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思わずほしくなる、個性的なカスタムカーたち!

これは憧れる! ホンダ「N-VAN」「フィット」の魅力的なカスタマイズカー

今年はオンラインでの開催となった「東京オートサロン2021」。そんな東京オートサロン2021の会場にホンダが出展予定だった、「N-VAN」のカスタマイズカー「3rd Place VAN」と、「フィットクロスター」のカスタマイズカー「フィット e:HEV クロスターカスタム」の2台がメディアに公開された。

N-VAN 商用車の製品画像
ホンダ
3.98
(レビュー35人・クチコミ801件)
新車価格:127〜187万円 (中古車:75〜309万円

フィットの製品画像
ホンダ
3.89
(レビュー493人・クチコミ23888件)
新車価格:155〜218万円 (中古車:1〜249万円

今回、これらのカスタマイズカー製作に携わったデザイナーたちに話を聞くことができたので、その魅力やコンセプトなどについて解説したい。

N-VAN カスタム「3rd Place VAN」

平日はカフェに、休日は旅先での車中泊など、仕事と趣味をシームレスにつなげるトレーラー風カフェとして提案するカスタマイズカーが、N-VANをベースにした「3rd Place VAN」だ。

「まず、『N-VAN+STYLE FUN』(乗用ユースもふまえた、N-VANの上級グレード)は、年齢層の高いオーナーが多いので、もっと若い人たちに見てもらいたい、こんなクルマがあるのかと気付いてほしい、という思いからスタートしました」と話し始めるのは、本田技術研究所 デザインセンター オートモービルデザイン開発室 プロダクトデザインスタジオ デザイナーの佐藤友哉さんだ。

もともと、N-VANは商用車であるために、若い人にその存在があまり知られていなかったり、知っていても「自分たちが乗るクルマじゃない」と思われているのだと言う。だが、N-VANは「DIYをしたり、友達と趣味道具を一緒に運んだりする、道具としてのポテンシャルはとても高いのです。また、車両価格も手ごろなので、若い人たちにも伝え方さえきちんとすれば、需要があると思いました」と述べる。そこで、「カフェや趣味をベースとした、バンライフのようなクルマを提案して、若い人たちに少しでもN-VANの魅力や価値を知ってもらいたかったのです」と、3rd Place VANに込めた思いを語った。

外観はアメリカンな雰囲気に

3rd Place VANのボディ表面は、まるでアルミ地肌のような雰囲気が漂っている。「移動カフェを連想させるものとは何だろうと考えたときに、いわゆるトレーラーハウスをイメージしました。それも、古き良きアメリカンなトレーラーハウスです。それを、まずエクステリアで感じさせて、室内に入ってもそのとおり、というイメージで作りました。内装は、外装と表裏一体です」と佐藤さん。

アメリカンと言ってもさまざまな方向性があるが、佐藤さんは「最近の若い世代の人達は、昔と違って100%アメリカンといったものはあまり好みません。自分の中でうまくひも解きながら、さまざまなカルチャーを取り込むことで、懐かしいけれども新しいカルチャーを生み出すような風潮をとても感じます。そこで、少し北欧的なカフェの雰囲気と、アメリカンな雰囲気をうまくミックスさせて、統一感のあるクルマを目指しました」とコメントする。

もう少し、具体的に話をうかがおう。佐藤さんと一緒にこのクルマの製作に携わった、同部署の荒木紀充さんは、「アメリカのトレーラーハウス、たとえばエアストリームなどをクルマで引っ張ってどこかでカフェを広げるなど、そういった生活にすごく憧れがありました」と言う。そこで、実際にそういったカフェや実車が展示してあるところに幾度も足を運んだ。そうして、自分たちの中で徐々にイメージをふくらませていったのだと言う。

そこから荒木さんは、エクステリアについて「いかにもというような、ピカピカの新品ではなく、少しやれた感じとか、ラギットで少し擦れた、使い古したような感じのアルミの雰囲気を目指しました」と言う。最初に、N-VANのボディにフィルムを貼ったときには、「ピカピカなアルミな感じでしたので、それをやすりでこすりました。ただ、それだけだと白茶けてしまったので、コンパウンドで磨きを出すことで、ちょっと擦れた、やれた感じが出てきました。そのようなことを繰り返して、クルマを仕上げていきました」と説明する。

