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“世界でもっとも美しいクルマ”に選出された新型「DS4」が日本で発売

ステランティスジャパンは、CセグメントハッチバックのDSオートモビル「DS4」の2代目モデルを、2022年4月28日から日本において発売開始した。

2022年4月28日に発売された、DSオートモビルの新型「DS4」。最大の特徴は、「第37回国際自動車フェスティバル」において“世界で最も美しいクルマ”に選出されたエクステリアだ

2022年4月28日に発売された、DSオートモビルの新型「DS4」。最大の特徴は、「第37回国際自動車フェスティバル」において“世界で最も美しいクルマ”に選出されたエクステリアだ

DS4の製品画像
シトロエン
4.50
(レビュー16人・クチコミ58件)
新車価格:398〜642万円 (中古車:38〜228万円

■DSオートモビル「DS」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-1.2Lガソリンエンジン搭載モデル-
TROCADERO PureTech:3,980,000円
RIVOLI PureTech:4,490,000円
-1.6Lディーゼルエンジン搭載モデル-
RIVOLI BlueHDi:4,690,000円
-PHEV(プラグインハイブリッド)モデル-
RIVOLI E-TENSE:5,720,000円

DSの歴史と復活した理由

まずは、「DS」というブランドから改めてご紹介したい。1955年、フランスのパリサロン(パリで開催されているモーターショー)で、シトロエン「DS」というクルマがデビューした。

当時、流麗なエクステリアに「ハイドロニューマチックシステム」などの先進的な機構が採用されることで注目を集めた、シトロエン「DS」

当時、流麗なエクステリアに「ハイドロニューマチックシステム」などの先進的な機構が採用されることで注目を集めた、シトロエン「DS」

当時の自動車は、フェンダーが独立していたりと、現代の流線形とは程遠い古のデザインが主流だった。そこへ、忽然と流麗なボディを纏ったシトロエンDSが登場したのである。ちなみに、シトロエンDSのデザインは、現役の著名なカーデザイナーたちをもってしても、その美しさや秀逸さは真似できないと言われており、いまだに高く評価されている。さらに、シトロエンDSはメカニズムも画期的で、金属スプリングの代わりにオイルと窒素ガスが用いられた「ハイドロニューマチック」と呼ばれる、以降のシトロエンで主流となったサスペンションが搭載された。ハイドロニューマチックは、まさに魔法の絨毯といってもいいくらいの乗り心地のよさを実現している。

当時、パリサロンに展示されたシトロエンDSを見て、会場に訪れた観客たちは“宇宙船”と評した。それは決して悪い評価ではなく、その証拠にショーの初日だけで1万台以上の注文が寄せられたという。その後、1975年までにおよそ140万台が販売された。少し古いフランスの街並みの写真には、必ずと言っていいほどにシトロエンDSが写り込んでおり、まさにフランスの風景には欠かせない存在とも言えた。

2009年に、シトロエンのサブブランドとして「DS」の名称が復活し、2014年にはシトロエンから独立して、「DSオートモビル」として独り歩きを始めて今にいたる。その根幹に流れるのは、アヴァンギャルド。1955年のDSがまさにそうであったように、前衛的な精神が息づいているのだ。同時に、DSオートモビルが追い求めるのは、戦前のフランス車に見られた、まさにオートクチュールのような仕上がり。1920〜30年代のフランスには、大型の高級車ブランド、たとえば「ドラージュ」や「ドライエ」、「タルボ・ラーゴ」など、今の「ロールスロイス」などよりもはるかに高級な自動車メーカーが存在し、当時の貴族たちはそれらのクルマをこぞって購入した。そのシャシーをベースに、1台1台お気に入りのカロッセ(イタリア流にいうとカロッツェリア)へと持ち込み、好みのボディを作らせていたのだ。そういったクルマ達を集めて開かれたのが、「コンクール・デレガンス」。当時、最新のファッションを纏った女性と犬が、そのクルマとともに現れて美を競うという、まさに豪華絢爛な様相を呈していた。

そのようなメーカーたちが消え去ったのは、戦後のこと。疲弊したフランス社会を立て直す目的もあり、大型車には禁止税的なほどに高い税制が課せられてしまったことで、そのほとんどが消滅、あるいはシトロエンやプジョー、ルノーへと吸収されていった。DSオートモビルは、まさにこの戦前のクルマ達の思想を現代によみがえらせたいという思いが込められている。つまり、パリのオートクチュールで用いられた技法を多く用いて、それをクルマにあてはめたのだ。

ファッション用語で、「サヴォア・フェール」という言葉がある。サヴォアは知る、フェールは作るというフランス語を合わせたもので、熟練された匠の仕事、技をさした表現といえばその本来の意味に近い。そのサヴォア・フェールを、クルマで表現したのがDSオートモビルのクルマ達と言える。

現在、日本で販売されているDSオートモビルのクルマは4車種ある。「DS3クロスバック」、「DS7クロスバック」といったSUV系の2車種に加え、先日投入されたフラッグシップサルーンの「DS9」、そして今回の新型DS4の発売によって、一先ずのラインアップが完成したという。そして、今後はこれらの車種をベースとした派生車種が出るという噂もある

こだわり抜かれた、新型「DS4」のデザイン

新型「DS4」のフロントエクステリアとリアエクステリア

新型「DS4」のフロントエクステリアとリアエクステリア

さて、新型DS4における最大の特徴は、デザインといっても過言ではない。大径タイヤがしっかりと路面をとらえて、スタンスのよさを表現している。フロントフェイスには、新たにL字型のデイタイムラインニングライトが装備されており、今後のDSモデルにも採用予定のモチーフとなっている。さらに、フロント周りではボンネットも特徴のひとつで、フロントのワイド感を強調するとともに、側面から見た時にサイドミラーまでのつながりを感じさせることでノーズの長さを表現している。

