行装置に係る使用条件を満たしていること
 三 当該運転者が、前二号のいずれかに該当しなくなつた

場合において、直ちに、そのことを認知するとともに、当該自動運行装置以外の当該自動車の装置を確実に操作することができる状態にあること。

上記のように定義されている。ここで言う、第71条第5号の5の規定とは、以下の内容になる。

自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。)を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。

これらを要約すると、自動運行装置(新型レジェンドではトラフィックジャムパイロット)が作動中は、第71条第5号の5の規定である「携帯電話などを手に保持した状態で通話しないこと」や「画像表示用装置(スマホ、カーナビなど)を注視しないこと」を適用しない、という内容になる。

ただし、周囲の状況が変わって自動運転を続けられなくなったり、速度が時速50kmを超えると、トラフィックジャムパイロットは解除される。もし、スマートフォンやパソコンなどに集中しているとシステムの解除に気付かず、危険性が高まることが懸念される。そのため、トラフィックジャムパイロットの作動中に映像などを視聴するとしても、インパネの中央に装着された車載モニター画面での視聴が推奨されている。車載のモニター画面であれば、速度が上昇してトラフィックジャムパイロットがキャンセルされたときなどに、渋滞運転機能が終了した旨の注意喚起の画面へと切り替わるからだ。

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ホンダ
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新車価格:724万円 (中古車:168〜620万円

ちなみに、自動運行装置搭載車は、それを示すステッカーが車両の後部に貼られている。

トラフィックジャムパイロットの作動は、時速50km以上になると終了するが、ハンズオフ(手放し)の運転支援機能は時速50km以上でも使用できる。必ず前方を注視しなければならないが、ハンズオフなのでステアリングホイールを保持する必要はない。ハンズオフの運転支援機能の作動中は、ドライバーはステアリング、アクセル、ブレーキの操作から解放される。

ハンズオフ機能は、日産「スカイライン」の一部グレードに搭載されている「プロパイロット2.0」などでも可能だが、スカイラインでは車線変更時にステアリングホイールを保持する必要が生じる。だが、新型レジェンドでは車線変更もハンズオフで行えるという違いがある。具体的には、先行車に近づくと「右車線を確認してください。車線変更します」といった表示が出て、自動的に方向指示器が作動して右側へと車線変更する。そして、先行車を追い越した後は「左車線を確認ください。車線変更します」という表示が出て、元の車線に自動で戻るというものだ。なお、車載のカーナビゲーションで目的地を設定している場合には、高速道路の出口に近づくと、自動的に第1走行車線(一番左の車線)に移る。その後、高速道路を出る手前でドライバーに運転操作を要求して、ハンズオフの運転支援機能が終了する。

このように、Honda SENSING Eliteで高速道路を通常速度で走るときには、ハンズオフによる運転支援を受けられる。そして、時速30km以下の渋滞になるとトラフィックジャムパイロットが作動し、前方を注視する必要のないアイズオフになる。渋滞時のドライバーへの負担は大幅に軽減されるだろう。だが、前述のとおりシステムがドライバーに操作要求をしてくることを想定して、常に応じられる準備をしておくことは不可欠だ。インパネのモニターで映像などを視聴することは可能でも、そこに没頭すると反応が遅れる。その意味では、実際の使い勝手は運転支援機能に近いものと言える。

ひとつ考えられる心配としては、トラフィックジャムパイロットを作動させているときに、万が一交通事故が発生した場合についてだ。責任は車両に生じるのだろうか、それともドライバーなのだろうか。ホンダにたずねると、「個々の状況によって、判断される」と言う。そして、国土交通省は「事故の状況に応じて、警察が判断する」と述べている。

なお、Honda SENSING Eliteでは安全機能も進化しており、車線変更時の衝突抑制機能が新たに加わった。車線変更する際に、斜め後方を走る並走車両と衝突する危険が生じると、音と表示で警報を発して、元の車線に戻るステアリング操作を支援してくれる。この機能は、一般道路も含めて常に作動するものだ。

新型レジェンドの価格や購入などについても、触れておきたい。車両価格は、1,100万円(税込)だ。先代の「レジェンドハイブリッド EX」は7,249,000円なので、Honda SENSING Eliteの機能などを加えたことで、3,751,000円の上乗せになった。そして、新型レジェンドの販売計画台数は100台の限定生産で、リース専用車両となっている。ホンダカーズ(ホンダの販売店)によると、「リース期間は3年間で固定され、リース期間満了後の買い取りなどはできない。リース料金は、1か月で約30万円になる。リースなので、税金、保険料、メンテナンス費用などはすべて料金に含まれるものの、それにしても高額だ」とのこと。1か月当たり約30万円で3年間(36か月)のリースになり、3年後には車両を返却しなければならない。わずか3年の間に、車両価格と同等のリース料金を支払うので、かなり割高になることは否めない。

ホンダは、新型レジェンドについて「一般のお客様も利用可能」と案内しているが、リース料金や100台限定ということを考えると、あまり一般ユーザー向けではないようにも感じられる。おそらく、今回の新型レジェンドは運転自動化レベルを引き上げるための“リアルな実験車両”で、3年間のリース期間の満了後は、車両を回収してさまざまな走行データを分析するのだろう。値段は相当に割高ではあるものの、日本の自動車メーカーが自動運転にむけて大きな一歩を踏み出したという点は評価したい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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