バイク野郎 増谷茂樹の二輪魂

売れている理由を実感! デザイン性と抜群の乗りやすさを備えるホンダ「レブル250 S Edition」

2017年に「レブル250」を発売した当初は、当のホンダもこれほど売れるとは考えていなかったのではないだろうか。それほど、「レブル250」は売れている。日本国内の軽二輪(126〜250cc)における新車販売台数は2018〜2021年の4年間連続でトップ。しかも年々販売台数を増やしており、2018年には4,779台だった販売台数は、2019年には8,140台に増え、2020年に1万台を突破した。新型コロナの影響で部品の入荷遅れなどが発生した2021年も、前年とほぼ同じ台数を売り上げている。そこまで支持される理由は何なのか。純正アクセサリーを標準装備した「レブル250 S Edition」に試乗し、その魅力を探ってみた。

なお、今回試乗するのは、2022年12月22日に発売した新型(2023年型)ではなく2020年型となる。2023年型は令和2年排出ガス規制に適合したマイナーチェンジで、カラーリングを全面変更しているが、基本の車体構成は2020年型と同じ。特性は変わらないので、「レブル250」に興味がある人はこの試乗レビューをチェックしてみてほしい。

誰も予想していなかった圧倒的な売れ行きを記録

初代「レブル250」は、取り回しやすいサイズの車体に扱いやすい水冷単気筒エンジンを搭載し、税抜きで50万円を切る価格設定で2017年に登場したが、正直なところ、メディアの評価はそれほど高くなかった。そんなモデルが、これほどの人気になるとは誰も予想していなかったのではないだろうか。かくいう筆者もそのひとりで、「リーズナブルな価格だから、そこそこは売れるかも」というくらいの期待値だった。ただ、当時から試乗した関係者の評価は総じて高く(多くは同時発売の「レブル500」についての評価だったが)、単なる乗りやすいエントリーモデルではなく、走行性能についてもきちんと作り込まれたモデルだったようだ。この点は、2輪4輪を問わず、廉価モデルであっても手を抜かないホンダらしさと言えるだろう。

初代「レブル250」は、メーカー希望小売価格537,840円(税込)で発売された

初代「レブル250」は、メーカー希望小売価格537,840円(税込)で発売された

実は、「レブル」という車名は1985年に発売したモデルでも使われていた。こちらは2気筒の空冷エンジンを搭載していたが、日本国内では1996年を最後に生産が終了している

実は、「レブル」という車名は1985年に発売したモデルでも使われていた。こちらは2気筒の空冷エンジンを搭載していたが、日本国内では1996年を最後に生産が終了している

いまでこそ圧倒的な人気モデルだが、初代モデルから爆発的に売れたわけではない。2017年の日本国内の250ccクラスのバイクにおける新車販売台数ランキングでは6位に留まっている。それが、2018年からは4年連続でトップをキープ。2021年には販売台数11,227台となり、2位以下を大きく引き離した。これほどまでに「レブル250」が支持される理由は、シート高690mmという抜群にいい足つき性と、ほかのどんな車種にも似ていない独特の存在感があるデザイン。2020年のマイナーチェンジでABSを標準装備するなど装備が充実し、さらに、2022年12月には令和2年排出ガス規制に対応した新型が登場したが、「レブル250」の魅力である部分は変わっていない。

2020年に、ライトやウィンカーなどをLED化。メーカー希望小売価格は599,500円(税込)と少し高くなったが、人気は落ちるどころかさらに上昇。また、2020年のマイナーチェンジと同時に装備が充実した「レブル250 S Edition」(メーカー希望小売価格は638,000円/税込)も追加された

2020年に、ライトやウィンカーなどをLED化。メーカー希望小売価格は599,500円(税込)と少し高くなったが、人気は落ちるどころかさらに上昇。また、2020年のマイナーチェンジと同時に装備が充実した「レブル250 S Edition」(メーカー希望小売価格は638,000円/税込)も追加された

そして、2022年12月に、令和2年排出ガス規制に適合するためマイナーチェンジした新型(メーカー希望小売価格は610,500円/税込)が登場。装備は同じだが、排ガス規制に対応するためマフラーの形状を変更し、最低地上高を16mm低い134mmとなるなど、細かい部分に違いはあるが、主な性能や機能は前モデルと同じだ。「レブル250 S Edition」(メーカー希望小売価格は649,000円/税込)も同様に変更している

