イベントレポート

スクランブラーから電動バイクまで注目モデルが集結!「東京モーターサイクルショー2023」に行ってきた

昨今のバイクブームの盛り上がりを受け、前年を超える来場者が集まった「東京モーターサイクルショー2023」が2023年3月24〜26日に開催された。ニューモデルのお披露目も行われ、熱気に包まれた本イベントの注目モデルをメーカーごとに紹介しよう。
※本記事での価格はすべて税込表記となります。

「CL」など人気モデルが揃う「ホンダ」

多くの来場者が足を止めていたのが「ホンダ」ブース。アドベンチャーマシンの「XL750トランザルプ」や電動バイクの新モデルなど幅広いカテゴリーの車種が展示されており、さらに、日本国内での発売が発表されたばかりの「CL250」や「CL500」などに実際にまたがることができるとあって、ブース内に入る順番待ちの長蛇の列ができていたほど多くの人が集まっていた。

「CL250」

発売がアナウンスされる前から話題だった「CL250」は、5年連続で販売台数首位をキープしている大人気モデル「レブル250」のエンジン(249cc単気筒)やフレームなどを共用し、購入しやすい価格を実現しながら、未舗装路走行も可能なスクランブラースタイルに仕上げている。なお、スクランブラーとは、オフロード専用車種が設定されていなかった時代に、ロードモデルをベースにダート走行に対応したものを指す。

「CL250」のメーカー希望小売価格は621,500円で、2023年5月18日発売予定。エンジンやフレームが共通の「レブル250」(メーカー希望小売価格は610,500円)と比べても11,000円アップに抑えられているので、支持を集めそうだ

「CL250」のメーカー希望小売価格は621,500円で、2023年5月18日発売予定。エンジンやフレームが共通の「レブル250」(メーカー希望小売価格は610,500円)と比べても11,000円アップに抑えられているので、支持を集めそうだ

スクランブラーの文脈に沿って、アップタイプのマフラーを装着。排気口が2本出しになっているのもいい

スクランブラーの文脈に沿って、アップタイプのマフラーを装着。排気口が2本出しになっているのもいい

「CL500」

「レブル250」の兄貴分モデルである「レブル500」をベースとした「CL500」も同時に発表された。471ccの2気筒エンジンを搭載し、最高出力は「CL250」が24PSなのに対して46PSを発揮する。ホイール径はフロント19、リア17インチで「CL250」と共通で、見た目も大きく変わらない。

「CL500」のメーカー希望小売価格は「レブル500」より27,500円高い863,500円で、2023年5月18日発売予定。写真はオプション装着車両

「CL500」のメーカー希望小売価格は「レブル500」より27,500円高い863,500円で、2023年5月18日発売予定。写真はオプション装着車両

外観デザインは「CL250」とほとんど同じだが、エンジンの排気量が多いだけでなく2気筒を採用。長距離ツーリングなどでは大きな差が出そうだ

外観デザインは「CL250」とほとんど同じだが、エンジンの排気量が多いだけでなく2気筒を採用。長距離ツーリングなどでは大きな差が出そうだ

「XL750 TRANSALP」

2022年に開催されたミラノ・モーターサイクル・ショー「EICMA」で公開され、話題となったミドルクラスのアドベンチャーマシン「XL750 TRANSALP」。世界的に人気が高まっているカテゴリーで、近年はオフロードの走破性を重視したモデルが増えている。「XL750トランザルプ」もフロント21インチ、リア18インチと、オフロード車では一般的なホイールサイズを採用。車重も208kgと、このカテゴリーとしては軽量だ。

メーカー希望小売価格は1,265,000円で、2023年5月25日発売予定。ライバルとなるであろうヤマハ「テネレ700」(メーカー希望小売価格は1,342,000円)に対して価格を抑えている

メーカー希望小売価格は1,265,000円で、2023年5月25日発売予定。ライバルとなるであろうヤマハ「テネレ700」(メーカー希望小売価格は1,342,000円)に対して価格を抑えている

エンジンは754ccの2気筒で91PSを発揮。ホンダのオフロード車によく使われるユニカム(OHC)タイプだ

エンジンは754ccの2気筒で91PSを発揮。ホンダのオフロード車によく使われるユニカム(OHC)タイプだ

「カワサキ」には大阪モーターサイクルショーで登場した話題のモデルも!

