ホンダは、新型「シビックタイプR」を、2022年9月2日(金)に発売すると発表した。
6代目となるホンダ 新型「シビックタイプR」が、2022年9月2日(金)に発売される。画像は、左が標準車(ボディカラーは「チャンピオンシップホワイト」)で、右は純正アクセサリー装着車(ボディカラーは「ソニックグレーパール」)
ラインアップは1グレードのみで、価格は4,997,300円(税込)。新型シビックタイプRは、2022年7月21日に世界初公開されたが、その際には価格やスペックなどの詳細については明らかにされていなかった。だが、今回の正式発表に伴って、前述の価格やスペック、特徴などの詳細が公開されたのでお伝えしたい。まず、主なスペックについては以下のとおりだ。
■ホンダ 新型「シビックタイプR」の主なスペック
駆動方式:FF
型式:6BA-FL5
全長×全幅×全高:4,595×1,890×1,405mm
ホイールベース:2,735mm
トレッド:1,625mm(フロント)/1,615mm(リア)
車両重量:1,430kg
乗車定員:4名
エンジン:2L直列4気筒DOHC VTECターボエンジン(K20C)
トランスミッション:6速マニュアル
最高出力:243kW(330PS)/6,500rpm
最大トルク:420N・m(42.8kgf・m)/2,600〜4,000rpm
使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量:47L
燃費(WLTCモード):12.5km/L
最小回転半径:5.9m
タイヤサイズ(前後):265/30ZR19 93Y
6代目となる新型シビックタイプRは、2021年に発売された「シビックハッチバック」がベースとなっている。そして、新型シビックタイプRでは、フェンダーアウターやリアドアが新型シビックタイプR専用として新たに設計されており、ベース車と比較して新型シビックタイプRはワイドフェンダーによって迫力あるフォルムとなっている。
新型「シビックタイプR」のフロントエクステリアとリアエクステリア
新型シビックタイプRのボディサイズなどの数値を、先代のシビックタイプRや現行のシビックハッチバック(HB)と比較すると、以下のようになる。新型シビックタイプRでは、現行のシビックハッチバックで伸ばされたホイールベースを踏襲しながら、前後トレッドが広げられており、走行安定性がさらに高められている。
■ホンダ 新型「シビックタイプR」のボディサイズなどを比較
-全長×全幅×全高-
新型:4,595×1,890×1,405mm
先代:4,560×1,875×1,435mm
シビックHB:4,550×1,800×1,415mm
-ホイールベース-
新型:2,735mm
先代:2,700mm
シビックHB:2,735mm
-トレッド[フロント/リア]-
新型:1,625mm/1,615mm
先代:1,600mm/1,595mm
シビックHB:1,535mm/1,565mm
新型「シビックタイプR」のフロント部は、ロアサイドガーニッシュなどの形状が工夫されることによって、空力性能を向上させている。また、フロントバンパー周りの開口部を拡大することによって、冷却性能もアップしている
新型シビックタイプRでは、細部の形状まで徹底的にこだわることで、空力性能がさらに高められている。フロントは、バンパーサイドの負圧によってダウンフォースを発生させるロアサイドガーニッシュを採用。また、ブレーキダクト内にフィンを立てることによって、車両前方のダウンフォースを向上させることに貢献している。さらに、ロアグリルのサイドには3か所に縦フィンが設けられており、フロントストレイキやリップスポイラーのリブ(突起)の形状が変更されるなどによって、フロントの操縦安定性を向上させている。
新型「シビックタイプR」のサイドイメージ
サイドは、前後フェンダーがボディと一体化されていることによって、別体のフェンダーに比べて空気の流れをスムーズに後方へと流してくれる。また、フロントフェンダーの後方には、ホイールハウス内の圧力を軽減させるアウトレットが設けられている。さらに、サイドシルガーニッシュの後方は、リアタイヤ前の空気の流れを調整するために張り出し形状となっている。
