レビュー

日産の新型BEV「アリア」は走りが上質! 価格もハリアーHVと同額で割安かも

最近、日本の自動車メーカーが開発した電気自動車が、次々と発表されている。トヨタとスバルは、共同開発の「bZ4X」と「ソルテラ」を、2022年5月12日に発売すると発表した。また、日産と三菱の共同開発による軽自動車サイズの電気自動車も、2022年5月に発表される予定だ。

日本の電気自動車で老舗的なメーカーと呼べるのが、日産だろう。2010年に、世界初の量産型電気自動車として、先代(初代)の日産「リーフ」を発売しており、2017年に発売された現行モデルを合わせたリーフのグローバルでの累計販売台数は、50万台を突破している。

2022年5月12日に発売予定の、日産のクロスオーバーEV「アリア」B6(2WD)グレードへ試乗した

2022年5月12日に発売予定の、日産のクロスオーバーEV「アリア」B6(2WD)グレードへ試乗した

アリアの製品画像
日産
4.10
(レビュー10人・クチコミ1909件)
新車価格:539〜790万円 (中古車:627〜779万円

そんな日産の新型EVだが、前述の軽自動車以外にも、注目モデルが控えている。それが、クロスオーバーEVの「アリア」だ。アリアは、2020年7月にプロトタイプが世界初公開され、2021年6月には特別仕様車であるリミテッドシリーズの予約受注を開始。さらに、同年11月には、標準グレードのB6(2WD)の価格を発表するとともに、予約受注を開始した。B6(2WD)の発売日は、2022年5月12日が予定されている。今回は、そのB6(2WD)へ試乗したので、その印象をレポートしたい。

■日産 新型「アリア」B6(2WD)の価格と主なスペック
価格:5,390,000円(税込)
駆動方式:2WD
全長×全幅×全高:4,595×1,850×1,655mm
ホイールベース:2,775mm
車両重量:1,920kg
最小回転半径:5.4m
交流電力量消費率(WLTCモード):166kWh/km
駆動用バッテリー(種類):リチウムイオン電池
駆動用バッテリー(総電圧):352V
駆動用バッテリー(総電力量):66kWh
最高出力:160kW(218PS)/5950-13000rpm
最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/0-4392rpm

日産「アリア」の、フロントエクステリアとリアエクステリア。短いオーバーハングや後方へと向かってなだらかに下がっていくリアルーフが特徴的で、大径ホイールと相まって、上質でスポーティーなSUVがデザインで表現されている

日産「アリア」の、フロントエクステリアとリアエクステリア。短いオーバーハングや後方へと向かってなだらかに下がっていくリアルーフが特徴的で、大径ホイールと相まって、上質でスポーティーなSUVがデザインで表現されている

まず、アリアのボディサイズだが、全長が4,595mmで全幅は1,850mmと、既存のSUVに当てはめるとマツダ「CX-5」に近い大きさだ。エクステリア全体のデザインは、リヤゲートを寝かせた5ドアクーペのような、流麗なデザインが採用されている。また、フロントマスクには白く光るVモーショングリルが備わり、フロントグリルの表面はエンジンルームの放熱が必要ないためにパネルで覆われている。

空港のラウンジのような雰囲気を目指して開発された、日産「アリア」のインテリア

空港のラウンジのような雰囲気を目指して開発された、日産「アリア」のインテリア

アリアの内装は、インパネが特徴的だ。エアコンスイッチが、インパネの木目調パネルに統合されており、インパネをタッチして操作する新しいタイプとなっている。

日産「アリア」のインテリアでは、インパネに統合されているエアコンスイッチが特徴的だ。アリアのEVシステムをオフにすることでスイッチのライトが消え、インテリアの美しさが損なわれないように配慮されている

日産「アリア」のインテリアでは、インパネに統合されているエアコンスイッチが特徴的だ。アリアのEVシステムをオフにすることでスイッチのライトが消え、インテリアの美しさが損なわれないように配慮されている

このエアコンスイッチは押すことによって振動による手応えが感じられる、ハプティクススイッチとなっている。これは、押したときに振動させることで、運転中にも操作状況をわかりやすくするためだ。また、アリアのEVシステムをオフにすればエアコンスイッチのライトが消え、木目調パネルが際立つといったデザインの美しさも兼ね備えている。そのほか、インパネ上側に採用されている素材やステッチ、ドアの内張りなどの細かな部分の作りも凝っていて、落ち着いた上質感がともなう。従来の日産車とは異なる、上質な雰囲気がアリアからは感じられる。

日産「アリア」には、12.3インチのワイドな液晶メーターとセンターディスプレイが備わっている

日産「アリア」には、12.3インチのワイドな液晶メーターとセンターディスプレイが備わっている

液晶メーターとセンターディスプレイは、両方とも12.3インチのワイドサイズなので、運転席に座るとモニター画面が広く、とても見やすい。さらに、センターディスプレイと液晶メーターは互換性があり、センターディスプレイの情報を指でスワイプすることで、メーター側へ情報を移すこともできるなど便利な機能も備わっている。