また、ボディのさまざまな部位には、リベットが配されている。これは、「実際のトレーラーハウスも、アルミの板を何枚も継ぎ合わせて作られています。そういった、継ぎ合わせの部分をリベット風に再現することで、よりアメリカンなトレーラーハウスの雰囲気を、ぱっと見た人にイメージして感じてほしいと思いました」と話す。

また、ルーフにはアメリカンなトレーラーハウスの雰囲気を出すために、オレンジの3連ライトが取り付けられている。「ちょっと濃すぎて、やり過ぎているぐらいがオートサロンの会場に展示したときに、うまく映えるではないかと思いました」と荒木さんは言う。

内装はDIYで簡単に作れるように

次に、こだわりのインテリアを見せてもらった。「インテリアは、基本的に簡単に作れるようにしています。実は、これが一番こだわったところになります」と佐藤さん。ポイントは、「まずは、4座が使えること。かつ、(テーブル類は)組み立てを簡単にして、設置も楽にできるようにしました。そして、取り付けは(実は)載せているだけです」と言う。一部、M6ナットを使ってボードを固定しているほかは、「特殊な加工など、素人や女性などが無理と思うようなことは、何ひとつしていません」と述べる。そのM6ナットを使っているところも、実際にN-VANにすでに穴が開いていて、パッキンでふさがれている部分を利用しているので、ボディに穴を開けているわけではない。

大型のトレイは、前方はインパネトレイに載せ、後方はリアのホイールハウスの上に載せている。テーブルは、ずれないようにピンを刺しているが、「使う人の好きな固定方法でいいと思います」と佐藤さん。そして、実はこれらはセパレートで折りたたむことが可能だ。ラゲッジにテーブルなどを収納すれば、4座すべてに座ることができる。そうすることで、「友達などと、みんなで出かけることができます」と話す。

佐藤さんは、「こういった、カフェスタイルやキャンパースタイルのようなものだと、1人か2人くらいしか乗れない印象があります。それだと、おじさんが定年後に(キャンプなどに)出かけるようなイメージです。若い人たちは友達同士、みんなで行きたいと思いますので、4人で遊ぶときは4人で、1人でカフェをするときはテーブルなどを出して、といった感じですね。つまり、休日のためのクルマと平日の仕事のためのクルマを両立するために、テーブルの機構などにすごく考え、こだわったのです」と言う。

また、インテリアもエクステリアと同様の風合いを感じさせたいと、「少し擦れた感じや、日に浴びて黒味がかったような、まるでカフェなどで使われているような木目の雰囲気をあえて演出することで、内外装のテイストを合わせています。新しいクルマなのに、内装も外装もどちらも古く見える。そのあたりの質感も、かなりこだわりました」と佐藤さんは語った。

敷居の高いクルマのDIYを、気軽に楽しめるように

驚くのは、前述した内装のボードの図面がホンダのホームページ上に公開されており、実際に作ろうと思えばできるようにしていることだ。佐藤さんは、「自分はあまりクルマのカスタムなどをしないので、ショーなどで飾ってあるクルマを見ると、『電飾などは、どうやって光らせているのだろうか』などと、カスタムはすごく難しいものといつも思っていました。とても、敷居が高いように思えていたのです。そこで、自分がカスタムするのであれば、もう少し簡単なほうがいいと考えました。たとえば、家でDIYをするのは普通に流行っていますし、どなたでもできるようなものも多くあります。ですが、クルマのDIYとなると、とても敷居が高くなってしまう。ですが、3rd Place VANであれば家のDIYレベルの技能と知識さえあれば、どなたでもできます。クルマは、もっと簡単にいじることができて、自分の部屋みたいに自分らしく作れるはずです。そのことを、若い人たちにも伝えたかったのです」。

荒木さんも、「クルマの中にロープを通してカーテンにするとか、電飾も簡単なマグネットで止めているだけです。生活の知恵ではないですが、そういった発想や工夫、考えの転換によって、簡単にできることも多くあるはずです」と話す。

横に出たタープも、ルーフキャリアにカラビナで固定してあるだけで、簡単にたたむことができる。荒木さんと佐藤さんは、「いろいろなアイデアを社内でいただくことも多かったのですが、僕らはホームセンターにあるものだけでやりたかったのです。それこそが、もっとも大事なポイントでした」と話してくれた。

