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ホンダ「WR-V」と「アコード」のカスタムモデルが早くも登場!新型「シビックRS」もサプライズ展示

ホンダは、2024年3月22日に発売開始される新型SUV「WR-V」をベースとしたコンセプトモデル「WR-Vフィールドエクスプローラーコンセプト」と、2024年春に発売予定の新型セダン「アコード」の用品装着車である「アコード e:HEV スポーツライン」を「東京オートサロン2024」に展示した。

「東京オートサロン2024」へ展示されたホンダ「WR-V」のカスタムモデル「WR-Vフィールドエクスプローラーコンセプト」

「東京オートサロン2024」へ展示されたホンダ「WR-V」のカスタムモデル「WR-Vフィールドエクスプローラーコンセプト」

同ショーへ展示された、ホンダ 新型「アコード」のカスタムモデル「アコード e:HEV スポーツライン」

同ショーへ展示された、ホンダ 新型「アコード」のカスタムモデル「アコード e:HEV スポーツライン」

どちらも、まもなく発売される注目の新型車のカスタムモデルだ。今回、開発やデザインの意図を担当デザイナーへ伺ったので、その詳細をお伝えしたい。

ブラックカラーによって引き締められたエクステリア

まずは、「WR-Vフィールドエクスプローラーコンセプト」から。同モデルは、海や山へのアウトドアから街中まで、遊ぶためのフィールドを選ばずに冒険できるパートナーを目指したコンセプトモデルだ。

ターゲットは、「若いご夫婦や、カップルを想定しています。街中だけでなく、アウトドアシーンを含めて場所を選ばずに、アクティブに出かけていかれる方々をイメージしました」と話すのは、ホンダアクセス 開発部 デザイン課課長 チーフエンジニアの佐々木和弘さん。

右が、ホンダアクセス 開発部 デザイン課課長 チーフエンジニアの佐々木和弘さん

右が、ホンダアクセス 開発部 デザイン課課長 チーフエンジニアの佐々木和弘さん

もともと、「WR-V」にはホンダアクセスの純正用品が装着された「タフスタイル」と呼ばれるコーディネートモデルが存在する。「タフスタイル」に装備されているエクステリアは、ガーニッシュがシルバー塗装されており、オフローダー的なイメージを訴求したモデルだ。

「タフスタイル」と呼ばれるエクステリアコーディネートが施された、「WR-V」のホンダアクセス 純正アクセサリー装着車

「タフスタイル」と呼ばれるエクステリアコーディネートが施された、「WR-V」のホンダアクセス 純正アクセサリー装着車

だが、「WR-Vフィールドエクスプローラーコンセプト」は「タフスタイル」をベースとしながら、ガーニッシュなどはシルバーではなくブラックに塗装されている。さらに、リアのナンバープレート周りはブラックでラッピングされ、テールゲートスポイラーも黒色化されるなどによって、全体的にブラックによって引き締められた印象が与えられている。

「WR-Vフィールドエクスプローラーコンセプト」のリアイメージ。ナンバープレート周りやテールゲートスポイラーなどにもブラックカラーが施されている

「WR-Vフィールドエクスプローラーコンセプト」のリアイメージ。ナンバープレート周りやテールゲートスポイラーなどにもブラックカラーが施されている

ホイールサイズも、標準モデルの17インチから15インチへとインチダウンされ、そこへトーヨータイヤ「OPEN COUNTRY R/T」の195/80R15タイヤを履かせることで悪路走破性の高さをアピールする。

ホイールは、ホンダアクセスの純正ホイールとしてさまざまな車種で販売してされているものを採用しつつ、ベルリナブラックによってブラックにコーディネートされている

ホイールは、ホンダアクセスの純正ホイールとしてさまざまな車種で販売してされているものを採用しつつ、ベルリナブラックによってブラックにコーディネートされている

「WR-V」のタフさを引き出すことでユーザーの幅を広げたい

そして、最も印象が変わったと思われるフロントフェイス周りは、「よりオフローダーらしく、SUVらしいタフな顔つきをイメージしました。ノーマルや純正用品と比べても、『WR-Vフィールドエクスプローラーコンセプト』のほうがさらにタフなイメージを全面的に打ち出すデザインとなっています」と佐々木さん。同時に、ルーフキャリアが装備されるなどによって、タフな世界観がより強調されている。

