90年代のクルマが大好きな自動車ライター、マリオ高野です。
長年乗り続けている愛車のステアリングが摩耗などで劣化し、みすぼらしくなってしまったので交換したいと考える人は多いことでしょう。
私の愛車のひとつである、スバル「インプレッサWRX(初代モデル)」のステアリングも、新車から28年目を迎えて劣化や損傷がひどくなり、交換することにしました。
そこで選んだのが、「Prodrive(プロドライブ)」というブランドの「STEERING RACE」です。
中央部分の強度が高くなったなど、製品自体の品質も昔より向上したと言われています
Prodriveといえば、かつてスバルがWRC(世界ラリー選手権)に参戦していた頃のパートナーで、WRCでの勇姿に魅了されてスバル車を買った人にとっては憧れのブランド。
今もなお、アルミホイールやサスペンションなどさまざまなパーツをリリースしており、ラリーやレースマシン用の雰囲気を強く意識したステアリングが発売されているのでした。
同社のステアリングは、形状、表皮タイプ違いの4種類が用意され、私は愛車の純正品に近いデザインのフラットな形状のスエード表皮タイプを選択。
長年慣れ親しんだ純正品も気に入っていましたが、「Prodrive」のロゴとスエード表皮がもたらすラリーマシンっぽさは想像以上に大きいものがありました
ステアリングは、クルマのインテリアの雰囲気を大きく左右するモノであることを強く実感します
昔から、WRCで使われるラリーマシンのステアリングでもスエード表皮の採用率は極めて高いものでした
交換してみると、まずはそのビジュアル効果の高さに感動しました。コンペティションな雰囲気が劇的に強まり、愛車の室内が憧れのラリーマシンに近づいたように感じられるのです。
握ってみると、手触りが予想以上に硬質なのも好印象。スエード表皮は素手、あるいはドライビンググローブをしていても握りやすく、手汗をかいた時でも滑りにくいなど、レースやラリーなどで使われる競技車に求められる機能がしっかり備わっていることが実感できました。
スエード表皮のほか、本革巻きも選べますが、個人的にはスエード表皮のほうが、よりコンペティションな雰囲気が得られると感じます。
手触り、握り心地は抜群。小径化によりステアリングギヤ比はクイック化し、操縦性にキビキビ感が増す効果も得られます。半面、操舵力はやや重くなりますが、それも競技マシンらしさと受け止められるレベル
親指を引っ掛ける部分の形状が絶妙で、ステアリング操作がしやすいデザイン。小径化するとパワステが重く感じられますが、グリップ感が増すのでうまく相殺されます
今回選んだフラットタイプのほか、ステアリングの位置がドライバーに近くなるディープオフセット90mmモデルの「COMPETITION」では、文字通り、ラリー競技車らしさがさらに高まります。
ただし、オフセットによりウインカーレバーの位置が遠くなるというデメリットが生じるので、ご注意ください。それが気になる人にはオススメできません。
交換作業は、初歩的な整備スキルのある人、またはDIYが得意な人にとっては比較的簡単な類いと言えますが、純正ステアリングがエアバッグ付きだと警告灯の対応が必要になるなど、難易度が上がります。また、エアバッグが誤作動で開いてしまう可能性もあるので(そもそも安全装備を外してしまうのもどうかと思いますし)、エアバッグ装着車の場合、交換作業は専門店に頼むようにしましょう。
初代スバル・インプレッサWRX(初期型)純正のステアリング。固定するボルトの位置が異なるため、「ステアリングボス」と呼ばれるパーツが別途必要になりますのでご注意ください。ステアリングを固定するボルトの位置は車種によってさまざまなので、まずは愛車の仕様を確認しましょう
交換作業が難しいと感じたら無理をせず、整備工場に相談しましょう
今回、ステアリングボスはワークスベルというメーカーの旧世代スバル車用(L653)を購入。12穴タイプなので、さまざまなステアリングに対応します。車検対応品です
新車から28年目の愛車の純正ステアリングは、純正ボスと固定するボルトが固着してしまっており、取り外すのに極めて難儀しましたが、ボスごと交換することにより問題を解消しました
純正ステアリングはイタリアの人気ブランド「ナルディ」製で、デザイン、品質ともに気に入っていたので、いずれ補修して復活させる予定です
ワークスベルの旧世代スバル車用(L653)ボスは、純正とサイズが同じなので、ステアリングの位置が変わることはありません
今回試した結果、ステアリングを交換すると室内の雰囲気や操縦性のフィーリングが激変することを強く実感しました。長年乗り続けた愛車のリフレッシュやイメージチェンジに大変効果的です。
1990年代に筆者が憧れたWRCに参戦するラリーマシン。ステアリング交換により、愛車がさらにラリーマシンに近づいたことはうれしい限り!