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「MAZDA2」が大幅改良でフロントフェイス刷新!198通りのコーディネーションが可能に

2023年1月27日、マツダはコンパクトハッチバック「MAZDA 2」の商品改良を実施すると発表した。発売は、2023年3月下旬が予定されている。

マツダのコンパクトカー「MAZDA2」が大幅に商品改良。刷新された内外装や、全198通りにカラーコーディネーションできる新グレードなど、注目点について解説したい。画像の車両は、「BD」と呼ばれる新グレードをベースとした架装モデルの「CLAP POP(クラップポップ)」(左)と、「ROOKIE DRIVE(ルーキードライブ)」(右)

マツダのコンパクトカー「MAZDA2」が大幅に商品改良。刷新された内外装や、全198通りにカラーコーディネーションできる新グレードなど、注目点について解説したい。画像の車両は、「BD」と呼ばれる新グレードをベースとした架装モデルの「CLAP POP(クラップポップ)」(左)と、「ROOKIE DRIVE(ルーキードライブ)」(右)

MAZDA2の製品画像
マツダ
4.09
(レビュー40人・クチコミ1147件)
新車価格:152〜271万円 (中古車:89〜277万円

新しい「MAZDA2」では、前後バンパーやグリル、ホイールなどの外観デザインが刷新されているほか、ボディーカラーには新色が追加され、内装は一部パーツの素材などに変更が施されている。さらに、グレード体系が大きく見直されるとともに、198通りのカラーコーディネーションの組み合わせによって、ユーザーの好みの仕様を作り上げられるようになった。今回は、これら改良モデルの詳細について解説したい。

「常識を打ち破る1台」として開発された現行モデル

現行モデルの「MAZDA2」は、元々は2014年にフルモデルチェンジされた4代目の「デミオ」であったが、2019年に「デミオ」がマイナーチェンジされる際に、車名がグローバルな「MAZDA2」へ変更されたという経緯がある。

2014年に発売された「デミオ」(4代目)

2014年に発売された「デミオ」(4代目)

4代目「デミオ」(「MAZDA2」)は、3代目「デミオ」のマイナーチェンジ時に導入されたスカイアクティブ技術を引き継ぐとともに、新たに「魂動デザイン」を体現したモデルとして、マツダブランドのエントリーモデルとしての役割を担ってきた。コンパクトカーという量販セグメントの中で、幅広いユーザーに新世代マツダのブランド価値や技術をアピールするという、重要な役割を担ってきたクルマである。

4代目「デミオ」(「MAZDA2」)は、それまでのコンパクトカーの常識や既成概念を打ち破ることを目指して開発された。たとえば、ドライビングポジション。ほかのマツダ車と同様に、運転しやすく疲れないクルマにしたいと、クルマの骨格レベルから見直しが図られた。具体的には、フロントタイヤを前方へ出すことによって、右足を自然に伸ばしたところにアクセルペダルがあるという、理想的なドライビングポジションを実現している。

また、マツダの安全思想である「プロアクティブセーフティー」の考え方に基づき、安全面においてもクラスで差をつけず、上級車種の技術を一括企画で採用していることも特徴のひとつだ。特に、コンパクトカーでありながら、運転時の不安要素である車線変更や後退時の視認性をサポートするために、「ブラインドスポットモニター」や「リアクロストラフィックアラート」などを全車に標準装備していることも評価したい。

そのほか、最新技術を伴う商品改良をひんぱんに実施することで、安全、車両制御、エンジンの燃焼改善による燃費向上など、商品力を維持、向上させてきた。それらの結果として、現行モデルの「MAZDA2」は、マツダの国内販売比率において、最も売れている「CX-5」(25%)に次ぐ19%のシェアを占めている(2022年1〜11月。マツダ調べ)。

キーワードは「好きを探せる相棒」

さて、「MAZDA2」ユーザーの年齢構成比を見ると、2016年時点では30代以下の若いユーザーを多く獲得していたのだが、近年は大幅に減少しているという。そこで、改めて若年層に向き合うことが課題であり、またユーザー層をさらに広げることが改良におけるポイントとなった。

