BMW「2シリーズ アクティブツアラー」の2代目となる新型モデルが、2022年6月14日に日本で発売開始された。価格は418万円からで、エンジンはガソリンとディーゼルの2種類がラインアップされている。
コンパクトな車体に、広々とした室内空間や高い快適性を備えたBMW「2シリーズアクティブツアラー」の2代目モデルが、日本で発売された(画像は「M Sport」)。納車は、2022年6月以降が予定されている。新型モデルの大きな特徴は、よりスタイリッシュになったエクステリアと大幅に質感がアップしたインテリア、数多く標準搭載されている先進機能などだ
■BMW 新型「2シリーズ アクティブツアラー」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
- ガソリンエンジン搭載車 -
218i Active Tourer:4,180,000円
218i Active Tourer Exclusive:4,470,000円
218i Active Tourer M Sport:4,470,000円
- ディーゼルエンジン搭載車 -
218d Active Tourer:4,470,000円
218d Active Tourer Exclusive:4,760,000円
218d Active Tourer M Sport:4,760,000円
2014年、日本で発売された初代の2シリーズ アクティブツアラーは、BMWブランドとして初となるFFベースのパワートレインを採用しながらも、BMWのキャッチコピーである「駆けぬける歓び」を実現したマルチパーパスビークル(MPV)として登場した。そして今回、2代目となった新型では、エクステリアやインテリアのデザインがよりモダンになり、最新のコネクティビティが備えられている。
BMW 新型「2シリーズアクティブツアラー」(Exclusive)のフロントエクステリアとリアエクステリア。先代と比べて、よりスポーティーな外観になった
まず、エクステリアデザインだが、フロントフェイスには近年のBMW車に多く用いられている、八角形をイメージした大型のキドニーグリルが採用されている。
BMW 新型「2シリーズアクティブツアラー」のアダプティブLEDヘッドライトとテールランプ
また、フロントの両サイドには、流れるようにデザインされた「アダプティブLEDヘッドライト」が、スポーティーな印象を与えている。リアは、ワイドでパワフルなデザインになり、マフラーは車両下部に隠されることですっきりとしている。また、サイドはドアハンドルをドアパネルと一体化させることで空力特性が考慮された「フラッシュハンドル」が採用されている。
質感が大きく高められた、BMW 新型「2シリーズアクティブツアラー」(Exclusive)のインテリア
そして、エクステリアと同等か、それ以上に変わったのがインテリアだ。新型2シリーズ アクティブツアラーには、BMWのコンパクトクラスとしては初(「iX」に初採用)となる「BMWカーブドディスプレイ」が装備されている。これは、メーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させて大型化したもので、運転席側に傾けることによって視認性が高められている。
BMW「iDrive」コントローラーが廃止され、センターコンソールはすっきりとした印象に
また、シフトレバーは廃止され、センターアームレストに操作系をすべて納めることによって、よりモダンな印象が高められている。BMWブランド・マネジメント・ディビジョンプロダクト・マネジメントプロダクト・マネジャーのプリュボ・ケビンさんは、「今回の新型から、インテリアのエルゴノミクスがかなり変わりました。音声とタッチ操作をベースとして、補完する形でステアリングスイッチを採用していますが、物理ボタン自体がかなり減っています」と述べる。さらに、「BMWが20年以上装備し続けてきた『アイドライブコントローラー』は廃止されております。これは、私自身も驚きました」とコメントする。音声コマンドやタッチ操作の信頼性が高まったことによって、アイドライブコントローラーがなくとも、十分にユーザーが満足できる仕上がりになったとBMWは判断したからであろう。
また、インテリア全体の質感も向上している。これについては、先代の反省もあったようだが、それ以上に「日本仕様として、さまざまなものを標準仕様として盛り込んでいます」とケビンさん。その一例が、ダッシュボードだ。これは、本国ではオプションの「ラグジュアリーダッシュボード」と呼ばれるもので、やわらかいウレタン素材のものに変更することで、上質さを演出している。