新型「シビックタイプR」専用に設計されたリアスポイラー
リアは、新型シビックタイプR専用に設計されたリアスポイラーが特徴的だ。上面の凹みと下面の膨らみの調整によって、翼断面形状を先代からさらにブラッシュアップ。前方からの風を受ける角度を最適化することで、リアスポイラーの上下の圧力差を増大させ、ダウンフォースを向上させている。また、ステーにはスリムで軽量なアルミダイキャスト製を採用することで、空気抵抗を低減させるとともに、リアスポイラーの下面負圧面積を拡大してダウンフォースを高めている。
新型「シビックタイプR」の3本出しマフラーとリアディフューザー
リアディフューザーは、フィンの本数や太さ、長さ、位置などをきめ細かくチューニングすることで、リアオーバーハングのフロア一帯において大きなダウンフォースを発生させる。
新型「シビックタイプR」に搭載されている、2L直列4気筒DOHC VTECターボエンジン。ターボチャージャーの刷新によって、先代と比べて最高出力が8kW(10PS)、最大トルクが20N・m(2.0kgf・m)向上している
エンジンは、先代の2L4気筒DOHC VTECターボエンジンをベースに、新型ではターボチャージャーが刷新されている。過給圧を上げるだけではレスポンスが犠牲になるため、新型ではターボの回転数を上げるための開発を実施。羽根の枚数を減らしながら、コンプレッサーホイールとタービン側スクロールの小型化を図り、強度とのバランスを取りながら軽量化。ベアリングの構造変更も行うことでフリクションを低減させている。さらに、インテークの管径アップやストレート化による吸入抵抗の低減、ラジエーターやインタークーラーの冷却性能のアップなどを施すことで、最高出力を8kW(10PS)、最大トルクを20N・m(2.0kgf・m)向上させている。これによって、新型のパワーウエイトレシオと最高速は、FFモデルでNo.1(※)を達成しているという。
※2022年9月1日時点 ホンダ調べ
■新型「シビックタイプR」の最高出力、最大トルクを先代と比較
-最高出力-
新型:243kW[330PS]/6,500rpm
先代:235kW[320PS]/6,500rpm
-最大トルク-
新型:420N・m[42.8kgf・m]/2,600rpm-4,000rpm
先代:400N・m[40.8kgf・m]/2,500rpm-4,500rpm
新型「シビックタイプR」には、吸い付くような感触が特徴的なアルカンターラ巻のステアリングホイールが採用されている
新型シビックタイプRは、ドライビングフィールにおいても進化を遂げている。まず、ステアリングフィールは、ベース車と比較してトーションバー径をアップ。ねじり剛性を60%向上させ、タイロッドエンドを高剛性化することで、ステアリングの操舵量に対するタイヤ切れ角の追従遅れや切れ戻りなどを抑制。意のままの、ダイレクトなステアリングフィールを実現している。
シフトノブは、アルミ製で握りやすいティアドロップ形。さらに、タイプR専用のシフトリンク機構の採用によって、滑らかなシフトフィールを実現している
また、シフトフィールについては、6速マニュアルトランスミッションのレバーストロークと操作荷重は先代を踏襲しながら、新設計のレバー構造を採用することで、シフトレバーの高剛性化と横方向のレバーのガタつきを排除。ダイレクト感と節度感の向上を実現している。また、トランスミッションのシフトリンク部の形状を最適化させて、シフトゲート形状をストレートにすることで、5速から4速といったななめにシフト変更する際のスムーズ感をアップさせている。これらシフトフィールの改善によって、“操る喜び”がさらに磨き上げられている。
タイプR伝統の赤内装が採用されたインテリア。フロントシートとフロアカーペットの赤色が映える
新型「シビックタイプR」のフロントシート