フィット e:HEV クロスターカスタム

フィットの車高を上げ、クロスオーバーSUV風へと仕立て上げられている、ホンダ「フィットクロスター」。そのフィットクロスターをベースに、SUVらしさをさらに際立たせて、アーバンなアウトドアスタイルを表現したカスタマイズカーが、「フィット e:HEV クロスターカスタム」だ。ホンダのオートバイ「CT125・ハンターカブ」(以下、ハンターカブ)とコラボレーションすることによって、さらなるライフスタイルの広がりを感じてもらうことを目指したクルマという。

フィット e:HEV クロスターカスタムのデザインを担当した、本田技術研究所 デザインセンター オートモービルデザイン開発室 プロダクトデザインスタジオ デザイナーの山ア崇弘さんによると、「若い人が、おしゃれに乗ってもらいたいという思いで、気張らずにデザインしました」と言う。「今の若い人には、『THEクルマ』といったギンギンにカスタムされたクルマよりも、標準仕様なのではないかというくらいにまとまっていて、クルマがファッションの一部ぐらいのカスタムが好まれているようです」と説明する。

そして、「ライフスタイルをおしゃれに表現するために、このような世界観を選びました。野山を駆け回って土ぼこりが舞うような使い方ではなく、アウトドア風の洋服を着たような人たちが、都会や街を走っていても、人もクルマもマッチするようなクルマ作りを目指しました」と話す。

ハンターカブとフィットクロスター

クロスターカスタムのモチーフとなっているハンターカブのベース車は、「スーパーカブ」だ。スーパーカブは、「街中を、トコトコと走るようなバイクです。ハンターカブは、そこにエッセンスを加えることで、どこにでも走りに行けそうなイメージを持っています。それは、フィットクロスターとかなりキャラクターが近いと思うのです」と山アさん。

では、具体的にはどのように仕上げていったのだろうか。山アさんによると、「機能部品を、きちんと見せるようにデザインしました」と言う。ボディのデザイン面はシンプルに作り上げ、その代わりに強調されたフェンダーアーチや大径タイヤの採用、ルーフボックスの積載などによって、アウトドアのイメージを強めている。

そして、ハンターカブとのコラボレーションについては、カラーリングが意識されているほか、スキッドプレート(フロントのアンダーガード)を調色してマフラーの色に近づけており、さらにはグリル周りの穴もハンターカブのマフラーの穴をイメージしてデザインされた。

そして、左右のフォグランプは、実はハンターカブのヘッドライトが採用されている。そこから、ボディにかけての張り感が新たにデザインされた。

また、大径タイヤのパターンもラギット(無骨、荒削り)な感じを演出することで、「ボディのシンプルさとギャップを持たせることで、個性を際立たせています。シンプルに見せながら、機能部品に目がいくようなイメージにこだわって製作しました」とコメントした。

まとめ

本田技術研究所 デザインセンター オートモービルデザイン開発室 プロダクトデザインスタジオ デザイナーの佐藤友哉さんと、荒木紀充さん

本田技術研究所 デザインセンター オートモービルデザイン開発室 プロダクトデザインスタジオ デザイナーの佐藤友哉さんと、荒木紀充さん

3rd Place VANは、N-VANの特徴を生かしつつ、新たな魅力が表現されたカスタムカーだった。図面の公開によって、誰しもが同じものを作ることが可能(エクステリアの塗装は別として)ということもすばらしい。そこから、さらに発想を広げることで、自分なりの使いやすさを追求するのも楽しいはずだろう。

本田技術研究所 デザインセンター オートモービルデザイン開発室 プロダクトデザインスタジオ デザイナーの山ア崇弘さん

本田技術研究所 デザインセンター オートモービルデザイン開発室 プロダクトデザインスタジオ デザイナーの山ア崇弘さん

また、フィット e:HEV クロスターカスタムは、人気のフィットクロスターとハンターカブをコラボさせることによって、フィットクロスターのSUVとしてのさらなる広がりがうまく表現されていた。まるでノーマルのような、違和感のない仕上がりはさすがだった。

どちらのカスタマイズカーも、カスタムカーの祭典であるオートサロンへ展示するには、ぴったりのモデルだった。実際に展示されていれば、きっと多くの来場者の目を惹き付けていたことだろう。今回は、残念ながら展示されることはなかったモデルたちだが、「Honda カスタマイズカー 特設サイト」では、3rd Place VANのテーブル設計図のほか、デザイナーの声などを動画で閲覧することもできる。興味のある方は、ぜひHonda カスタマイズカー 特設サイトをのぞいてみてはいかがだろうか。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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(レビュー35人・クチコミ801件)
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