本イベントの1週間前に開催された「大阪モーターサイクルショー2023」でお披露目された「エリミネーター/SE」や、各国で順次発売予定とアナウンスされている「Ninja ZX-4RR」など話題のモデルが集結。個人的にも注目度の高いブースだ。

「Ninja ZX-4RR」

久しぶりの250ccクラスの4気筒モデルとして登場した「Ninja ZX-25R」が発売された2020年頃から、この車体を使って400ccクラスの4気筒車もリリースされるというウワサはあったが、それが現実のものに! 2023年2月に「Ninja ZX-4RR」を各国で順次発売するとのアナウンスはあったが、ついに姿を現した。これまでの400ccクラスの概念を覆すような動力性能に期待が高まる。

発売日程や価格などは未発表。実車を目の当たりにすると、やはり心が躍る

発売日程や価格などは未発表。実車を目の当たりにすると、やはり心が躍る

4気筒のエンジンは、通常時は77PS、ラムエア加圧時は80PSを発揮する。過去のレーサーレプリカとはひと味違う性能だ

4気筒のエンジンは、通常時は77PS、ラムエア加圧時は80PSを発揮する。過去のレーサーレプリカとはひと味違う性能だ

「エリミネーター/SE」

「大阪モーターサイクルショー2023」で世界初公開された「エリミネーター」と「エリミネーターSE」も注目すべき車種。過去に同社のクルーザーモデルに用いられていた名称が復活したのだ。エンジンは「Ninja 400」譲りの398cc水冷2気筒で、48PSを発揮。過去の「エリミネーター」シリーズと同様、動力性能にも妥協がない。走りも譲りたくないツーリングライダーには気になる存在だろう。

「エリミネーター」のメーカー希望小売価格は759,000円で、発売日は未定。実際にまたがれる展示車があったので身長175cmの筆者がまたがってみたところ、足つき性はかなりよかった。シート高は735mm

「エリミネーター」のメーカー希望小売価格は759,000円で、発売日は未定。実際にまたがれる展示車があったので身長175cmの筆者がまたがってみたところ、足つき性はかなりよかった。シート高は735mm

上級グレードである「エリミネーターSE」のメーカー希望小売価格は858,000円で、発売日は未定。ビキニカウルに加えてETC車載器やドライブレコーダーも装備する

上級グレードである「エリミネーターSE」のメーカー希望小売価格は858,000円で、発売日は未定。ビキニカウルに加えてETC車載器やドライブレコーダーも装備する

小排気量スポーツモデルに力を入れる「ヤマハ」

ヤマハの現行モデルになかった125ccクラスのギア付きのマシンが登場。同社の人気シリーズ「YZF-R」や「MT」「XSR」のそれぞれ末弟に当たるモデルだ。いずれも市販予定モデルとしての展示で、発売時期や価格は未定ながら、完成度と品質の高さがうかがえた。

「YZF-R125/15」

これまで1,000ccクラスから250ccクラスまでのモデルをラインアップしていたスーパースポーツ「YZF-R」シリーズに、125ccクラスの「YZF-R125」と150ccクラスの「YZF-R15」が新たに追加。カウルのデザインは排気量の大きいモデルと同様で、スポーツ性の高さを感じさせる。こうしたエントリーモデルが加わると、バイクシーンもさらにおもしろくなりそうだ。

アクセサリーを装着した「YZF-R125」。標準装備のマフラーを変更し、バッグなども装着されていた

アクセサリーを装着した「YZF-R125」。標準装備のマフラーを変更し、バッグなども装着されていた

同様のデザインの「YZF-R15」。ブルーのカラーだったため、「YZF-R」の血統をさらに強く感じさせる

同様のデザインの「YZF-R15」。ブルーのカラーだったため、「YZF-R」の血統をさらに強く感じさせる

「MT-125」

同社の中核をなす「MT」シリーズにも125ccモデルが登場。エンジンは水冷の単気筒で、フロントマスクやタンクサイドのダクトなどのデザインは完全に「MT」といえるものだ。倒立式のフロントフォークなど、装備も充実しており、タンク長が短いライディングポジションもシリーズに共通する。

LEDのライトを組み合わせた個性が強いフロントマスクは「MT」シリーズの特徴を受け継ぐ

LEDのライトを組み合わせた個性が強いフロントマスクは「MT」シリーズの特徴を受け継ぐ

「XSR125」

「MT」シリーズをベースにネオレトロな外装を装備したのが「XSR」シリーズだが、125ccクラスでもこの流れは同様。丸形のフロントライトに、ティアドロップ形状のタンクを採用している。シートの形状も「MT」シリーズとは異なり、着座位置などのライディングポジションが後寄りになっているのも「XSR」シリーズに共通する特徴だ。

