レビュー
廉価モデルの「RS」でも、じゅうぶんに走りを楽しめる!

120馬力の「GRヤリス RS」は高剛性ボディを味わい尽くせる!

「RS」はホモロゲーション獲得のための廉価版?

トヨタのコンパクトカー「ヤリス」の名を冠して、272馬力を発生させる1.6L直列3気筒インタークーラーターボエンジンや、6速マニュアルトランスミッションを搭載している「GRヤリス」には、スポーツ4WDシステム「GR-FOUR」を採用するなどWRC(FIA世界ラリー選手権)の技術が注ぎ込まれています。

ハイパワー4WDのイメージが強いGRヤリスですが、実は120馬力の1.5L直列3気筒エンジンにCVTが搭載された廉価モデルの「RS」というグレードがラインアップされているのはご存じでしょうか。WRCで勝つために生まれたGRヤリスですが、その中で1.5リッターのCVTモデルが存在する意味とは何なのでしょうか。

トヨタが、WRCで勝つために開発した「GRヤリス」。ベースグレードの「RZ」や競技グレードの「RC」には、272馬力のハイパワーなエンジンに本格的な4WDシステムが搭載されているのですが、今回ご紹介するのは120馬力のエンジンにFF駆動の「RS」グレードです

トヨタが、WRCで勝つために開発した「GRヤリス」。ベースグレードの「RZ」や競技グレードの「RC」には、272馬力のハイパワーなエンジンに本格的な4WDシステムが搭載されているのですが、今回ご紹介するのは120馬力のエンジンにFF駆動の「RS」グレードです

GRヤリスの製品画像
トヨタ
4.01
(レビュー16人・クチコミ218件)
新車価格:265〜456万円 (中古車:265〜532万円

GRヤリスは、WRCの「ホモロゲーション」、つまり競技車両としてWRCへ出場する認可を得るために生まれたモデルです。ホモロゲーションを取得するには、連続した12か月以内に25,000台を生産する必要がありました。日本国内だけでなく、グローバルで販売されているGRヤリスですが、それでも272馬力の「RZ」や「RZ ”High Performance”」グレードだけで、25,000台を達成するのは難しいと考えたのでしょう。そう、RSは手頃な価格で販売することで、ホモロゲーションを達成するためのグレードだったのです。

ちなみに、新型コロナウイルスの影響によって、トヨタは2021年のWRCには、GRヤリスではなく従来の「ヴィッツ」ベースの「ヤリスWRC」で参戦しています。さらに、2022年のWRCはレギュレーションが大幅に変更される予定ですので、前述した認可の内容については2021年のWRCのレギュレーション内容になります。

GRヤリスと、そのベース車であるノーマルの「ヤリス」は、車名こそ共通ではありますが、その中身はボディを含めてまったく異なります。ボディ関連でも共通部品はほとんどなく、インテリアのイメージを共有するために、一部の共通部品が採用されているのみです。

そんなGRヤリスのRSグレードを、グラビアアイドルでレースクイーンの鈴乃八雲さんと見ていきましょう。

RSのボディは上級グレードと同じ! 純正エアロは見た目よりも効果を重視

GRヤリスを目の前にして、グレード名を言い当てるのはなかなか難しいと思います。なぜなら、RZ ”High Performance”グレードからRSグレードにいたるまで、ボディはまったく同じものが使われているからです。

RSグレードのために、わざわざボディやパーツを用意すると、かえってコストが高くなってしまいます。そのため、272馬力を余裕で受け止める高い剛性が確保されている上級グレードのボディが、RSにもそのまま使われているのです。

そのことがよくわかるのが、RSにも採用されている「カーボンルーフ」と「アルミボンネット」です。これらが標準装備されている、1.5リッターのFFコンパクトカーはGRヤリスRSのみでしょう。仮に、1.5リッターのコンパクトカーを購入後に、カーボンルーフとアルミボンネットに変更しようとしたら、100万円以上の費用がかかります。ノーマルヤリスの、1.5リッター CVTを搭載する最上級グレード「Z」(FF)と価格を比べると、約72万円高いGRヤリスRSですが、このようなことを考慮すれば買い得なようにも思えます。

(リアゲートのGR FOURバッジを除いて)外観で差異があるとすれば、ホイール周りになります。とは言っても、装着されたホイールやタイヤについても、RZとRSはまったく同じものになります(ENKEIの8J 18inc鋳造ホイールと、DUNLOP SP SPORT MAXX 050の225/40R18タイヤ)。その奥に隠れているブレーキが、外観上唯一の違いになります。

RSのブレーキは、フロントは15インチで、リアは16インチのフローティングキャリパーとベンチレーテッドディスクが装着されています。200km/h超の速度域を考慮したRZなどの対向キャリパーとは異なりますが、RSも実用域でのブレーキの効きはかなりのものです。

外観と言えば、今回の試乗車にはGR純正のエアロパーツ(「GRエアロパーツセット」 [税込352,000円])が装着されています。

エアロパーツで、まず目を引くのが「GRフロントスポイラー」です。バンパー下部の複雑なパネル構成などによって、フロントにダウンフォースを発生させます。なお、このGRフロントスポイラーを単品で購入した場合には、ダウンフォースの前後バランスをとるために、リアスポイラーへ取り付けるためのラバーステー「スポイラーエクステンション」が付属してくるなど、実際のエアロ効果を重視したパーツになります。