日産「アリア」のフロントシートとリアシート

日産「アリア」のフロントシートとリアシート

アリアの運転席は、座り心地は少し硬いものの、体をしっかりと支えてくれる。さらに、背もたれの腰の張り出しを調節できる電動ランバーサポートも備わっているので、運転席は体格や好みに合わせてシートを最適に調節できる。いっぽう、後席は、SUVとしては床と座面の間隔が少々足りない。床下に、駆動用リチウムイオン電池を搭載していて、床が若干高いからだ。それでも、後席に座った時に膝が大きく持ち上がるようなことはないので、セダンと同程度の着座姿勢と思ってもらえればいいだろう。また、後席は足元空間が広く、身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ3つ弱にも達する。さらに、後席に座る乗員の足が前席の下に収まりやすいので、床と座面の間隔は少し足りないものの、快適性は大きくは損なわれていない。

視界については、運転席に座って前方を見ると、ボンネット左右のふくらみが視野に入るので、ボディの先端や車幅がわかりやすい。だが、ボディ後端のピラーが太めなので、ななめ後方の視界はあまりよくない。最小回転半径は5.4mと、ミドルサイズSUVとしては平均的な値だ。

日産「アリア」B6(2WD)グレードの走行イメージ

日産「アリア」B6(2WD)グレードの走行イメージ

動力性能は、電気自動車にありがちなアクセルペダルを踏んだ時の唐突な飛び出し感が抑えられていて、発進は滑らかだ。加速性能をガソリンエンジン車に当てはめると、V型6気筒エンジンの3リッターから3.5リッターを搭載したクルマに近い感覚だ。また、一定の速度で巡航中にアクセルペダルを踏み増すと、モーター駆動の特性によって素早く反応する。直線的に加速していき、ノイズも小さい。車内は静かで、相対的にタイヤが路上を転がるノイズが目立つものの、遮音は入念に行われているようで静粛性も高い。(一部テキストを修正致しました [2022年4月27日・編])

日産「アリア」B6(2WD)グレードの走行イメージ

日産「アリア」B6(2WD)グレードの走行イメージ

車重は1,920kgと重いが、操舵に対する反応は機敏だ。小さな操舵角から正確に反応してくれて、車両の向きを変えやすい。低い位置に駆動用電池が搭載されていることもあって、峠道でもよく曲がり、旋回軌跡を拡大させにくい。また、不安が生じるほどではないのだが、危険を避けるような急な操作をした時の後輪の接地性はもう少し高めてほしい。

日産「アリア」B6(2WD)グレードの走行イメージ

日産「アリア」B6(2WD)グレードの走行イメージ

アリアは、ボディが重く全高も1,600mmを超えるのに、ドライバーの操作と挙動変化の間にズレが生じにくく、一体感のある走りが楽しめる。乗り心地は、19インチタイヤ(235/55R19)の装着もあって、低速域では上下に若干揺すられる印象が多少あるが、重厚感があるので粗さは感じられない。床下に搭載されているリチウムイオン電池を保護するために、ボディの底面が入念に造り込まれているので、足回りがしっかりと伸縮する。そのため、走行安定性と乗り心地は両方とも高水準に仕上げられていると感じた。ボディの造りを向上させ、走行安定性と乗り心地を両方とも引き上げるのは、昨今の車両開発においては常識だ。それを、アリアは走りで明確に表している。

アリアは、内外装のみならず、走りの面においても上質さが感じられるSUVへと仕上げられている。峠道を走る時の軽快感は、bZ4Xやソルテラなどに比べるとやや下回るが、アリアの乗り心地には重厚感がともなっており、快適性は高い。

アリアのB6(2WD)の価格は、539万円。運転支援技術「プロパイロット2.0」などはオプションだが、ベーシックな状態でも実用機能に不満はないだろう。なお、アリアは経済産業省からの補助金交付額が上限の85万円なので、実質価格は454万円となる。しかも、購入時に納める環境性能割や自動車重量税は非課税なので、購入時の出費はトヨタ「ハリアーハイブリッドZ」(452万円)と同等だ。電気自動車ならではの静かで滑らかな運転感覚、重厚な乗り心地とボディの重さを意識させない操舵感などを考えると、購入時の出費がハリアーハイブリッドZと同程度というのは、割安だ。

最後に、アリアの今後の発売スケジュールについてだが、リミテッドシリーズを除いた標準グレードで、価格が公表されているのは現時点でB6の2WDのみになる。B6の4WDや、リチウムイオン電池容量に余裕のあるB9の2WD、4WDなどは、発売予定ではあるものの、価格はいまだに不明となっている。この点を開発者に尋ねると、「半導体などの供給不足であることと、入念に生産していることから、納期が延びている。まずは、2022年4月中に、特別仕様車となるB6、2WDリミテッドの納車を完了させたい。そこから、ほかのグレードの販売も開始する」と言う。納期が延びていることは気がかりだが、アリアの登場によって、いよいよ価格面においても魅力的な電気自動車のラインアップが整い始めたと思う。アリアは、クロスオーバーEVの中でも特に注目したい、完成度の高いモデルと言えるだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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4.10
(レビュー10人・クチコミ1909件)
新車価格:539〜790万円 (中古車:627〜779万円
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