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6MTとCVTをラインアップ、価格は約217万円から

トヨタ ヤリスのワンメイクレース仕様「ヤリスカップカー」は、専用サスにロールケージも装備

工具やタイヤなどをクルマへと積み込み、サーキットに向かって自走した車両でレースに参加できる魅力的なモータースポーツが、ナンバー付き車両による「ワンメイクレース」です。入門レースとして普及しているワンメイクレースですが、その中でももっとも多くの参戦台数を誇ってきたのが、2000年から2020年までに400戦以上も開催された、トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」による「TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race」です。

そのベースとなるヴィッツが、2020年2月に後継車種である「ヤリス」へとモデルチェンジしました。そのため、2021年から新たに開催されることになったのが、「TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup」です。当記事では、そのYaris Cupへの参戦車両として開発、発売された、「Yaris Cup Car(ヤリスカップカー)」についてご紹介しましょう。

■トヨタ「Yaris Cup Car」の価格
6MT:2,171,100円
CVT:2,380,100円
※価格はすべて税込

トヨタ「ヤリスカップカー」

トヨタ「ヤリスカップカー」

ヤリスの製品画像
トヨタ
3.71
(レビュー84人・クチコミ2547件)
新車価格:139〜252万円 (中古車:99〜339万円

ヤリスでモータースポーツといえば、ターボエンジンを搭載したWRC直系モデルの「GRヤリス」を想像してしまいますが、ヤリスカップカーのベースになっているのは、ヤリスの1.5リッターモデルです。ベースとなったグレードは、おそらく最廉価のXグレードでしょう。そのベースモデルに対し、モータースポーツに必要かつヤリスカップのレギュレーションの上、必要なパーツなどをあらかじめ装着して、コンプリートカーとして販売しているのがヤリスカップカーなのです。

「ヤリスカップカー」に装着されているインパネ非貫通式の6点式「ロールケージ」。運転席と助手席のドア側には、「サイドバー」も備わっています。ちなみに、写真ではBRIDEのフルバケットシートが映っていますが、これは後から装着されたもので、販売時の運転席にはXグレードのノーマルシートが装着されています(後述)

「ヤリスカップカー」に装着されているインパネ非貫通式の6点式「ロールケージ」。運転席と助手席のドア側には、「サイドバー」も備わっています。ちなみに、写真ではBRIDEのフルバケットシートが映っていますが、これは後から装着されたもので、販売時の運転席にはXグレードのノーマルシートが装着されています(後述)

ヤリスカップカーの装備の中で、もっとも目を引くのがドアを開けた瞬間に見える「ロールケージ」です。ロールケージとは、万が一クルマが転倒してしまった場合などに、ルーフやピラーがつぶれても乗員を守るために張り巡らされたパイプのことです。ロールケージは、運転席前方とセンターピラー、ラゲッジルームの左右の合計6点にボルトで固定されています。さらに、運転席と助手席には横からの追突から乗員を守るために「サイドバー」も装備されています。

「ヤリスカップカー」に装着されている「ロールケージ」は、ラゲッジルームにまで至ります

「ヤリスカップカー」に装着されている「ロールケージ」は、ラゲッジルームにまで至ります

このロールケージのおかげで、レース時のアクシデントの際に乗員の生命が守られることはもちろんですが、未装着のクルマに比べてボディ剛性が向上するという効果ももたらされます。

「ヤリスカップカー」のフロントサスペンション。リアサスペンションとともに、内部構造やオイルなどが見直された専用セッティングのものが装着されています

「ヤリスカップカー」のフロントサスペンション。リアサスペンションとともに、内部構造やオイルなどが見直された専用セッティングのものが装着されています

また、レースで戦うのに、ノーマルヤリスの乗り心地重視のサスペンションでは、コーナーリング時や加減速時のクルマの挙動が大きすぎます。ですが、自由に選ぶことができるとなると、サスペンションは千差万別でいくらでも費用をかけることのできるパーツでもあるために、イコールコンディションが保てなくなります。そのため、ヤリスカップカーには、個々のマシンの性能差をなくすために専用のチューニングサスペンションが装着されています。そして、Yaris Cupに参加するうえで、この専用サスペンションは変更が許されていません。

「ヤリスカップカー」のリアサスペンションには、全14段階の減衰調整用ダイヤルが設定されています

「ヤリスカップカー」のリアサスペンションには、全14段階の減衰調整用ダイヤルが設定されています

ちなみに、Vitz Raceのサスペンションは設定が固定された状態でしたが、ヤリスカップカーではリアのショックアブソーバーの減衰設定を14段階で変更することができるようになっており、少しだけセッティングの自由度が増しています。なお、スプリングは純正に比べて、15mmダウンしたものが装着されています。