そして、2022年12月に、令和2年排出ガス規制に適合するためマイナーチェンジした新型(メーカー希望小売価格は610,500円/税込)が登場。装備は同じだが、排ガス規制に対応するためマフラーの形状を変更し、最低地上高を16mm低い134mmとなるなど、細かい部分に違いはあるが、主な性能や機能は前モデルと同じだ。「レブル250 S Edition」(メーカー希望小売価格は649,000円/税込)も同様に変更している

ひと目で「レブル」とわかる独自のデザイン

2020年のマイナーチェンジでは、フルLED化するなど装備類がアップデートされ、「レブル250」の人気を支えるポイントのひとつであるデザイン性がさらに強化された。特に、今回試乗した「レブル250 S Edition」(2020年型)は、車体と同色のヘッドライトカウルやフォークブーツとカバーなど、純正アクセサリーとして用意されるパーツを標準装備したバリエーションモデルだ。シンプルなバイクらしいルックスだが、どこで見かけても「レブルだ!」とひと目でわかる。細部の質感も高く、安っぽく感じるところがどこにもない。

車体サイズは2,205(全長)×820(全幅)×1,090(全高)mmで、車両重量は171kg。ホイールベースは1,490mmと長め

車体サイズは2,205(全長)×820(全幅)×1,090(全高)mmで、車両重量は171kg。ホイールベースは1,490mmと長め

デザイン上のポイントとなっているLEDが4つ並んだヘッドライト。「S Edition」には小ぶりなヘッドライトカウルが装備される

デザイン上のポイントとなっているLEDが4つ並んだヘッドライト。「S Edition」には小ぶりなヘッドライトカウルが装備される

どのバイクにも似ていないシルエットの要因になっている、フレームに沿った形状のガソリンタンク。容量は11L

どのバイクにも似ていないシルエットの要因になっている、フレームに沿った形状のガソリンタンク。容量は11L

130/90-16と太めのフロントタイヤも、存在感のあるルックスを作り出している。フォークブーツは「S Edition」ならではの装備

130/90-16と太めのフロントタイヤも、存在感のあるルックスを作り出している。フォークブーツは「S Edition」ならではの装備

リアタイヤサイズは150/80-16。リアサスペンションは2本タイプを採用している

リアタイヤサイズは150/80-16。リアサスペンションは2本タイプを採用している

シングルディスクのフロントブレーキにはABSを装備

シングルディスクのフロントブレーキにはABSを装備

ホンダは、「レブル250」を“クルーザー”と定義している。長いホイールベースと低いシート、そしてやや幅のあるハンドルはクルーザーらしい構成だ。エンジンは単気筒で細身な作りだが、前後の太いタイヤによって250ccクラスでも存在感のあるルックスを実現している。

ロー&ロングなクルーザーらしいシルエットも、人気の理由のひとつ

ロー&ロングなクルーザーらしいシルエットも、人気の理由のひとつ

スリムな単気筒エンジンの最高出力は26PS/9,500rpmで、最大トルクは22Nm/7,750rpm

スリムな単気筒エンジンの最高出力は26PS/9,500rpmで、最大トルクは22Nm/7,750rpm

太めのマフラーは水平にレイアウトされ、独自のシルエットにひと役買っている

太めのマフラーは水平にレイアウトされ、独自のシルエットにひと役買っている

シートは前後セパレートタイプ。「S Edition」にはステッチが施されたものを装備している

シートは前後セパレートタイプ。「S Edition」にはステッチが施されたものを装備している

ハンドルは低めのパイプハンドルで、中央部にメーターを装備

ハンドルは低めのパイプハンドルで、中央部にメーターを装備

丸形のデジタルタイプのメーターには、シフトポジションや燃料の残量なども表示される

丸形のデジタルタイプのメーターには、シフトポジションや燃料の残量なども表示される

シンプルなグリップ周りに、コンパクトな丸型ミラーを配置

シンプルなグリップ周りに、コンパクトな丸型ミラーを配置

ステップはやや前方に配置されたミッドコントロールポジション

ステップはやや前方に配置されたミッドコントロールポジション

イグニッションキーの挿入口は、車体の左側に装備。シンプルなハンドル周りに貢献する

イグニッションキーの挿入口は、車体の左側に装備。シンプルなハンドル周りに貢献する

どんなシーンも楽しめる走行性能

試乗した人の高い評判を耳にしながら、これまで「レブル250」に乗る機会がなく、今回が初めての試乗となる。軽二輪の中で最も売れているマシンの走行性能をたっぷりチェックしてみた。