フレーム形状の関係で、タンクの形状がよりティアドロップっぽくなり、レトロな雰囲気が兄弟モデルと比べても強い。カラーは水色と赤色を用意。このクラスでもデザインの選択肢があるのはうれしい

フレーム形状の関係で、タンクの形状がよりティアドロップっぽくなり、レトロな雰囲気が兄弟モデルと比べても強い。カラーは水色と赤色を用意。このクラスでもデザインの選択肢があるのはうれしい

「スズキ」には旅に出かけたくなるアドベンチャーシリーズがずらり

アドベンチャーマシンである「Vストローム」シリーズを目立つ位置に展示した「スズキ」ブースでは、まさに本イベントの開催日、2023年3月24日に発売された「Vストローム800DE」と、参考出品の「VストロームSX」が多くの注目を集めていた。個人的には、ストリートファイター系のフロントマスクを持つ「GSX-8S」もスリムな車体で人気が出そうな気がする。

「Vストローム800DE」

リッタークラスから250ccクラスまで幅広いラインナップを持つ「Vストローム」シリーズに、新たに加わった「Vストローム800DE」。775ccの水冷2気筒エンジンを搭載し、ホイール径はフロント21インチ、リア17インチでオフロードの走破性を重視したモデルだ。サイズ的に、日本国内のツーリングに適したクラスともいえる。

メーカー希望小売価格は1,320,000円。展示車両にはパニアケースなどのアクセサリーが装着されていた

メーカー希望小売価格は1,320,000円。展示車両にはパニアケースなどのアクセサリーが装着されていた

タイヤのブロックはそれほど高くなく、フェンダー位置も低めだが、フロントホイール径は大きく、凹凸のある道でも走破性は高そう

タイヤのブロックはそれほど高くなく、フェンダー位置も低めだが、フロントホイール径は大きく、凹凸のある道でも走破性は高そう

「VストロームSX」

同じ250ccクラスの車体だが、既存の「Vストローム250」よりも径の大きいホイールを装備しており、「VストロームSX」はややオフロードに焦点を当てたモデルであることが感じられる。エンジンは「ジクサー250」などに搭載されている油冷の単気筒。水冷に比べて軽量であることがメリットなので、軽さが利点となるオフロードとは相性がよさそうだ。

スリムな車体に径の大きなホイールを採用。フロントマスクのデザインもシュッとしている。参考出品のため、発売時期や価格は未定

スリムな車体に径の大きなホイールを採用。フロントマスクのデザインもシュッとしている。参考出品のため、発売時期や価格は未定

コンパクトな油冷単気筒エンジンを搭載。フラットなトルクで扱いやすいので期待が持てる

コンパクトな油冷単気筒エンジンを搭載。フラットなトルクで扱いやすいので期待が持てる

「GSX-8S」

スズキのストリートファイター系のデザインを採用したアップハンドルのネイキッドシリーズ。従来は同社のスーパースポーツである「GSX-R」をベースとしていたが、「GSX-8S」は「Vストローム800DE」と同じ2気筒エンジンを搭載する。最高出力は80PSで、重量も202kgと軽量。パワーは控えめだが、バランス重視で作ったスズキのこういうマシンは乗って楽しいものが多いので、「GSX-8S」も期待できそうだ。

メーカー希望小売価格は1,067,000円。スリムな車体に倒立フォークを装備するなど、ワインディングが楽しそうな充実した足回りだ

メーカー希望小売価格は1,067,000円。スリムな車体に倒立フォークを装備するなど、ワインディングが楽しそうな充実した足回りだ

最高出力は特筆するほど高くないが、トルクは76Nm。トータルバランスを重視した作りだ

最高出力は特筆するほど高くないが、トルクは76Nm。トータルバランスを重視した作りだ

展示スペースの広さに勢いを実感した「プロト」

イタリア生まれの「ベネリ」のバイクや、「ゴッチア」ブランドの電動バイクの販売に力を入れる「プロト」。ホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキと同等の展示スペースを確保しており、勢いがあることを感じる。その中から筆者が注目したのは、本イベントで初披露されたベネリの125ccクラスの新モデル「レオンチーノ125」と参考出品のアドベンチャーモデルだ。