ブラックグリルやイエローのLED、フォグによって、タフな印象がさらに強められている

ブラックグリルやイエローのLED、フォグによって、タフな印象がさらに強められている

具体的なフロントフェイスの変更点としては、「上側のブーメランのような造形のカラーをブラックに変えてLEDを追加。また、HONDAのメーカーロゴを装着して、その下のグリルデザインを変更しています」と説明する。

佐々木さんは、「標準モデルのグリルは割とシンプルで、クルマの性格にはとてもマッチしたデザインとなっています。ですが、今回はあえてタフにしようと考えました。アクティブな印象とするためにかなり立体感を出し、一つひとつのモチーフが力強く、大きく、太く見えるようなデザインを施しました。その結果、顔周りの印象がグリル交換だけでかなり大きく変わっています」とのことだ。

参考として、標準モデルの「WR-V」のフロントフェイス

参考として、標準モデルの「WR-V」のフロントフェイス

だが、そもそもなぜタフでオフローダー的な方向へと振ったのだろうか。佐々木さんは、「実際のクルマの使い方としては、街中でも郊外でも、偏りなく使われることでしょう。ですが、『WR-V』の成り立ちであるアクティブなライフスタイルやアクティブな自分自身の表現を考えたときに、よりオフロード寄りでタフなスタイリングも需要があるのではないかと考えたのです」と言う。

「標準モデルや用品装着車を好まれるお客様ももちろんおられますが、今回のようにタフな方向性を求められるお客様もいらっしゃると思うのです。そこで、同じパーツを使いながらもテクスチャーを変えることによって、お客様の幅を広げることができるのではと考えています。『WR-V』自体も、幅広いニーズに応えられるポテンシャルを備えていると思っています」と、標準モデルの素性のよさから、その個性をさらに特化できたクルマであることを話してくれた。

佐々木さんは、「とにかく、若い人たちにこういったクルマを見て頂いて、もっとクルマに興味を持って頂ければと思っています。クルマのカスタマイズが楽しいという認知を広めたいのです。もちろん、純正のまま乗るのもよいのですが、自分なりのスタイルで乗ることもクルマの醍醐味のひとつですので、ぜひオートサロンを通じてカスタマイズの楽しさに触れてもらえればと思います」とコメントした。

現在は、あくまでもコンセプトモデルなので市販化などの計画はないそうなのだが、グリル周りなどはある程度法規要件をクリアしているとのこと。同ショーの反響によっては、オプション設定として追加される可能性もあるようだ。

新型「アコード」をよりセダンらしくスポーティーに

そして、もう1台は新型「アコード」のホンダアクセス純正用品装着車である「アコード e:HEV スポーツライン」だ。同モデルは、「スポーツライン」と「ツーリングライン」の2種類がラインアップされ実際に市販化されるもので、「東京オートサロン2024」には「スポーツライン」が展示されていた。

同モデルは、「Dignified Athlete(風格のあるアスリート)」というテーマでデザインされている。ホンダアクセス 開発部 デザイン課 アシスタント チーフエンジニアの三井岳さんによると、「もともと、新型『アコード』の持っているスポーティーなスタイルとセダンらしさを、さらに強調させました。王道のスポーティーセダンを狙ったエアロパーツを装備しています」。

右が、ホンダアクセス 開発部 デザイン課 アシスタント チーフエンジニアの三井岳さん

右が、ホンダアクセス 開発部 デザイン課 アシスタント チーフエンジニアの三井岳さん

今回展示された「スポーツライン」については、「50代の中でも、割と前半の層がターゲットになります。マインドもかなり先進的で、スポーティーなスタイルを好まれる、若々しさを持ったお客様です。エアロパーツやアルミホイールをブラックでコーディネートすることで、標準モデルのスポーティーなスタイルをさらに引き立てています」と説明。「スポーツライン」は、新型「アコード」のターゲットユーザーに近いイメージながら、さらにエレガントでスポーティーな印象を強調させているわけだ。

「アコード e:HEV  スポーツライン」は、ドアミラーやトランクスポイラーなどもブラックでコーディネートすることによって、ボディ全体がまとまり感のあるスポーティーなイメージになるようにデザインされている

「アコード e:HEV スポーツライン」は、ドアミラーやトランクスポイラーなどもブラックでコーディネートすることによって、ボディ全体がまとまり感のあるスポーティーなイメージになるようにデザインされている

いっぽう、「ツーリングライン」については「ボディカラーと同色にすることで、よりワイドなスタンスとともに、どっしりとした低い姿勢を強調しています」と言う。セダンにこだわりを持つ、50〜60代をターゲットとしているとのことだ。