エンジンは、ノーマルヤリスの1.5リッター「M15A-FKS」でまったくのノーマルのままですが、ヤリスカップカーでは新たに「エンジンオイルクーラー」が追加されています。このオイルクーラーは、6MT車とCVT車それぞれに最適化されたものが装着されています。とくにCVT車は、6MT車に比べてサーキット走行でのオイルの温度が上昇しやすいため、15段のコアを持つ大型の空冷式オイルクーラーが採用されています。

「ヤリスカップカー」のインパネとドアトリム

「ヤリスカップカー」のインパネとドアトリム

ヤリスカップカーでは、ノーマルヤリスから省かれている装備もあります。車内は、オーディオレス設定となっており、特にディスプレイオーディオなどは後からつけることができません。ドアトリムには2スピーカーが装着されており、ダッシュボード内部に配線は来ていますので「工夫すれば、オーディオを取り付けられるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、レースに出場する際はダッシュボードの形状変更自体ができませんので、注意が必要です。

「ヤリスカップカー」のステアリングやメーターは、純正と同等のものが装着されています

「ヤリスカップカー」のステアリングやメーターは、純正と同等のものが装着されています

ステアリングは、ヤリスのノーマル形状のものが装着されています。ウレタン巻きの簡素なタイプですが、レーシンググローブをつけての操作となるので、材質に大きな問題はないと言えるでしょう。また、メーターもヤリスのガソリン車と同じものになります。

ドライバーの好みで交換できる部分としては、「シート」「ホイール」「ブレーキパッド」があげられます。シートは、レースで使用できる基準に合格したシートとシートレールで、なおかつ公道を走るための車検に適合したものである必要があります。また、交換を前提としているため、販売時点で装着されている運転席シートは、Xグレードに準じたヘッドレスト一体型のシートとなっています。なお、運転席のシートベルトについては、Sabelt製の6点式シートベルトが装着された状態で販売されています。

「Yaris Cup」の指定タイヤは、タイヤサイズは「195/55R15」、銘柄はグッドイヤー「EAGLE RS SPORT S-SPEC」が指定されています

「Yaris Cup」の指定タイヤは、タイヤサイズは「195/55R15」、銘柄はグッドイヤー「EAGLE RS SPORT S-SPEC」が指定されています

ホイールとタイヤも交換を前提としていますので、販売時点ではスチールホイールに「175/70R14」タイヤが装着されています。また、レースで使用するタイヤは、グッドイヤーの「EAGLE RS SPORT S-SPEC 195/55R15」タイヤが指定されています。ホイールは、7.0J-15インチ インセット48mmであれば、好きなブランドのホイールを選択することができます。なお、レースの際は、フロントタイヤは必ず新品(未使用)でマーキング(レースの公式車両検査時に使用タイヤの許可を得ること)を受けることが必須となります。

ブレーキは、ブレーキパッドのみ交換することができます。ブレーキローター自体はノーマルヤリスの1.5リッターと同じものなので、レースではブレーキ全体がかなり熱を持つことになります。そのため、ブレーキパッドは耐熱性の高いものを選ぶ必要がありそうです。リアブレーキは、リーディングトレーリング式のいわゆるドラムブレーキですが、レース用のブレーキシューは、さまざまなブレーキメーカーから発売されています。

ヤリスカップカーは、レースに出場するためにさまざまな部品が装着されていますが、あくまでベースはノーマルのヤリスです。そのため、横滑り防止装置やサイドエアバッグ、カーテンエアバッグなど最低限の安全装備が装着されており、レースへ出る際にこれらを取り外すことはできません。

ヤリスカップカーは、前述した装備を加えて6MT車が2,171,100円、CVT車が2,380,100円(いずれも税込み)になります。ノーマルヤリスのX(1.5L)グレードとの差額は、6MT車が628,100円、CVT車が782,100円ですが、ロールケージやサスペンションなど、いくつかの装備を後から装着するだけで、この金額は軽く超えてしまいます。社長みずから、スーパー耐久シリーズなどのモータースポーツに参戦するようなメーカーが作る入門レース車ですから、モータースポーツのすそ野を広げるという意味でもお買い得感のある価格設定が重要だったのではと考えられます。そんなYaris Cupの開幕戦は、2021年6月5日に静岡の富士スピードウェイで開催予定です。

松永和浩

松永和浩

自動車系フォトジャーナリスト。主にモータースポーツ分野で活動中。自動車全般を取材対象とし、カメラ、写真用品にも精通。スマートフォン、通信関連、アプリゲームやIoT家電なども取材を行う。月刊AKIBA Spec発行人編集長も兼任。

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ヤリスの製品画像
トヨタ
3.71
(レビュー84人・クチコミ2547件)
新車価格:139〜252万円 (中古車:99〜339万円
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