マツダは、コンパクトカーに乗るユーザーのニーズを改めて調べたところ、「毎日使うコンパクトカーだからこそ、自分のセンスや好きな価値観を反映したクルマに乗りたい」といったニーズが高いことがわかったと言う。特に、それは若年層に顕著で、「自分らしく生きたい、というニーズが高まっていると解釈しました」と話すのは、マツダ 商品本部主管の水口浩司さんだ。

その背景は、「先行きの見えない不確実な世の中だからこそ、自分の選択に自信を持ちたいという、潜在要求が高まっているのではないでしょうか。マツダは、自分らしく前向きに生きるお客様を応援したい。そのために、自分らしさを反映したお客様の“好き”を作り上げることに挑戦したのです」と、今回の商品改良における思いを語った。

今回の「MAZDA2」におけるキーバリューは、“好きを探せる相棒”。「自分らしいイメージを表現したクルマを見るたびに、胸がときめく。行き先を探す日常のワクワク感が増し、日々が楽しくなることで自分に自信が増し、日々の生活が充実する。そのような価値感を、MAZDA2で提供したいと考えています」と水口さんは述べ、その価値を実現するために内外装やグレードの見直しなどが図られたことを示唆した。

グレード毎のキャラクターが明確に

では、「MAZDA2」の改良点について解説していこう。まず、改良前の「MAZDA2」の外観は、「魂動デザイン」によってスポーティーかつスタイリッシュな印象が与えられていた。そこで、基本デザインには手を加えずに、グリルや前後バンパーに変更が施されている。

具体的には、シグネチャーウイング(ヘッドライトからグリル下部を通って反対側のヘッドライトへとつながるライン)の重心を上げるとともに、その下の開口部を変更し、スポーティーさを強調。これまでの上質さに加えて、軽快感が与えられている。

「MAZDA2」の新グレード「15 BD」の、フロント&リアエクステリア。画像の車両はベース車なので架装は無いが、ここからさまざまなオプションパーツやデカールを加えることで、個性あふれる1台を作り上げることができる

「MAZDA2」の新グレード「15 BD」の、フロント&リアエクステリア。画像の車両はベース車なので架装は無いが、ここからさまざまなオプションパーツやデカールを加えることで、個性あふれる1台を作り上げることができる

グレード体系を大きく分けると、質感を高めた「Sunlit Citrus」とスポーティーな「SPORT」の2グレードに、新グレードの「BD」を加えたグレード構成へと、わかりやすく整理された。

「15 Sunlit Citrus」は、改良前にも好評だった特別仕様車で、内外装の改良によって質感が高められている。

「MAZDA2」の「15 Sunlit Citrus」グレードのフロント&リアエクステリア。ステアリングやシフトノブ、パーキングブレーキレバーに本革巻が採用され、電動パワーシートやステアリングヒーターを装備。SBS(スマートブレーキサポート)、MRCC(マツダレーダークルーズコントロール)、LAS(レーンキープアシストシステム)などの先進安全装備が採用されるなど、質感や装備が高められたグレードだ

「MAZDA2」の「15 Sunlit Citrus」グレードのフロント&リアエクステリア。ステアリングやシフトノブ、パーキングブレーキレバーに本革巻が採用され、電動パワーシートやステアリングヒーターを装備。SBS(スマートブレーキサポート)、MRCC(マツダレーダークルーズコントロール)、LAS(レーンキープアシストシステム)などの先進安全装備が採用されるなど、質感や装備が高められたグレードだ

そして、スポーティーなキャラクターが与えられた「SPORT」は、1.5リッターガソリンエンジンを搭載する「15 SPORT」と、ディーゼルエンジンの「XD SPORT+」をラインアップ。「SPORT」は、特別仕様車の「ブラックトーンエディション」を進化させたもので、新色のボディーカラーである「エアログレー」をベースに、メッシュの入ったグリルや各部のパーツを黒で締めることで、スポーティーなキャラクターが表現されている。また、新デザインの16インチアルミホイールも採用。グリルなどには赤のアクセントが採り入れられており、「SPORT」の証となっている。

「MAZDA2」の「15 SPORT」グレードのフロントエクステリア。ボディーカラーは新色の「エアログレー」(画像は海外モデルのため、国産モデルとは一部仕様が異なります)