新型「DS4」のサイドイメージ

新型「DS4」のサイドイメージ

サイドビューは、ルーフラインが緩やかに後方へと向かって流れるクーペスタイル。ショルダーラインは、後方に向けてキックアップすることでスポーティーさを感じさせ、大径ホイールとともにクーペスタイルのSUVであることを印象づけている。近年は、大きな面構成でクルマ全体を艶やかに見せる手法が多く採り入れられているが、新型DS4は明確な意図によってキャラクターラインをしっかりと入れ込むことで前後フェンダーを強調し、スタンスのよさを演出している。

新型「DS4」のテールランプには、レーザーエンボス加工が施されたダイヤモンドデザインが採用されている

新型「DS4」のテールランプには、レーザーエンボス加工が施されたダイヤモンドデザインが採用されている

新型DS4は細部にもこだわりがあり、たとえばリアのLEDテールランプにはDSの特徴であるダイヤモンドデザインが採用され、さらにレーザー彫刻という新たなテクノロジーが用いられている。

新型「DS4」のインテリア

新型「DS4」のインテリア

新型「DS4」のインテリアの随所に施されている、クル・ド・パリ文様のクロームアクセント

新型「DS4」のインテリアの随所に施されている、クル・ド・パリ文様のクロームアクセント

新型DS4のこだわりは、エクステリアだけでなくインテリアにも見られる。まるで、一枚のやわらかい布でつながっているかのようなメーターや、中央から左右へと伸びるメッキ加飾、スイッチ類やエアアウトレットなど、などさまざまな箇所において洗練された印象を受ける。また、スイッチ周りなどには、クル・ド・パリ文様のクロームアクセントが施されている。クル・ド・パリとは、高級腕時計の文字盤などに使われるギヨシェ彫りの一種で、フランス語では“パリの爪”という意味を持つ技法だ。パリの石畳をモチーフとした説もある。

なお、新型DS4は2022年1月に開催された「第37回国際自動車フェスティバル」において「Most Beautiful Car of the Year」を受賞しており、その美しさは世界が認めるものとなった。

パワートレインは、ガソリン、ディーゼル、PHEVの3種類

新型DS4には、1.2Lガソリンエンジン(130ps/230Nm)、1.5Lクリーンディーゼルエンジン(130ps/300Nm)、そして1.6Lガソリンエンジン(180ps/250Nm)をベースにフロント電動モーター(110ps/320Nm)が組み合わされた「E-TENSE」と呼ばれるPHEVの3種類がラインアップされている。E-TENSEは、エンジンとモーターのシステムトータルでは、225ps/360Nmを発揮する。また、12.4kWhのリチウムイオンバッテリーをリアトランク下に搭載し、EV走行可能距離は56km(WLTCモード)、満充電時間の目安は普通充電器(200V/3kW)で約4時間、ウォールボックスタイプの普通充電器(200V/6kW)で約2時間が目安となる。

なお、プラットフォームは第三世代となった「EMP2」(Efficient Modular Platform2)を採用。新型DS4とほぼ同時に発売された、プジョー 新型「308」と共通のものだ。ただし、走りに関して関係者に聞いた限りでは、スポーティー寄りなのが新型308、コンフォート寄りなのが新型DS4と、明確に味付けがなされているというコメントを得た。

新型DS4の乗り心地に大きく影響を及ぼしているのが、「DSアクティブスキャンサスペンション」だ(リヴォリグレードに採用)。これは、フロントガラスに装着されたカメラで前方の路面をハイスピードで常時スキャンし、通過する路面の凹凸を識別。4輪のショックアブソーバーの減衰力をリアルタイムで最適に電子制御し、常にフラットで快適な乗り心地や静粛性、走行安定性を保ち続けるというサスペンションシステムだ。同システムは、DS7クロスバックで初採用され、DS9に続いて今回の新型DS4に搭載された。これは、ドライブモードを「コンフォート」に設定することで作動し、映像解析の精度がDS4ではさらにアップしている。これまでは10mm幅でとらえていたものが、5mm幅で路面の凸凹をとらえるようになったとのことだ。

価格面では、ベースグレードのトロカデロのガソリンエンジン搭載モデルで398万円から。上級グレードのリヴォリは、449万円からとなっている。その装備内容や内装の質感、雰囲気を踏まえると、決して高いとは言えないだろう。ただし、DS4を含めたDSオートモビル全体の最大の弱点は、認知度の低さに加えて日本全国で12店舗しか販売店がないことだ。それでも、昨年の2021年は、DS3クロスバックとDS7クロスバックの2モデルで900台近くを販売し、今年は4モデルとなるうえに、Cセグメントのプレミアムハッチバックという大きな市場に打って出ることから、かなりの台数が見込めそうだ。今後は、さらなるディーラー網の拡充に、ぜひ期待したい。

DSを語るには、少々知識が必要だ。しかし、たとえば高級腕時計のような宝飾類にもストーリーは必ず秘められており、だからこそ惹かれるものがある。それと同じように、DSブランドにもそういった魅力が隠されている。個人的には、質実剛健なドイツ車よりも、細かなディテールまでこだわり抜き、かつフランス・パリの香りが感じられるDS4に魅力を感じずにはいられない。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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新車価格:398〜642万円 (中古車:38〜228万円
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