サイドのロアスカートは、上から見たときに張り出しが立体的に見えるようにデザインされるとともに、ハイライトの通り(光の反射など)にもこだわって0.1〜0.5mmと微調整しながら開発したという(画像は「スポーツライン」。形状は「ツーリングライン」も共通

サイドのロアスカートは、上から見たときに張り出しが立体的に見えるようにデザインされるとともに、ハイライトの通り(光の反射など)にもこだわって0.1〜0.5mmと微調整しながら開発したという(画像は「スポーツライン」。形状は「ツーリングライン」も共通

アルミホイールは、ガーニッシュ付きの2パーツ構成にするなど、こだわってデザインされている。三井さん曰く「艶消しと艶ありの、2つのブラックを組み合わせており、よりスポーティーなこだわりを感じていただけることでしょう」

アルミホイールは、ガーニッシュ付きの2パーツ構成にするなど、こだわってデザインされている。三井さん曰く「艶消しと艶ありの、2つのブラックを組み合わせており、よりスポーティーなこだわりを感じていただけることでしょう」

アメリカのデザイナーと連携しながら開発

実は、同モデルのデザインはアメリカと連携を図りながら進められたのだという。なぜなら、「アコード」は北米や中国アジア地域で販売されているが、特に北米は販売台数が多いからだ。

「アメリカのデザイナーともアイデアを出しあい、世界的なトレンドも採り入れながら進めました」と三井さん。実は、「ツーリングライン」と「スポーツライン」は日本にしかない仕様だ。北米では、ロアスカートなどの造形自体はそのままだが、カラーがガンメタになるという。「アメリカのトレンドとしては、若々しくてスポーティーさを強調するときにはガンメタが好まれるのです」と言う。いっぽう、日本のユーザーは標準モデルの黒と共通ながら、より微妙な形状の違いがわかってもらえるためにブラックを選んだのだそう。

ホンダアクセスの特徴的なパーツのひとつとして、フェンダーガーニッシュが挙げられるが、それは「アコード」にも採用されている。これも考え方はアルミホイールと同じで、細部のこだわりが感じられるものだ。通常であれば、「ACCORD」の文字は白文字などで目立たせるのが一般的かもしれない。だが、「大人のセダンということで、ガンメタとブラックと近い色でACCORDの文字色も塗ることで落ち着きを持たせ、『アコード』のオーナーとしての所有感と満足度を高めるようにしています」。

フェンダーガーニッシュも北米のデザイナーとともに開発されており、黒とガンメタに近いカラーによってまとめられている

フェンダーガーニッシュも北米のデザイナーとともに開発されており、黒とガンメタに近いカラーによってまとめられている

純正用品とは、後付け感があるものも多いのが実情だ。だが、「アコード e:HEV スポーツライン」を見るかぎり、特に下回りに配されたスカート類でそれを感じられるものはない。一つひとつの用品を選んで装着することも可能とのことだが、できればワンセットで装着して、『スポーツライン』として楽しむことをお勧めしたい。

デザイナーが開発に当たってもっともイメージしたのが、夜の高速道路を駆け抜けていくイメージなのだそう

デザイナーが開発に当たってもっともイメージしたのが、夜の高速道路を駆け抜けていくイメージなのだそう

新型「シビック RS」がサプライズで展示

実は、ホンダの会場にサプライズで登場した1台がある。2024年秋にデビュー予定の「シビックRS」だ。

メーカーリリースなどもなく、「東京オートサロン2024」へ展示され2024年秋にデビューということのみが公開された「シビック RS」

メーカーリリースなどもなく、「東京オートサロン2024」へ展示され2024年秋にデビューということのみが公開された「シビック RS」

詳細については、今回はまったく明かされずに展示されているのみであった。「RS」は、最初に初代「シビック」に設定され、それ以降はいくつかの車種に展開された。近年では、「フィット」や「N-ONE」にもラインアップされている。「RS」のイメージカラーはオレンジなのだが、今回はブラックであった。

搭載されるトランスミッションはMTとのこと。現在、「シビック」には1.5リッターターボエンジンと2リッターハイブリッド「e:HEV」がラインアップ(のぞく「TYPE-R」)されているが、MTということであれば前者の可能性が高そうだ。今後、徐々に情報が公開されていくだろうから、詳細はそのときを待ちたい。

(写真:島村栄二、ホンダアクセス、価格.comマガジン編集部)

内田俊一
Writer
内田俊一
1966年生まれ。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も行いあらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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