車体にまたがってみると、見た目の大きさの割に足つき性が非常にいい。これだけ足つき性がいいと、初心者ライダーや小柄な人、体力に自信がない人でも安心して乗れるだろう。ハンドル位置は高くないもののシートが低いので、相対的にやや高い位置にハンドルが来ることになる。

身長175cmの筆者の場合、両足がべったりと接地し、ヒザにもかなり余裕がある

身長175cmの筆者の場合、両足がべったりと接地し、ヒザにもかなり余裕がある

エンジンをかけて響く排気音は、単気筒らしいパルス感はあるものの、よく消音されていて静か。エンジン特性は穏やかで、非常に扱いやすい。低回転からトルクがあり、回転上昇もスムーズでアクセルを開けるのが楽しくなる。アシスト&スリッパークラッチを装備していることもあって、クラッチも軽く、街中でのストップ&ゴーはもちろん、渋滞にはまった場面でも左手に負担は感じなかった。

低回転から高回転までフラットなトルクで、扱いやすいエンジン。ゆっくり流していても気持ちがよく、その気になれば元気のいい加速感を味わうこともできる

低回転から高回転までフラットなトルクで、扱いやすいエンジン。ゆっくり流していても気持ちがよく、その気になれば元気のいい加速感を味わうこともできる

上体が起きたライディングポジションだが、高速巡航でも風圧で体が後ろに持っていかれる感じはない。追い越し時の加速などは、さすがにパワフルとは言えないが、十分に交通の流れをリードできる加速性能がある。また、コーナリング性能も意外と高く、ワインディングを走るのも気持ちがいい。長めのホイールベースと太いタイヤが路面をとらえてくれるので、安定した走行が可能。車体は軽量で低重心なため、右に左に切り返して行くようなシーンも得意だ。クルーザーやアメリカンタイプのバイクにありがちな、車体のどこかが接地するようなこともなく、ワインディングを積極的に楽しめる。

倒し込みが軽く、それでいて安定感も高いので安心してコーナーを楽しめる。クルーザーに位置づけられるが、クルージングだけでなく峠道なども気持ちよかった

倒し込みが軽く、それでいて安定感も高いので安心してコーナーを楽しめる。クルーザーに位置づけられるが、クルージングだけでなく峠道なども気持ちよかった

操作が軽いうえにハンドリングが素直なので、交差点なども曲がりやすくて楽しい

操作が軽いうえにハンドリングが素直なので、交差点なども曲がりやすくて楽しい

あえて気になった点をあげるとすれば、コンパクトなミラーはルックスはいいが、後方確認するにはやや狭く、車線変更などの際にはしっかりと頭ごと振り返る必要があった。また、高回転までエンジンを回すと振動がハンドルに伝わってくるため、振動吸収性のあるバーエンドなどを装着したくなる。ただ、どちらもカスタマイズで何とかなる点なので、いじる楽しみがあると考えることもできるだろう。

試乗を終えて

軽量で足つき性がよく、エンジンも扱いやすい。それでいて、コーナリング性能も高く、ワインディングも楽しめる。性能面についてまとめるとこのような書き方になるが、ある程度の期間、「レブル250 S Edition」(2020年型)と過ごして感じたのは、気軽に出かけたくなるということ。そして、ちょっと出かけるだけでも楽しいということだ。近所での買い物などにも気負うことなく乗って行けるが、実用バイク然としたスタイルではないので、買い物がショートツーリングのように感じられる。そして、走るのが楽しくて、ついつい遠回りして帰るというパターンを何度繰り返したことか……。気軽に乗れるバイクは少なくないが、それがツーリングのように楽しめるバイクは貴重。初めてバイクに乗る人でも、「レブル250」なら気負うことなく走れるので自然と「もう少し遠くに行ってみよう」と思うはず。「レブル250」を選んだ人の多くが「ずっとレブルに乗りたい」と言う理由がわかった気がした。

「レブル250」は女性人気も高い。しかし、試乗中に話しかけられたのは筆者より年齢が上の男性ばかりだった。ただ、声をかけてくれた方全員が「レブル250」のかっこよさを絶賛。引き留めてでも見たくなるルックスであることは間違いない

「レブル250」は女性人気も高い。しかし、試乗中に話しかけられたのは筆者より年齢が上の男性ばかりだった。ただ、声をかけてくれた方全員が「レブル250」のかっこよさを絶賛。引き留めてでも見たくなるルックスであることは間違いない

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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