「レオンチーノ125」

ベネリブランドの人気モデル「レオンチーノ250」の125ccバージョンが登場する。車体は基本的に共用のため、外観はほぼ同じ。水冷の単気筒エンジンを搭載し、12.8PSを発揮。最近は125ccでも250ccクラスに見劣りしないモデルが増えているが、「レオンチーノ125」もその選択肢の一角となりそう。LEDを用いた楕円形のヘッドライトなど、個性的なデザインのバイクに乗りたい人にうってつけだ。

メーカー希望小売価格は453,200円で、2023年5月下旬発売予定。奥に見えるのが「レオンチーノ250」だが、タイヤの太さ以外ほぼ見分けがつかない

メーカー希望小売価格は453,200円で、2023年5月下旬発売予定。奥に見えるのが「レオンチーノ250」だが、タイヤの太さ以外ほぼ見分けがつかない

「TRK502X」

アドベンチャーマシン「TRK」シリーズの新モデルも参考出品されていた。価格や発売時期などは未定だが、日本に導入する見込みで準備を進めているという。ホイール径はフロント19インチで、リア17インチ。ロングストロークのサスペンションを採用しているので、未舗装路での走破性も高そうだ。

展示車には、パニアケースなどのアクセサリーを装着。エンジンガードは標準装備するという

展示車には、パニアケースなどのアクセサリーを装着。エンジンガードは標準装備するという

「ゴッチア」ブランドで計画している、新たな電動バイクが2モデル参考出展されていたので紹介しておこう。ひとつは、既存の「GEV600」の原付二種バージョン。「GEV600」は原付一種に分類されるモデルなので、新モデルはより大きな荷物を積める設計としている。そして、もうひとつがペダルの付いた「モペット」と呼ばれるタイプで、導入を検討中だという。

既存の「GEV600」と同様、シンプルで信頼性の高そうな作りだが、パワーが上がるだけにサスペンションなどの作りはしっかりしている

既存の「GEV600」と同様、シンプルで信頼性の高そうな作りだが、パワーが上がるだけにサスペンションなどの作りはしっかりしている

新たに仲間入りするかもしれないモペットの2車種。どちらもタイヤが太く、フレームも頑丈そうで迫力がある

新たに仲間入りするかもしれないモペットの2車種。どちらもタイヤが太く、フレームも頑丈そうで迫力がある

北欧っぽいデザインの電動バイクが目を引く「CAKE」

アウトドアウェアなどを手がけるゴールドウィンが2023年から輸入販売をスタートする、スウェーデン発の電動バイクメーカー「CAKE」も出展。原付一種からオフロードモデルまで3車種がすでに発売されており、いずれもシンプルながら合理的な作りで仕上げられている。

「Makka range(マッカ レンジ)」

原付一種に分類される「Makka range」は、フレームの床部分にバッテリーを搭載し、インホイールタイプのモーターを採用。航続距離は66kmとされている。むき出しのフレームに、高さが調整できるシートを備えた作りは自転車とバイクの中間的なユニークなもの。このデザインだけで乗りたくなったという人も少なくないだろう。

価格は869,000円と高価だが、ほかに似たデザインのないスタイリングはそれだけで価値がある

価格は869,000円と高価だが、ほかに似たデザインのないスタイリングはそれだけで価値がある

「Osa+(オッサ プラス)」

小型2輪にあたるモデルで、最高速度は90km/h、航続距離は111km。センター部分にモーターを搭載し、左側のベルトで後輪を駆動させる。大きめのバッテリーを中央部に積んでいるが、より性能のいいバッテリーが登場した際には載せ替えられるように設計しているという。

価格は2,255,000円。シートやライトはフレームに金具で取り付けられており、キャリアも後から装着できる

価格は2,255,000円。シートやライトはフレームに金具で取り付けられており、キャリアも後から装着できる

「Kalk&(カルク アンド)」

オフロードタイプの「Kalk&」は同ブランドの主力となるモデル。モーターの最大瞬間出力は10kWと強力で、登坂シーンなどでの瞬間的なパワーを発揮する。最高速度は90km/hで、航続距離は86km。フレーム上面がすべてシートのようなユニークなデザインは、フロントに荷重をかけやすくするオフロードマシンならではの設計だ。

価格は2,915,000円。軽量化を優先した設計で、重量は79kg

価格は2,915,000円。軽量化を優先した設計で、重量は79kg

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
プレゼント
価格.comマガジン プレゼントマンデー
SPECIAL
バイク本体・パーツのその他のカテゴリー
ページトップへ戻る