また、視認性についても大幅に向上している。ケビンさんによると、「Aダッシュピラーの太さは、先代の半分以下となっています。それによって、右左折時の斜め前方の視認性が大幅に向上しています」と、市街地での使い勝手や安全性が大きく向上したことをアピールする。
広々としたリアシート。ラゲッジの積載性を高めたい時には、最大で130mm手前に移動させることもできる
先代モデルで、ユーザーに高く評価された居住性や積載性については、新型でもリアは大人3名が座れる空間が確保されるとともに、40:20:40の分割可倒シートも継続採用されている。
コンパクトな車体でありながら、リアシートを前方へ移動させたり、倒すことによって、より多くの荷物を積み込むことができる
通常のシートレイアウトは470リッターで、そこからリアシートに3名が乗車した状態で、最大で130mmシートを前に出すことによってラゲッジスペースを拡大することができる。さらに、リアシートを倒すことによって、1,455リッターまでラゲッジスペースを増やすことができる。
冒頭で述べたとおり、搭載されるパワートレインは2種類だ。まず、218iには最高出力115kW(156PS)/5,000rpm、最大トルク230Nm(23.5kgm)/1,500-4,600rpmを発揮する、1.5L直列3気筒BMWツインパワーターボガソリンエンジンを搭載。いっぽう、218dは最高出力110kW(150PS)/4,000rpm、最大トルク360Nm(36.7kgm)/1,500-2,500rpmを発揮する、2.0L直列4気筒BMWツインパワーターボディーゼルエンジンが搭載されている。また、どちらにも7速ダブルクラッチトランスミッションが組み合わされている。
なお、本国でラインアップされている「223i」や「220i」(どちらも48Vマイルドハイブリッド)は、日本には現状導入されておらず、また2022年の夏ごろ発表される予定のPHEVも、今回の発売には含まれていない。
新型2シリーズ アクティブツアラーは、先進安全運転支援システムも充実している。「アクティブクルーズコントロール」や「レーンチェンジウォーニング」、および「レーンディパーチャーウォーニング」、「衝突回避・被害軽減ブレーキ」、「クロストラフィックウォーニング」、「ペダル踏み間違い急発進抑制機能」などが標準で装備されている。さらに、「パーキングアシスタント」は、車両が時速35km以下で前進した直前のルートを最大50mまで記憶し、その同じルートをバックで戻ることが可能な「リバースアシスト機能」も採用されている。同機能は、狭い路地での後退時などに役立つだろう。
また、先進機能のひとつとして注目したいのが、「BMWデジタルキープラス」を標準装備していることだ。同機能は、車両のキーを持たずとも、対応するスマートフォンやスマートウォッチを携行していれば、車両に近づくだけでキーロックを解除できるというもの。さらに、車室内にロック解除に使用したデバイスが置いてあるだけで、エンジンを始動することもできる。
最後に、ケビンさんに新型2シリーズアクティブツアラーのこだわりポイントを伺った。ケビンさんは、「個人的に、すごく気に入っていることでもある」と前置きしたうえで、「チャレンジングだと思いますが、ぜひ色を楽しんでいただきたいのです」と言う。「さまざまな理由があって、お客様が選ばれるボディカラーが白や黒になることが多いでしょうし、その事情もわかります。ただ、今回のボディカラーはブルーを2色も用意し、グレーも複数パターン用意しており、白も2色あります。また、『サンレモグリーン』というチャレンジングなカラーもラインアップしていますので、ぜひカラーバリエーションを楽しんでいただきたいですね」と話す。カタログには、9色のボディカラーが用意されている。また、内装においても、「(受注生産オプションで)ハイライン・パッケージを選ぶと、オイスターのヴァーネスカ レザーシートが選択できます。ホワイトのレザーと、シートの相性がとてもいいのです。特にMスポーツで、白のシートとルーフライナーの黒のコントラストは、僕のイチ押しです。白のシートは、汚れなどが気になるかもしれませんが、ぜひそこを乗り越えて、まずは一度乗ってみていただきたいですね」とこだわりを語った。
新型2シリーズアクティブツアラーは、大きく変貌を遂げていた。「MINIクラブマン」などと共通のプラットフォームでありながらも、走りに関してはそれぞれのブランドの個性を生かした魅力あふれるフィーリングになっていることは容易に想像できる。試乗するのが、とても楽しみな1台だ。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。