「MAZDA2」の「15 SPORT」グレードのフロントエクステリア。ボディーカラーは新色の「エアログレー」(画像は海外モデルのため、国産モデルとは一部仕様が異なります)

また、インテリアも精悍な黒皮に赤の差し色が入れられており、正当派なスポーツ感がストレートに表現されている。ちなみに、座面には滑りにくい「ラックススエード」が採用されており、実際のスポーツ走行でも体がぶれないようにデザインされているという。

「MAZDA2」の「15 SPORT」グレードのインテリアとフロントシート(画像は海外モデルのため、国産モデルとは一部仕様が異なります)

「MAZDA2」の「15 SPORT」グレードのインテリアとフロントシート(画像は海外モデルのため、国産モデルとは一部仕様が異なります)

198通りからカラーコーディネーションできる新グレード「BD」

今回、新たに追加されたグレードが「BD」だ。若年層などに向けた新たな価値コンセプトとして、選ぶ楽しさを提供し、ユーザーの“好き”をマツダとともに作り上げる新グレードとのこと。

左手前の車両が、新グレードの「BD」

左手前の車両が、新グレードの「BD」

この「BD」とはブランクデッキの略で、スケボー用語から用いられている。「パーツやステッカーを装飾する前のまっさらなボード本体のことで、カラーコーディネートする前の、何も施されていないものという意味です。つまり、剥ぎ取った安物ではなく、素のいいモノという思いが込められています」と説明してくれたのは、デザイン本部チーフデザイナーの木元英二さん。

その最大の特徴はグリルにある。「グリル内のボディーカラーは、奇をてらったわけではなく、むしろ素の魅力が感じられるでしょう。また、グリルレスに見せることで親しみのある、そしてマツダらしい丹精でハンサムな顔立ちにもなっています」と述べ、「改良前のクルマからの進化を明確に感じられるでしょう」とアピールする。

「MAZDA2」「BD」グレードのフロントフェイス

「MAZDA2」「BD」グレードのフロントフェイス

ちなみに、このカラーグリルは蓋のように見えるが、実際にはバンパーとつながる面形状となっており、「バンパーとグリル面が一体となって、ブリスターを形成してるのがデザインの見せ場」とのこと。これにより、「魂動デザインが目指す、幅広感やスタンスのよさにつなげています」と説明した。

ボディーカラーは、全部で12色。プロモーションラインとして若者に感度が高そうな6色は、ボディーカラーと同色のグリルに。残りはロー、スタンダード、ビジネスカラーという位置付けで、クールグリル(ブラック)と組み合わせられる。

ホイールキャップは、これまでのアルミホイールのようなシルバーのものからデザイン性の高いものに変更されており、ここにも差し色が可能だ。

また、白と黒の2色のルーフデカールが用意されている。同時に、ミラーの色がルーフの色とともに変わり、黒ルーフの時は黒ミラー、白ルーフの時は白ミラーになる。なお、アクセサリー用品として、いくつかのアイテムも用意される。

「BD」のインテリアは、黒を基調にインパネとニーパッドの色を黒、白、エアストリームブルーの3種類が用意される。

このような組み合わせで、最大198通りの選択が可能だが、実際に選ぶとなると迷うもの。そこで、マツダおすすめの架装モデルも用意された。

まずは、「ROOKIE DRIVE(ルーキードライブ)」と呼ばれる架装モデルで、「初めてクルマを購入する人を想定し、せっかく買うのだから軽自動車などではなく、しっかりと走りを楽しみたい。それも、ちょっとおしゃれに楽しみたいという人に向けたものです。テーマカラーのエアストリームブルーに、オレンジのアクセントを加えて、気軽に、身構えずに楽しく走り出せるイメージを持たせています」と木元さん。ボディーカラーは、エアストリームブルーとスノーフレイクホワイトが用意されている。