インテリアは、タイプRの伝統とも言える赤内装に仕上げられている。特徴的なレッドカラーのフロントシートは、先代と比べてより鮮烈で高揚感を高める赤色へと刷新。レッドカーペットが前席と後席の両方に採用されていることも相まって、赤内装を際立たせている。また、フロントシートはサーキットにおける限界走行からロングドライブまで、姿勢の保持性とサポート性を最優先に強化されている。テストコースやサーキットを徹底的に走り込み、多面体のシートバックや座面、サイドサポートの形状、ウレタンの硬度を場所によって変化させるなどの設計が採用されている。
新型「シビックタイプR」のリアシート
リアシートには、滑りにくくホールド性を高めるスエード調表皮が採用されており、後席に座る人にも新型シビックタイプRの性能を体感できるような配慮が施されている。
新型「シビックタイプR」のセンターコンソールに備えられているドライブモードスイッチ。「+R」モードのみ、ボタンを押すことで設定するタイプとなっている
走行モードは、「COMFORT」「SPORT」「+R」の3つのモードに加えて、6つのドライブパラメーターをドライバーの好みに応じてカスタマイズできる「INDIVIDUAL」モードが新たに設定されている。INDIVIDUALモードで設定された内容は、エンジン再始動時も保持されるので、ユーザー好みのドライブフィールをいつでも楽しむことができる。
「Honda LogR」の「パフォーマンスモニター機能」画面。エンジンの水温、油温やブースト圧のほか、Gやタイヤの摩擦円などをリアルタイムに表示させることができる
「Honda LogR」の「スコアリング機能」では、一般道向けの「Auto Score機能」と、サーキット走行向けの「Data Log機能」の2つの機能が搭載されている。走行中の車両情報や操作情報を記録してスコアリングを行うことで、ドライビングスキル向上をサポートしてくれる
新型シビックタイプRで注目したい新機能のひとつが、「Honda LogR」だ。車載ナビに、アプリとして標準装備されるHonda LogRは、走行データを自動解析し、Honda独自のロジックでスコア化する機能が搭載されており、ドライビングスキルの向上をサポートしてくれる。日常の走行シーンにおいて、加速や旋回などを自動的に採点してくれる「Auto Score機能」を使えば、滑らかでメリハリのある運転を目指すことができるという。
また、サーキット走行の解析に適した「Data Log機能」も、Honda LogRのアプリに内蔵されている。国内13か所のJAF/FIA公認サーキットのスタート位置があらかじめ収録されており、自動でラップタイムを計測できる。さらに、13か所のサーキットでスピードリミッターを解除する機能が搭載されており、GPS測位情報からサーキット範囲を特定することで時速180kmの速度制限が解除される。そのほか、3DモーションやGメーター、摩擦円などがリアルタイムで表示され、車両や環境情報をカスタマイズ表示する「パフォーマンスモニター」も実装されている。なお、スマートフォンアプリでもHonda LogRの収録情報を再生でき、別途車載映像を撮影すれば、走行中の車両データを合成した動画を作成することも可能という。
新型シビックタイプRは、ホンダ最高峰のスポーツカーでありながら、先進のHonda SENSINGを装備。広い水平画角のフロントワイドビューカメラに加えて、リアバンパーのコーナー内側にミリ波レーダー、前後にソナーセンサーを搭載。3つのセンサーによって、夜間や自転車を検知するなど、安全運転を支援してくれる。
新型シビックタイプRは、さまざまなドライブフィールが磨き上げられるとともに、世界最速のFFモデルとして先代の速さをさらに進化させた。
新型「シビックタイプR」純正アクセサリー装着車のフロントイメージ
レッドポリエステルが編み込まれた、リアルカーボンの純正アクセサリー「テールゲートスポイラー」。価格は、275,000円(税込)
インテリアのセンターコンソールパネルも、「テールゲートスポイラー」と同様にレッドポリエステル×リアルカーボンのパネルが純正アクセサリーとして用意されている。価格は、47,300円(税込)
純正アクセサリーのシフトノブは、赤の本革巻きで本体はブラックアルマイトのアルミ製。価格は、20,350円(税込)
自動車関連を担当。クルマ好きのため、週末はフラフラと1000km超を運転する長距離ドライバーと化します。