レビュー

「3シリーズ」より軽快!? BMW「740i M Sport」は極上ハンドリングマシンだった!

スポーツセダン好きの自動車ライター、マリオ高野です。

先日、意外なスポーツセダンを発見したので紹介しましょう。それは、BMW「740i M Sport」です。

BMWの7シリーズといえば、BMWの最上級大型セダン。一般的に、このクラスのセダンはVIPを後席に乗せて運ぶためのリムジンとして運用され、運転するのはもっぱら職業ドライバーになりますが、BMWの7シリーズに限っては、伝統的に富裕層のオーナーさんがみずからドライバーとしてハンドルを握ることも重視してきました。クルマ雑誌などでは「オーナードリブンカー」と呼ばれることもあります。

実に特徴的なエクステリアデザイン。筆者には「アート」としか評せません

実に特徴的なエクステリアデザイン。筆者には「アート」としか評せません

しかし、7世代目にあたる現行モデルはボディを延長。ホイールベースは3,215mmまで延長され、標準仕様でも旧型までのロングホイールベース仕様よりも長くなりました。後席の居住性を重視した設計となり、よりリムジン向けになったと言えます。大柄ながらドライバーズカー的な性質が強かったBMW7シリーズも、ついに全車ショーファーカー向けの仕様になったと言えるでしょう。

実際、後席に座ってみると、室内装備は豪華絢爛の極みです。マッサージなどの機能を備えたオプション価格62万円の「リヤ・コンフォートパッケージ」、飛行機のファーストクラス的な姿勢が取れる30万円の「エグゼクティブ・ラウンジシート」、そしてドアに埋め込まれたスマホのようなパネルを操作すると、天井から31.3インチの巨大なスクリーンが舞い降りてきて、後席空間がシアターに変わる75万円の「リヤ・シート・エンターテイメント・エクスペリエンス」など、後席の快適装備だけでもざっと170万円。もはや、新型7シリーズは他銘柄の同クラスと同じように、完全に後席重視となったのだと、少し寂しい思いをしました……。

ハイテク感満載の運転席周り

ハイテク感満載の運転席周り

このクラスのモデルのオーナーは、運転手を雇うケースが多いのですが……

このクラスのモデルのオーナーは、運転手を雇うケースが多いのですが……

ところが! ステアリングを握って走らせてみると、その印象は一変。7シリーズは今もなお、運転が楽しくて仕方のない大型セダンであることがすぐにわかったのです。これは衝撃的でした。

全長は5,390mm、全幅は1,950mm、車重は2.1トンもある巨体なのに、フットワークはとても軽快! 「ヒラヒラと舞うように」などと形容したくなるほど、動きが軽やかに感じられるのです。この大柄なボディサイズからは、ちょっと信じられない感覚でした。

そして真骨頂は、BMWらしくエンジン。そのフィーリングの気持ちよさにこのクルマのハイライトがあるのも泣けます。パワートレーンは3リッターの直列6気筒ターボエンジンに、わずかに電気モーターアシストが加わるマイルドハイブリッドですが、スポーツモードを選ぶと、俄然エンジンの存在感が際立ってきます。アクセルを深く踏み込めば「この瞬間がBMWだ!」と感涙にむせびそうになる快音を放ってくれるではありませんか! 

これの後に試乗した新型3シリーズよりも、昔の3シリーズのようだと感じた次第です。動きの軽快さと官能的なエンジンフィールにより、新型BMW「740i M Sport」は、「運転が楽しいスポーツセダン」として選びたくなる魅力を感じました。BMW7シリーズは、今でもドライバーズカーであり続けているのです。スポーツセダン好きの富裕層の皆さまに強くオススメします!

この試乗の模様は動画でもご覧いただけます。

マリオ高野

マリオ高野

1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。3台の愛車はいずれもスバルのMT車。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
7シリーズ セダンの製品画像
BMW
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(レビュー21人・クチコミ212件)
新車価格:1554〜1588万円 (中古車:31〜1955万円
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