「MAZDA2」の架装モデル「ROOKIE DRIVE」のフロント&リアエクステリア。ボディーカラーは、エアストリームブルーメタリック

「MAZDA2」の架装モデル「ROOKIE DRIVE」のフロント&リアエクステリア。ボディーカラーは、エアストリームブルーメタリック

そして、2つ目の架装モデルが「CLAP POP(クラップポップ)」だ。「心地よい音楽のようなコーディネーションを目指しました。主張やメッセージ性の強いハードロックではなく、軽やかで心地よいシティポップのようなクルマを楽しめないかと考えました」と言う。ルーフ、ミラー、ホイール、グリルと変更できるアイテムを白に統一して、ボディーカラーとツートーンにすることで、軽やかで楽しい雰囲気にされた。そして、エンジンフードとリアゲートに控えめなストライプを加えることで、よりスペシャル感を表現。色は、ディープクリスタルブルーとプラチナムクオーツが用意されている。

「MAZDA2」の架装モデル「CLAP POP」のフロント&リアエクステリア。ボディーカラーは、ディープクリスタルブルーマイカ

「MAZDA2」の架装モデル「CLAP POP」のフロント&リアエクステリア。ボディーカラーは、ディープクリスタルブルーマイカ

環境負荷や生産性向上への取り組み

最後に、いまの時代を踏まえた「MAZDA2」の環境対応についてまとめておきたい。ひとつは、ルーフデカールだ。通常、2トーンを採用する場合は塗装によるものがほとんどだ。いっぽう、デカールの場合はジグなどを使って1台1台貼り付けていかねばならないため、意外と手作業が必要になりやすい。それでも、あえてマツダがデカールにこだわったのは、大きく2つある。ひとつは、工場のカーボンニュートラル化に向けた工程革新だ。ルーフツートーン塗装をデカールに置換することで、大幅なco2削減を実現することができたという。そして2つ目はマスクラフトマンシップ、職人技の量産化だ。これまで、熟練の職人が何時間もかけていた貼り付け作業を量産化することで、「美しい意匠を、より多くのお客様にお届けできるようになりました」と話すのは、マツダ 技術本部車両技術部 塗装技術グループの大川岩保さん。

従来のルーフフィルムは、下地の微少な凹凸や張り付け作業時に発生するルーフ粘着面のよれが微小な歪みとなって表面に現れたり、意匠性の高いフィルムは反射光が強すぎるがゆえに微小な歪みが際立ってしまい、貼り付けるには職人が時間をかけて行うしかなかったという。いっぽう、拡散反射が強いフィルムの場合は表面の微少な歪みは目立たず、量産は比較的容易ではあるが、美しい意匠は表現できないそうだ。そこで、「MAZDA2」のフィルムでは、光の反射方向、強度を表面形状でコントロールすることで、微小な歪みを目立たせず、デザインの意図どおりの光り方を具現化することが可能となったそうだ。

もうひとつは、環境負荷の少ない「バイオエンプラ」を活用したインパネのデコレーションパネルだ。「ロードスター」で初めて採用された「バイオエンプラ」は、当初はカップホルダーリングやエアアウトレットのルーバーのベゼルなどの小さいものだったが、技術革新によってインパネパネルなどの大きなパーツも採用できるようになった。

マツダは、バイオプラスチックならではの特徴を見い出し、その特徴を生かすことで部品レベルでのコスト改善を目指した。それは、無色透明であるバイオエンプラを着色し、塗装の代替を行うことで、材料の持つすぐれた環境性能だけではなく、従来の塗装では実現できない高質感と塗装工程廃止による環境貢献、およびコスト改善を実現することを狙った。実際に、そのパーツを見ても質感をはじめ、塗装で得られていた艶感や深みが十分備わっており、かつ平滑感も実現しているなど納得できる仕上がりである。

今回の、「MAZDA2」における商品改良は、走行性能に絡む技術革新はなかったものの、ユーザー層をさらに広げるための新たなトライが為された。特に、198通りという組み合わせが可能な「BD」はたしかに魅力的だ。それが、実際に販売台数につながるかは、今後じっくりと見極めたい。これまでも、いくつものメーカーが同じようなトライをしてきたが、あまり成功した例を聞かないからだ。その最大の要因は、ディーラーにあるだろう。ディーラーは、おすすめの仕様を顧客に提案し、そこに落ち着いてしまう結果がほとんどだからだ。新しい「MAZDA2」の試みは、ディーラーがどこまで真剣にこの組み合わせに向き合えるかが、成功につながる道といえるだろう。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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(レビュー40人・クチコミ1147件)
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