サイドを引き締めてくれる「GRサイドスカート」は、フロア下面の空気をボディサイドへスムーズに流すことで、車体のリフトを抑制して高い速度域での安定性を確保します。

「GRリアバンパースポイラー」は、ディフューザー形状とすることでフロア下面の空気をスムーズに流し、車体のリフトを抑制します。また、左右4本出しの「GRスポーツマフラー」は、GRリアバンパースポイラーと組み合わせることで装着できる専用品で、排気効率などとともに迫力を生み出します。また、ドラム型サイレンサーは、ステンレスの鏡面仕上げになっているなど、見えない部分であっても手抜きのないこだわりようです。

CVT化などによって、インテリアは他グレードと異なる

他グレードと共通のボディで、外観には大きな差はないGRヤリスRSですが、インテリアには違いが見られます。その大きな理由として、RSのトランスミッションがCVTであることがあげられます。CVT化によって、シフトレバー周辺が大きく変わっているのです。

シフトレバーはCVTのセレクターになり、サイドブレーキは廃されて電磁式パーキングブレーキとなっています。そのため、センターコンソールはかなりすっきりとした印象です。また、ペダルはアルミ製スキッドプレートのついた2ペダルとなります。

ステアリング周りで特徴的なのは、マニュアル感覚でシフト操作を楽しむことができる「パドルシフト」が備わっていることです。このパドルシフトは、なんと10段変速です。CVTですので、疑似的なステップ変速機構ではありますが、それでも10段変速によってスポーティーなドライビングを楽しむことができます。ちなみに、このシフト操作はCVTのセレクターでも可能です。

RSの搭載エンジンは、ノーマルヤリスと同じ1.5リッター 3気筒のM15A-FKSで、120PSの最高出力と145N・mの最大トルクを発生させます。そのため、スピードメーターは180km/hスケールで足りてしまいます。

シートは、運転席、助手席ともにRZと共通のハイバックタイプのスポーツシートになります。サイドのホールド性が高く、コーナーリング時でも揺さぶられにくいのが特徴です。

オン・ザ・レールな感覚が味わえるほど、堅牢なボディに驚く!

実際に走りだしてみると、クルマ全体のしっかりとした塊感と、CVTによるイージードライブとがとても調和されていることに驚きます。市街地のような、信号によるストップアンドゴーが繰り返されるような状況でも、すべての挙動をボディが吸収してくれるかのようにフラットに走ってくれるのは、スポーツカーとして高い剛性で開発されたボディのおかげかもしれません。

GRヤリスの製品画像
トヨタ
4.01
(レビュー16人・クチコミ218件)
新車価格:265〜456万円 (中古車:265〜532万円

そして、少しタイトなワインディングロードに入ると、明らかにボディとタイヤがエンジン性能に勝っており、ラフに攻め込んでいってもボディが受け流してくれます。どのような状況においても、まるでレール上を走っているかのようにフラットで、きれいなラインでコーナーを描いてくれるのです。

さらに、パドルシフトを駆使して走れば、ワインディングロードをとても気持ちよく駆け抜けることができます。まるで、すべてのクルマの動作が手の内にあり、自在に操っているような感覚になるのです。

今回、RSの試乗取材で筆者を手伝ってくれた鈴乃八雲さんも、「RSは、イージーに運転を楽しめるところが好きですね」と語ります。マンガ「頭文字D」が大好きという鈴乃八雲さんは、当然スポーツカーも好きです。そんな彼女は、「RSなら、扱い切れる感じがして安心感がありました」と語ってくれました。

今回の試乗車は、「トヨタモビリティ東京 浜田山店」のGRヤリスRSをお借りしました。同店舗では、今回ご紹介したGRヤリスのRSを、一般の方でも試乗することができます。ちなみに、GRヤリスは「GRガレージ」での取り扱いになりますが、RSグレードはGRガレージではなく、一般のトヨタディーラーでの扱いとなりますのでご注意ください。

GRヤリスRSは、決して見た目だけの非力な廉価モデルなどではなく、高剛性なボディを有するスポーツカーとして、そのパワーを味わい尽くすことのできる魅力的なモデルでした。もし、興味があればまずは試乗してみる価値は大いにあるでしょう。試乗する際には、以下の試乗ガイドから申し込むことができますので、気になった方は登録してみてはいかがでしょうか。

トヨタモビリティ東京 試乗ガイド 
https://www.toyota-mobi-tokyo.co.jp/carlineup/testdrive

[Photo:松永和浩]

松永和浩

松永和浩

自動車系フォトジャーナリスト。主にモータースポーツ分野で活動中。自動車全般を取材対象とし、カメラ、写真用品にも精通。スマートフォン、通信関連、アプリゲームやIoT家電なども取材を行う。月刊AKIBA Spec発行人編集長も兼任。

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新車価格:265〜456万円 (中古車:265〜532万円
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